成長企業に必須!成長性分析の”いろは”

 2019.04.15  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

継続的に成長しているあの企業は、一体何をしているのか?と、誰もが一度は気になったことがある疑問です。しかし、外部から見て「成長している」と感じるその企業も、株式などを公開していなければ、実は本当に成長しているかどうかは、その会社の経営者だけが知る事実です。

これは、自分に置き換えて考えることもできます。売上高は順調に伸びているし、我が社も成長企業の仲間入りだ、と喜んでいても、実際にその成長は停滞しているかもしれません。本稿では、成長企業が行っている「成長性分析」の“いろは”について解説しています。

我が社は本当に成長しているのだろうか?と疑問を持った方は、この機会に成長性分析を実施してみましょう。

成長性分析とは?

「成長性分析」とは文字通り、会社の業績がどれくらい成長しているのか、利益がどれくらい伸びているのかなどを判断するための分析手法です。

会社の成長性は売上高や利益率を知れば簡単に把握できる、と思われがちです。しかし、実際は設備投資や販管費の変動、人件費増加などさまざまな項目が成長性に関わってくるため、必ずしも売上高や利益率だけでは会社が成長しているかどうかは把握できません。

そして、「成長性は高ければ高いほど良い」わけではありません。たとえば、前年比200%という急成長を遂げた中小企業では、急激な売上高増加に伴って借入金が増加し、資金面で安定性が低下するというケースがよくあります。また、売掛金の回収や棚卸資産の管理が追い付かなくなり、資金管理・運用面でも問題が発生しがちです。

人材育成の面では、組織規模の急な拡大により、新入社員や管理職に対する教育が間に合わなかったり、そもそも体制が整っていなかったり、最終的に顧客満足度が低下するような問題も発生します。そのため「成長性は高ければ高いほど良い」わけではないのです。

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成長性分析のメリット

会社の成長性を知ることのメリットは、その結果から将来的な経営安定性や市場拡大性など、成長の伸びしろを判断できることです。過去数年間のデータと現在の売上高・利益など様々なデータを比較し、成長性と成長するにいたった要因を分析し、今後どういった対策を取ればさらなる事業拡大や利益向上に繋がるのかの見通しを立てることができます。

売上高が伸びているからといって、それに伴うコストが発生していては最終的に利益として手元に残る資本は少なくなります。こうした、資金運用面でのバランスを保つためにも、成長性分析を実施してさまざまな指標から、会社の成長性について知ることが大切です。

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成長性分析のための10個の指標

成長性分析を実施するにあたって大切なことは、単一指標だけで成長性を判断しないことです。たとえば、売上高がアップしたからといって利益までアップしているとは限りません。利益がアップしたからといって、市場シェアまでアップしているとは限りません。ここでは成長性分析のために用いる10個の指標とその計算方式を紹介しますので、必ず複数の指標を用いて成長性分析を実施しましょう。

1.売上高増加率

成長性分析の基本は、前年に対していくら売上高が伸びたかという指標です。今年の売上高が前年よりもアップしていれば「成長」、マイナスになっていれば「衰退」を意味します。ただし、売上高増加率は1年分のデータで判断するのではなく、数年単位での推移を把握することと、市場規模情報など外部データと擦り合わせて成長性を判断することが大切です。

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(当期売上高-前期売上高)÷前期売上高×100

2.経常利益増加率

経常利益とは、営業利益に営業外収益を加えて、そこから営業外費用を差し引いた後の利益のことです。会社の正常な収益力を示します。つまり売上高に加えて経常利益が増加していれば、会社の利益は上昇傾向にあることを意味します。

(労基経常利益-前期経常利益)÷前期経常利益×100

3.営業利益増加率

営業利益とは、会社の本業である営業活動で生み出した利益のことです。営業利益の増加率を算出することで、会社が本業によってどれくらいの利益が得られたかを判断できます。

(当期営業利益-前期営業利益)÷前期営業利益×100

4.総資本増加率

総資本が前年に比べてどれくらい増加したかを把握するための指標です。会社としては継続的に総資本が増えていくことが望ましい状態となります。ただし、総資本には「資本」と「負債」の両方が合わさっているので、負債の増加が影響して高い指標になっている可能性もあります。そのため、基本的には純資本増加率と併用して成長性を判断します。

(今期総資本-前期総資本)÷前期の総資本×100

5.純資本増加率

純資本とは、企業が持つ総資本から負債を差し引いて残った資本を指します。前述のように、総資本は資本と負債を合計したものなので、そこから負債を差し引いた純資本の値を合わせて成長性を確認します。純資本は「自己資本」とも呼ばれます。

(当期末純資本残高-前期末純資本残高)÷前期末自己資本残高×100

6.従業員増加率

従業員数の増減で成長性を判断するための指標が従業員増加率です。会社の売上高が増加するということは、事業規模が大きくなっていることを意味しているため、それに伴い従業員数の拡大が必要になります。一方で、設備投資に注力することで人員削減を図っている場合もありますので、従業員増加率だけでは成長性は判断できません。

(当期従業員数-前期従業員数)÷前期従業員数×100

7.一株あたりの当期純利益

会社の、一株あたりの利益額を示す指標を「一株当たりの当期純利益(EPS:Earnings per Share)」と呼びます。株価指標の1種として用いられるものであり、当期純利益と普通株式の期中平均株式発行数からその値を求めます。会社にEPSは成長性の目安になり、この値が高いということは、企業が外部から高い評価を受けているということになります。

当期純利益÷普通株式期中平均発行済み株式数

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8.新規顧客増加率

企業が成長しているかどうかは売上高や利益、資産が増えているかどうかだけでなく、新規顧客数が増加しているかでも判断できます。ただし、やはり新規顧客増加率だけでなく、複数の指標と合わせて成長性を分析することが大切です。

(当期新規顧客数-前期新規顧客数)÷前期新規顧客数×100

9.顧客単価

新規顧客増加率が減少していても、顧客単価が増加していると売上高が減少したとは限りません。また、売上高や利益、純資本とともに顧客単価も増加していれば、企業努力によって著しく成長していることを意味します。

当期総売上高÷総顧客数

10.労働生産性増加率

労働生産性とは、本業に投じた労力に対してどれくらいの付加価値を生み出しているかの指標です。つまり、労働生産性が高いほどより少ない労力で多くの付加価値を生み出したことになります。近年、この労働生産性が成長企業にとって重要な成長性指標の1つになっており、労働生産性向上は国が主体となって取り組まれている課題でもあります。

(当期労働生産性-前期労働生産性)÷前期労働生産性×100

成長性分析を行う際は、必ず複数の指標を用いて行い、現実的な視点から会社の生産性について把握していきましょう!

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