製造業におけるDX推進のポイントとは? メリットや事例を用いて紹介

 2022.07.27  2022.07.29

グローバル標準のクラウドERP

近年、国内におけるさまざまな分野で、DXの推進が重要な経営課題となっています。なかでもその実現が急務となっているのが製造業界です。本記事では、製造分野でDXが注目される背景や課題について解説するとともに、具体的な推進ステップや企業事例をご紹介します。

製造業DXが注目されている背景

DXとは「Digital transformation」の略称で、「デジタル技術の積極的な活用による変革」を意味する概念です。企業経営の領域では、IoTやAI、クラウドコンピューティングなどのデジタル技術を活用し、経営基盤やビジネスモデルそのものに変革をもたらすことを意味します。近年、多くの企業がDXの推進を重要課題に掲げており、なかでもその実現が急務となっているのが製造業界です。

日本は資源に乏しく、エネルギー自給率が低い国でありながら、工業原料や燃料資源などを輸入し、それらを製品化して輸出する「製造」と「貿易」によって経済成長を遂げた国です。製造と貿易を基幹産業とすることから「ものづくり大国」や「輸出大国」とも呼ばれ、1968年から42年間もの間、世界第2位のGDP規模を保っていました。ところが、2010年になると国内のGDPは中国を下回り、2011年には国内の貿易収支が48年ぶりに赤字(※1)となります。

さらに2020年に世界規模で流行した新型コロナウイルス感染症の影響から、原材料価格の高騰や半導体不足、輸出量の減少といった大きな打撃を受け、ものづくり分野の成長と発展に減速の兆しが見え始めます。このような社会的背景も相まって、国内の製造分野は市場そのものが成熟・衰退期を迎えつつあるため、ものづくり分野に携わる企業ではDXの実現が焦眉の急を要する経営課題となっているのです。

 

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製造業DXの課題

DXの推進が喫緊の経営課題となっている製造分野ですが、その実現にはさまざまな障壁が立ちはだかっています。なかでも深刻な課題となっているのが以下の4つです。

  • 人材の不足
  • 技術継承
  • 変動する市場における優位性
  • 設備やシステムの老朽化

人材の不足

日本の総人口は2008年の1億2,808万人(※2)をピークに下降の一途を辿っており、さらに2021年9月に総務省が発表したデータでは、総人口に占める高齢者の割合は29.1%(※3)と世界で最も高い水準となっているのが実情です。こうした少子高齢化の影響から、国内のさまざまな産業で人材不足が深刻化しています。「2020年版ものづくり白書」によると、製造業に携わる中小企業の42.2%(※4)が「人手不足」を深刻な経営課題に挙げています。

技術継承

製造分野における少子高齢化の影響は、人材不足の深刻化だけではありません。生産年齢人口の減少とともに就業者の高齢化が加速し、若年者の入職者が減少傾向にある点も無視できない課題です。若年者の入職者数が減少しつつあるため、熟練工のもつ深い知識や技術の継承が困難になりつつあります。製造分野の業務は高度な知見が求められるため、いかにしてベテランのナレッジを継承していくかが重要な課題です。

変動する市場における優位性

DXの本質的な目的はデジタルソリューションの導入それ自体ではなく、デジタル技術の活用によって経営体制そのものに変革をもたらし、市場の競争優位性を確立することにあります。現代の企業経営では環境問題や社会問題への取り組みが重要視されるため、利益の追求のみならず、いかにして地域社会の発展に貢献するかが重要な課題です。そのため、製造分野に携わる企業が市場の競争優位性を確立するためには、ESGやSDGsへの取り組みが不可欠となります。

設備やシステムの老朽化

経済産業省は2018年に公表した「DXレポート(※5)」のなかで、企業がレガシーシステムを抱え続けるリスクについて言及しており、現状のままでは2025年以降に最大で年間12兆円規模の経済的損失が生じる可能性があると指摘しました。DXを実現するためにはIoTやAIといった技術革新の活用が不可欠であり、人材不足や技術継承などの課題を解決するためにも、デジタル技術と生産施設が融合したスマートファクトリーの構築が求められています。

