サービタイゼーションとは?これからの製造業に求められる理由や成功事例を解説!

 2021.03.08  クラウドERP実践ポータル

製造業のデジタル変革においては、「サービタイゼーション」が不可欠だといわれています。しかし、サービタイゼーションという言葉自体は知っていても、具体的な意味まで明確に答えられる人はそう多くないでしょう。そこで本記事では、サービタイゼーションの意味を再確認するとともに、今の時代になぜ求められているのか、また具体的な事例についても取り上げていきます。

サービタイゼーションとは?これからの製造業に求められる理由や成功事例を解説!

サービタイゼーションとは?

「サービタイゼーション」とは、製品を製造・販売するのではなく、製品をサービスとして顧客に提供し、利用料を得るビジネスモデルを指します。

例えば、プリンタ本体を安価で販売し、継続的にインクを購入してもらうといった、繰り返し製品・商品を利用してもらうビジネスモデルを「リカーリング」と呼びます。リカーリングおよびその一形態である「サブスクリプション」は、このサービタイゼーションの一種です。

アフターサービスが商品販売後にメンテナンスや故障時の修理といった対応を提供するのに対し、サービタイゼーションはもっと幅広い範囲でのサービス提供を指します。

従来の製造業では、「モノを売って終わり」のビジネスモデルが主流でした。しかし近年、それだけでは市場で生き残ることが難しくなったため、サービタイゼーションへの転換が求められています。

サービタイゼーションに欠かせないAI・IoT

製造業がサービタイゼーションへシフトするためには、継続的に顧客とつながり、満足度を高める仕組みが重要となります。そのために不可欠な技術が、AI(人工知能)とIoT(センサー技術)、そしてビッグデータとクラウドです。

オンラインで機能を提供するSaaSであれば、アクセスログなどから顧客の利用状況を把握することは容易です。しかし、製造業では機械など物理的なモノを提供することが多いため、顧客の利用状況を把握するためには、機械に設置したセンサーからデータを収集する必要があります。

方法としては、まず機械に取り付けたセンサーから取得したデータを蓄積し、ビッグデータとしてAIで分析します。そして、機械利用に関する状況を把握したのち、より使いやすく顧客満足度を高める方向へと改善を行います。データの蓄積には、主にOracle社などが提供するクラウドサービスを用います。こうしたデータの取得・活用が、サービタイゼーションには欠かせません。

サービタイゼーションの必要性

それでは、なぜ今サービタイゼーションへの転換が求められているのでしょうか。以下では、その背景について見ていきましょう。

スマートファクトリーの実現

製造業においてサービタイゼーションが求められている背景には、まず「スマートファクトリー」の実現があります。

スマートファクトリーとは、ドイツ政府提唱の製造業振興策「インダストリー4.0」に基づく、製造現場における効率向上に向けた取り組みのことです。AIやIoTなどの技術を駆使して、業務の自動化や継続的な生産性向上を目指します。これにより、さまざまなコストの削減や品質向上が可能となるだけでなく、顧客のニーズに合った製品をリアルタイムで製造できるようになります。

しかしながら、このスマートファクトリーを実現するためには、従来のビジネスモデルを大きく見直す必要があります。製造業をサービス化する方向に舵をとれば、AIやIoTなどの導入に不都合がなく、製造業としての競争力を高めつつ新たなビジネスチャンスの創出にもつながるのです。

モノの価値の変化

もうひとつの理由としては、「モノ消費」から「コト消費」への消費傾向の変化が挙げられます。かつてはモノが少なかったこともあり、人々は生活を豊かにする商品・サービスを求め、物理的なモノに対価を支払っていました。

しかし、インターネットの普及が進むにつれて、必要なモノが必要としている人の手に十分行き渡るようになりました。その結果、人々のモノに対する意識が薄れ、逆に購買では得られないコト、すなわち体験や経験へとニーズが移っていったのです。

例えば、近年では自動車を購入せず必要なときだけ貸し借りする「カーシェア」や、CDを購入せず定期視聴する権利だけ買う「サブスク型音楽配信サービス」などが注目されています。車もCDも、かつては所有することに価値を置かれていましたが、今では「所有しなくても必要なときに利用できればよい」という考え方が広まりつつあるようです。

このように、消費者のニーズは時代とともに変化します。製造業がこれに対応するためには、従来のような売り切りモデルでは間に合いません。実際、日本は高い技術力を有するものの、品質だけでは世界市場で勝ち抜けなくなってきています。そうした事情から、サービタイゼーションへの転換を求められているのです。

サービタイゼーションの成功事例

最後に、製造業がサービタイゼーションへと転換した成功事例をご紹介します。

ロールスロイス(イギリス)

「ロールスロイス」は「ゼネラルエレクトリック」「プラットアンドホイットニー」と並ぶ世界3大航空エンジンメーカーのひとつとして知られています。

同社では、航空機向けエンジンの開発・販売を行うだけでなく、1962年から「Power by the Hour」と呼ばれるサービスを提供しています。これは、エンジン自体を販売するのではなく、利用したエンジンの出力と飛行時間に応じて料金を請求するビジネスモデルで、エンジンおよび部品交換サービスを含みます。

エンジンにはセンサーが搭載されており、そこから送信されるデータによって稼働状況を把握する仕組みです。さらに、このデータは整備の最適化にも活かされており、まさに保守とサービス提供の両面で成功を収めた好例といえます。

ダイキン工業(日本)

「ダイキン工業」は、世界150カ国以上で事業展開している大手空調メーカーです。同社では、世界中の空調機器をインターネットでつなぐ、「Daikin Global Platform」と呼ばれるIoTプラットフォームを開発・提供しています。

販売した空調設備の稼働状況をクラウド上で一元管理し、そのデータを活用して遠隔点検や故障検知などのサービスを提供しています。同社では「IoT、AI 技術を活用した空調ソリューション事業の加速」を目標に掲げており、機器の販売から空調ソリューションを提供するサービタイゼーションへとビジネスモデルを変革しています。

クボタ(日本)

国内外問わずトップレベルの農機メーカーである「クボタ」では、農機とIoTを連携して品質・収量の管理をサポートする、「KSAS(クボタ・スマート・アグリ・システム)」を提供しています。

これは、データ収集機能を備えるセンサー付き農機を導入した農家が利用できるサービスで、インターネットの地図データを活用し、農地管理や作業記録を自動化するものです。また、取得したビッグデータを活用して、作物の収量量や品質の向上に役立つサポートも行います。農家向けサブスクリプションサービスの提供で新たな収益を生み出した、サービタイゼーションの模範例といえるでしょう。

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まとめ

サービタイゼーションとは、モノの販売ではなくサービス提供を行い、収益を上げるビジネスモデルのことです。製造業が競争力を獲得し、市場で生き残るためには、業務のデジタル化およびサービタイゼーションが欠かせません。

製品を販売して収益を上げていた企業にとって、今までとは180度異なるビジネスモデルへの転換となるため、不安も多いことでしょう。しかし、消費者のニーズの変化や、スマートファクトリーへの対応などを踏まえると、IoTやAIを活用したサービタイゼーションへの取り組みは急務といえます。


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