在庫管理システム導入のメリットとは? クラウド型で作業効率化を実現

 2017.08.28  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

在庫管理は、すべての小売業者が注力すべき重要な課題です。在庫管理がずさんな企業は、無駄なコストや機会損失のリスクなどに晒され、競争力を次第に削られてしまうでしょう。

在庫管理は小規模であれば、Excelなどの手作業で行えるかもしれません。しかし、在庫が大量になれば、在庫管理自体の業務効率化が重要になってきます。その際、在庫管理業務をサポートしてくれるツールが「在庫管理システム」です。

本記事では、この在庫管理システムがどのように企業を助けてくれるソリューションなのかを解説します。オンプレミス型と比べたクラウド型在庫支援システムのメリットなどもご紹介しますので、クラウド活用に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

在庫管理システムとは効率的に在庫を管理するシステム

在庫管理システムとは、効率的に在庫を管理し、顧客やサプライヤーからの注文などに迅速に対応できるよう設計されたITソリューションです。

在庫を適正に一元管理することは、オンライン・オフライン問わず製品を販売したり、倉庫を利用したりする企業にとって非常に重要なことです。これを可能にするために、在庫管理システムには、主に以下のような機能が搭載されています。

  • 在庫管理機能
    在庫に関するすべての情報を追跡し、可視化する機能です。在庫管理システムでは、在庫の残量、入出庫の履歴、製品のステータスや仕様などを細かく把握できます。

  • データの自動入力機能
    各在庫のバーコードをハンディターミナルなどでスキャンするだけで、システムにデータ登録できる機能です。手作業によるデータ入力はヒューマンエラーの恐れがありますが、この方法ならばミスを抑制し、作業時間を大幅に短縮できます。

  • 需要予測機能
    過去のデータなどに基づいて、将来の需要予測を行う機能です。どの時期にどの製品がどれくらい必要になるかを把握できれば、余剰在庫および在庫ロスのリスクを大幅に下げて、管理コストを最適化することが可能です。

  • 他システムとの連携機能
    在庫管理は本来、企業全体の資産管理やサプライチェーン管理などの一環として行われるものです。したがって、在庫管理システムにはERPツールなどの他システムと連携・統合するための機能が搭載されています。

  • 請求書や発注書の作成などの販売管理機能
    在庫管理システムの中には、受注から入金までの管理をしたり、請求書や発注書などの必要書類を自動的に作成したりする販売管理機能が搭載された製品もあります。

こうした機能を使って、在庫管理の担当者は効率的に在庫を一元管理し、在庫の流れを的確に把握できます。

関連記事:「在庫管理システムの基本機能
関連記事:「在庫管理システムとは?

NETSUITE アドバンスト在庫管理
倉庫管理システムの選び方

在庫管理システムの種類

在庫管理システムは、主に4種類に区分可能です。以下では、各タイプの特徴や、どのような企業がそれぞれのタイプに適しているのか解説します。

備品管理向けのタイプ

最初に挙げるのは、自社で使用する備品を管理するのに適したタイプです。在庫管理というと、顧客に販売する商品の管理を連想しがちですが、自社で利用する備品や資材などを管理することも含まれます。

たとえば、大規模な組織などでは棚卸のたびに、大量の備品のチェックやデータ入力に四苦八苦している場合も多いでしょう。あるいは、医薬品や化学物質、高額な精密機器などを適切に保管するために、正確な情報管理が必要になる場合もあります。このように、大量の備品や、厳重な管理が必要な備品を所有している企業には、備品管理向けのシステムの導入がおすすめです。

小規模事業向けのタイプ

小規模事業者向けのタイプもあります。起業したばかりでまだそれほど多くの在庫を保持していない場合などは、在庫管理の手間もあまりかからないため、システムに多くの機能を求めていないこともあるでしょう。

このような場合は、コスト重視で最低限の機能のみが利用できる在庫管理システムが適しています。ただし、今後の事業拡大なども見据えて、上位プランやオプション機能の内容、コストなども同時に確認しておいたほうがよいでしょう。そうすることで、事業展開に沿ってスムーズに在庫管理体制を次のステージへ移行できます。

ECサイト向けのタイプ

今日では、ECサイト向けの在庫管理システムの需要も増しています。ECサイト向けのシステムには、注文処理プロセス全体を合理化・最適化するための機能が搭載されています。つまり、在庫管理システムとECサイト双方のデータをリアルタイムに相互反映できるシステムです。

