既存のビジネスを変革するオンデマンド・エコノミー

 2016.09.23  Just Skill, Inc.

グローバル標準のクラウドERP

ビジネスパラダイムの変革

私たちは日々の生活の中で,スーパーに食材を買いに行ったり,書店に本を買いに行たりする。そして支払うためにレジの前に並ぶ。駅前のタクシー乗り場で待ち行列に並ぶなどする。

すなわち,人々は商品を手に入れたり,サービスを受ける際には,その提供者(小売店あるいはサービス店)の所まで出かけて行かなければならない。そして多くの場合,支払レジの前で並んで無駄な時間を過ごす。それが当たり前と思って過ごしてきた。

ところが20年前に,インターネットの商用化によってeコマースが生れて,商品が自宅に届けられるようになり,極めて便利になった。無駄な時間を減らすことができるようになった。

近年のスマートフォン,タブレットなどモービルデバイスの普及によって,場所を問わず,時間はさらに短縮されるようになった。人々は,いつでも,どこからでも必要な情報とディジタルコンテンツ(ミュージック,ビデオ,映画など)を,ウェブ上のストアーからオンデマンドで入手できるようになった。

サービス提供者と受益者とをウェブとモービルデバイスで結びつけることで,自分の生活時間に合わせて,商品・サービスを受けられるようになってきた。例えば,自分がいま居るところにタクシーに迎えに来てもらう。自分の家に美容師に来てもらうといったサービスも生まれてきた。まさにオンデマンドでリアルタイムのサービスが受けられるようになった。

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オンデマンド・エコノミー

こうしたオンデマンドに応じてサービスを提供するビジネスのことをオンデマンド・エコノミーと呼ぶ。人々はモービルデバイスを手にしたことによって,場所と時間を意識することなく,他人の都合に拘束されることなく,生活できるようになった。すなわち,従来の顧客と商品・サービス提供者との立ち位置が逆転しつつある。これが,新しいビジネスサービスを考える際にmobile firstと言われる所以である。

近年,米国では次のようなオンデマンド・サービスが人気を呼んでいる。

オンデマンドサービス

これらのサービスは全て,モービルデバイスからオンデマンドでサービスを要求することができる。配車サービスでれば,客がいるところまで運転手が車を運転してきて,目的地に運んでくれる。駐車場探しのサービスであれば,現在,車を駐車しようとする所の近辺の駐車場で空きがあるところを探して,予約してくれる。

民泊サービスでは,通常の民家で余っている部屋を貸してくれる。しかも朝食を付きである。特に若者の旅行者に人気がある。海岸の近くの家で,夏の期間に庭とシャワー,台所を貸すものもある。借り手の家族は,テント持参でそこへ行って,その家の庭でキャンプ生活を楽しむことができるものもある。

こうした一般人が所有する資産を,不特定多数の利用者に提供するビジネスを,特にシェアリング・エコノミーと呼ぶこともある。

主なオンデマンド・サービスと投資額を分野ごとに表1にまとめてみた。

表1 主なオンデマンド・サービス (2016年9月現在:CrunchBaseのデータを基に作成)

主なオンデマンド・サービスと投資額

ここで,サンフランシスコで生れたオンデマンドが多いことに注目されたい。優秀なIT技術者が周りにいることと,適正規模の人口を抱える都会であるからである。

Airbnbが個人同志のオンデマンドのシェアリング・サービスの元祖である。bnbはbed and breakfastの略であり,旧来からあった宿泊・朝食付きのいわば民宿サービスである。それを貸し手と借り手を世界規模でウェブでつなげたサービスが Airbnbである。配車サービスのLyftには,2015年3月にベンチャーキャピタル4社に混じって,楽天も投資した。

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Uberization

数あるオンデマンド・サービスの中で特に注目されているのが配車サービスのUber Technologiesである。同社は2009年の創業以来,多数のベンチャーキャピタルから計141億ドル(約1兆4千億円)の投資を受けている。投資元のなかには,Google,Microsoft,百度(バイドウ,中国の検索サービス),Tata Capitalなどもいる。さらに,Amazon.comのCEO・Jeff Bezo氏も投資している。

AirbnbとUberへのベンチャーキャピタルの投資額

モービルデバイスのアプリが表示する地図にはGPSによって本人の居場所が表示され,車のタイプ(4人乗り,6人乗りなど)を指定すると,その近辺にいる該当するUber契約車のアイコンがリアルタイムで表示される。目的地を指定すると所要時間,概算料金が表示される。画面には運転手の顔写真と名前も表示される。

Uberの利用料金は走行距離と時間に比例するが,その基本単価は地域によって異なる。先日,筆者がシリコンバレーの某所で午後8時に利用したときは,3.3kmの距離を5分20秒走って,料金は6ドル33セント(約760円)であった。これにはチップは含まれている。この料金は予め登録したクレジットカードに課金されるので,乗客,運転手の双方は現金を扱う必要がないので安心である。

Uberアプリケーションの画面と領収書の例

Uberは世界70ヶ国の488都市でサービスを展開している。その契約運転手は16万2千人を数える。日本ではタクシー業界が猛反対するであろうことを見越してか,MKタクシーと手を組んで,Uberを使った配車サービスを行っているとのことである。

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反Uber運動

ビジネスの既得権を持つ人々は,それを脅かすような新しいビジネスモデルには反感を持つのが世の常である。同社の配車サービスは,既存のタクシー業界を侵食する可能性をはらんでいることから,米国各地でタクシー業界と運転手たちがUberに抗議している。カリフォルニア州ではクラスアクション(集団訴訟)にまで発展しかねない状況である。

Uberの運転手は,Uberと契約を結んで自分の車を使って,運転サービスを提供するコントラクター(契約業者)である。運転手は自分で仕事をする時間を管理できる良さがある。

フルタイムでUberを運転しているのは38%。別にフルタイムの仕事を持ちながら,空いた時間にUberを運転しているのが31%であった(Bloomberg調べ)。先日,筆者が利用したUberの運転手は昼間は会社勤めしているが,3人目の子供が生まれたので,定時の後,Uberで副収入を稼いでいると言っていた。

こうしたことから,雇われタクシー運転手から自立したUber運転手になる人が増え続けており,米国内ではUberの運転手は16万人いる。そのうちの女性が14%である。通常のタクシー会社の運転手のうち女性は8%(Bloomberg調べ)。

育児中の母親や短時間の仕事を望む女性にもできる仕事である。同社は国際連合の女性地位委員会と手を組んで,2020年までに女性ドライバーを世界で100万人に拡大することを計画している。

Uberのような新しいオンデマンド,シェアリング・サービス方式を Uberization(ウーバリゼーション)と呼ぶ。ちなみにAmazonがeコマースを席巻し始めたことはAmazonification(アマゾニフィケーション)と呼んでいた。

今後はこうしたオンデマンド・ビジネスが,社会とビジネスの仕組みを変革してことであろう。米国のベンチャーキャピタルはそうした将来を見通して,オンデマンド・サービスのベンチャー企業への投資が急増している(図3)。昨年は244社に179億ドルが投資された。これから日本にもこうしたオンデマンドの波が押し寄せて来ることであろう。

米国のオンデマンド・ベンチャー企業へのVC投資

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