経営を左右するサイロ化とは?デメリットと解決法を解説

 2022.07.08  2023.02.13

Oracle NetSuite Summit Japan

DX推進やデジタル活用がスムーズに進まないのは、サイロ化が原因かもしれません。組織やデータのサイロ化は、DX推進やデジタル活用を阻害するのみならず、企業にさまざまな不利益をもたらします。本記事では、サイロ化の概要をはじめ、デメリットや解決法などを解説します。

サイロ化とは

本来、サイロとは農場などにある飼料や農産物の貯蔵庫を意味します。貯蔵物が混ざらないようサイロを個別に分けることが転じて、「孤立状態」を示す用語となりました。
ビジネスにおけるサイロ化は、主に「組織」「データ」の2つに対して用いられます。それぞれのサイロ化がどのような状態を指すのかをご紹介します。

組織のサイロ化

組織のサイロ化とは、各部門や個人の独立性が強く、連携が取りにくい状態を指します。
各部門の強い競争意識や考え方の違い、コミュニケーション不足などを原因としてサイロ化が発生します。特に、縦割り構造の組織においてサイロ化に陥るケースが少なくありません。
このような状況では、情報共有ができないため部門ごとの業務内容が把握しにくく、意思決定の速度・精度の低下や業務効率の悪化を招きます。

データのサイロ化

データのサイロ化とは、データがシステムやツール、個人のデバイスなどに分散した状態を指します。部門や個人ごとに異なるツールを利用していたり、データの管理ルールが曖昧であったりするとこのような状況が起こります。
システムやツールが統一されていないと、部門間でやり取りするデータの形式が異なるために編集できず、閲覧するだけでも別途ビューワーなどのツールを要するといった連携上の弊害を招きます。
また、データを個人や部門ごとに保管し、共有化できていなければ、データへアクセスするために煩雑な手続きが必要です。無駄なプロセスを挟むことで作業を遅延させるだけでなく、業務が属人化しやすくなるため、組織全体の生産性を低下させます。

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組織のサイロ化はデータのサイロ化を引き起こす

部門間で十分なコミュニケーションが行われ、連携が良好であれば、データがサイロ化することはほぼありません。
組織がサイロ化し、部門ごとに連携を考慮せず独自のシステムやツールを導入することでデータのサイロ化が発生します。もともと連携が希薄な状況にもかかわらず、結果としてさらに断絶が深まることで、より連携が困難になっていきます。

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サイロ化のデメリット

企業におけるサイロ化は、さまざまな不利益をもたらします。まずはサイロ化のデメリットを理解し、解決を目指しましょう。

経営の意思決定が遅くなる

組織のサイロ化によって、意思決定が遅くなります。部門間でコミュニケーションが取りにくい状況では意思統一に時間がかかるため、意思決定の速度低下を引き起こします。
また、前述のように部門ごとの状況把握が困難で、データの収集に無駄な手間を要する状況が意思決定を遅らせます。さらに、収集したデータの形式が不統一では、分析にも手間と時間がかかるでしょう。
ビジネスにスピードが求められる現代において、意思決定の遅れは機会損失や市場競争力の低下につながります。

無駄な業務が増えて効率が悪くなる

データのサイロ化により、無駄な業務が発生する可能性があります。たとえば、すでに作成済みの資料があっても、それを必要とする他者が発見できなければ、再度作成する手間がかかってしまいます。無駄な業務が増えた結果、コア業務に費やす時間が減ることで生産性が低下します。
また、部門間で異なるツールを用いてデータをやり取りすると、それぞれが利用できる形式に変換する手間がかかるため、連携を行ううえで弊害となります。
また、顧客へ二重対応するといった無駄は、効率の低下だけでなく組織への信頼を落としてしまう恐れもあるでしょう。

サービスの質が低下する

データのサイロ化は、サービスの品質低下を招きます。
たとえば、ターゲット層や既存顧客のニーズを把握するためには、プロジェクトにかかわるすべての部門間で顧客情報を共有する必要があります。顧客と接点を持つ営業部門が顧客属性や行動履歴といった情報を保有するのみでは、ニーズにあった製品開発やマーケティング戦略の策定は困難です。
また、必要な情報を共有できていなかったばかりに、顧客へ誤った対応をしてしまう可能性があります。このようなケースでは、顧客が不信感を募らせてしまい、満足度を低下させてしまうかもしれません。