たとえば、ECサイトの中には「この商品は残り~個です」などと表示されている製品がありますが、これなどはECサイトと在庫管理システムが連動しているからこそ可能な機能です。ECサイトでは在庫状況が刻一刻と変化していくので、こうしたシステムの導入が効果的です。

倉庫管理向けのタイプ

製造業や物流業などの倉庫管理に向いたタイプもあります。倉庫管理業務にはさまざまな作業が含まれているので、このタイプの在庫管理システムは多様な機能を搭載しています。

たとえば、人手不足が進んでいる製造業や物流業界では、これまで人が行っていた作業をロボットに代行させる取り組みが顕著です。在庫を運んだり、検品をしたりする作業も自動化がどんどん進んでいます。

倉庫管理業務の自動化・効率化をどんどん促進していきたい場合は、このような物流ロボットなどと連携できるシステムがおすすめです。多言語に対応したシステムを使えば、外国人労働者が多い倉庫でも使いやすいでしょう。

[SMART_CONTENT]

在庫管理システム導入4つのメリット

続いては、在庫管理システム導入で得られる4つのメリットについてご紹介します。一般的に業務効率化効果があると認識されていますが、在庫管理システム導入には、ほかにもさまざまなメリットがあります。

1.現場作業精度の向上

在庫管理システムを導入するということは、現場での手作業を削減するということでもあります。

たとえば、検品作業では部品や商品を入荷する際、基本的には納入リストと現物を目視確認し、正しい仕入れがされているかを判断します。さらに、仕入れリストをもとに管理表に反映するという作業もあります。こうした作業はすべて人手で行われるので、時間はかかりますしミスも発生します。

在庫管理システムを導入した場合どう変わるかというと、まずハンディターミナルを活用することで、検品作業は従来の半分以上の時間短縮が可能でしょう。ICタグを用いれば目視確認の必要はなく、検品作業があっという間に完了します。

また、ハンディターミナルに登録された情報を端末に送信すれば、わざわざ手作業でデータを入力する必要もなく、作業時間を短縮しつつ入力ミスも減らせます。

このように、在庫管理システムを導入することで現場作業の精度が向上し、それにより工数を削減したり、無駄な手戻りを低減したりすることが可能です。

2.在庫圧縮によるコスト削減

在庫管理システムを導入すれば必ず在庫が圧縮するわけではありません。在庫管理システムはあくまでITツールなので、活用次第によってメリットを得ることもありますが、従来と変わらない環境ということもあり得ます。

ただし、ポイントを押さえて正しく活用すれば、多くの場合、在庫管理システムのメリットを引き出せます。その中でも、在庫圧縮のメリットは企業にとって非常に大きな利益をもたらすでしょう。在庫圧縮とは、いわば「在庫の最適化」です。市場ニーズに応じて常に「多すぎず少なすぎない」在庫を抱えることで、キャッシュフローをよくし、機会損失を防止できます。

さらに在庫の回転が迅速化すれば、継続的に高い利益を生み出していく仕組みをつくることが可能です。

3.リアルタイム性の高い監視

管理表を利用した在庫管理で起こる問題といえば、「データのリアルタイム性が低い」というものです。検品から管理表への反映、出荷から管理表への反映など、そこには多くのタイムラグが発生します。

営業の方の中には、管理表では「在庫あり」となっているから顧客に納期回答をしたものの、あとになって「実は在庫切れだった」という経験がある方もおられるでしょう。これは、データのリアルタイム性が低いことから起こる問題のひとつです。

在庫管理システムを導入してデータのリアルタイム性が向上すれば、信頼性の高いデータを常に提供できます。営業は在庫管理データをもとに安心して納期回答できますし、「管理表を見ても実際はわからない」といって、自ら在庫置き場に赴くこともないでしょう。

このように、データのリアルタイム性が向上すれば解決できる課題は多くあります。

4.在庫データを活用した分析

近年提供されている在庫管理システムの多くは、在庫管理機能と同時に分析機能をも提供しています。具体的には「ABC分析」や「ロジスティック回帰分析」など、在庫データをもとにさまざまな分析を行えます。

分析機能を活用すれば、自社商品の売れ筋や資金を明確にしたり、市場トレンドを把握したりすることなども可能で、在庫データから新たなビジネス価値を創出していけます。

在庫管理システムの比較ポイント3選!

