「CASE」の意味は?
注目される背景から自動車業界への影響まで解説

 2022.07.06  クラウドERP編集部

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自動車業界の今後の発展に関連し重要視されているのが「CASE」です。本記事では、新しい技術が開発され、自動化や電気自動車への移行などが進む自動車業界で使われる「CASE」の意味や、重要視される背景を解説します。

自動車業界で重要視されているトレンドのひとつ「CASE(ケース)」の意味とは?

近年の自動車業界における変革を表す言葉がCASEです。自動車業界が直面している環境問題への対応や新技術への移行問題など、これからの自動車業界が必要としているCASEについて詳しく解説します。

CASEとは?

CASEとは、「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared&Service(シェアリング&サービス)」「Electric(電動化)」の頭文字を取って作られた言葉です。2016年に開かれたパリモーターショーで、ダイムラーAG取締役会会長兼メルセデス・ベンツ・カーズ統括のディーター・ツェッチェ氏により提唱されました。
自動車業界で重要視されているキーワードからなるCASEは、今後の自動車技術の発展において中核をなす存在になると考えられています。鉄道や航空など、移動サービスや交通産業にはさまざまなジャンルがありますが、CASEは自動車業界にのみ該当するトレンドを表しています。

C(Connected):コネクテッド

CASEのCはコネクテッドを意味します。コネクテッドとは、自動車にセンサーが搭載され、IoTの活用によりインターネットを介して自動車がドライバーや他の自動車、サービスなどと接続することです。常に外部とつながり、自動車から得られるデータや外部情報をやり取りできる状態にある自動車は、コネクテッドカーと呼ばれています。自動車の運転中の行動データなどさまざまなデータを測定、蓄積してAIによる分析が行われます。
渋滞や事故の発生など交通情報の通知、運転中の行動データ測定と分析、事故発生時の自動通報、自動車盗難時の自動車両追跡といった機能が、コネクテッドにより利用可能となる事例です。

A(Autonomous):自動運転

自動運転とは、人間が運転する必要のない自動走行できる車を実現する機能を示します。自動運転では、センサーが道路状況などを感知してAIが判断・操作します。自動運転は0から5までレベルがわかれています。
レベル0は、自動運転がなく後方検知機能などの警告システムが装備されているといったレベルです。レベル1が自動ブレーキ、ACC(前方車両への追従)、LKAS(車線内運転者支援)など、レベル2は加速と減速、ハンドル操作などを組み合わせて部分的に運転を自動化する運転支援システムです。レベル3が人間の操作補助を必要とする限定された条件下での自動運転で、レベル4は道路上など特定の場所に限り自動運転が行われ、人間による緊急時の対応が不要なシステムです。最高レベルのレベル5は、場所や状況などの制限がなく運転が自動化される状態を示します。
レベル1~2の技術は、ADAS(先進運転支援システム)として多くの自動車メーカーが車両に搭載しています。国土交通省による「自動運転の実現に向けた国土交通省の取り組み」では、レベル4までの技術開発の実現時期について2025年を目途としています。
参照元:https://www.mlit.go.jp/common/001227121.pdf

S(Shared&Services):シェアリング&サービス

カーシェアリングやライドシェアリングなどのサービスがシェアリング&サービスです。ライドシェアサービスにはUber、Grabなどがあります。これらは配車アプリを使って一般人のドライバーと乗客をマッチングさせるサービスですが、日本では自家用車での有償運送などが法で規制されています。
カーシェアリングは、2015年に矢野経済研究所が発表した「レンタカー&カーシェアリング市場に関する調査 2015」において、2014年時点で154億円だった市場規模が2020年には295億円に成長すると予測されました。新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり2020年には需要の減少もありましたが、通勤や通学にカーシェアを利用するケースや休日の観光利用などは増加しています。今後ステーション数や会員数の増加によりカーシェアリング市場はさらに市場規模が拡大していくと考えられています。
参照元:https://www.lisalisa50.com/research20150913_1.html

