PSIとは?在庫を適切に管理する流れや成功のポイントを徹底解説

 2022.05.30  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

近年は需要バランスが大きく変化しており、過剰在庫や欠品といった問題が起きやすくなっています。イレギュラーが発生するとコストの増大や機会損失につながるため、企業は対策をしなければいけません。

そこでニーズの把握と適切な生産・販売・在庫管理を行うPSI管理を導入して、トラブル抑制や対策を行いましょう。

PSIとは

PSIとは「生産のProduction」「販売のSales」「在庫のInventory」の頭文字を取ったもので、主に製造業が適正在庫を図るために行う管理手法です。3つの部門を連携して計画・管理することで、欠品や過剰といった在庫に関わる問題をなくせます。

元々PSIの3部門は、Excelなどのソフトウェアで別々に管理されることが多く、連携が難しいという問題がありました。そこでこれらの部門を連携して可視化するために、ERPシステムを導入する企業が増えています。ERPシステムを導入することで、PSIをシステム化して、在庫に関わる問題を解消することが可能です。

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PSIの仕組み

PSIは、ニーズを元に生産・販売・在庫の管理計画を行って、実際の値との乖離が出た場合に対策をとることで在庫の適正化を図るものです。たとえば、PSI計画と実際の値で以下のような乖離が起きたとします。

  • 販売計画(販売予定数):1000個
  • 生産計画(生産予定数):1100個
  • 在庫計画(在庫数):500個
  • 実販売数:700個

上記の設定では、1000個販売する予定が700個しか売れませんでした。生産した1100個と在庫500個のうち700個しかはけなかったので、900個の在庫を抱えてしまいます。このまま次月も同じ数量で生産すると、過剰在庫が発生します。そこで生産を抑えて、問題の解消を図るわけです。

このような問題の発生を避けるため、適切な需要予測に基づいて管理計画を行います。

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PSIが必要とされる背景

近年の市場では、「需要変動の激化」「ニーズの多様化」が起きています。このような状態では「急に商品が売れて生産が追いつかなくなった」「競合商品によって売れなくなって過剰在庫を抱えてしまった」「製品の種類が多くて在庫保管に大きなコストがかかる」など、生産・販売・在庫に関連する問題が多く発生します。

このような問題を防ぐために、精密な需要予測と適切な生産・販売・在庫計画が必要となり、PSIを行えるシステムが求められるのです。

PSI管理の流れ

PSI管理は、以下の4つの工程で行います。

1.正確な販売計画を行うための需要予測

適正な在庫数や生産数を図るために、需要を予測します。需要予測は、基本的に過去のデータから法則性を見つけて行わなければいけません。たとえば、1年の中で販売数が上がっている時期と下がっている時期があった場合、なぜ変動しているのかを探ります。

このとき要因となるものは、「天気」「気温」「宣伝効果」など多岐にわたります。もし天気や気温が関わっているなら予報を元に需要予測が可能です。

2.PSI計画表を作成する

需要を予測したら、PSI計画表を作成します。縦列に「販売計画」「生産計画」「在庫計画」「在庫回転計画」、横列を1ヶ月ごとの日付とします(事業年度の期首から期末までの12ヶ月間)。

販売計画には、前述した需要予測で得られた数値を落とします。販売計画を元に、どれくらいの数を毎月生産するか生産計画について考えます。たとえば、10%増しにするなどといった具合です。在庫数を決定する在庫計画では、期首の生産計画に「月ごとの販売計画の半分の在庫」をプラスします。

  • 期首の在庫計画数=(期首の生産計画数+月ごとの販売計画の半分の在庫)-期首の販売計画数

    販売計画が500個だった場合に、上記の式に当てはめると以下の数値となります。

  • 販売計画:500個
  • 生産計画:550個(販売計画の10%増し)
  • 在庫計画:300個

最後に在庫がどのくらいの日数で回転するかを調べるために、在庫回転計画をたてます。在庫回転日数を利用しますが、ここでは以下の式を活用します。

  • 在庫回転日数=在庫÷翌月の販売計画数×30日

上記のPSIから在庫回転数を算出すると以下のようになります。
300(在庫)÷500(販売計画数)×30日=18日(在庫回転日数)

このように算出した数値を機首に入れたら、この情報を元に期末まで数値を入れて完了です。

3.PSI計画表に見込み数を入れ込む

作成したPSI計画表に見込み数を入れます。縦列にある計画の下に見込み数の新しい行を追加しましょう。

見込み数は、各計画で入れた数量に合わせて値を挿入します。たとえば、各数量が、計画数量の10%増しの場合は、期首の縦列が以下となります。

  • 販売計画が500個だった場合
    販売計画:500個
    販売見込み:550個
    生産計画:550個
    生産見込み:605個
    在庫計画:300個
    在庫見込み:310個
    在庫回転:18日
    在庫回転見込み:17日
    (在庫と回転数のみ適正の値を見込んで変更しています)