製造業DXの推進のステップ

DXを推進する際は正しい手順に則って、段階的にプロセスを踏破していかなくてはなりません。具体的には「ビジョンの提示」に始まり、「人材の確保」と「業務の効率化」、そして「製品、サービスの創出」というステップが必要となります。

ビジョンの提示

DXは個人の力で実現し得るものではなく、組織改革を推進していくためには全社横断的な協力体制が不可欠です。したがって、まずは自社の使命や存在意義に基づき、DXへのビジョンを明確化しなくてはなりません。そして、経営層が明確な理念を提示し、組織全体が同じ方向に向かって変革を推進する企業文化を醸成する必要があります。

人材の確保

DXを推進していくためには、デジタル技術に精通するのはもちろん、マネジメントやマーケティングの領域に関して高度な知見をもつ人材を確保しなくてはなりません。優れた人材を採用するだけではなく、既存の従業員をDX人材へ昇華する教育制度の確立や、専門的な人材をアウトソーシングする施策が求められます。

業務の効率化

DXは組織の中長期的な成長・発展を目的とする戦略ですが、短期的な視点に基づく業務の効率化も欠かせない施策です。既存の業務プロセスを変革する際は相応のリスクを孕んでいるため、部門やグループなどの小規模から段階的に進めるとともに、PDCAサイクルを回し続ける継続的な検証と改善が必要となります。

製品、サービスの創出

DXを推進する目的のひとつは、デジタル技術の活用によって競合他社との差別化を図り、自社独自の付加価値を創出することです。そのためには、潜在需要や消費者インサイトを効率的に発掘する必要があるため、事業活動を通じて収集・蓄積されたデータを活用し、勘や経験などの曖昧な要素に依存しないデータドリブンな経営体制の構築が求められます。

製造業DXのメリット

冒頭で述べたように、日本の製造業界は市場の発展に減速の兆しが見え始めており、国内全体における生産性が低下していく傾向にあります。事実、「公益財団法人 日本生産性本部」の調査によると、日本の労働者一人当たりの労働生産性はOECD加盟38カ国中28位(※6)と、主要先進国のなかで最下位となっているのが実情です。製造分野に最先端のデジタル技術を活用できれば、製造ラインの省人化や業務プロセスの自動化につながり、生産性の向上、人件費の削減、属人化の防止といった成果の創出に寄与します。

製造業DX化の事例

製造分野におけるDX化の代表的な事例として挙げられるのが、「濱田重工株式会社(以下、濱田重工)」と「株式会社タツノ(以下、タツノ)」の2社です。たとえば、濱田重工では変化の加速する現代市場のなかで競争優位性を確立するべく、デジタル活用による企業成長を目標として掲げています。そして、Oracle社のクラウドERPを導入することで基幹業務を統合的に管理し、全社横断的な情報共有と部門を横断した、全体最適を目指した業務連携を実現しています。

タツノも濱田重工と同じくOracle社のクラウドERPを活用し、経営体制の抜本的な変革を推進している企業です。同社では既存システムの老朽化やサイロ化も課題となっており、ニューノーマル時代に即したシステム環境の構築が求められていました。そこでERPをクラウド環境に構築することで既存システムのレガシー化から脱却し、データドリブンな経営体制の構築に成功したのです。さらにカーボンニュートラルや土壌環境保全への取り組みを推進し、ESGに貢献する企業として今なお成長を続けています。

まとめ

DXとは、「デジタル技術の活用による変革」を指す概念であり、製造分野における最も重要な経営課題のひとつです。かつて「ものづくり大国」と呼ばれた日本ですが、現代は市場の成熟化が進み、製造分野の成長に減速の兆しが見え始めています。グローバル化が加速する現代市場のなかで国内企業が勝ち残っていくためには、デジタル技術の活用による経営改革が不可欠です。

そして、DXを実現するためにはデジタルソリューションを導入するだけではなく、いかにしてその技術を活用して経営体制を変革していくかが重要です。そのためには、デジタル技術の活用によってDXを推進する企業の事例から本質を学ぶ必要があります。以下の資料は、DX推進企業の取り組み事例を学べるホワイトペーパーとなっていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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