貿易ってなに?その流れと国内取引との違い

 2019.05.17  クラウドERP編集部

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多くのメディアが毎日のように貿易摩擦や貿易戦争などを取り上げています。そして、昨今の世界経済はこの貿易無くして成り立たなくなっており、それらの事象は経済や世界を大きく変動させようとしています。輸出入ビジネスが当たり前に展開されている中、「貿易ってなに?」を聞かれると、適切に応えられる人は少ないかもしれません。本稿では改めて「貿易」について解説すると共に、その流れや国内取引との違いについてわかりやすくご紹介します。

貿易ってなに?

貿易とは簡単に言えば「海外の取引相手と商品やサービスの売買を行うこと」です。商品を海外へ販売・送り出すことを輸出、商品を海外から購入・持ち込むことを輸入と言います。輸入した商品を他の国に販売する「三国間貿易」という形もあります。では、輸出と輸入の違いについて解説します。

輸出(ゆしゅつ)

輸出は自社商品を海外市場に向けて販売する貿易スタイルです。輸出のためには現地ビジネスパートナーの選出や商品に対する法規制などの確認が必要であり、販路拡大に向けた準備が大切になります。自社の優れた商品の販売市場を海外に広げることで、国内市場の何倍ものマーケットを獲得することができますし、昨今ではECサイトを活用した輸出ビジネスを展開する企業も増えています。

輸入(ゆにゅう)

輸入は海外企業の商品を国内市場で販売するために購入する貿易スタイルです。海外企業と日本企業とで品質に対する認識が異なるため、不良品の扱いに慎重になる必要があります。海外の優れた商品を国内市場で販売することで、新しいビジネスを拡大するチャンスになります。また、貿易ビジネスにおいてリスクを低く始められるのが輸入のメリットです。

「貿易」と聞くと商品の輸出入をイメージする方がほとんどでしょうが、目に見える商品の輸出入以外にも「サービス貿易」と呼ばれる、目に見えない商品の輸出入も活発になっています。世界貿易に占めるサービス貿易の割合は約20%に達し、2030年には25%まで上昇すると言われています。

サービス貿易にはどういったものがあるかというと、皆さんが日常的に利用しているバス・電車などの運送サービス、銀行・保険などの金融サービス、電話・電子メールなどの通信サービス、コンビニ・デパートなどの流通サービスなどが挙げられます。皆さんはこれらのサービスを、何らかの方法により日本企業以外の業者を利用してサービスを受けた場合、サービスの貿易が行われたことになります。

たとえば昨今では使用が当たり前になったクラウドサービスのうち、海外企業が提供しているものを利用するとサービス貿易が行われたと言えます。

商品別在庫管理テンプレート(Excel形式)
NetSuite 在庫管理

国内取引との5つの違い

では、貿易と行内取引とではどういった違いがあるのか?これを5つの違いで解説していきます。

1.国の違い

まず、当然ながら取引先の「国」が違います。ということは、コミュニケーションに使用する言語が違いますし、ビジネスにおける国の制度や商習慣、政治や経済状況といったあらゆる面で違いが生じます。この違いによって起こるのが「意思疎通面でのリスク」です。貿易では意思疎通がスムーズに進まず、誤解等が生じるリスクがあります。たとえ言葉は通じても国ごとの貿易管理制度や通関手続きなどが違うため、トラブルが発生することも少なくありません。

重要なのは「カントリーリスク」です。特に開発途上国との取引においては、戦争・内乱・政治体制の変更などにより輸出入や為替送金の停止などの事態に陥るリスクもあります。こうしたリスクを回避するためにも、事前の市場調査や国際情勢や現地の政治経済情勢などを把握しておくことが大切です。

2.取引通貨の違い

日本企業は必ず異なる通貨での貿易を余儀なくされます。取引においては自国通貨へ交換する際の外国為替相場が日々変動するため、為替の「変動リスク」が生じます。特に相場変動が激しい場合は、売買利益が大幅に減少する可能性もあり、予めリスク回避策を講じる必要があります。方法としては、取引通貨を自国通貨とすることが確実ですが、日本円ではそれが難しいため為替予約を行ったり、海外現地で法人口座を開設してそこに代金を振り込んでもらうなどさまざまな対策があります。

3.取引先相手の違い

取引先相手が日本企業から海外企業に代わることで、信用リスクが発生しがちです。もちろん日本企業との取引においても与信管理は大切ですが、海外企業との取引ではより確実な与信管理が必要になります。

貿易では国内取引と比べて取引相手と頻繁にフェイスTOフェイスの商談をすることが難しいため、特に信用度(財務状況・生産能力・営業能力・経験・誠実性など)を把握することが大切です。確実に契約を履行できるかどうかを判断するためにも、事前に信用調査機関を利用するなどの方法で身長調査を実施します。

4.輸送距離の違い

輸出でも輸入でも、貿易取引では必然的に輸送距離が長くなります。輸送にかかる時間が長くなるに比例し、輸送上の事故による貨物の変質や損傷などが発生するリスクが高くなります。このリスクを回避するためには、貨物海上保険を付保して損害をカバーするなどの対策が必要です。

5.商品受け取りと代金支払いの違い

国内取引においても、商品受け取りと代金支払いのタイミングは異なりますが、貿易取引においてはそのタイミングのズレがより大きくなります。そうした時間差が生じるため、代金後払いの場合は輸出企業が代金未回収のリスクを負うことになり、代金前払いの場合は輸入企業が商品未納のリスクを負うことになります。こうしたリスクに対しては、信用状を利用した銀行が代金支払いを保証するなどの回避策が考えらえます。

代金未回収リスクと商品未納リスクがカバーされたとしても、取引完了までの資金負担のリスクが発生します。資金繰り・資産運用の観点からも、双方ともに立替時間を短くすることが重要です。

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貿易と貿易実務の流れ

貿易及び貿易実務はどのような流れで進んでいくのかを解説します。まずは貿易の流れから。

貿易は一般的に「契約」「輸送」「決済」という大きな流れで進んでいきます。契約段階では取引先選定や輸出入商品の選定、現地関連法規の確認等を経て、契約締結に至ります。輸送段階では輸送手段の確保、貨物の搬入、通関手続きを行い船積み、輸送と進んでいきます。最後に決済段階では代金決済を行い、貨物引取にて1つの貿易が完結します。

次に、貿易事務では契約締結、開運・通関業者に貨物の通関および船積みの依頼、貨物の保税地域への輸送、税関への輸出申告、税関での書類審査・現物検査・輸出許可、船積み、船荷証券発行、輸出許可書を含む船積書類の提出、為替手に船積書類を添えた為替手形の提示といったプロセスを経過します。

貿易も貿易事務も、通常の商取引とは違ったプロセスや書類が必要になるため、貿易取引を開始するためには貿易に対する知識や経験が豊富な人材を確保するか、貿易取引を支援する企業をビジネスパートナーとして依頼する必要があります。

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貿易を始めよう!

貿易取引はまず難しく考えないことが大切です。「貿易」と聞くだけで敷居が高いように感じますが、昨今では中小企業の貿易も盛んになっています。貿易を支援する企業やツールもたくさん存在するため、それらを上手く活用し、貿易を開始してみてはいかがでしょうか?

避けては通れない「収益認識基準」、どう対応すべきか?

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