サイロ化を解決するメリット

サイロ化の解消は、前述したデメリットにおける課題を解決するだけでなく、さまざまなメリットを持ちます。
まず、組織内でシステムを統一し、情報を共有化することで、社内に散在するデータをその都度収集し、手作業で加工や分析を行うといった手間や、二重作業の無駄を省けます。従業員は本来の業務に注力でき、コア業務へ全力を尽くせるようになるため、生産性の向上に期待できるでしょう。
また、データを一元的に管理できる環境を構築することで、データドリブン経営の推進にもつながります。データをより活用できるようになり、勘や経験に頼らない意思決定を行えます。
さらに、部門・個人で互いの業務を把握できれば、高度な連携による分業化で業務の属人化が解消し、負担の分散により残業時間の短縮といった環境改善に期待できます。コミュニケーションが活発化すると、新たな気づきを得る機会が増えるため、イノベーションの発生も促せるでしょう。

サイロ化の解決法


サイロ化が進んだ組織は、その状況が当たり前になっているため、そもそも課題があることに気づけず、簡単には解決できないかもしれません。
課題を見つけ、正しい方法で取り組めばサイロ化は解決できます。大切なのは、「方向性を共有する」「部門間の連携強化」の2点です。

方向性を共有する

組織としての方向性を明確に示し、全社で共有することがサイロ化の解消につながります。方向性が明確でない場合、各部門の従業員は上司やチームリーダーに従って行動し、さらにそれらの責任者は自身の裁量で指示を与えるしかありません。その結果、自然と部門ごとの縦割り構造が構築され、各部門が孤立する状況が発生します。

部門やチームが独自の方向性を有している状況は好ましくありません。このような状況を脱するためには、組織として各部門や個人の役割を提示し、それが全体の目標達成にどうかかわるのかを丁寧に伝えましょう。組織全体で部門やチーム、従業員のそれぞれが自身の立ち位置を認識できれば、業務遂行のためにほかの役割とどう連携すべきかが見えてきます。
これを実現するためには、まず経営層が一体となって、定めた目標へと集中することが欠かせません。経営層や幹部が現場のチームや従業員の意見を尊重した目標を策定し、そのうえで組織全体を通じて矛盾のない方向性をトップダウンで示すことが大切です。

部門間の連携を強化する

部門間の連携強化に取り組めば、情報を共有しやすくなり組織全体の協調性向上につながります。当然、各部門が独立している状況では、連携の強化は困難です。いきなり部門間で連携しよう、と指示しても効果は期待できないため、まずは従業員同士のコミュニケーションを増やしましょう。親睦会などを開き、業務とは別のところで交流を深めれば、そこから部門同士の関係強化につながるかもしれません。

また、プロジェクトの遂行に際して部門横断的に役割の異なる人員でチームを組むことも有効です。たとえば、デザイナーなどの開発担当と製造を担当するエンジニアが常に同じチームにいれば、新製品の実現性について互いに議論を通じた連携が発生します。さらに財務担当がいればコストを重視した提案ができ、営業やマーケティングの担当者はその製品の特色を理解してターゲット層の策定などの販売戦略に活かすことができます。
このような付加価値の創造につながる衝突が発生する組織構造であれば、連携強化だけでなく部門間で業務を引き継ぐ際に発生する手間や誤解を少なく済ませられるため、無駄を削減できます。一方で、提案に対してネガティブな意見ばかりが噴出する場合にはかえって連携の断絶を招く恐れがあるため注意が必要です。

まずはデータ基盤の一元化などの取り組みで、情報共有しやすい環境を構築して連携強化を狙いましょう。部門間の連携が進むと業務の効率化や生産性の向上につながります。それによってそれぞれが連携する意義を実感できれば、さらに連携が活発化する好循環が期待できます。

まとめ

サイロ化とは、組織の各部門やシステム、データが孤立した状態を指します。サイロ化の発生は意思決定を遅くするほか、業務効率やサービス品質の低下を招きます。
サイロ化を解消するためには、組織の方向性を明確化したり、連携強化を促したりすることが重要です。解消できれば、無駄の削減だけでなく、労働環境の改善やイノベーションの促進にも期待できるでしょう。

データのサイロ化を防ぐには、ERPシステムの導入がおすすめです。ERPは組織で扱うデータを一元化的に管理でき、全社的な共有化や意思決定に必要なデータの収集・分析の迅速化を実現します。
OracleのクラウドERPはさまざまな導入パターンに対応でき、クラウドシステムを用いるためオンプレミスより初期費用を大きく削減できます。サイロ化の防止・解消のために、ぜひ導入をご検討ください。

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