決算書でみるROAとROEの理解の仕方

 2020.02.18  経営者実践ポータル編集部

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経営者が自社の決算書から会社の状態を読み取るためには「ROA」と「ROE」の理解が欠かせません。言葉が似ていることから混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。決算書を読み解いたい、株投資を始めたいといった方にとっては必須知識なので、本記事でその意味を理解していただきたいと思います。

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ROAとは?

まずはROAから解説します。ROAとは「Return on Assets」の略称であり、その企業が「どれだけの資本を用いて、どれだけの利益を獲得したか」を表す指標です。

企業の収益性を総合的に表す指標であり、多くの企業の経営指標として活用されています。

ROAを日本語に訳すと「投資資本に対する利益」となります。ROAが高いということは、その企業が投資した資本に対して効率よく利益を回収していることを示します。従って、ROAの向上を経営目標と掲げている場合、少ない資本でより多くの利益を獲得することを目指していることと同義です。

日本ではもちろん、欧米諸国においてもROAは企業の収益性を判断するための重要事項です。そのため、海外企業や他社の収益性を確認したり、成長性を判断したりするのにも活用できます。

ROAを向上させるためには「経費・コストの削減」「利益率の改善」「総資産回転率の上昇」「売上高の増加」などが関係します。また、ROAはおおよその目安として取り扱われます。その企業の資産保有状況や業種、企業ごとに異なる要素で数値が変動することから、絶対的指標ではありません。

そのため、ROAが最重要指標になっても大企業などではROAだけでは経営状況が判断できないのが実情です。

ROAの計算方法

ROAの基本的な計算方法は

ROA(総資本経常利益率)=経常利益÷平均総資本×100(%)

となります。また、「売上高経常利益率×総資本回転率」で計算することも可能です。

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この計算方法は経常利益が分子になっているので総資本経常利益率が算出されます。対して、営業利益や当期純利益を分子として計算すると、「総資本営業利益率」や「総資本当期純利益率」を算出することが可能です。分析したい内容によって分子は使い分ければよいだけなので、決算書を作成する・見る際はそのROAが何を示しているのかに注意しなければいけません。

たとえば、中小企業が当方の事業における収益性を分析したい場合は、分子を営業利益にして総資本営業利益率を算出します。一方、株式投資など事業以外で得た収益性について確認したい場合は分子を当期純利益にして、総資本当期純利益率を算出します。総合的な収益性分析をしたい場合は、分子を経常利益にして総資本経常利益率を算出しましょう。

ROEとは?

次にROEについて解説します。ROEは「Return on Equity」の略称であり、当該企業の自己資本に対する当期純利益の割合を示す指標として使われます。要するに、「資本をどれほど効率的に運用して、利益を得たか」を表しています。

企業というのは自己資本(株主資本)と他人資本(負債)とを併用して事業活動を行っています。そこから利益を得ると、他人資本には利子を支払い、税金を差し引いて残った利益が株主に帰属することになります。これは、株主の持ち分である自己資本が、どれほどの利益を上げているかという投資収益率を表す指標です。

ROEが高いということは、株主に対して経営者が受託責任を勤勉かつ誠意を果たしていることを表します。欧米諸国では機関投資家となる株主が早期段階からROEを重視し、投資企業の経営効率を判断する重要材料としています。そのため、現在でも重要視される指標の1つです。

ROEを向上させる要素は「売上高当期純利益率」「総資本回転率」「財務レバレッジ」などの向上が必須となります。売上高当期純利益率を向上するには、売上高を維持しながら経費・コストを削減していくことが重要です。総資本回転率は販売戦略の変更によって売上高を増加させ、不要な財産を圧縮することで総資本を減少させることで向上します。財務レバレッジを向上するには、借入を増やすか資本を減少させるかのどちらかが必要です。ただし、いずれの施策もリスクがあるため、ROE向上を目指す際は慎重な検討が欠かせません。

日本企業のROE平均値は米国企業の半分ほどと言われています。米国企業は借入(特にベンチャーキャピタルによる)を大幅に増やし、資本を一気に増加させることで大きな売上高や利益を確保して、ROE向上を狙った投資家から信頼を得ようとする傾向が見られます。ただし、想定よりも利益が確保できなかった場合は返済が滞り、倒産するリスクが高くなるでしょう。

日本企業はこの逆を行き、借入に対して慎重です。基本的に貯蓄が推奨され、「無借金経営」を目指す企業も少なくありません。負債を増やしてリスクを取ってまで大きな利益を獲得しようとする企業が少数派なので、むしろそこにチャンスがあると考える経営者もいるでしょう。このように、ROEには国ごとの傾向が強く表れているため、日本企業のROE平均値は米国企業の半分程度であり、ローリスク・ローリターンを好む文化が根付いているのかもしれません。

ROEの計算方法

ROEの計算方法は

ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100(%)

です。「売上高当期純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ」で計算することもできます。

ROAとROEの違いまとめ

ROAとROEは言葉も計算方法も似ているので混同されがちです。それでは、ここでROAとROEの違いをまとめます。

ROA(Return on Assets)

企業の総資産に対する収益性を示し、分子を変えることで総資本経常利益率、総資本営業利益率、総資本当期純利益率といったように異なる指標を算出できる。

ROE(Return on Equity)

株主が出資した資金(株主資本・純資産)に対する収益性を示す指標であり、ROEが高いほど投資に積極的であり負債が多い場合がある。

 

ROAは自己資本化他人資本化にかかわらず、企業が保有するすべての資産を合計した総資産で計算されます。一方、ROEは株主から受託されている資金をどれほど効率的に運用しているかを示す指標なので、収益性を計算する対象となる資金の対象が違うことが分かります。

注意していただきたいのは、「ROEは高ければ良いわけではない」ことです。たとえば自己資本100億円の企業が当期純利益で30億円を出している場合、ROEは30%と非常に高い数値になります。しかし、総資産に目を向けると自己資本と他人資本を合わせて1,000億円の資本があることが分かりました。これはつまり、「900億円借金して30億円という当期純利益を出した」ことになります。この場合のROAは3%なので、とても低い数値です。

欧米諸国ではROEだけを見て投資銘柄を決定する投資家も多いですが、広い視野で決算書を見ないと後々足元を救われる結果になるかもしれません。本記事で解説したのは決裁書の基本であるROAとROEなので、決算書から深い情報を読み取りたい、正確な決算書を作成したい場合はこの他の指標にも目を向けて、幅広い知識を身につけましょう。

 

経験や勘からの脱却、データ主導の意思決定が企業成長には不可欠

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