事業承継を考える中小企業のためのM&A概要

 2019.08.14  クラウドERP編集部

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中小企業の事業承継において、M&A(Mergers and Acquisitions)を利用するケースが増えています。経営者の高齢化、後継者の不在、後継の意思が無いなどの問題から中小企業の事業承継がスムーズに行われていないことが多く、その解決先として注目されているのがM&Aです。本稿では、中小企業のためのM&A概要と称し、M&Aの基礎についてご紹介します。

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M&Aとは?

M&Aは日本語で「合併と買収」という意味です。では、合併と買収は何がどう違うのでしょうか?

合併とは?

2つ以上の企業が1つに統合されることを合併といいます。ただし、合併には吸収合併と新設合併という、2つのパターンがあります。

<吸収合併>

A社がB社を吸収し、B社の資産を獲得した事業規模を大きくすること

<新設合併>

A社がB社を吸収した上で、その権利義務を新たに新設したC社に移転すること

新設合併ではA社とB社が合併した上で、新たにC社として生まれ変わるケースや、A社は存続し続けてB社がC社に生まれ変わるといったケースがあります。

買収とは?

ある企業が他社の株式買収し、経営権を握ることを買収といいます。合併と異なる点は、A社がB社を買収してもB社が存続するケースが多いことです。要するにB社はA社の子会社として経営していくことになります。

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ニュース等で「A社がB社を〇〇億円で買収」とあれば、B社が消失するのではなくA社の子会社化するという意味です。ただし、A社がB社の経営権を握っているため、買収後にB社と他の子会社が合併し、消失する可能性もあります。

ちなみに買収には敵対的M&Aと友好的M&Aの2種類があります。敵対的M&Aは、A社がB社の意思とは無関係に株式を買収し、経営権を握ることです。一方、友好的M&AはA社とB社が同意の上で株式を買収することを意味します。

近年、敵対的M&Aのニュースが世間をにぎわせたことから、M&Aに対してあまり良いイメージが無い中小企業経営者も多いかもしれません。

中小企業にとってのM&A

M&Aは今や、中小企業が事業承継を成功させる上で欠かせない選択肢になっています。現在、日本の中小企業は次のような事業承継問題を抱えており、多くの企業が将来的に廃業に追い込まれる可能性があります。

1.経営者の高齢化

1995年当時は47歳だった中小企業経営者の平均年齢も、現在では60代後半まで引きあがっています。経営者の高齢化は加速するばかりで、早急な事業承継計画が必要だと考えられています。中小企業経営者の平均引退年齢は70歳前後なので、今後5年以内に事業承継を行う必要性がある企業が多数存在します。

2.後継者の不在

中小企業のうち、事業承継をせずに廃業を決めている企業が半数存在します。その中には、適当な後継者が見つからない、子供がいない、子供に会社を継ぐ意思がないといった理由を挙げている経営者が多くなっています。ただし、廃業予定の中小企業の中には4割以上の企業が「事業継続は可能」だと考えています。

3.事業承継の準備不足

中小企業経営者を対象にしたアンケート調査では、どの世代においても半数以上が事業承継計画を立てていない状態です。後継者育成など事業承継にかかる準備期間を考慮すれば、経営者が60代に達したところから事業承継の準備を始める必要があるでしょう。

こうした背景から、近年では親族内承継の件数が低下し、親族外承継の件数が圧倒的に増えています。その中にはM&Aによって事業承継を行うケースも多く、今ではM&Aを1つの事業戦略と捉えている経営者も少なくありません。

中小企業がM&Aを利用するメリット

では、中小企業がM&Aを利用し事業承継を行うことで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

Merit1. 創業者利益の確保

株式を譲渡する中小企業のオーナーは、株式を譲渡することで多額の現金を手にすることができます。それを退職後の生活費や余裕資金に充てることができます。廃業の場合、会社の資産価値が低い状態でしか売却できなかったり、従業員への退職金によって現金が残せない可能性があり、税制の違いから廃業よりも株式譲渡の方が経営者の受取額が多くなる傾向があります。

自社株式をすべて譲渡するのではなく、10~30%程度手元に残す方法もあります。たとえば投資ファンドが買い手になり、オーナーが一部の株式を保有し続けたまま一緒に経営を続けるというケースです。ファンドの財務や資金管理のノウハウを活用した新体制で経営でき、場合によっては事業成長も狙えます。

Merit2. 個人保証の解除

中小企業では会社の借り入れに対して、経営者が個人保証を付けているケースがあります。M&Aでは会社の財産移転に伴い、個人保証が解除されるため経営者やその家族にとっても安心した生活が待っています。

Merit3. 役員として経営に携わる

株式を譲渡したあとも役員として譲渡企業に残り、事業の引継ぎや統合が軌道に乗るまで事業に携わることも可能です。中小企業の事業承継M&Aでは、何らかの立場で一定期間は譲渡企業に残ることが多く、M&A成立後に突然経営者がいなくなるケースはほとんどありません。

取引先や顧客がM&Aに不安を感じることも多いため、現経営者が譲渡企業に関わり続けることで、M&Aが成立したあともスムーズに事業を移行しやすくなります。

Merit4. 従業員の雇用の維持

事業承継でM&Aを利用するメリットとして、従業員の雇用を維持できることが大きいと考える経営者が多いようです。後継者不在などの理由で廃業すると、従業員は職を失い、再就職が難しい年代の社員や家族が不安を抱えます。さらに、取引先にも迷惑がかかり、地域経済にも影響を与えます。

M&Aの直後によって従業員の処遇がいきなり低下するケースは稀です。株式を譲受した企業から、せっかくM&Aをしたのに譲渡企業の従業員が処遇を不満に思い、大量に退職してしまうと意味がないためそうした事態は避けます。

人材配置や人事評価など、譲受企業には現場レベルが判別できないケースも多いため、譲渡企業の従業員を優遇することが通例です。

Merit5. 更なる事業成長

M&Aにおける譲渡企業は、事業の更なる成長を狙うことができます。M&Aで中小企業を買収するような企業は、それだけ財務が安定して事業規模の拡大などを目指しているため、そうした企業の参加に入ることで財務内容が強化されます。譲受企業との相乗効果により、事業のより一層の成長が期待できるでしょう。

M&Aの留意点

最後に、M&Aは相手がいて成立するものであり、譲受企業が見つからない可能性が考えられます。また、譲受企業が見つかったとしてもすべてが現経営者の思い通りに行かないことも多いでしょう。また、譲受企業との交渉や買収監査対応などには労力もかかり、心理的なストレスがあります。このように、M&Aにはさまざまな留意点もあるため、メリットの最大化を意識しつつM&Aの課題もしっかりと意識し、事業承継を目指しましょう。

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