なぜERPは“ベストプラクティス”と言われているのか

 2017.01.16  クラウドERP編集部

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「ある結果を得る上で最も効率的/効果的な手法やプロセス」を指す“ベストプラクティス”は、数年前までERP(Enterprise Resource Planning)の代名詞として頻繁に使用された言葉でした。

しかし近年、「ERP=ベストプラクティス」という文言を見聞きすることが極端に少なくなったように思います。

その背景にはベストプラクティスという言葉に対する認識、そして各企業のERPに対するニーズの変化が存在するのです。

今回は、ERPがなぜベストプラクティスと呼ばれていたのかを解説すると共に、ERPのトレンドについて紹介していきます。

ベストプラクティスの集合体と言われたERP

1990年代後期から2000年代初期にかけ、国内のおいて急速にERP導入が拡大した時期があります。

当時人気だったのはSAPやOracleといった大企業向けの海外製品であり、ERPベンダーはこぞって「ベストプクティスの集合体だ」と大々的に宣伝していました。

こうした海外製品は、欧米諸国の先進企業で導入され経営資源の有効的な活用や、生産性の著しい向上などに貢献したという事実から、「ERPを導入することで先進企業のベストプラクティスが手に入る」と言われていたのです。

また、当時日本では不況の煽りを受けていたことから、多くの企業がこぞってERP導入による“ベストプラクティスの確立”を求めました、

しかし、いざ蓋を開けてみるとベストプラクティスどころか、企業がそれまで積み上げてきたものを崩してしまったというケースが発生したのです。

ベストプラクティスにより”信頼性”を失った中堅製造業B社

とある中堅製造業B社では、ERPによるベストプラクティスを導入したことで生産性/収益性/コストダウンといった部分を大きく改善できたものの、企業にとって最も大切な“信頼性”を失ってしまったという事例があります。

海外企業との取引が増加したことに伴い、既存システム環境をERPとして刷新しようと考えた同社が目を付けたのが、ERPのベストプラクティスという言葉です。

先進的な業務プロセスを最大限に取り入れるという名目のもと、既存業務を大幅にシステムに合わせるという導入形態を取りました。

導入後は経営層から現場を含め、ERPが持つベストプラクティスに衝撃を受け、その画期的な生産手法や調達管理などの業務プロセスに目を見張りました。

しかし数日後には早くも、取引先や代理店、さらには自社営業部門からクレームが相次いだのです。

クレーム内容の中心は納期に関するものであり、特に付き合いの古い顧客ばかりから柔軟性を失ったB社の納品に対して次々と不満が漏れ出しました。

中には「これまで通りの対応ができないのであれば、御社との契約を全面的に見直す」と、最後通牒を突き付けてきた企業もありました。

成功への道:SuiteSuccess Starterのベストプラクティス
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こうした事態を受けB社が内部調査を行ったところ、ERP導入以前は営業担当者が顧客の状況を把握した上で優先的な納品を行ったり、事前に生産手配を行い在庫を積み増しをしたりと、非常に柔軟な対応をとっていたことが判明しました。

つまりB社では、ERP及びベストプラクティスの導入により、それまでの商習慣をリセットし”受注データにもとづき全ての顧客を対等に扱う”という考え方が適用されてしまったのです。

出典:ITmedia「毒にも薬にもなるERPの“ベストプラクティス”

データシート:NetSuiteカタログ NetSuiteの製品・サービス・事例をご説明

ベストプラクティスは必ずしも“ベスト”ではない

B社の事例のように、先進企業や業界のベストプラクティスが、自社にとって必ずしもベストとは言えません。

その理由は他ならず、1人1人の人間に個性があるように、企業においても1社1社独自の商習慣や特徴を持ち合わせているということです。

つまり成功事例を鵜呑みにし、ベストプラクティスを求めてERPを導入してしまうと、逆に破壊的なシステム環境を生んでしまう可能性があるのです。

B社の事例ではその後、各顧客に対する丁重なお詫びと迅速な対処を行ったことで関係修復に努めることができましたが、もしも自社でこのようなトラブルが発生したとき、事態を挽回できる“保証はどこにもありません。”

だからこそ、ベストプラクティスに対する考え方を改め、慎重なERP導入を行っていく必要性があります。

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現在におけるERPのトレンドとは?

ベストプラクティスという言葉が生みだすERP導入失敗を受け、“業界のベストプラクティス”として製品販売を行うERPベンダーはかなり減少しています。

また、企業に関してもベストプラクティスではなく、”自社にパーソナライズされたシステム環境”へのニーズが高まっていることから、ERPのトレンドが大きく変化してるのがERP市場を取りまく現状になります。

つまり、他社のベストプラクティスを取り入れるのではなく、“独自のベストプラクティスを生み出そう”という動きが活発化しているのです。

そこで多くの企業がERPに求めていることが、低コストかつ迅速な導入と、柔軟性の高いシステム環境を導入できるということです。

ERP導入は従来、数千万~数億の導入コストがかかるのが一般的でしたが、多額の導入コストでは敷居が高いという問題と、大きなリスクが伴います。

そして、急速な企業成長や課題解決に合わせてERP導入を検討する企業が増加しているのです。

また、柔軟性の高いシステム環境を導入できれば、自社独自のベストプラクティスを生み出すことも容易になります。

こうしたニーズの拡大により、多くの企業に選ばれているのがクラウドERPです。

ERPを“サービスとして”導入するクラウドERP

クラウドERPとは、従来専用ハードウェアを設置しパッケージソフトウェアをインストールすることで構築していたERPを、“Webベースでサービスとして提供するERP製品”を指します。

企業は複雑なインフラを整えることなく、PCとインターネット環境のみでERPを導入出来るので、導入期間を劇的に短縮できます。また、インフラ調達が不要なので導入コストを大幅に抑えることができます。

こうした特徴から中小企業での導入が拡大しているクラウドERPですが、柔軟性の高いシステム環境に関しては、製品によって提供の有無が異なるようです。

NetSuite(ネットスイート)”が提供する柔軟性の高いシステム環境

No.1クラウドERPとして世界160ヵ国、30,000社以上に選ばれているNetSuite(ネットスイート)では、独自の開発プラットフォームを提供することで柔軟性の高いシステム環境を実現します。

企業はクラウドERPとしてパッケージ化された統合システムを導入すると同時に、アプリケーション開発や管理コードのカスタマイズなどが可能なため、既存業務プロセスにマッチしたシステム環境を構築できるのです。

最終的には、“自社独自のベストプラクティス”を生み出し、企業としての商習慣などを崩すことなくERPを導入することができます。

NetSuiteは全ての企業に対し、クラウドERP特有のメリットを提供すると共に、柔軟性の高いシステム環境を支援する先進的ソリューションなのです。

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まとめ

結論を述べると、ベストプラクティスとは企業毎に存在するものであり、それを生み出すソリューションこそERPなのではないかと思います。

また、ベストプラクティスは組織全体で共有することも非常に大切なので、拠点間での情報資源共有を可能とするERPはやはり有効的なソリューションです。

経営資源を可視化し組織全体の業務効率化を実現するために、ベストプラクティスを“導入する”ではなく“生み出す”クラウドERPを、並びにNetSuiteをぜひご検討ください。

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