独立採算制とは?メリット・デメリットや導入に便利なツールを紹介

 2023.05.23  クラウドERP実践ポータル

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

昨今、企業の新しい経営方式として、独立採算制の魅力がクローズアップされるようになりました。本記事ではメリットとともに、注意すべきデメリットもくわしく解説します。また、より高い効果を得るなら、クラウドERPの導入がおすすめです。特徴や導入の大まかな流れについても紹介しますので、併せてぜひ参考にしてみてください。

独立採算制とは?メリット・デメリットや導入に便利なツールを紹介

独立採算制とは?

現在、経営スタイルを独立採算制にしている企業は少なくありません。そもそも独立採算制とは、企業内で部門や事業などをいくつかのグループに分けた上で、それぞれに権限を付与して独立させる経営手法です。各組織をまとめ、ひとつの経営組織として扱う従来の方式と区別し「部門別採算制」と呼ばれることもあります。
また、事業部ごとに独立採算制を採用している「カンパニー制」や組織を独立採算で運営する5~10人程度の小集団に分けた「アメーバ経営」があります。

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独立採算制によるメリット

企業が経営のスタイルとして独立採算制を採用すると、いくつかのメリットを期待できます。代表的なのは次の3つのポイントです。

意思決定をスピードアップさせられる

大企業ではとくに組織が大きいため、経営に関する意思決定ひとつにしても、さまざまな事業部門に稟議を回す必要があるなど、時間や労力の負担が大きくなりがちです。

一方、独立採算制を採用している企業には、独立した収支を持つ部門がいくつかあります。いわばひとつひとつの部門がひとつの会社のようなイメージです。そのため、何か新しいことをするにしても、最終承認までが早くなるといったメリットが考えられます。意思決定をスピードアップさせられれば市場のニーズの変化に対応できるような斬新なアイデアをどんどん形にでき、ビジネスチャンスの獲得や事業の加速だけでなく、従業員のモチベーションやエンゲージメント向上にもつなげやすくなります。

収益の向上につながる

独立採算制で動く部門は与えられた権限を用い、それぞれで収支計画を立てて事業を運営していきます。したがってコスト意識が醸成されることも利点です。また各部門間での競争意識が高まり、ひいては生産性や収益向上にも期待できます。

注意点としては、部門競争があまりに激化した場合、自部門が持つ情報を外部に出すことを嫌がり隠匿につながるおそれがあります。後ほど紹介する「シナジー」が薄れ、企業全体の成長にも影響を与えてしまう恐れがあるため注意が必要です。

次世代の経営者育成に役立つ

3つめは、人材育成面でのメリットです。独立採算制では各部門が独立した組織として事業運営を行います。無駄なコストが発生していないか、新しいビジネスモデルを創造できないかなど、本来企業の経営層が見ていることを組織単位でも見ていかなければなりません。
そのため通常より責任が重くなるといった面はあるものの、次世代の経営を担う後継者育成にも一役買うと考えられます。企業が将来にわたって長く成長を続けていくためには、経営者目線を養える独立採算制導入もひとつの選択肢です。

独立採算制によるデメリット

一方、独立採算制を採用する前には、注意や確認しておかなければならない点もあります。ここでは、よくある3つのデメリットを解説します。

重複する業務が出てくる

独立採算制では部門ごとに収支を見ていく必要があるため、とくに管理部門がそれぞれ必要になります。つまり、企業内で重複する業務が出てくることは否めません。
管理業務が個別化すれば、それを担うための新たな担当者が必要になることも十分考えられます。

シナジーが起こりにくくなる

経営用語で「シナジー(相乗効果)」といった言葉があります。企業内でシナジーが働くと、異なる事業で共通したコストを一元化することで「範囲の経済性」、つまり全社的なコスト削減や効率的な経営を実現できます。

しかし独立採算制を採用している企業では、部門単位で収支を管理することから、そもそもコストの共有化をめざしていません。するとシナジーが起きにくくなるおそれがあります。経営の効率化は生産性や業績向上にとって重要な課題でもあるため、導入にあたってはこの点をどうカバーしていくかが求められます。

過度な部門間競争が起こる可能性がある

部門ごとに業績が分かるようになれば、部門同士で過度な競争になることも想定されます。切磋琢磨して企業全体の収益向上に貢献できるのはメリットである一方で、デメリットな側面もあります。

例えば、社員同士のコミュニケーションにまつわる問題です。自部門で取り組んでいる新しいプロジェクトを、外部にもらすまいとして部門間の交流の機会が減ることも考えられます。また、業績をよりよく見せようとして不正や情報の隠匿といったコンプライアンス違反も増えがちです。これではわざわざ独立採算制を採用した意味がなくなり、逆効果になってしまいます。

独立採算制導入にあたって使える便利なクラウドERPとは?

企業が独立採算制を導入する際には、先に述べたデメリットをカバーする対策が必要です。そこでおすすめなのが「クラウドERP」と呼ばれるソリューションです。

クラウドERPの特徴

本来、ERPは「Enterprise Resource Planning」の略で「企業資源計画」と訳されます。その概念から生まれたERPツールは、社内の部門ごとに分散しているデータをひとつのデータベースに統合し、「人・モノ・カネ」などの経営資源を一元管理できるのが特徴です。一般的に「統合基幹業務システム」と呼ばれるのはそうした所以があります。

ERPツールはクラウド環境で使えるクラウドERPが登場してから、独立採算制にマッチするソリューションとして、ますます注目を集めてきました。

ERPツールを導入すると、自社や自部門が今どのような経営状態なのかを可視化し、意思決定や経営判断のスピードアップを図れるようになります。コスト削減にも役立ち、経営効率が向上するのも大きな特徴です。
また、部門間で使っているシステムにばらつきがなくなります。情報を管理する各部門の担当者がそれぞれ入力する手間を省け、データの整合性もとれるようになるはずです。システム連携すれば業務効率性が上がるほか、シナジーも効いてきます。
さらに、ツールの導入による共通のセキュリティポリシーの使用やセキュリティ監査ログの取得などがコンプライアンスやガバナンス(内部統制)強化にもつながります。
独立採算制を導入するにあたり懸念となっていた点をクリアできれば、安心して導入、運用していけるはずです。

クラウドERPを導入する流れ

実際にクラウドERPを導入する際には、なぜ自社にとって必要なのかといった目的を明確にすることからスタートしましょう。それに合わせてERP製品やベンダーを選定し、契約します。
その後は次のようなフェーズで運用まで進めることが一般的です。

  1. 要件の定義とシステム設計
    システムの仕様が自社の求める要件とマッチしているかを確認し、カスタマイズやアドオンの追加を検討します。
  2. システム設計・開発
    ERP製品を提供するベンダーによってシステムの具体的な設計が行われます。並行して運用に向け、マニュアル作成や習熟研修など社内体制を整えておくとスムーズです。
  3. テスト
    開発されたシステムが要件に合致し問題なく動くかどうか、テストします。基本的には「単体テスト」「結合テスト」「総合テスト」といったチェックを複数にわたって行い、問題があれば修正対応を行います。
  4. リリース・運用
    リリース後も引き続いてユーザーにヒアリングを行い、不具合があればベンダーと改善に向けて動けるようにしておくと安心です。

まとめ

独立採算制は、意思決定のスピードアップや収益向上、後継者育成などのメリットがある経営方式です。また、効果をより高めるためには、クラウドERPの導入がおすすめです。部門ごとに散らばったデータを一元的に管理することで、経営効率性は大きく向上します。独立採算制の採用を考えている方は、ぜひクラウドERPもセットでご検討ください。

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