インボイス制度で建設業はどう変わる?
買手/売手ごとの対応を解説!

 2022.06.03  クラウドERP編集部

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令和5年10月にスタートするインボイス制度ですが、建設業にどのような影響を及ぼすのか知りたい方も少なくないでしょう。本制度の導入により、建設業に携わる企業や個人事業主にはさまざまな影響が及びます。本記事では、インボイス制度が建設業に与える影響や、買手・売手ごとの対応についてわかりやすく解説します。

インボイス制度とは

インボイス制度とは、令和5年10月1日から導入される、税額や適用税率を明記した請求書(適格請求書=インボイス)に基づき、納税すべき消費税額を算出することを定めた制度です。仕入れで生じる消費税額の控除に関わる制度であり、建設業者にもたしかな影響を及ぼします。

まず、建設業者は仕入れ時に生じた消費税の控除ができなくなる可能性があります。インボイス制度下では、取引相手から適格請求書を発行してもらうことで、消費税額の控除を行えます。

しかし、適格請求書は誰でも発行できるものではなく、適格請求書発行事業者として登録を行っている事業者でないと発行できません。そのため、仕入れ先が未登録であれば適格請求書を発行してもらえず、控除もできないため自社が全額負担しなくてはなりません。

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適格請求書発行事業者とは

適格請求書発行事業者とは、適格請求書の発行を認められた事業者をいい、年間課税額が1,000万円を超える課税事業者のみが対象となります。

従来通りの消費税控除を受けるには、適格請求書の発行を認められた事業者と取引しなくてはなりません。ただ、現実的に建設業界では年間課税売上1,000万円以下の一人親方が多く、控除を受けられない企業も出てくるでしょう。

売手となる下請け、孫請けの一人親方や企業にとっては、買手から取引を見直される可能性があるため、適格請求書発行事業者になるかどうかを考えなくてはなりません。

適格請求書発行事業者になるには1[課税事業者の場合]

消費税の課税事業者であれば、適格請求書発行事業者になるのは難しくありません。まずは税務署の窓口や公式ホームページから、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を入手しましょう。

その後、申請書に必要事項を記入し、本人確認書類を添えて税務署に提出します。申請すれば誰でも登録が認められるわけではなく、税務署による審査が行われることを覚えておきましょう。無事に手続きが完了し、審査もクリアすると適格請求書発行事業者として登録され、税務署から通知が届きます。

適格請求書発行事業者になるには2[免税事業者の場合]

年間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者は、原則として適格請求書発行事業者にはなれません。登録するには、まず課税事業者になる必要があります。

課税事業者になるには「消費税課税事業者届出書」を作成し、税務署へ提出しなくてはなりません。届出書は、国税庁の公式ホームページでダウンロードできます。届出書に必要事項を記入し、所轄の税務署へ送付、または直接窓口に提出しましょう。なお、課税事業者になったあと、2年間は免税事業者に戻れないため注意が必要です。

課税事業者への手続きが完了したら、適格請求書発行事業者になるための申請を行います。申請書類を作成後、本人確認書類を添えて提出し、審査を受けましょう。

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どの事業者から仕入れると仕入額控除される?[買手側]

仕入額控除を受けないと、仕入れで生じた消費税を自社で負担しなくてはならず、利益を圧迫するおそれがあります。どの事業者から仕入れると控除を受けられるのか、正しく理解しておきましょう。

適格請求書発行事業者から仕入れると[買手側]

適格請求書発行事業者から仕入れれば、適格請求書を発行してもらえるため、従来通りの控除が受けられます。金銭的な負担が増えないため、基本的にはこの選択が正しいといえるでしょう。

ただ、建設業界には一人親方のような個人事業主や、数人で事業を営んでいる小規模な企業もたくさんあります。それゆえ取引先の中には、適格請求書発行事業者の登録ができない事業者もいる可能性があるため、事前の確認は必須です。

免税事業者から仕入れると[買手側]

免税事業者から仕入れた場合、適格請求書を発行してもらえないため、従来通りの控除を受けられません。取引で生じた消費税額をすべて自社で負担しなくてはならず、実質的な外注費が高くなってしまいます。

建設業における商取引は高額になるケースが少なくありません。数百万~数千万円規模の受発注が生じることも多く、その分消費税額が高くなり、自社の負担が大きくなってしまいます。

このような理由から、基本的には免税事業者からの仕入れは避けたほうがよいでしょう。古くから付き合いがある、いつも助けてもらっているなどの取引先の場合、取引を停止するのは心苦しいかもしれませんが、今後の経営に関わるため冷静かつ慎重な判断が求められます。

適格請求書発行事業者の申請はしたほうがいい?[売手側]

インボイス制度の施行に伴い、売手側は適格請求書発行事業者になるかどうかの選択を迫られます。場合によっては、取引先から登録を求められるケースがあるかもしれません。以下、適格請求書発行事業者になった場合と、ならなかった場合でどう変わるのか見ていきましょう。

適格請求書発行事業者になった場合

適格請求書発行事業者になった場合、売上額によっては従来のように消費税の免税がなくなり、手元に残るお金が少なくなる可能性があります。もともと課税事業者であったのなら、そこまで大きな影響はないでしょう。

買手の取引先としては、インボイスを発行してもらえないと控除を受けられないため、歓迎されると考えられます。今まで通り取引を続けてもらえる可能性が高く、事業の安定化も図れるでしょう。

消費税の納税義務が生じ、手元に残るお金が少なくなる以外のデメリットとしては、手続きやインボイス発行、保存義務の発生が挙げられます。免税事業者であれば、課税事業者になるための手続きを経たのちに、適格請求書発行事業者となる申請をしなくてはなりません。インボイスの発行や保存の義務が生じることから、業務負担の増加も懸念されます。

適格請求書発行事業者にならなかった場合

適格請求書発行事業者にならず、免税事業者のまま事業を継続するケースではどうなるのでしょうか。免税事業者のまま事業を継続するメリットは、従来通りの消費税免税を受けられることです。取引で生じた消費税の納税義務がないため、手元に残るお金も多くなるのです。

一方で、取引先が減ってしまうデメリットがある点には要注意です。適格請求書発行事業者にならなかった場合、インボイスの発行ができないため、買手側の取引先から敬遠される可能性があります。

規模の大きな取引になるほど、買手側の金銭的負担が大きくなるため、取引を打ち切られる可能性は高くなります。仮に複数の企業から取引を打ち切られたとなれば、生じる損失は莫大なものになるでしょう。

取引を打ち切られなかったとしても、相手から値引きを要求される可能性もあります。買手は少しでも金銭的な負担を減らしたいと考えるためです。取引を打ち切らない代わりに値引きをしてほしい、と要求されたら簡単には断れないでしょう。

まとめ

インボイス制度の施行に伴い、建設業を営む企業や個人事業主にはさまざまな影響が及びます。買手側は取引先を慎重に見極める必要があり、場合によっては取引先の取捨選択もしなくてはなりません。対して売手側は、このまま免税事業者として事業を続けるのか、それとも課税事業者となり適格請求書発行事業者の登録を行うのか、選択に迫られるでしょう。

インボイス制度に伴うシステムの移行も検討するのなら、クラウドERPの導入も検討してみてはいかがでしょうか。クラウドERPは、組織のあらゆる情報やシステムの統合、一元管理を行え、インボイス制度にも対応できるためおすすめです。

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