グローバル問題(コロナショック)がサプライチェーンに与えた影響と課題

 2021.10.06  クラウドERP編集部

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2019年に発生した新型コロナウイルスのパンデミックは、世界中の経済や外交に影響を与え、サプライチェーンの分断を引き起こしました。今は徐々に回復傾向にあるとはいえ、今後グローバルチェーンを新規展開ないし拡大していくにあたっては、適切な現状把握とアフターコロナを見据えた対策が欠かせません。そこで本記事では、コロナショックを中心に、グローバル問題がサプライチェーンに与えた影響と課題について解説します。

グローバル問題(コロナショック)がサプライチェーンに与えた影響と課題

グローバル問題(コロナショック)で明確になったリスク

2019年に発生した新型コロナウイルスの影響は、瞬く間に世界中へと広がり、私たちの生活や経済活動、国家活動に大きな混乱を引き起こしました。この混乱は今も続いており、グローバル社会が抱えるさまざまなリスクを顕在化しています。

例えば、感染症の拡大によって発生した供給ショックと、その後の世界経済の停止に伴う需要ショックは、あらゆる企業の生産戦略やサプライチェーンの脆弱性をあらわにしました。また、かねてより緊張が高まっていた米中の貿易摩擦は、コロナ禍によってさらに激化し、自国優先の経済ナショナリズムの傾向が強まっています。輸出に頼っている日本企業においても、コロナ禍による世界経済の縮小は収益に対してダイレクトな影響をもたらし、雇用の面でも大打撃を受けることが予想されました。

これらのことから、当初は世界中のメーカーにて「国内生産の拡大」「リスクがあると思われる供給源への依存の脱却」「グローバルサプライチェーンでの在庫量を最小限に抑えるリーン生産方式の見直し」など、生産体制の国内回帰が起こると予測されていました。しかしながら、実際にはこの予測は外れ、多国籍企業は複数の供給源を確保する「マルチソーシング」によって、緊急時にも生産が途絶えないように対策を打っています。つまり、鎖国的施策に転回するより、むしろグローバル化を加速させることで危機を乗り越えようとしているのです。

いずれにせよコロナ禍は、グローバル経済が実は不安定な土台の上で成り立っていることを露呈させました。今後グローバルサプライチェーンを構築する際は、こうしたリスクについても織り込んだうえで対策を練る必要があります。

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グローバル問題がサプライチェーンに与える影響

前述したように、今回のコロナショックは、グローバル問題によってサプライチェーンが大きく影響を受けることを改めて明らかにしました。新型コロナウイルスの感染拡大は生産体制・物流・人の移動を寸断し、サプライチェーンによる安定供給を難しくしたのです。

例えば、生産拠点が集中する部材・部品が供給停止となれば、それだけで企業の生産活動全体が停止せざるを得なくなります。業種別に見ると、とりわけ輸送機械工業や鉄鋼・非鉄金属工業、汎用・業務用機械工業などの生産はグローバルチェーンに大きく依存しており、コロナショックの影響を早くから受けた分野と言えるでしょう。また、物流網や人の移動も制限され、他国企業への直接投資の動きも縮小しています。世界経済は今、コロナ禍によってリーマンショック以来の危機に瀕しているのです。

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安定したサプライチェーンを確立するには

このように世界経済が不確実性に見舞われる中、安定したサプライチェーンを確立するためには何が必要なのでしょうか。

まず欠かせないのが、複雑化したサプライチェーンを可視化し、どこにリスクがあるのかを明確にすることです。サプライチェーン全体で生じるあらゆるデータを可視化することで、そこに内在する問題点をいち早く発見したり、需要予測などに基づいた適切な経営判断を実現したりできます。

また、問題発生以前からBCP (Business Continuity Planning:事業継続計画) を整備するなど、リスクマネージメントを日頃から行っておくことも大切です。リスク発生時のシナリオを事前に多角的な視点から想定しておくことで、実際に問題が起きた際も迅速な対応が可能になります。

とはいえ、今回のコロナショックの特徴としては、感染と収束が波のように移ろい、感染拡大地域も時期によって変化していくことが挙げられます。これは、例えば地震などの自然災害が比較的局所的かつ一時的なものであることとは、対照的な特徴です。

つまりコロナ禍においては、事前に想定したBCPシナリオに収まらない事態が発生することも想定されるため、企業には刻々と移り変わる状況に合わせたアジャイルな判断が求められるのです。その意味でも、先ほど挙げた可視化の取り組みは、災害時における迅速な情報共有や対策の立案を可能にし、サプライチェーンの機動性と回復力を確保するうえでも非常に重要と言えます。

デジタル化でグローバル問題に強いサプライチェーンを

上記のように、サプライチェーンには想定外の問題に対応できる柔軟性が求められます。そこでサプライチェーンを可視化し、リスク発生時の迅速な情報共有や柔軟な対応を可能にするために欠かせないのが、ICT (情報通信技術)活用によるデジタル化の取り組みです。

例えば、ERPを導入することによって、企業は自社の経営資源の全社的な一元管理を実現し、業務効率の向上を図れます。ERPをクラウド上で運用することで、担当者は国や地域を越えて、適宜その情報の確認・活用ができるようになります。これはリモートワークへの対応についても共通することで、たとえ今後また感染症などの影響で人の動きが制限されても、遠隔地から業務を遂行することが可能になるでしょう。こうした仕組みを構築することは、まさにサプライチェーンのDX (デジタルトランスフォーメーション) といっても過言ではありません。

最適なサプライチェーン計画を作成するNetSuite

グローバルなリスクにも負けない強靭かつ柔軟なサプライチェーンを作り上げるには、サプライヤーごとのデータを一元的に収集・管理し、サプライチェーン全体を可視化できるシステムの構築が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、最適なサプライチェーン計画を作成するITソリューション「Oracle NetSuite」の導入です。

NetSuiteは会計システム・ERP・CRM・Eコマースといった複数のアプリケーション機能を、単一のシステムで実現するITソリューションです。これらの機能によってNetSuiteでは、需要管理と供給管理に関する優れたパフォーマンスを発揮し、先進的な在庫管理と需要計画を可能にします。NetSuiteを導入することで、企業は在庫の保管場所を適宜確認し、最適なサプライチェーン管理を行えるようになるのです。

またNetSuiteは、場所を問わないサプライチェーン管理も実現します。NetSuiteでは、製品がどこで作られたにせよ、自社で製造する場合と同じレベルの情報を製造プロセスから入手可能です。必要な情報や命令などは、NetSuiteのクラウドシステムを通して場所や会社を越えて生成・管理・共有されるため、サプライチェーンの一貫性と正確性を確保できます。今後グローバルにサプライチェーンを展開する際は、リスク管理のためにもNetSuiteの導入を併せて検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、コロナショックが世界中のサプライチェーンに与えた影響と課題について解説しました。コロナ禍は生産体制や物流、人の移動を寸断し、多くの企業に従来型サプライチェーン体制の見直しを迫りました。

「生産体制の国内回帰の動きが広がる」という当初の予想に反し、多国籍企業はむしろグローバル化を促進させ、マルチソーシングによって供給停止に備えるという判断を下しますが、これはサプライチェーンの複雑化をさらに招く決断でもあります。

コロナ禍の完全な収束が未だ見通せない中、流動する環境下で適切にリスク管理を行うには、ICTの活用によるサプライチェーン管理が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、効率的かつ柔軟なサプライチェーンマネージメントを可能にする「Oracle NetSuite」です。不確実なグローバル環境に対応できる強靭なサプライチェーンを構築するため、ぜひNetSuiteの導入をご検討ください。

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