在庫管理システムと一口にいっても、実際にはさまざまな製品が存在するので、どのような製品を選んだらよいのか悩んでしまう方も多いことでしょう。そこで以下では、自社に向いた在庫管理システムを選定する際に比較すべきポイントを解説します。

自社に合ったシステムのタイプか

最初のポイントは、どのようなシーンで在庫管理システムを利用するのか明確化することです。基本的には、先にご紹介した4つのタイプを参考にし、その中から自社のビジネスタイプや事業規模などに近いものを選ぶとよいでしょう。そうして大まかな方向性を絞ったあと、自社の機能要件と合致するか個々の製品と照らし合わせていくことで、効率的に製品選びを進められます。

自社に合った製品を選ぶためには、基本的なタイプや機能要件のほかに、使いやすさや連携できる機能なども重要です。自社が導入済みのツールまたは導入予定のツールと連携可能であれば、優先的にピックアップすることをおすすめします。

クラウド型かオンプレミス型か

導入すべき製品の大まかな方向性を絞るという意味では、クラウド型かオンプレミス型かという観点も大切です。

クラウド型の在庫管理システムを導入する場合、システムやデータはインターネット上で管理されることになります。したがって、リモートで在庫管理システムにアクセスしたい場合や、複数の倉庫や拠点の在庫データを一元管理したい場合は、クラウド型のほうが向いているでしょう。サーバーなどの高額な初期投資も必要ないので、安価で迅速に利用開始できるのも強みです。

オンプレミス型の場合は、サーバーやシステムを購入する必要があるため、初期投資が高額になりがちで、自社の管理運用負担も大きくなります。その分、自社の要件に基づいたカスタマイズがしやすいというメリットがあります。

セキュリティ面に関しては、オンプレミスならば自社で構築できますが、昨今ではクラウドサービスのセキュリティレベルも全体的に高くなっています。したがって、コストパフォーマンスなども含めて総合的に考えた場合、単純にどちらのセキュリティが上とも言い切れません。

アフターサービスの体制が整っているか

アフターサービスの充実度もチェックすべき重要なポイントです。特に、自社にIT人材が不足している場合、導入時やトラブル発生時などにベンダー企業のサポートが必要になる可能性は高いでしょう。したがって、製品選びの際には機能や性能だけでなく、アフターサービスの内容にも注意し、納品後のアドバイスやフォローなどに対応しているか確認することが重要です。

もしも外国製のツールが候補に入っている場合は、製品やマニュアル、サポート窓口などが日本語対応しているかも確認しましょう。場合によっては、サポート窓口の受付時間が日本時間に対応していないこともあります。

在庫管理システムを選ぶならクラウド型がおすすめ!

先ほど、製品選びのポイントのひとつとして「オンプレミスかクラウドか」を挙げました。先述した通り、オンプレミス型のシステムにもメリットはありますが、あえてどちらかを推すならば、クラウド型のシステムのほうがおすすめです。

以下では、クラウド型の在庫管理システムの概要やメリット、クラウド型が向いている企業の特徴について改めて詳しく解説します。

クラウド型在庫管理システムとは?

数年前まで在庫管理システムといえば、パッケージ製品を導入したPCやサーバーにインストールするか、システム制作会社に依頼して開発する、というのが一般的でした。しかし、現在の在庫管理市場の中心になりつつあるのは「クラウド型在庫管理システム」です。

クラウド型在庫管理システムとは、これまでインフラを整えたりシステム開発したりすることで導入していた在庫管理システムを、「サービスとして利用する」という仕組みです。つまり、企業の手元に必要なのはPCとネットワーク環境のみであり、Web上の在庫管理システムにアクセスすることで従来と変わらない在庫管理機能を利用できます。

クラウド型在庫管理システムのメリット

クラウド型在庫管理システムのメリットは、「迅速・低コストな導入」「システム運用の効率化」「他拠点での簡単な統合」です。

インフラ調達やシステム開発を行う必要がないことから、導入は非常に迅速かつ低コストです。初期費用は発生しますが、それも数万円という相場なので、システム開発に比べれば大幅に導入コストを削減できます。

そして、クラウド型在庫管理システムはベンダー側で稼働し、Webを介して提供されているので、ユーザー企業側でシステム運用を行う必要はありません。加えて、細かな設定が行えるという柔軟性も兼ね備えているので、運用業務を効率化しつつ、自社に最適な在庫管理システムを構築できます。

Webを介して利用するクラウド型在庫管理システムは、ネットワーク環境さえ整っていれば使う場所を選びません。つまり、離れた場所にある倉庫でもネットワーク環境さえ整えれば、本社とまったく同じ在庫管理システムにアクセスして管理を行えます。倉庫から本社に日報などを送信する必要がなく、管理者は倉庫や他拠点の在庫状況をリアルタイムに監視し、仕入れ・生産計画に取り入れることが可能です。

このようにクラウド型在庫管理システムは、従来の在庫管理システムとはまったく違ったメリットを提供しています。もちろん、在庫管理システムそもそものメリットも持っているので、導入価値は非常に高いといえます。

クラウド型在庫管理システムを導入すべき企業とは?

