与信管理とは?与信枠の算出方法についても解説

 2019.12.23  クラウドERP編集部

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消費者を相手にしたビジネスとは違い、企業と企業の間で取り交わされるビジネスには「債権」と「債務」が生まれます。債権とは商品・サービスの売り手がもつ権利であり、買い手に代金の支払いを要求できます。一方、債務とは買い手が代金を支払う責務であり、提供を受けた商品・サービスの対価として金銭を売り手に渡します。

厳密に言えば、消費者と企業との間にも債権と債務は生まれるのですが、商品・サービスの受け渡しと代金支払いのタイミングがほとんど同じなので、これらの権利・責務を意識せずにビジネスを行っています。

では、企業間ビジネスでなぜ債権と債務が重要かというと、それは取引の効率性を高めるためです。対消費者ビジネスとは違い、商品・サービスの購入数が多かったり、継続的だったりします。そのため、都度取引を精算しているようでは効率性が下がってしまい、清算ミスも起きやすくなります。

そこで一定期間に発生した取引をまとめて精算するというビジネスが一般的なので、互いに債権と債務を意識する必要があるのです。そして、こうした取引方法を「与信取引」と呼びます。

与信、つまり相手に信用を与えた上でビジネスを進めるということです。本稿では、与信取引に欠かせない「与信管理」について解説していきます。なぜ信用を管理しなければいけないのか?その理由と、与信枠の算出方法について学びましょう。

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与信管理とは?

あなたはある製造業を営んでいます。ここでは、自動車のエンジン部品を製造していると仮定しましょう。当たり前のことですが、会社が利益を生むためには作った製品を他社に売らなければいけません。その取引先をAと仮定します。

あなたの会社で作ったエンジン部品は、製造の時点では会社の資産です。そしてAにその製品を販売すると、資産は「売掛債権」に変化します。与信はこの時点から発生します。つまり、製品を販売してから代金を回収するまでの間を与信と呼び、そのサイクルを管理することが与信管理です。この他、「売掛管理」や「債権管理」と呼んだりもします。

与信管理にはもう1つ重要な意味があります。それが、取引先の信用を評価し、管理することです。与信取引では、製品を販売した際の代金を、将来的に回収できるかどうかは確実ではありません。取引先が代金を支払えないかもしれない「リスク」が常に存在します。

このリスクを抱えたままビジネスを遂行するのは危険なので、リスクを回避・軽減するための対策が必要です。その対策こそ与信管理です。

取引先にどれくらいの信用があるかを、取引先の経営状況や新規か継続か、その他諸々の事情を合わせて信用度を評価します。その上で、取引先の与信枠(与信限度額)を決めて、その枠内でビジネスを行います。万一取引先が代金を支払えなくなっても、最悪の事態は避けられるということです。

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与信管理ができないと、どんな問題が起こるのか?

ここまでの解説で、与信管理の重要性についてすでにご理解いただけていると思いますが、改めて整理します。与信管理ができないことで起こる最大の問題は、「リスクの回避・軽減ができない」ことです。つまり、商品・サービスの対価として本来受け取るべき代金が支払われない可能性が高くなります。

これは、「取引先は長年経営していて、経営者も誠実な人だから代金が支払われないなんてあり得ない」という話では済まされません。どんなに誠実な人でも、経営が傾けば代金として支払うべきお金が手元にない場合もあります。そうなれば、本来受け取るべき代金が支払われなくなってしいます。

仮に100万円の売上がある取引の代金を回収できなかったとします。会社の平均利益率が10%なら、100万円の売上を取り返すのに1,000万円の取引が必要になります。利益率が10%よりも低ければ、さらに多くの売上が必要です。書店が本を万引きされると、「同じ本を10冊売らないと元が取れない」のと同じ原理です。

このように、代金が支払われないことを「売掛金の焦げ付き」や「貸し倒れ」などと表現します。問題は利益を回収できないだけではありません。会社は商品・サービスを販売するだけでなく、他の会社から原材料や部品を仕入れたり、事業投資を行ったりします。

それらの費用はどこから捻出されるかというと、商品・サービスを提供した代金からです。つまり、売掛金が焦げ付くと仕入先に支払う代金が無くなる、事業投資ができなくなるなどのリスクも高くなります。そうして連鎖的に倒産が起きることもあるのです。

与信枠の決め方

一般的な与信枠の決め方は、「(月間販売予定額×売掛期間の月数)+(月間販売予定額×手形期間の月数)」で計算します。

たとえば、「月末締め翌月未振出、振出日起算90日後手形」という条件で取引を進めると仮定します。すると、回収サイクルは与信期間が2ヵ月間、手形期間が3ヵ月間の合計5ヵ月間になります。月間販売予定額を500万円だとすると、「(500万円×2ヵ月)+(500万円×3ヵ月)」で与信枠は2,500万円ということになります。これに、多少の変動を考慮して3,000万円までの間で与信枠を設定するのが一般的です。

次に決めることは、「与信枠の安全範囲」です。これは、会社の財務状況や取引先に対するシェアなどに応じて設定します。会社の体力を超えて取引を行うのはとても危険であり、販売シェアを取り過ぎると徹底しにくいケースもあります。そのため、与信枠ルールによって取引先のランクごとに、与信枠や売込みシェアの目安を決めておくのが一般的です。

ランク

倒産確率

与信限度額

売込限度額

A

0.05%

5,000万円

取引先の仕入債務の30%

B

0.25%

2,000万円

取引先の仕入債務の20%

C

0.90%

1,000万円

取引先の仕入債務の15%

D

1.50%

500万円

取引先の仕入債務の10%

E

2.50%

200万円

取引先の仕入債務の5%

F

6.00%

10万円

取引先の仕入債務の0%

ただし、会社が定める安全範囲内にあるからといって、取引に即していない与信枠を設定するのも危険です。取引先に対する売上が2倍3倍になっても、与信枠が超過しないため変化に気づかない可能性があります。売上が増加している原因には、取引先が撤退を開始している可能性も考えられますので、危険な状況下で売掛債権を増やさないために、必要な与信枠を常に意識して設定しましょう。

与信管理をシンプルにするにはシステムが必要

企業間取引において与信管理はとっても大切ですし、欠かせない業務の1つです。

まだスタートアップの頃には、ある程度相手先のビジネスの状態を把握できていたはずですが、事業が成長するにつれ複数の企業との取引が発生してきます。そのためには企業においてルールは必要不可欠となります。また、このルールを適用するためのシステムが必要になります。与信管理や購買管理をシンプルにシステムで置き換えることでビジネスが成長しても煩雑さを伴わずにスケールすることが可能になるのです。ある程度のビジネス規模になった場合には、与信管理や購買管理をシステム化してみてはいかがでしょうか。

経験や勘からの脱却、データ主導の意思決定が企業成長には不可欠

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