CSRとは? その意味やメリット、活動事例をわかりやすく解説

 2022.08.22  クラウドERP編集部

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企業とは、収益を生み続けるための営利組織です。しかしながら、近年ではその在り方が大きく変化しており、環境活動やボランティアなど企業が社会的責任を果たすためのCSR活動が浸透しつつあります。本記事ではCSRとは何なのか、なぜ必要なのかなど、CSRの基本をご紹介します。

CSRとは?

米国やヨーロッパでは、古くから企業存続には持続的な社会発展が欠かせないという考え方があります。つまり、社会があるからこそ企業が存続でき、企業はその社会を持続・発展させるための責任を担っているという理念です。そしてCSRとは、企業が組織活動を行うにあたり担っている社会的責任を意味します。従業員、消費者、投資者、環境などへの配慮から社会貢献まで、幅広い内容を考慮しながら適切な意思決定を下さなければいけません。

英語ではCorporation Social Responsibility(企業の社会的責任)を意味し、略してCSRとなっています。

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日本でCSRが広まったきっかけ

日本国内でCSRが注目されるようになったきっかけは、食品の成分や消費期限の偽装表示などの不祥事が相次ぎ発覚したことです。それを機に企業に対する社会からの見え方が一気に変化し、多くの不祥事が明るみに出ました。同時に叫ばれたのが、企業が果たすべき社会的責任についてです。

企業は営利組織である以上、利益を追求する使命があります。しかしその一方で、利益のみならず消費者の健康や環境維持への配慮なども含めた社会的な責任を果たすべきであるという考え方が増えました。さらに、インターネットの普及によって情報流通量が爆発的に増加したことで、企業に関するネガティブなイメージはあっという間に拡散されます。

そうした状況下において、社会的信用を維持・向上するためにCSRが重要視され、今では中小企業や大企業を問わず多くの企業がCSR活動に取り組んでいます。

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CSR活動はなぜ必要なのか

CSR活動はただの慈善活動ではなく、企業の持続的な発展に欠かせない取り組みのひとつです。先述したように、企業は営利組織として利益を追求する使命がある一方で社会に所属している以上、地域社会の発展や環境の保全といった社会的責任を果たす義務があります。

企業は事業活動を通じて製品やサービスを生み出し、創出した付加価値を市場に提供することで、利益を得て発展していく組織です。つまり、企業と社会は相互依存の関係性で成り立っており、地域社会の発展なくして組織の成長はあり得ないといっても過言ではありません。

したがって、企業が中長期的に発展していくためには、目先の利益のみを追求するのではなく、社会全体の持続的な成長に寄与する組織体制の構築が求められます。そして、市場価値の創出と組織としての健全な成長を通し、地域社会の発展や世界の恒久的な平和に貢献することが大切です。

そのためには環境問題や人権問題、貧困問題などへの取り組みが不可欠であり、単なる慈善活動にとどまらず、企業と社会の双方にメリットをもたらすCSR活動を戦略的に展開していく必要があります。

CSR活動に取り組むメリット

社会的責任を果たすという要素だけで、貴重な資産を投資できるほど企業は単純なものではありません。そこにはやはり、CSRに取り組むためのメリットが無ければいけないのです。では、企業がCSR活動に取り組むとどのようなメリットがあるのでしょうか?

メリット1. 企業のイメージアップ

東京商工会議所が行ったアンケート調査によれば、中小企業のうち79.9%が、大企業のうち98.3%がCSR活動に取り組む目的を企業のイメージアップと回答しています。環境問題や消費者等の健康状態を考慮した取り組みというのは、内外的にアピールすることで企業イメージがアップすることが分かっています。

企業のイメージアップは商品やサービスの安全性をアピールすることになり、結果として信頼性向上やブランドイメージのアップ、最終的にはそれが商品購入に繋がり利益向上に至ります。

