《保存版》法律で定められた文書の保存期間マニュアル

 2020.03.30  クラウドERP実践ポータル

  新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

皆さんが普段の業務の中で作成する書類(文書)や、他の部署で作成される書類の中には法律によって保存期間が定められたものがあることをご存じでしょうか?会社の規定だからと何となく保存している方が多いのではないかと思います。

短いもので1年、長いものでは永久的に保存する書類もあり、100種以上の書類の保存が法律で定められています。本記事では保存期間マニュアルとして、各書類の法定保存期間をご紹介します。日常的に扱う書類のことなので、理解を深めると何か新しい発見があるかもしれません。

法定保存文書一覧

永久に保存すべき書類

部署名

書類

総務・庶務

  • 定款
  • 株主名簿、新株予約権原簿、社債原簿、端株原簿、株券喪失登録簿
  • 登記・訴訟関係書類(権利証など)
  • 官公庁への提出文書、官公署からの許可書・認可書、通達などに関する重要な書類
  • 知的所有権に関する関係書類(特許証や登録証、特許料や登録料の受領書など)
  • 社規・社則およびこれに類する通達文書
  • 効力の永続する契約に関する文書
  • 重要な権利や財産の得喪等に関する文書
  • 社報・社内報、重要刊行物
  • 製品の開発・設計に関する重要な文書

人事・労務

  • 重要な人事に関する文書
  • 労働組合との協定書

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保存期間30年間の書類

部署名

書類

人事・労務

  • 労働者に関する作業概要などの定期記録
  • 上記労働者の特定化学物質等健康診断個人表
  • 焼却施設記録等作業の
  • 放射線業務従事者の健康診断記録
  • 常時焼却施設等のダイオキシン類の濃度の定期測定記録
  • クロム酸等の空気中における濃度の定期測定記
  • 特別管理物質についての作業の記録
  • 放射線業務従事者の線量の測定結果記録

    ※当該記録を5年保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときはこの限りでない

  • 電離放射線健康診断個人票

    ※当該記録を5年保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときはこの限りでない

  • 特別管理物質を取り扱う業務に携わる労働者の特定化学物質健康診断個人票

保存期間10年間の書類

部署名

書類

総務・庶務

  • 株主総会議事録 (本店備置き分。支店備置き分はその謄本を5年保存)
  • 取締役会議事録
  • 監査役会議事録
  • 委員会議事録 (指名委員会、監査委員会、報酬委員会)
  • 重要会議の記録
  • 満期または解約となった契約書
  • 製品の製造、加工、出荷、販売の記録 ※民法724の規定では、20年が期限

経理・税務

  • 計算書類および附属明細書(貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
  • 会計帳簿および事業に関する重要書類(総勘定元帳、各種補助簿、株式申込簿、株式割当簿、株式台帳、株式名義書換簿、配当簿、印鑑簿など)

保存期間7年間の書類

部署名

書類

経理・税務

  • 取引に関する帳簿(仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など)※証憑書類のうち取引に関する事項(法人税法施行規則の別表22に定める記載事項の全部または一部)を帳簿に記載することに代えて、記載されている書類を整理保存している場合の書類を含む
  • 決算に関して作成された書類(上に挙げた、会社法で10年保存が義務づけられている書類以外)
  • 現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など)
  • 現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類(領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など
  • 有価証券の取引に際して作成された証憑書類(有価証券受渡計算書、有価証券預り証、売買報告書、社債申込書など
  • 取引証憑書類(請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など)
  • 電子取引の取引情報に係る電磁的記録(取引に関して受領または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項の記録)
  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書、配偶者特別控除申告書、保険料控除申告書
  • 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
  • 源泉徴収簿(賃金台帳)
  • 課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等(5年経週後は、帳簿または請求書等のいずれかを保存)
  • 資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿

労働安全衛生

  • 粉じん濃度の測定記録、測定結果の評価記録
  • じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真

保存期間5年間の書類

部署名

書類

総務・庶務

  • 事業報告(本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存)
  • 有価証券届出書・有価証券報告書およびその添付書類、訂正届出(報告)書の写し
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写し
  • 産業廃棄物処理の委託契約書
  • 契約期限を伴う覚書・念書・協定書など
  • 重要な内容の発信・受信文書

