原価管理システムの導入で得られるメリット

 2017.07.03  クラウドERP編集部

[E-Book]データ主導の意思決定に勇気を持ち続ける

どんな企業にも「原価」は存在します。ある製品を製造・販売する企業でも、サービスという無形商品を提供する企業でも、利益が発生するところには必ず原価があるのです。それは原材料であったり人件費であったり実に様々で、複合的に絡み合っています。

共通していることは、いずれの原価も人手で管理することは難しいということです。原価は常に揺れ動いているもので、これを管理する負担は想像以上に大きく、かつリアルタイム性が大切だと言われています。

そこで多くの企業は「原価管理システム」を導入します。原価管理をITツールによって実現することで、人手では不可能であった管理を行ったり、効率的な業務遂行を目指すのです。

今回はこの原価管理システムを導入するメリットについて知っていただきたいと思います。

メリット1.原価計算を効率的に行える

原価管理の基本となるのが原価計算であり、様々な計算方法によって製品やサービスの原価を算出します。原価計算は用途によって計算方法が異なるので、目的に沿って使い分けることが大切です。

しかし、計算方法が異なるが故に複雑化してしまっているのも事実です。

例えば、財務諸表を作成する上で認められている計算方法は実際原価計算や全部原価計算などであり、標準原価計算などは認められていません。標準原価計算などは主に社内の管理目的で使用されます。

これらの計算方法を目的に応じて使い分け、Excelなどで管理するには非常に大きな負担がかかります。特に原価は変動が激しいものでもあるので、原価計算専属の人員を配置しても難しいでしょう。

原価管理システムに備わっている原価計算機能では、こうした複雑な原価計算を効率的に行えるよう設計されています。特定のデータを入力するだけで原価計算ができるので、最も負担のかかる業務を大幅に効率化することができます。

メリット2.原価をもとに原価管理が行える

原価管理システム本来の目的とは、単に原価を把握するだけではありません。算出して原価をもとに現状の課題点を発見したり、継続的に利益を生み出していくことこそが原価管理システムを導入する目的だと言えます。

「管理」という言葉をそのままで捉えてしまうと、原価管理の本質は見えなくなってしまいます。原価管理とはあくまで継続して利益を見出していくための仕組みを作ることであり、ただ原価を管理するだけでは原価管理とは言えません。

原価管理システムを導入し原価計算を効率化することで、迅速な原価管理を行うことができます。原価管理で重要なのは原価情報をもとにPDCAサイクルを繰り返していくことです。

現状を把握し、計画と施策を立案、それを展開し、効果測定を行う。さらに改善を加えていくことで継続的な利益を生み出す仕組みを作ります。原価管理システムはこの「原価管理のPDCAサイクル」を強力に支援してくれるのです。

戦略的な経営を実現するクラウドERP NetSuiteが支える企業変革
倉庫管理システムの選び方

メリット3.損益分岐点を把握できる

原価管理を行う上で忘れられがちなのが「損益分岐点」を知ることです。例えば美容サロン(ここではまつ毛エクステとします)を経営するとき、材料費・労務費・経費の3点から原価を計算します。

まずは材料費。材料費計算の原則としては、実際の消費量に消費価格を乗じて計算しますが、まつ毛エクステサロンでは実際の消費量を正確に把握するということは不可能です。従って「標準消費量」から「標準原価」を設定します。

次に労務費や経費を計算していくわけですが、ここで一旦ストップして損益分岐点を計算していただきたいのです。

例えばサロンの物件費が15万、人件費が毎月100万円かかるとします。合計115万円を標準材料原価率(ここでは16%とします)で割り戻すと、1ヵ月に必要な売上高を計算することができます。

115万÷16%(0.16)=638万8,888

このように計算してみると、生み出している利益に対してどれほどの売上高が必要かを算出することができますね。実はこの時点で多くの問題点に気付くことが多いのです。

「約639万円の利益を生み出すには価格設定があまりに低い」「材料原価が高すぎるのではないか?」などなど、事前に気付くことができれば、効率的に経営戦略を立てていくことができます。

しかし、損益分岐点を把握するためには物件費や人件費だけでなく、あらゆる固定費と変動費を計上しなければならないため、敬遠されがちです。在庫管理システムではそんな損益分岐計算機能が備わっているので、負担を少なくしつつより精微な経営戦略を立てていくことができます。

[SMART_CONTENT]

メリット4.コスト削減のための分析ができる

「コスト削減」と聞くと、節電や人件費削減などを思い浮かべる方が多いかと思います。しかし、製品やサービスの中にもコスト削減ができる部分は多いのです。節電は当たり前に行う行為として、人件費削減は組織のモチベーション低下に繋がるものですので、難しい問題が付いてまわります。

もしも、製品やサービスの原価の中からコスト削減できる部分を発見できれば、組織全体にとってメリットの多いコスト削減を実現することができるでしょう。

そのためにもやはり原価管理が重要です。原価を正確に把握することで、どこに問題があり、改善点は何かを考えることができます。つまり人件費以外でコスト削減できる部分を特定することができるのです。

分析機能が備わっている原価管理システムならば、さらにコスト削減のための分析を効率的に行うことが可能です。

メリット5.原価変動をシミュレーションできる

原価とは常に変動するものです。材料費や人件費、これらは情勢や景気によって大きく左右されます。よって企業は常に最適な原価を維持するために、様々な状況を想定して対応計画を立てる必要があります。

そんな時に便利なのが原価変動のシミュレーション機能です。

仕入先を変更した場合、為替の変動が起きた場合、原料費が高騰した場合など様々なケースを想定し、その際の原価変動をシミュレーションすることができます。つまり企業にとって最も重要である「未来の情報」を手にすることができると言ってもいいでしょう。

シミュレーション結果をもとに対応計画を立てていけば、急激な環境変化にも対応できる組織作りが可能になります。

[RELATED_POSTS]

メリット6.ERP連携で全社効率化ができる

多くの原価管理システムは他の業務アプリケーションと連携できる機能を持っています。また、初めからERP(統合基幹業務システム)として導入することも可能です。

ERPとして連携することで、原価管理システムはさらなる導入効果を発揮します。各システムと連携を取ることで多くのデータ入力作業が効率化され、経営者はリアルタイムな経営情報を可視化することもできるでしょう。

原価管理システムはERPとして連携してこそ、本当の導入効果を発揮すると言えるでしょう。

まとめ

原価管理は今や組織の規模を問わず、多くの企業にとって重要な業務の一つです。原価管理を軽視することは計画性の高い経営戦略を捨てるも同然であり、継続的な利益を生み出していく「仕組み」を構築することができません。

しかし、組織にとって負担の大きい業務でもあるので、原価管理が正しく行われていることの方が少ないのが実情です。だからこそ、原価管理システムが強く求められている時代だと言えるのではないでしょうか。

原価管理システム並びに、ERPを検討することは企業の問題点を見つめ、成長していくためのチャンスだと捉えてみてください。

原価管理システムの選び方

RECENT POST「サプライチェーン/生産管理」の最新記事


サプライチェーン/生産管理

製造原価とは? 売上原価との違いや求め方、分類方法などを解説

サプライチェーン/生産管理

製造管理とは? 生産管理との違いやシステム導入のメリットを解説

サプライチェーン/生産管理

OEMの意味とは? ODMとの違いやメリットをわかりやすく解説

サプライチェーン/生産管理

原価/原価計算とは? 重要視される理由やシステムの選定について

原価管理システムの導入で得られるメリット
わかりやすいマンガ形式で解説!会計ソフトの選び方まるわかりガイド
ビジネスでの時間不足を解消する3つの方法

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

New Call-to-action