メリット2. 顧客・仕入先との関係強化

継続的なCSR活動に取り組む企業は、企業イメージがアップすることで顧客や仕入先からの信頼が増し、株主や投資家からの支持を得やすくなります。そうして顧客や仕入先との関係が強化されることで、円滑な企業活動や利益向上へと繋げることができます。

メリット3. 従業員満足度向上

CSR活動により向上するのは、企業イメージや顧客・仕入先からの信頼性だけではありません。従業員満足度も同じように向上します。従業員は自分の仕事が社会貢献に繋がっていることを自覚することで、自信を持って働きモチベーションを自然と高めることができます。

そうすると企業の生産性は高まりますし、そうした従業員が多数在籍することで事業の正常化や良好な人間関係の形成につながるため、企業の継続的成長に寄与するでしょう。さらに、学生や求職者に好印象を与えて、優秀な人材採用に繋げることも可能です。

メリット4. コンプライアンス違反の防止

近年、企業の不祥事やハラスメントが増加傾向にあり、商法改正の影響も相まって、コンプライアンス(Compliance)という概念が大きな注目を集めるようになりました。コンプライアンスは「法令遵守」と直訳される概念です。企業経営の領域では、法律や条令などを遵守するのに加え、社会倫理や社内規定、就業規則などのルールも守って、公平かつ公正に業務に従事することを意味します。

経営層はもちろん、一般従業員にまでCSR活動の意義が浸透することで、コンプライアンスを遵守する組織体制の構築に繋がります。不祥事のリスクを最小化しつつ、事業活動を円滑に進めることが可能になるでしょう。

メリット5. コミュニケーションの活性化

CSR活動に取り組むもうひとつのメリットは、組織全体におけるコミュニケーションの活性化です。CSR活動は個人で成し遂げるのは困難であり、組織全体として環境活動や寄付活動、ボランティアなどに取り組むのが一般的です。こうした取り組みを推進する組織風土や企業文化が醸成されることで、部門を横断したコミュニケーションが生まれやすくなります。

組織全体におけるコミュニケーションが活性化されることで、社内全体の共通意識や仲間意識が強くなり、新しいアイデアやイノベーションの創出につながる点が大きなメリットです。また、CSR活動への取り組みを推進することで、従業員のエンゲージメントやロイヤルティの大幅な向上につながり、離職率の改善に寄与するというメリットもあります。

CSRとサステナビリティの違い

CSRと混同されがちな考え方の1つにサステナビリティ(Sustainability)があります。これは、環境や経済、社会のバランスを考慮しながら世の中全体を持続可能な状態にするという考え方です。サステナビリティは「持続可能な」という意味の言葉で、CSRよりも昔から提唱されてきました。

サステナビリティと深いかかわりを持っているのが、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)です。聞いたことはあるという方が多いでしょう。SDGsは2016年から2030年までの国際目標であり、以下のような17の開発目標が掲げられています。

  1. あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
  2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
  3. あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
  4. すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する
  5. ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う
  6. すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する
  7. すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する
  8. 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する
  9. 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る
  10. 各国内及び各国間の不平等を是正する
  11. 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する
  12. 持続可能な生産消費形態を確保する
  13. 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
  14. 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
  15. 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならび
    に土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する
  16. 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する
  17. 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

CSR活動の事例

CSR活動を自社の経営体制に導入するために、具体的にどのような取り組みが自社に適しているかを明確化しなくてはなりません。そこで重要となるのが、CSR活動を推進している企業の取り組み事例から学ぶことです。

他社がどのようなCSR活動を推進しているのかを知り、単にそのまま真似するのではなく成功の鍵となっている要素を見極めて取り入れることが大切です。そうすることで、自社が実践すべき施策や戦略の方向性が具体化されるでしょう。ここでは、CSR活動の具体的な取り組み事例を3つご紹介します。

事業の特性を生かしたCSR活動

国内有数の精密化学メーカーであるH社は、独自の技術を用いて最高品質の商品やサービスを提供し、文化や科学、産業の発展、環境保持などに貢献することを企業理念として掲げています。そんなH社のCSR活動における基本的な方針は、企業市民として社会とともに歩み続け、社会が求める要請や期待に応えることです。

