低効率なバックオフィス業務の効率化5つのポイントとロボットによる業務プロセスの自動化

 2016.03.23  ひので監査法人 羽入 敏祐 氏

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ロボットによる業務プロセスの自動化(RPA)の世界

昨今、技術力の発展とともに、人工知能(AI)に対する注目が高まっています。

2016年3月にはGoogleの開発した人工知能が囲碁の世界チャンピオンに勝利するという衝撃的ニュースが飛び込むなど、技術進展がどこまでヒトの日常を侵食していくのかに恐怖すら感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そうしたショッキングなニュースの一方で、いざ毎日のビジネスの日常を振り返ってみたとき、AIはおろか、業務の自動化がすすんでいるかといえば、必ずしもそうではないように思います。

ヒトを支援するため、コンピュータが自ら意思決定を行い、業務処理を行う、確かに夢のような話ではありますが、それがある日突然、ヒトに取って代わられるほど、日常はシンプルではないものです。

しかし、AIまでの道のりはつながっており、それは、ここ日本においても一歩一歩確実に進んでいます。

今回は、AIまでの未来をつなぐべき技術として近年注目されつつある技術、Robot Process Automation(RPA)を取り上げてみたいと思います。

「RPA(ROBOT PROCESS AUTOMATION)」という言葉は、まだなじみが無いかもしれませんが、「ロボットによる業務プロセスの自動化」という言葉のとおりの意味です。

RPAは、既に定型化された社内業務プロセスをロボットに覚えこませるとともに、定期的な手続の実施、報告を所定のルーチンに従って実現するそんな技術です。

ロボットというとどうしても「プログラミング」を伴うのではないかというイメージが沸きがちですが、RPAでは、ノンプログラミングのプラットフォームを基礎に社内の業務プロセスに知見を有する人材が中心となって業務プロセスの自動化が実現可能という意味で、ユーザーフレンドリーな技術といえるでしょう。

毎日、ネットから所定の情報を定期的にチェック、リスト化し、これを上司に報告などといったルーチン作業はお手のもの、毎日、担当者が入力する新規取引先情報をロボットが検出し、反社の恐れがないかウェブでチェック、チェック結果を自動生成し、得意先管理者にレポート、取引開始の可否判断の情報提供を行なうなんてことも実現可能です。

このように、ひとつの事象の発生に連動した実施が求められるビジネスシーンでは、ヒトが複数の役割を何気なく行なっています。

そうした業務の一部あるいは時にはその全てを、ロボットが代理処理することで、労働生産性を劇的に向上させる具体的ソリューションであるがゆえに、今日注目され始めているのです。

会計ソフトから始まりRPAが必要とされるまでの背景

従前、中小企業の会計等の管理システムといえばスタンドアロン。システム間のデータ連携を前提としないシステム構成ゆえ、ヒトに経営情報のダブルチェック、修正を強いてきました。

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こうした問題を解消するため、できる限り多くの経営情報を統合・一括管理するべく、ERPが開発、一定規模以上の会社において広く浸透、今に至っています。

加えて、近年では、異なるシステムがAPI(Application Programming Interface)を開放し、相互に情報連携できる環境提供が進展し、情報共有に向けた環境は随分と整いつつあります。

しかしながら、時代時代のシステムの技術水準のなかで意思決定をせざるを得ない事業会社では、当時ベストと判断したシステムをつなぎ合わせて稼動させてきたケースも少なくないはずです。

企業の全ての業務プロセスをひとつのシステムで完結させることは技術的には問題ないことなのかもしれませんが、3年後すら時代を先読みするのが困難な今、従来のビジネスモデルを基礎に構築してきたシステム環境が、新たに取り組むビジネスモデルにフィットするとは限りません。

ひとつのシステムインフラに固執するよりもむしろ、今あるシステム環境をビジネスモデルあるいは機能を絞って使い分けるなど、経営判断に必要な情報をスピーディに収集する機能向上を目指すほうが現実的ソリューションと考えるべきなのかもしれません。(全てのシステムを全面的に見直したからといって、現状のシステムが果たしてきた機能を満たしてくれる保証は無いのですから)

その意味で、企業各社が置かれたシステム環境を変えることができない環境であっても、ヒトがパソコンの上で行なう作業である限りにおいて、ヒトに代わって異なるシステム間の情報処理をしてくれるRPAが注目に値するわけです。

業務のロボット化をどのように進めるべきか

とはいえ、いざ業務のロボット化を進めるにしても、実は、ヒトが行う処理には様々な非定型的処理を伴うケースが少なくないもの。

例えば、新規得意先へのアプローチがスタートしたとき、担当者は、(潜在)得意先の新規登録(住所・社名・代表者・連絡先・HPアドレスなど)が行なわれるとともに、当該得意先との取引の可否判断を目的として別途、反社チェック、与信チェックなどが行なわれます。

こうした業務には少なからずヒトによる情報入力あるいは入力結果に基づく調査・分析などが並行して行なわれています。その調査分析を行なうとの記載はあるものの、具体的には、何時・誰が、どのような手段で実施し、その結果をもってどのように判断しているのかといった具体的処理までのブレークダウンと定型・非定型の区分が必要となるなど一足飛びにロボット導入とはいかないこともあるでしょう。

