海外進出を考えた時に知っておきたい5つのステップ

 2019.06.17  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

日本企業の海外進出が活発化している中、特にスタートアップ企業やベンチャー企業、中小企業が海外市場に向けた高い意欲を示しています。多くの企業では海外現地企業とのM&Aなども積極的に検討しており、今までにないビジネスチャンスに恵まれた中小企業も多く存在します。

本稿では、海外進出を考えたときに知っておきたい5つのステップを紹介しています。海外進出を戦略的に、そして効率的に進めていくための、本稿で紹介するステップを頭に入れておきましょう。

ステップ1:海外進出における経営ビジョンを策定する

企業が海外進出をするにあたり、よくあるパターンが「得意先に依存して海外進出を決定する」ということです。得意先からの「仕事があるから」という言葉に乗り、十分な調査も実施せずに数回の視察旅行だけで海外進出を決定する企業が少なくありません。

海外進出の第1ステップとして大切なのは、得意先ありきの進出を行うのではなく、しっかりとした経営ビジョンを持つことにあります。なぜなら、海外市場においても予測不可能な経営環境の変化や、新しい競合会社やビジネスチャンスの出現は常に起き、それらの変化に対して俊敏に対応できるような柔軟な思考が必要だからです。

そのためにも、独自の経営ビジョンをしっかりと策定し、海外進出の目的や期待する効果、事業目標などを立てた上で進出開始を決断する必要があります。もちろん、得意先からの仕事があるというのは大きなアドバンテージになるため、それも視野に含めて経営ビジョンを立てることには問題ありません。

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ステップ2:海外現地の市場調査のために担当チームを立ち上げる

海外進出における市場調査は、段階に応じてチーム編成を強化・拡大していくことが重要なポイントになります。フィジビリティ調査(事業実現性の調査)においては、担当者またはプロジェクトチームを編成し、海外進出詳細調査時や進出実務等においてはプロジェクトチームを編成していきます。

スタートアップ企業やベンチャー企業、中小企業では人材不足から、十分な調査チームを編成できないケースもあります。その場合は、社内関係部門の協力体制を築くことと、公的期間や現地事情に精通したコンサルタントの依頼も検討しましょう。

現地調査に赴ける人材は限られます。しかし、銀行・政府系機関・会計事務所・同業者・資材メーカー・建設業者などの情報をまとめることは既存業務の範囲で行えます。従って、「兼任」という形で調査チームを編成するのもよいでしょう。現地調査担当者が現地訪問する際の作業内容を、事前に入手した調査情報の検証やユーザー動向、市場性の調査等に集中させることもできます

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ステップ3:情報収集・情報整理後の現地検証を行う

プロジェクトチームで収集した情報はまず、分野ごとに必要情報を整理する必要があります。整理する際の参考として、以下の項目に分類してみましょう。

  • (ア)財務・税務情報
  • (イ)法人の設立手順
  • (ウ)法的な規制環境
  • (エ)部品・原材料の調達状況
  • (オ)道路・港湾の整備状況
  • (カ)現地調達可能な設備・機械・備品
  • (キ)現地法人の取引内容
  • (ク)現地の商習慣
  • (ケ)現地の安全性
  • (コ)現地人材の確保
  • (サ)現地人材の待遇
  • (シ)商品の市場性
  • (ス)日本との商品比較
  • (セ)国内競合他社の進出動向
  • (ソ)その他
以上の情報を整理したら、プロジェクトチームの中から適任者を選出して、現地検証を行います。主な検証内容は下記の通りです。
  1. 整理した外部情報の検証
  2. ローカル企業見学等を通じた現地市場性の確認
  3. 進出ユーザーまたはユーザー候補の動向
  4. その他

ステップ4:検証結果をもとに海外進出の実現可能性やメリット・デメリットをまとめる

海外進出計画は「海外進出戦略」「組織体制」「投資計画」それと「工程表」から構成されます。海外進出戦略では現地法人が担うべき役割や機能、技術などの定義を行い、組織体制では人員規模や組織階層に加えて、日本人駐在員と現地採用者の役割計画も立てます。

海外進出戦略と組織体制が明確になれば、それらが事業として成り立つために投資計画を立てていきます。人件費、土地の賃借料、水道光熱費等の見積もりも加味し、3~5年で黒字化するプランを策定するのが基本です。これを達成するための売上規模を算出し、市場においてどれくらいのシェアが必要か、何社程度の得意先を開拓すればよいかなども順次検討します。

海外進出の地は工業団地の条件や現地パートナーとの関係性も含めて、事前に検討しておきましょう。海外進出時は移転や撤退は基本的に許されないため、移転を余儀なくされるケースを想定し、計画を立てます。さらに、法的に規制された商品・部品に関係する業種にあたっては監督官庁の承認が必要になるため、こうした海外進出要件もハッキリをさせておくことがとても大切です。

ちなみに、海外進出戦略では「撤退戦略」を整えていくことも大切です。海外進出準備段階から撤退を視野に入れるのは矛盾しているようにも思えますが、明確な撤退戦略がないままずるずると赤字経営を続けるケースも少なくありません。撤退戦略は一種のリスクマネジメントであり、企業を守るための戦略でもあります。

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ステップ5:現地従業員の雇用・育成を検討する

現在、海外進出している企業は経営課題として「現地マネージャー層の不足」「賃金上昇」「品質問題」「税制・法制度の変更」「為替の急激な変化」「労務管理」「市場競争の激化」などを認識しています。これらの経営課題を1つ1つ解決していかない限り、海外事業の継続および拡大は難しいでしょう。つまり、海外進出はゴールではなくあくまでスタートであり、その後どうするかが何よりも重要になってきます。

数ある経営課題の中で最も重要とも言えるのが「現地人材の育成」ではないでしょうか。どの企業も現地人材の定着や幹部育成には力を入れているのと同時に苦労しています。日本人と現地人のビジネスに対する意識にギャップがあるため、人材育成が難しいという問題もあるでしょう。

しかし、海外現地に定着して息の長い事業運営を行っていくためには、やはり現地人材の育成は不可欠です。そのためには相場以上の給与水準を確保したり、日本への研修制度を整えたり、管理職に抜擢したり、インセンティブ制度を導入したりと様々な施策が必要になります。

その一方で、日本人経営者や管理者のグローバル規模における魅力を高めることも大切です。海外赴任前に研修を実施し、必要な対策を講じた上で海外現地に送り出しましょう。

海外進出にはERP(Enterprise Resource Planning)で連携

スタートアップ企業やベンチャー企業、中小企業の海外進出で昨今注目されているのがERP(Enterprise Resource Planning)です。基幹系システムと情報系システムを統合し、経営資源運営の効率化や一元化を図ります。特にクラウドベースで提供されているERPは、海外現地法人との情報共有によく活用されています。海外製ERPならば多言語・多通貨対応で海外現地法人にもフィットするシステムを構築できるため、グローバル規模での経営戦略に最適です。

海外という土地勘のない国で自社の統制を測ることは非常に難しいことはいうまでもありません。また、本社としては海外の状況をリアルタイムで確認することで俊敏な経営体制を構築することが可能になります。ガバナンスの強化やプロセスの合理化、そして経営のリアルタイムの見える化をクラウドERPは実現してくれるのです。

海外進出を検討する際は、同時にOracle ERP CloudOracle NetSuiteなどのクラウドERP活用もご検討ください。

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