なぜコンプライアンスが重要なのか?その基本を解説

 2019.05.27  クラウドERP編集部

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「コンプライアンス(Compliance)」という言葉を多方面のメディアで見聞きするようになった時代です。しかしながら、コンプライアンスの意味は理解していても、「なぜコンプライアンスが重要なのか?」については知らないという方も多いでしょう。

事業規模を問わず、すべての企業にとって大切なコンプライアンスについて、その基本を本稿でご紹介していきます。

コンプライアンスが重要とされる理由とは?

コンプライアンスは「法令遵守」の意です。企業には法人として守るべき法令や社会的ルールがたくさんあります。その法令に違反したり、ルールを破ったりすることは社会からの信用を失うことになり、大きな経済的損失を受けることにもなります。場合によってはコンプライアンス違反を犯した当事者が刑事罰を受けることもあるでしょう。

このことから、コンプライアンスが重要視されるようになったきっかけは、企業における多数の不祥事がメディアで報道されるようになり、消費者・企業・投資家などからの批判や、監督行政による厳しい取り締まりを目の当たりにしたことだと考えられています。

しかし、企業におけるコンプライアンスの重要性が叫ばれるようになった本当の理由は、粉飾決算などの不正リスクを適切に管理することにより、健全な経営活動を実現して「企業価値」を高めることができるといた、ビジネスに対して積極的な思考が国際的に広がったことが挙げられるでしょう。

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コンプライアンスに取り組まないと何が起きる?

帝国データバンクの調査によると、2017年度(2017年4月~2018年3月)に発生した倒産件数に対して、コンプライアンス違反が起因となり倒産した企業は231件と判明しています。
※取材により判明した件数なので、実際にはもっと多いことが考えられます

そのうち最も多いのが「粉飾」であり、建機の不正取引を行っていたPROEARTHや、被害者から詐欺で告訴されたゴルフスタジアムなどが事例として挙げられています。

参考:2017年度 コンプライアンス違反企業の倒産動向調査

このように、「コンプライアンス違反によって倒産した」と聞いても自分ごととして考えることは難しいかもしれません。では、コンプライアンスに取り組まないことで起こる身近な問題とは何でしょうか?

  • コンプランス違反のリスクに対して適切な体制を構築しない企業は、ビジネスリスクの高い存在として認識され、消費者・取引先・投資家からビジネス相手として敬遠される。
  • 問題が発生しても改善に取り組まない企業は、従業員の責任感やビジネスへの意欲が低下し、企業にとって望ましい人材や職場秩序の維持・確保が難しくなる。
  • 日頃からコンプライアンス違反のリスク発見と是正に努めていない企業では、重大な不祥事やミスが発生した際の対応が遅れ、経済性・信用性により大きなダメージを受けることになる。

「倒産」と聞くとイメージが湧きにくいかもしれませんが、上記のような問題が発生すると考えれば、コンプライアンス違反は絶対に起こさないよう努めなければという意識が持てるのではないでしょうか。

セキュリティ体制が甘く情報漏えい事件を起こしてしまった企業Aと企業Bがいたとします。企業Aはこの事態を真摯に受け止めて、まずは情報開示に始まりセキュリティ対策室を設置し、消費者や企業からの問い合わせに適切に対応し、再発防止に取り組みました。一方で企業Bは、情報漏えい事件が明るみにならないよう情報を操作したり、事件後にこれといった再発防止に取り組まなかったりしたとします。

同じ情報漏えい事件が発生しても、社会的信用の低下を最低限にとどめ、かつ事業継続によって経営状況を回復できるチャンスがあるのは明らかに企業Aです。人も企業も、リスクが実際に起こった際にその真意が試されます。

もちろん、コンプライアンスはそうしたリスクを管理・回避するための取り組みですが、リスクが実際に起きた万が一の時に、極力ダメージを受けないための対策でもあるのです。

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コンプライアンスと内部統制

コンプライアンスという言葉が日本の経済界全体に浸透すると同時に、「内部統制(Internal Control:インターナル・コントロール)」という言葉も浸透していきます。内部統制とは、経営方針や経営目標に即して、適正かつ効率的に業務を遂行するために組織内部で整備・運用する仕組みを指します。

コンプライアンスが「企業としてあるべき姿」だとすると、内部統制は「それを実現するための手段」と考えると分かりやすいでしょう。内部統制を実施する重要性については、以下のような背景があると考えられます。

  1. 大手企業の粉飾決算など不祥事が後を絶たず、信頼できる財務情報・リスク情報の開示が消費者・取引先・投資家などから求められている。
  2. ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)やグローバル化に伴い、リスクの影響範囲が劇的に拡大している。
  3. 経営者が注意義務を果たしている事実を証拠に残し、株主や債権者からの責任追及に対抗する必要がある。

内部統制の内容は企業の業種・業務・経営方針・経営目標などによって異なります。従って全ての企業に適用できる万能薬は無く、各企業が創意工夫や試行錯誤を重ねて、自社のコンプライアンス要件に合致した内部統制を構築する必要があります。

また、内部統制といっても特別な監視システム等を構築するのではなく、普段使っている業務の体制・規則・手続きの中に必要なコントロール機能を組み込むことが大切です。

コンプランスにおける役割

企業のコンプライアンス活動における役割というものは、役員・管理職・一般従業員によって違います。

役員の役割

コンプライアンス違反を防止する仕組みの構築と運用、それと重大な不祥事やミスが起きた際にその影響を最小限にとどめ、早期の企業活動再開を図る準備と対処に関する責任を負います。さらに、役員同士が互いの職務執行を監視し、コンプライアンス違反の疑いがあれば取締役藍や監査役に報告する義務があります。

管理職の役割

役員による業務執行の補助者として、経営層が定めた方針・規則・体制・手続きを組織内で有効手に展開し、問題把握と経営宝報告、さらに管理の有効性に関する点検と是正の責任があります。

一般従業員の役割

法令や企業規則・社内ルールを正確に理解し、所定の申請手続きや報告手続きを決められた通りに正しく処理する責任があります。さらに、職制や専門家に確認をし、疑問や不安を残さずに誰にでも説明できるように、普段から正しく仕事を進めることも一般従業員が担う役割です。

コンプライアンスは意識向上から

企業がコンプライアンスを徹底するため大切なことは、経営トップから一般従業員にいたるまでコンプライアンスへの意識向上に努めることです。組織全体がコンプライアンスに対して高い意識を持っていれば、不祥事発生等のリスクを適切に管理できます。まずは、自社のコンプライアンス意識調査から始めてみるのがよいでしょう。

コンプライアンスと内部統制システム

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