Dynamics 365 Business Central の特徴とは?価格以外のメリットも解説

 2023.10.06  クラウドERP実践ポータル

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近年、ERPパッケージはオンプレミスからクラウドへと軸足を移しつつあります。この背景には、拡張性や導入コストといったクラウドならではの強みに対する評価があります。また、大規模な導入プロジェクトを必要としない中堅企業向けのERPパッケージもトレンドのひとつです。Dynamics 365 Business Centralは、このような昨今のトレンドを取り入れた製品だと言えます。ここではDynamics 365 Business Centralの機能概要や強み、他のERPパッケージと比較した場合の特徴などを解説します。

Dynamics 365 Business Centralとは

まず、Dynamics 365 Business Centraの概要について解説します。

中小企業向けクラウドERP「Dynamics 365 Business Central」とは

Dynamics 365 Business Central は、Microsoftから提供されている中堅中小企業向けのSaaS型ERPパッケージです。

Microsoft社製の小規模向けERPパッケージとしては、「Microsoft Dynamics NAV」が提供されていましたが、Dynamics 365 Business CentralはNAVの後継製品として位置づけられています。ちなみに、2021年時点で世界196の国と地域で24.5万社以上に導入されている、世界的にも知名度の高いERPパッケージです。

コンパクトで必要十分な機能を使える

ERPパッケージといえば、「大手企業が多額の予算を投じて導入するもの」というイメージが強いかもしれません。Dynamics 365 Business Centralはこうした従来型のERPのイメージに反し、「必要な機能のみを厳選し、コンパクトかつ短納期で導入できる」ことが魅力です。利用するためには月単位でユーザーライセンスを契約すればよく、ハードウェアの調達や設置費用もほぼ必要ありません。

多言語・多通貨・グローバルな商慣習に対応

Dynamics 365 Business Centralは、グローバル企業への導入を想定し、126言語・43カ国以上の商習慣に対応しています。このことから、海外拠点を持つ中堅企業や、海外での事業展開を活発化させたいベンチャー企業などにも適したパッケージと言えます。

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Dynamics 365 Business Centralの機能

次に、Dynamics 365 Business Centralの機能について解説します。Dynamics 365 Business Centralには、「Essentials」 と「 Premium」という2つのライセンス形態があり、ライセンスごとに利用できる機能に違いがあります。まず、Essentialsライセンスで提供される基本機能についてみていきましょう。

Essentialsで提供される基本機能

Dynamics 365 Business Centralには、一般的なオンプレミス型ERPパッケージに搭載されている機能が、ほぼすべて網羅されています。具体的には次のような機能です。

  • 財務管理機能
    予算作成と配賦、キャッシュフロー予測、一般会計、支払処理など企業の財務管理をカバーする機能です。より高度な財務管理機能として、原価会計や会社間転記にも対応しています。
  • サプライチェーン管理機能
    一般的なERPパッケージにおける「販売管理」「在庫購買管理」に相当する機能です。仕入先管理、販売注文管理、購買注文管理、価格決定、品目に関する機能などが含まれています。
  • 倉庫管理と在庫に関する機能
    在庫管理と倉庫管理に関する機能です。サプライチェーン管理では倉庫関連の機能や在庫移動に関する機能が含まれていないため、その点をカバーする機能群です。倉庫管理システムや入出庫管理、ピッキングに関する機能などが含まれます。
  • 顧客関係管理
    Dynamics 365 Business Centralには、CRMやMA、SFAに含まれる機能の一部が搭載されています。具体的には、取引先担当者管理やキャンペーン管理、営業案件管理、リレーションシップ管理などです。また、SFAである「Dynamics 365 sales」との統合も可能で、営業とマーケティング、顧客管理をシームレスに統合することができます。
  • 人材管理
    人材管理については、基本的な人事機能が網羅されています。給与計算や人事異動に対応する機能など、必要十分な機能を搭載しています。
  • プロジェクト管理
    プロジェクトを管理する機能として、キャパシティ管理やタイムシート管理、リソース管理などが提供されています。
  • AI関連機能
    Intelligent Edge または Azure Machine Learningをサブスクリプション契約することで、さまざまな予測・認識機能が利用できる点も魅力です。キャッシュフロー予測や支払い遅延予測、画像認識、在庫と売上の予測など、経営へのインパクトが大きいタスクに対して予測機能を活用できます。

サービス管理、製造業務向け機能はPremiumでのみ提供

上記の基本機能は、「Business Central Essentials」よって提供されますが、Premiumライセンスではこれらに加えて「サービス管理」「製造業向け機能」が追加されます。この2つの機能群は、Premiumライセンスを割り当てられたユーザーのみが利用可能です。ユーザーライセンスの形態によって利用できる機能が変わるという点は、SaaS型ならではと言えるかもしれません。

  • サービス注文管理
    サービス業に特化した機能で、サービス品目管理、サービス価格管理、サービス契約管理、サービス注文管理、計画と出荷機能などが提供されます。
  • 製造業向け機能
    製造業向けに特化した機能として、アジャイル生産、能力/供給計画、生産部品表、売上と在庫予測、製造注文管理などを利用することが可能です。

Dynamics 365 Business Centralの特徴

最後に、一般的なERPパッケージと比較した場合のDynamics 365 Business Centralの特徴についてまとめていきます。

CRMやMAの要素も含む

Dynamics 365 Business Centralには、取引先担当者やキャンペーンの管理、営業案件管理など、一般的なERPパッケージには含まれない機能が搭載されています。これらは通常、CRMやMA、SFAなどに搭載されるものです。ERPにCRMやMAの要素が取り込まれるのは近年のトレンドですが、国内の製品に限って言えばそれほど多くありません。

必要十分なカスタマイズ性

SaaS型という特性上、オンプレミスや大規模なERP(SAPなど)に比べると設定可能なパラメータの数は劣るようです。パラメータの数=カスタマイズの柔軟性と言えるため、この点では大規模向けERPパッケージに劣る可能性があります。ただし、必要十分な数は確保しており、中堅中小企業向けとしては合格点を確保していると言えそうです。

Microsoft製品とのシームレスな連携

同じMicrosoftから提供されているoffice製品やPower Apps(アプリ構築ツール)、PowerBI(BIツール)、PowerAutomate(自動化ツール)との連携が可能です。大半の日本企業が使用しているOffice製品と、日常業務レベルでのシームレスな連携が可能な点は大きな魅力です。また、月1000~2000円程度でカスタムアプリ作成やBIツール、自動化機能が利用できる点も見逃せません。

低コスト

Dynamics 365 Business Centralのライセンス料は、1ユーザーあたり8750~12500円に設定されています。

ちなみにSAP社の中堅中小企業向けERP「SAP Business ByDesign」は、「5ライセンスで35~40万円/月」です。1ユーザーあたりで比較すると、他社よりも安価であることがわかります。

まとめ

ここでは、Microsoft社の小規模向けERP「Dynamics 365 Business Central」を紹介してきました。Dynamics 365 Business CentralはERPの導入/刷新とクラウド移行を同時に、低コストで実行したい企業に適しています。また、office製品との連携や分析・自動化に関する機能を安価に使える点も魅力です。ただし、国内企業全ての要件に対応しているわけではありません。導入にあたっては、自社のニーズや将来的な目的への適合度について、他社製品も含めて比較検討していきましょう。

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