E(Electric):電動化

ガソリンや軽油などの化石燃料を使用する車から電気自動車への移行も、自動車業界の重要な変化です。走行中に二酸化炭素を排出しない電気自動車は、地球温暖化といった環境問題対策としても期待されています。自動車の電動化により、搭載されるセンサーやシステムなどを活用してコネクテッド化や自動化との効果的な連携につなげることも可能です。
世界ではガソリン車やディーゼル車の販売を禁止にする動きも徐々に出ています。日本では、2010年頃から量産型のハイブリッドカーや電気自動車が発売され、2021年には日本の多くの自動車メーカーから電気自動車が発売されるなど、自動車の電動化に積極的に取り組んでいます。

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MaaSとCASEとの関係

CASEは、自動車業界が今後自動車の機能や事業を再定義する際に重要視している指標でもあります。対してMaaSとは、「Mobility as a Service」の略で、モビリティ(移動)そのものをサービスとする概念です。バスや電車などの公共交通機関、マイカーなど、交通手段の種類に関わらず、利用者視点や社会視点からモビリティ全体のサービスを捉えた概念を指します。
CASEは、通信機能や自動運転機能、シェアリング&サービスのビジネス要素、電動化などを示しています。MaaSの場合は、CASEで「S」に該当するシェアリング&サービスにフォーカスして、どのようなサービスが実現できるかなど、さまざまな移動サービスの提供を具体化するために活用されます。

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CASEが自動車業界を中心に注目される3つの理由

CASEが自動車業界で注目されているのは、車をシェアする人の増加、環境問題への対応、国外メーカーとの競争の激化などが要因とされています。以下にCASEが注目を集めている3つの理由について解説します。

理由1. 車をシェアする人の増加

都市部では、マイカー所有率や新規購入数が年々低下しています。都市部では公共交通機関が発達していることもあり、利用頻度が少ない割に高額の購入費用や駐車料金、維持費がかかるマイカー所有を避ける人が増加する傾向にあります。
必要なときだけ車を使いたいというニーズから、現在普及しているのがカーシェアリングや車のサブスクリプションサービスです。普段通勤などに車を使わない場合、持っているだけで高額の費用がかかるマイカーは、必要がないとする世帯が増加していると考えられています。カーシェアリングなどのサービスでは、必要なときに使う分だけの料金で車を使うことができるため、大きなコストがかからない点がメリットです。シェアリングなど新しいサービスの登場で、マイカーを所有せずにシェアする時代へと移行が進んでいます。

理由2. 環境問題の対応

近年では、深刻な地球温暖化の影響を受けて世界各国でCO2排出量削減が義務化されています。年々増加するCO2をはじめ温室効果ガスの排出量を抑えるため、日本では2021年の「米国主催気候サミット」において、2030年に2013年度比で温室効果ガスを46%削減(最高50%削減)することを目標として表明しました。
参照:https://www.mofa.go.jp/mofaj/ic/ch/page1w_000121.html
環境問題への対応のため、自動車から排出されるCO2量の削減も求められています。

理由3. 国外メーカーとの競争の激化

海外ではMaaSと呼ばれるバス、タクシー、カーシェアリング、ライドシェアリングなどの移動サービスの普及が進んでいます。MaaSは、CASEが目的としている通信をはじめさまざまな機能を搭載する自動車で利用しやすいサービスです。MaaSの普及に伴い、各国ではこれまでにない新しい機能やサービスが開発されているため、現在世界でシェア率の高い日本車も、新機能を搭載した国外メーカーとの競争が激化する可能性があります。

CASEの今後の展望について

2020年には、経済産業省が「CASE技術戦略プラットフォームまとめ」を発表してCASEの具体的な取り組みをまとめるなど、社会的にもCASEに対する期待は高まっています。世界的に環境問題への対応が急務とされている現代では、CO2排出量削減に貢献できる電気自動車の開発が進み、今後の普及やカーシェアリングでの利用も増加していくでしょう。CASEは自動車業界から始まったトレンドですが、さらにモビリティ産業においても活用され、さまざまな開発・対応が進められています。

まとめ

CASEは、インターネットを介して自動車が他とつながる機能、自動運転を可能にする機能、車をシェアするサービス、電気自動車への移行についてまとめた略語です。今後の自動車業界が必要としている自動車の機能や新しいサービスの可能性、CO2削減を実現する地球環境への対応などに関する重要な指標として注目を集めています。

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