上記のメリットを踏まえたうえで、クラウド型在庫管理システムの導入が適している企業の特徴を挙げてみましょう。

  • コストを節約したい企業
    第一に挙げられるのは、在庫管理システムの導入・運用コストを抑えたい企業です。特にスタートアップ企業などの小規模事業者は、これに該当します。先述の通り、クラウド型ならばサーバーの構築やシステム開発などが不要で、システム自体のメンテナンスや更新などもベンダー企業が行ってくれます。これらによって節約できる経済的・人的コストは、小規模事業者にとって非常に大きなものです。

  • 在庫データをリアルタイムで一元管理したい企業
    在庫データをリアルタイムに一元管理したり、拠点間でデータを共有したりしたい企業にもクラウド型が適しています。クラウド型ならば、インターネットへの接続環境さえあればどこからでもアクセスできるので、本社から各倉庫の在庫状況を確認したり、営業担当者が営業先でスマートフォンから在庫状況を検索したりすることも可能です。

  • システムを段階的にカスタマイズしたい企業
    クラウド型には多くの場合、複数のプランやオプション的なサービスが用意されています。したがって、最初はお試しのような形で在庫管理システムを導入してみて、自社の経営状態やシステムの習熟度にあわせて徐々に機能を拡張していきたい、といった企業にもおすすめです。追加したあとで「やはりこのオプションはいらない」「下位プランで十分だ」となったとしても、すぐにまた変更できるのもクラウド型ならではの利点です。

【NetSuite】卸売業者や製造メーカー向け在庫管理システムの紹介

クラウド型の在庫管理システムとしておすすめなのが、卸売業者や製造メーカー向けに設計された「NetSuite」の統合型ソリューションです。NetSuiteの在庫管理システムは、在庫のライフサイクルを一貫して追跡管理し、在庫状況を可視化・最適化することに寄与します。

たとえば、NetSuiteの在庫管理システムは、異なる色・サイズ・スタイルなどの複雑な組み合わせによって構成される商品の入庫・販売状況も適切に管理できます。こうした細やかな管理方法の重要さは、特にアパレル関係の方なら深くご存知でしょう。

あるいは、過去の実績や季節変動に基づいて正確な販売予測を行うとともに、商品到着までの日数なども割り出し、最適なタイミングで商品を発注することが可能です。あらかじめ設定された基準より在庫量が少なくなったら、アラームで知らせる機能などもあるため、企業にとって避けたい「在庫切れ」のリスクを非常に小さくできます。

それ以外にも数々の機能によって、NetSuiteの在庫管理システムはユーザー企業の在庫管理を効率的に最適化します。NetSuiteの在庫管理システムを導入することで、在庫管理にかかる無駄なコストや労力を減らし、効果的に事業の収益性を改善可能です。

在庫管理システム導入のメリットとは? クラウド型で作業効率化を実現 01

[RELATED_POSTS]

まとめ

在庫管理システムを導入することで、企業は在庫状況を適切に管理・把握し、余剰在庫や欠品などのリスクを最小限にできます。在庫管理システムを選ぶ際には、クラウド型のツールを導入するのがおすすめです。クラウド型ならば、初期コストを抑えて簡単に導入でき、どこからでもリアルタイムに在庫データへのアクセスが可能です。

特に、卸売業者や製造業者でクラウド型の在庫管理システムを探している場合は、NetSuiteの在庫管理システムがおすすめです。ぜひ導入をご検討ください。

ビジネスを成功に導く在庫管理ソリューションの選び方

RECENT POST「DX/クラウドコンピューティング」の最新記事


DX/クラウドコンピューティング

レガシーシステムとは?2025年の崖との関係・問題点・脱却方法を紹介

DX/クラウドコンピューティング

クラウド移行のメリットは? 流れや成功のポイントも解説

DX/クラウドコンピューティング

製造業のデジタル化の現状! 導入の利点・問題点と具体例

DX/クラウドコンピューティング

仕入管理って何? プロセスや選ぶ方法を徹底解説!

在庫管理システム導入のメリットとは? クラウド型で作業効率化を実現
わかりやすいマンガ形式で解説!会計ソフトの選び方まるわかりガイド
ビジネスでの時間不足を解消する3つの方法

RECENT POST 最新記事

RANKING人気記事ランキング

New Call-to-action