その一方で、例えば、従業員の旅費交通費の経費チェックなど、申請ルートと申請金額の妥当性のチェックのようなシンプルながらも膨大かつ正確な処理が求められる作業には効果的です。

ロボットの進化も今後さらに期待され、時に仮想知的労働者(Digital Labor)とも言われているRPAが、日常のビジネスシーンで目にする機会は徐々に増えていくことが予想されます。

RPAの導入効果を高めるためには、既存プロセスの分析とその定型化といった事前準備が必要となりますが、ひとまずRPAに触れてみたいということであれば、派遣会社に業務を委託するかのごとく、委託業務を特定可能なシンプルな業務に少しずつ関与させ、順次その範囲を広げていくこともありでしょう。

過去に、これまで多くの企業が、社内業務の見える化を通じて、業務の定型化、そしてアウトソーシング会社への業務移管を行なってきたことが多かったように思いますが、人材供給に問題が無かった時代は確かに有力なソリューションであったことは間違いなく、アウトソーシングを通じて、業務水準の安定化とコスト管理のしやすさを手に入れることはできました。

しかし、昨今の人材不足は大きな課題となっており、そうした課題は人材派遣業界においても例外ではなく、いずれ人材供給量の低下とともに、これまでのようなメリットを共有できなくなる可能性があることも否定できません。

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低効率なバックオフィス業務の効率化5つのポイント

米国研究者の25年にわたる調査において、低効率なバックオフィス業務を高効率へと変貌させるためには、主に5つのポイントを挙げています。

  1. (Centralize)管理機能と予算の集約、
  2. (Standardize)業務プロセスの標準化、
  3. (Optimize)処理ミスと無駄の最適化、
  4. (Relocate)費用の再配置、
  5. (Technology enable)セルフサービスポータルを実現するような技術の活用

加えて、近年ではロボット導入を含む自動化の開発も加えられているようです。

2 に貢献してきた人材派遣ではありますが、得られた業務効率性をいっそう高めるうえで、テクノロジー導入は当然の流れとして受け入れられていくことでしょう。

RPAは、デジタル環境においてヒトに代わる業務遂行を現実のものとします。とりわけ、業務の反復性、正確性が求められるバックオフィス業務に対する親和性は高く、ロボットにリプレースできる業務の裾野は、徐々に確実に広がっていくことが予想されます。

過去に幾度と無く行われてきた「業務の見える化」活動は、既にその役割を果たしたかに思われるかもしれませんが、RPA導入を目的とする「見える化」活動は、既存プロセスに対する目線を大きく変えるだけでなく、プロセスの再定義後の業務効率化を劇的に向上させることになるでしょう。

ロボットゆえのリスク

RPAは、限られた人材を本来ヒトが果たすべき業務に集中させ、労働生産性を大きく改善する起爆剤として期待されるところではありますが、一方、自動化ゆえのリスク、その処理プロセスの設計そのものの正確性を定期的にチェックするようなモニタリング体制が極めて重要となる点には留意が必要です。

ルーチン業務を疲れ知らずで、かつ正確無比に処理し続ける点においてロボットは確かに優れているものの、そのロボットのコマンド自体に誤りがあっては元も子もありません。導入前の設計内容のチェックはもちろんですが、運用開始以降の、情報処理プロセス及びその動作環境ならびに入出力結果の定期的モニタリングが必須となります。

事業会社におけるモニタリング対象は、日常の営業取引のみならず、承認プロセスの妥当性、業務プロセスの稼動状況、ID・ライセンスの利用状況など多岐に渡りますが、RPAを通じた情報処理の高効率化が進むにつれて、チェック項目・チェック方法も大きく変貌を遂げていくことでしょう。

日常的なモニタリングは、既存プロセスの問題と改善の糸口を提供してくれる重要なプロセスです。優れたモニタリング体制があれば、その結果を更なる改善をもたらします。モニタリングを形式的に終わらせているプロセスではそうはいきません。

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まとめ

業務改善のための様々な理論・方法論が存在し、多くの企業で制度導入されてきましたが、RPAは、これまでその理論・方法論を真摯に取り組んできたのかを、労働生産性という成果指標でつまびらかにするのかもしれません。裏を返せば、とかく頭でっかちに陥りがちな方法論に成果を見出すためのマイルストーンとしてRPAが大きな役割を果たすことでしょうし、こうした技術を通じて組織運営見直しのあり方が根本的に変わり、その先にはヒトとロボットそしてAIと共存する働き方が見えてくるのではないでしょうか。

著者紹介

hanyu-samaひので監査法人 羽入 敏祐 氏

監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入所、上場企業等監査業務に従事。会計事務所にて会計・税務全般およびM&A関連各種業務事業会社では経営管理実務、IPO準備全般に従事。
監査・経営実務経験を踏まえたITインフラ提案力に強み

ひので監査法人について

ひので監査法人は、2009年5月 設立、大手監査法人の監査経験者と事業会社のマネジメント経験者から構成され、上場準備、中堅国内上場企業向けの効率的監査サービス、バックオフィス支援サービスの提供をしております。信頼される会計プロフェッショナルとしていかに成長し続けていくかを日々模索し、監査ならびにバックオフィス構築サービスの品質維持・向上に取り組んで参ります。

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