同社は精密化学メーカーとして清浄な水と空気が不可欠な事業を展開しており、利益の追求のみならず、環境の保全や配慮に努めてきました。こうした事業の特性を生かし、文化財・美術品のアーカイブ化、伝統文書の複製と活用、新興国や災害現場への医療機器提供、写真を通じた支援などの活動を推進し、社会の持続的な発展に貢献しています。

とくに学術や教育、文化や芸術、健康、自然環境などの領域に注力しており、現在も環境保持や人々の暮らしのさらなる向上を目指してCSR活動を推進しています。

「環境」をテーマにしたCSR活動

大手小売業メーカーS社は、「環境」をテーマにしたCSR活動を推進しています。創立20周年を記念し、本部と加盟店が一体となって環境をテーマに社会貢献活動に取り組む財団法人を設立しました。店舗に寄せられた募金や寄付金は財団法人で管理され、自然環境保護や市民活動などを主要テーマとするCSR活動に使われています。

S社が特に取り組んでいるCSR活動は、自然環境保護・保全や自然学校運営、災害復興支援事業、環境イベント支援などです。具体的には、CO₂削減や豊かな自然環境の再生を目的として、全国16カ所の森・里・川・海で、海草の一種であるアマモ再生や海岸清掃、植樹から間伐までの森の保育活動などを行っています。
そのほか、全国展開する店舗を生かし、災害支援のための店頭募金活動も必要に応じて実施しています。

グローバルヘルスの課題解決に向けたCSR活動

日本の大手製薬会社のT社は国内のみならず、グローバル規模の課題解決に向けたCSR活動を展開しています。同社は優れた医薬品の創出を通じ、人々の健康と未来に貢献することを企業理念に掲げており、そのビジョンに則って途上国の健康と医療に関するCSR活動に取り組んでいます。

具体的には、HIV・結核・マラリア対策基金への資金提供、がん治療の支援や重篤な小児患者の生活支援、地域ヘルスワーカーの育成、医療のアクセス改善のための支援、医学系大学院との提携などです。発展途上国に質の高い医療を提供するべく、グローバルヘルスの課題解決に向けたCSR活動を展開しています。
注目できる点として、新たに支援する活動は世界の全従業員による投票で決定しています。

CSR活動のデメリットに注意

CSR活動へ取り組むにあたり注意していただきたいのが2つのデメリットです。東京商工会議所のアンケート調査では、CSR活動によってコスト増と人手不足を感じる企業が多くなっています。

CSR活動や長期目線で考えれば企業利益に間接的に貢献するものの、本業と別個に行うもので利益に直結するわけではないため、短期的には損失になります。設立間もない企業や、現在経営が苦しい企業はなかなかCSR活動に踏み切ることができません。

また、社内にCSR活動に取り組むだけの人材が足りないという意見も多くあります。CSR活動には少なからず人員を割かなければいけないので、人手不足を感じることになりでしょう。ただし、長期目線で見れば優秀な人材確保に繋がるため、継続的に取り組むことができれば必ずプラスになって還ってくるでしょう。

まとめ

企業とは、収益の最大化を目的とする営利組織ですが、近年では企業に求められる在り方が大きく変化しています。現代における企業は、単に営利目的の活動をするだけではなく、事業活動を通じて地域社会の発展や環境保全などに貢献することが求められています。企業と社会は相互依存の関係性で成り立っているため、企業が中長期的に発展し続けるためには、環境問題や人権問題、貧困問題といったCSR活動への取り組みが欠かせません。

そして、CSR活動を推進していくためには、組織の基幹業務を統合的に管理するERPシステムの活用が推奨されます。そこでおすすめしたいのが、Oracle社が提供するクラウドERP「NetSuite」です。Oracle社はデータベース管理システムのリーディングカンパニーであり、その信頼性の高さからNetSuiteは世界中の企業で統合基幹業務システムに採用されています。新しい時代に即した経営体制を目指す企業は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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