プロキュアメントとは?その位置づけとポイント

 2018.05.16  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

近頃、調達部門において「プロキュアメント」という言葉をよく耳にするようになりました。この言葉を聞いてeプロキュアメントをイメージする方が多いのではないでしょうか?eプロキュアメントとは、企業間で資材や部品を調達するために用いるアプリケーションのことです。「e」やEコマースと同様に「電子的な」という意味があります。

eプロキュアメントは売り手(サプライヤ)と買い手(バイヤ)、さらにそれに仲介する取引所の3者で成り立っているシステムです。承認、商品、数量、価格、納期などの調整といった発注業務を特定のルールに基づいて自動化するというものです。

ただし今回ご紹介するのはこのeプロキュアメントではなく、調達そのものを指すプロキュアメントについてです。「プロキュアメント=調達」と捉えて問題ないでしょう。

プロキュアメントの位置付けとポイント、そこからビジネスの成功へと繋げる方法についてご紹介します。

プロキュアメントの仕事とは?

プロキュアメントは主に製造業でのイメージが強い業種かと思います。原材料や部品を調達したり、サプライヤの工場を監査したりと仕入に関わる業務全般を行っているというのが一般的な認識でしょう。

しかしながら、プロキュアメントという仕事は製造業でなくともどんな業界にも存在します。たとえば小売業。販売するための商品を買い付けるのはプロキュアメントの仕事であり、いかに安く買って高く売るかがビジネスの基本になります。建設業などにも資材調達はありますし、医療機関でも医薬品や医療機器など様々なものを調達することでビジネスが成り立っています。

つまりプロキュアメントとは多くの業界にとって「ビジネスの起点になる仕事」ということです。ではプロキュアメントの仕事内容とはどういったものでしょうか?

仕入先のピックアップおよび選定

製造業や建設業など特定の仕入れ先から資材を調達することが多い会社では、仕入先の選定が非常に重要です。たとえば資材の品質も高く生産能力も高い仕入先だとしても、生産に関する問題が頻繁に起きる環境では自社業務にも影響を与える可能性があります。プロキュアメントは仕入先を選定するにあたって、工場監査などを行い十分な生産能力と信頼性があるかを判断し仕入先を決定します。

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②適切なタイミングで資材を調達する

プロキュアメントは時に「購買部門」と表現されることがあります。しかし、プロキュアメントと購買には明確な違いがあるのでこれを理解しておくことも大切です。購買の意味は「必要なものを買い付ける」ことです。そこに現場に対する供給の概念はありません。対してプロキュアメントは「必要なものを必要なタイミングで要求者にとどける」という意味があります。つまり資材を買い付けるだけでなく、適切なタイミングで資材を現場に供給するという役割もあるのです。なのでプロキュアメントは生産計画を十分に理解した上で、どのタイミングでどれくらいの資材が必要かを見極めることが大切です。

③仕入先の管理

サプライチェーンマネジメント(供給連鎖)が重要視されている現代において、プロキュアメントの仕入先管理は欠かせません。何を管理するかというと、仕入先の生産能力を管理して適切なタイミングで自社に資材が届くようサポートするのです。そのために自社の生産計画を仕入先と共有することも一つの手段です。いきなりの発注では仕入先も迅速に対応することは難しいので、生産計画を共有するだけで見込み生産によって迅速な対応が可能です。もちろん、生産計画も正確なものでないと仕入先からの信頼を失ってしまう可能性があるため共有は慎重に行う必要があります。

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知っておきたい生産方式の違い

プロキュアメントについてより深く知っていただくために、ここで4つの生産方式についてご紹介します。

①見込み生産

見込み生産は市場のニーズを予測して大量生産によって製品を市場に投入する生産方式です。一般消費者向け商品のほとんどは見込み生産であり、「これくらい売れるだろう」という予測に基づいて生産されています。ただし、BtoB製品でも見込み生産は行われます。過去の取引から需要を予測し、見込み生産を取り入れることで資材供給を迅速に行い取引先からの信頼を厚くするという生産方式です。

②繰り返し受注生産

発注側の仕様設計に応じ、継続して大量の製品を生産していくのが繰り返し受注生産です。たとえば自動車部品は一つひとつ仕様が異なりますが、それらは大量生産で無くてはなりません。そのため発注側はサプライヤに対して仕様設計を渡し、サプライヤはそれに応じて製品を生産します。仕様面においては発注側の要望が重要なので、古くから取引のあるサプライヤに依頼する場合が多いでしょう。

③受注組み立て生産

Dell社をはじめとしたハードウェアメーカーに多い生産方式です。ベースとなる製品に自由にオプションを加えて生産を依頼することで、サブオーダー的な製品を購入できます。完成品となる前の中間品を在庫として管理して、発注側の要望に応じて生産することで生産時間を短縮できる効果があります。

④個別受注生産

発注側の仕様設計に対して個別に生産する方式です。繰り返し受注生産と違って一度の生産になることも多く、情報システムや工場の機械設備が主に該当します。他の生産方式に比べて期間が長くなる傾向があるため調達のタイミングが重要であり、プロキュアメントの必要性が強く問われる生産方式です。

サプライチェーンマネジメントへの取り組み

プロキュアメントが特に意識すべきことがサプライチェーンマネジメント(SCM)への取り組みです。最近ではSCMに取り組む企業も増えましたが、まだまだ浸透し切っていないように感じます。

参考記事:サプライチェーンとは?5つのポイントで理解する物流の話

SCMとは仕入先から最終消費者に製品が届くまでのプロセスを一つの流れと捉えて、各プロセスを最適化することで素早く高品質な製品を届けるという目的があります。たとえばPOSの商品販売データや営業の販売および受注実績にもとづき需要を予測し、発注・生産・販売・出荷・物流といったあらゆる経営戦略を最適化します。

プロキュアメントはその中でも特に重要な仕入れを管理する部門です。仕入を適切なタイミングで行い、資材をスムーズに次工程へと供給する、SCMの起点として迅速かつ正確な仕事が求められるでしょう。

さらに仕入れの適正数量を見極めて無駄なコストを発生させないというのもプロキュアメントの大切な仕事です。プロキュアメントがどういった仕入れを行うかによって、SCMの成否が決まると言っても過言ではないでしょう。

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プロキュアメントの最適化を目指そう

プロキュアメントを最適化してビジネスの価値を高めるためには、スムーズな情報の流れを作ることが大切です。小売りや営業など販売の窓口からのフィードバックを吸い上げたり、生産計画を供給したりと情報のやり取りが成否を分けるでしょう。そこでERPの導入がおすすめです。ERPはプロキュアメントを含め、生産や販売、営業など社内部門のすべての情報共有を促進します。プロキュアメントがその日の営業実績を確認するといったスピーディな情報共有が可能になるので、正確な仕入れが可能になりプロキュアメントが最適化され、ひいてはSCMが成功します。

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