長時間労働が改善されない理由と対策

 2020.02.12  経営者実践ポータル編集部

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2019年4月より「働き方改革関連法案」が施行され、大小さまざまな法案が数年にかけて適用されていく予定です。その中で大きな話題になったのが「長時間労働の上限規制」です。長時間労働とは1日8時間、週40時間以上の労働時間を指し、労基法によって上限は定められていたものの、長時間労働の上限時間を超えた労働であっても、具体的な罰則は存在せず、長時間労働は青天井という状況にありました。しかし「働き方改革関連法案」が施行され、長時間労働は以下のように具体的な上限を設けるようになりました。

  • 原則として時間外労働は月に45時間以内、年に360時間以内とする
  • 臨時的な特別な事情がある場合でも時間外労働は年に720時間以内、2〜6ヶ月間の平均で80時間以内、月に100時間未満とする
  • 原則の一ヶ月45時間を超えて時間外労働をさせることができるのは年間6回までとする

これらの上限を遵守せず、上限を超えた長時間労働を強いて起業には罰則が与えられることになり、企業名が総務省ホームページなどで公開される可能性もあります。ところが、「働き方改革関連法案」が施行されても実際に長時間労働が改善されていないというケースが少なくありません。その理由とは何でしょうか?対策と合わせて紹介します。

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長時間労働の実態

日本のビジネスパーソンはどれくらいの長時間労働で仕事をしているのか?まずは、経団連が発表している『2019 年労働時間等実態調査集計結果』から長時間労働の実態を整理していきます。

一般労働者と管理職の年間総実労働時間

2018年度の一般労働者の年間総実労働時間は製造業で1,998時間、非製造業で1,999時間とほとんど違いは見られません。管理監督者では、製造業が2,091時間、非製造業で20,27時間となっており、64時間の開きがあります。

これをOECD(経済協力開発機構)が発表している、世界各国における全就業者の平均年間実労働時間(2018年版)と比較してみます。最も労働時間が長いのはメキシコの2,148時間であり、お隣韓国は2,005時間、米国ではグッと下がり1,786時間となっています。

参照:グローバルノート『世界の労働時間 国別ランキング・推移(OECD)』(https://www.globalnote.jp/post-14269.html

これらの情報を総合すると、日本企業の一般労働者および管理監督者は米国の就業者平均の200時間以上労働していることになります。

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従業員数別平均年間総実労働時間

次に、従業員数別(事業規模別)で見た平均年間総実労働時間を確認します。一般労働者では300人未満が2,012時間、300人以上1,000人未満が2,084時間、1,000人以上5,000人未満が2,032時間、5,000人以上が1,983時間となっています。

つまり中小企業と大企業ほど年間の労働時間が少なく、中堅企業ほど労働時間が多い傾向にあります。

長時間労働が発生する原因

では、なぜ長時間労働が発生するのか?その原因を知り、長時間労働が改善されない理由について考えます。

マネジメント不足

長時間労働が発生する原因として最も多いのがマネジメント不足です。日本では古くから「残業をする人が偉い」という風潮が残っており、特に現代の管理監督者(50代、60代)でその意識が強くなります。そのため、多くの管理監督者は部下の長時間労働をマネジメントするどころか、評価する傾向にあることから、「長時間労働をした方が得」という認識が広まっているのです。

労働者不足

次に多い原因が、労働者不足です。日本経済では少子高齢化のあおりを受けて、すべての年代・業界・業種において一定の人材不足感が見られます。しかし業務量は増える一向であり、なかなか長時間労働の改善に繋がりません。

従業員の意識・取り組み不足

次に、会社として長時間労働対策に取り組んでいても、従業員自身の意識や取り組みに不足があることから改善されないケースもあります。やはり、頭のどこかで「残業する方が良い」という認識が植え付けられているのが原因ではないかと考えられます。

以上の原因から長時間労働が発生し、なかなか改善されない現状にあります。この状況を放置すると、従業員の心身的負担から来る怪我や病気、最悪の場合は過労死などに発展する可能性もあります。また、「働き方改革関連法案」が施行されたことで、過度な長時間労働は罰則の対象になることからコンプライアンスリスクも生まれます。以前ならば正義とされていた長時間労働も、今では排除すべきムダとして認識されつつあるのです。

長時間労働を改善するには?

それでは、長時間労働を改善するための具体的な対策について紹介します。今すぐ取り組めることから、システム面から改善が必要な場合もあるので、自社環境と照らし合わせながら最適な対策を見つけてください。

労働時間の把握

長時間労働改善のためにまず実施すべきことは、組織内の全従業員の労働時間を正確に把握することです。企業によって労働時間を把握していない場合が多く、改善策を打ち立てても場当たり的な施策になっていることが多いでしょう。労働時間を把握することは、具体的な改善策を立案し、効率よく改善していくための基準になります。

長時間労働改善へのコミット

長時間労働改善に取り組む前に、まずは経営者自身が組織全体に向けて改善の意思をコミットすることが大切です。長時間労働改善は特定の関係者だけでなく、組織全体で取り組むべき課題です。従業員全体にその意識を植えるためにも、経営者自らが企業をリードする必要があります。

残業罰則性の導入

欧州諸国では、会社規定の長時間労働を超えた労働をすると管理監督者の罰金になる制度を設けている企業もあります。海外ではワークライフバランスをト整えることが組織全体の労働生産性に繋がることから、残業を悪者扱いしているところが多いのです。こうした施策は効果を挙げる可能性が高いですが、場合によっては現場の首を絞めるだけになるので慎重な検討が必要です。

テレワークの実践

長時間労働改善に有効視されているのがテレワークの実践です。テレワークは、自宅やカフェなどオフィス以外の場所を勤務地として仕事をして、ICT(情報通信技術)を駆使して組織がコミュニケーションを取ります。テレワークでは通勤時間が丸ごと削減されたり、労働生産性が向上する効果が期待されます。

意識改革のための研修

長時間労働削減に向けて従業員の意識改革を実施するために、社内研修を積極的に実施するとよいでしょう。意識改革から始めることで、より効率的な対策に取り組むことができます。

いかがでしょうか?現在、長時間労働の改善がなかなかうまくいかず課題を感じているような企業では、ぜひこれらの対策を実施してみてください。長時間労働を削減すると企業にとっても従業員にとっても良いことが多いため、ぜひ取り組んでみましょう。

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