人事・労務

  • 従業員の身元保証書
  • 誓約書などの種類

経理・税務

  • 監査報告 (本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存)(監査役設置会社等の場合)
  • 会計監査報告 (本店備置き分。支店備置き分はその謄本を3年保存)(会計監査人設株主総会の1週間(取締役会設置会社は2週間)前の日置会社の場合)
  • 会計参与が備え置くべき計算書類、附属明細書、会計参与報告 (会計参与設置会社の場合。会計参与が定めた場所に備置き)
  • 金融機関等が保存する非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄申告書、非課税貯蓄限度額変更申告書、非課税貯蓄異動申告書、非課税貯蓄勤務先異動申告書、非課税貯蓄廃止申告書などの写し
  • 金融機関等が保存する海外転勤者の財産形成非課税住宅貯蓄継続適用申告書、海外転勤者の国内勤務申告書などの写し
  • 金融機関等が保存する退職等に関する通知書

労働安全衛生

  • じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真
  • 一般健康診断個人票
  • 有機溶剤等健康診断個人票
  • 鉛健康診断個人票
  • 四アルキル鉛健康診断個人票
  • 特定化学物質健康診断個人票 ※クロム酸等は30年
  • 高気圧業務健康診断個人票
  • 高圧室内業務の減圧状況の記録
  • 線量当量率の測定の記録
  • 放射性物質の濃度測定の記録
  • 放射線事故に関する測定の記録
  • 安全委員会議事録
  • 衛生委員会議事録
  • 安全衛生委員会議事録
  • 救護に関する訓練の記録
  • 危険・有害業務に従事するときの安全衛生のためのときの安全衛生のための特別教育の記録

保存期間3年間の書類

部署名

書類

総務・庶務

  • 四半期報告書、半期報告書およびその訂正報告書の写し
  • 官公署関係の簡易な認可・出願等の文書
  • 業務日報、社内会議の記録、軽易な契約関係書類、参照の必要性のある文書など

人事・労務

  • 労働者名簿
  • 賃金台帳(国税通則法では7年保存を義務付け)
  • 雇入れ・解雇・退職に関する書類
  • 災害補償に関する書類
  • 賃金のその他労働関係の重要書類(労働時間を記録するタイムカード、残業命令書、残業報告書など
  • 企画業務型裁量労働制についての労使委員会の決議事項の記録
  • 労使委員会議事録
  • 労災保険に関する書類
  • 労働保険の徴収・納付等の関係書類
  • 家内労働者帳簿
  • 派遣元管理台帳
  • 派遣先管理台帳
  • 身体障害者であることを明らかにすることができる書類(診断書など)
  • 家内労働に関する帳簿

労働安全衛生

  • 安全委員会議事録
  • 衛生委員会議事録
  • 安全衛生委員会議事録
  • 救護に関する訓練の記録
  • 危険・有害業務に従事するときの安全衛生のためのときの安全衛生のための特別教育の記録

保存期間1~2年間の書類

部署名

書類

総務・庶務

  • 臨時報告書、自己株券買付状況報告書およびそれぞれの訂正報告書の写し
  • 当直日誌、軽易な往復文書、受信・発信文書、通知書類・調査書類・参考書類など

人事・労務

  • 雇用保険に関する書類(雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届など。労働保険の保険料の徴収等に関する法律または同施行規則4による書類は3年)
  • 健康保険・厚生年金保険に関する書類(被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書、標準報酬改定通知書など)
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保存期間が定められていない・保存期間が過ぎた文書の取り扱い

上記に示した以外の書類は、法律による保存期間が定められていません。そうした書類や保存期間が過ぎた書類は不要になったら破棄してもよいのでしょうか?もちろん違います。書類はその重要度に応じて企業自身が保存期間を定める必要があります。部署ごとに保存期間を定めるケースが多いかもしれませんが、理想は全社一律のルールで保存することです。部署ごとに保存期限がバラバラになると、部署間で情報を突き合わせたい時にどちらかの書類が破棄されている可能性があるからです。

法定保存期間が定められていない書類については、企業の業務遂行上の必要性、何らかのトラブルや訴訟に巻き込まれた場合の立証上の必要性、企業の歴史上の重要性を意識して基準を決めるとよいでしょう。

また、マイナンバーが記載されている扶養控除等申告書、雇用保険被保険者資格取得届、健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届、支払調書に関しては保存期間が過ぎたら速やかに破棄しなければいけないので注意してください。

皆さんが普段作成している書類の中にも、法律によって保存期間が定められているものがあったはずです。この機会に書類関連法律への理解を深めて、ビジネスに関する知識を広めてみてはいかがでしょうか?

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