見込み数は、実際の販売数や予測に合わせて変動させることでより精度を向上できます。

4.PSI計画表に実際の数値を挿入する

PSI計画表に、各部門の実際の数量を記入します。計画や見込み通りにいかず、実際の値が増えたり減ったりする月があるはずです。その変動に合わせて柔軟に生産数を調整することで、「欠品や過剰在庫」を防ぎます。

PSIにおける課題

PSIの導入にはいくつかの課題があります。ここでは主となる3つのポイントについて解説します。

拠点間の情報連携不足

PSI管理が適切に行われるには、拠点間の物の流れが適切に行われなくてはいけません。しかし、拠点間でデータの連携が行われないと、リアルタイム性が失われて情報にずれが生じます。こうしたずれを防ぐには、「部品を供給する工場」「製品を配送するセンター」「販売の店舗」など、異なる拠点のデータを連携して運用しましょう。

適切なシステムの未導入

前述している通り、PSIで重要なのは「適切な販売計画」と「実際の値に合わせた需給の調整」です。特に販売計画を行うための「需要予測」は難しく、ここを間違えると予想が大きく崩れてしまいます。

近年は、適切な販売計画を行うためのシステムもあります。Excelでのデータ入力も見受けられますが、客観的なデータ分析や膨大なデータの取り扱いは難しいでしょう。

繁閑に応じた管理不足

企業によっては、季節などの繁閑の差によるものや急なニーズの変動に対応しきれずに過剰在庫や欠品が発生することがあります。このような事態が発生する前に、部門間・取引先と頻繁にやりとりして連携を取ることが必要不可欠です。しかし、スムーズな連携ができずに、対応に時間がかかることもしばしばあります。問題解決のスピードを上げるには、部門間・取引先との連携をいかに効率よく時間をかけずに行うかが鍵です

成功ポイント

PSI導入における成功のポイントをご紹介します。

拠点管理を徹底する

拠点間の連携をスムーズにするためには、データの連携が必要です。たとえば、店舗から需要の数量がリアルタイムに上がってくれば、工場側でより正確な出荷計画が作成できます。

また、企業が経営していく中で、「工場、配送センター、店舗」といった各拠点は役割や数が変化します。拠点全体で在庫数がどれくらいあるかなど一目でわかるように他拠点から自動データ生成などができるツールの利用を検討するのもおすすめです。

需要に応じた基準を決める

商品には売れ筋や死に筋があり、需要がそれぞれ異なります。そのため、同じ特性で運用方法を決めると上手くいきません。

たとえば、分析フレームワークのABC分析を用いて、需要に基づいた評価をする方法があります。ABC分析を商品に導入する際は、売れ筋となる商品をAランクとして、死に筋に近づくにつれB・Cランクと下げていきます。Aランクは在庫がはけるのが早いため在庫を抱えてもいいでしょう。対して、B・Cランクなら売れ行きが悪いため欠品があっても問題なしとするのです。

分析・検証を通じて精度を上げる

PSI計画が目的を達成できたかを確認する手段として、KPIを利用します。KPIは、「重要業績評価指標」で、ゴールとなるKGIや、目標の要因となるKSFを設定して、目標達成度合いを評価します。KPIを実施して、分析改善を行っていくことで、最適な値が見つかるでしょう。

これを実施するにはERPシステムの利用がおすすめです。ERPシステムは企業のビジネスリソースを最適化するもので、分析で算出された値をERPシステムによって管理すれば、在庫管理の最適化ができます。

まとめ

PSI管理は、適切な需要予測を元に生産・販売・在庫管理を行う手法です。PSI管理を取り入れることで在庫を適切に管理できるため、過剰在庫や機会損失を防げます。

PSIを導入する上で重要なのは、部門・拠点間の連携です。それぞれが異なるデータを持っているとリアルタイム性が失われて、PSI管理が上手くいかない可能性があります。そこでPSI管理をシステム化する、NetSuite ERPの導入がおすすめです。

このシステムは、サプライチェーンと基幹システムを一元的に管理して、データ連携を行うためのソリューションです。受注・生産・倉庫管理機能を備えており、製造業・小売業にも活用できます。PSIの導入や、効率的な管理・コスト削減におすすめの製品です。

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