ERPの提供方法と利点、欠点を理解する

 2021.10.14  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

新たなコンピューティング・パラダイムとしてクラウドコンピューティングが注目を浴びています。クラウドコンピューティングとは、一般的にインターネットをベースとしたコンピュータの利用形態の一つです。
従来のコンピュータ利用は、企業がハードウェア、ソフトウェア、データなどを自身で購入、構築、運用管理しているのに対して、クラウドコンピューティングでは、企業はインターネット越しに提供されるサービスを受け、サービスの利用料金を払う形になります。これにより、企業やユーザーが用意すべきものは最低限のネットワーク接続環境(物理的なネットワーク環境、ブラウザなど)のみとなりました。

サービス提供者が、コンピュータ本体やソフトウェアの購入、構築、運用管理を行うため、それらのコンピュータ本体やソフトウェアの購入・管理運営費用や蓄積されるデータの管理の手間は軽減されるというメリットがある。

つまり、企業にとって本来の業務とは関係ないものにコストをかけることがなくなり、業務に集中することが可能になるため新たなパラダイムシフトとして注目を集めているのです。

しかし、この大きな潮流である「クラウドコンピューティング」の定義はその利権者ごとに千差万別のことが謳われており、バズワードとして利用されているのも事実です。

今回は、クラウドで提供されるERPとホスティングやオンプレミスで提供されるERPとの違いを理解いただくことを目的に、いくつかの項目でわかりやすく比較したいと思います。ERP製品の比較記事はこちらをご覧ください。

真のクラウドアプリケーションを選定する際にお役立ていただければ幸いで す。

費用

クラウドで提供されるアプリケーションは、月次や年次で利用に応じた支払いを 行なうことが可能です。

真のクラウド:利用に応じた支払いが可能です。年次や月次の契約更新のタイミ ングで利用を停止することなどが柔軟に可能です。これらの費用には アップグ レードやパッチの適用、運用管理などの費用もすべて含まれます。

ホスティング:契約に依存しますが、一般的にアプリケーションのライセンスを 一括購入し、ホスティング費用やそれに伴う運用コストなどは利用に応 じた支 払いを行ないます。

オンプレミス:ソフトウェアやハードウェアのライセンスは前払いで行います。

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ハードウェア、ミドルウェア、運用管理

クラウドで提供されるアプリケーションでは、動作環境などに関して一切考える 必要はありません。

クラウド ハードウェアやミドルウェア、可用性などのサービス要件などを意識する必 要はありません。サービス提供会社が、サービス料金内ですべ てを行なってく れます。
ホスティング ハードウェアやミドルウェア、可用性などのサービス要件などを意識する必 要はありません。しかし、サービス提供会社が、別途料金を請 求する可能性も あります。
オンプレミス ハードウェアやミドルウェア、可用性やスケーラビリティなどすべての責任 を自社が請け負います。また運用管理も自社で行いま す。

 

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導入期間

クラウドで提供されるERPなど、企業において重要な経営基盤であっても、アプ リケーションが既に用意されているため短期間での導入が可能で す。

クラウド 顧客の要望に応じたカスタマイズを行っても、3カ月から半年でカットオー バーが可能です。
ホスティング 顧客の要望に応じたカスタマイズを行うと一般的に9カ月以上かかると言わ れています。それらを短縮するためにテンプレートを利用する こともありま す。
オンプレミス 顧客の要望に応じたカスタマイズを行うと一般的に9カ月以上かかると言わ れています。それらを短縮するためにテンプレートを利用する こともありま す。

 

アプリケーションデザイン

クラウドで提供されるアプリケーションは、複数の企業やユーザーが利用するこ とを前提にアプリケーションが構築されています。1つのアプリケー ションを 仮想化されているかどうかに関わらず、複数企業で利用できるようにマルチテナ ント型でアプリケーションが提供されているので す。

クラウド マルチテナント型で提供されているため、複数企業がアプリケーションを共 有することが可能です。当然ながら企業情報は完全に分離され ています。これ によりサービス提供者側で個別企業ごとに管理することが不要になり一元管理が 可能になるため、サービス料金を低減させることが可能 です。
ホスティング 顧客ごとにシングルテナント方式を採用しサービスを提供するため管理など のコストがユーザー側に強いられます。オンプレミスで構築さ れたシステムを 預かることが基本的な考え方になります。
オンプレミス 顧客ごとにシステムを構築し企業側に設置します。

 

アプリケーションへのアクセス

クラウドで提供されるアプリケーションは、Webブラウザを用いてアクセスが可 能です。

クラウド Webブラウザを用いて、インターネットからアクセスします。いつでも、ど こでも、どこからでも利用が可能で す。
ホスティング 基本的にはネットワークアクセスですが、ホスティング環境によってはVPN によるアクセスや専用線が必要になります。また、アプリ ケーションによって は専用クライアントソフトが必要な場合があります。オンプレミスで構築された システムが外部設置した考え方になりま す。
オンプレミス 利用しているアプリケーションや会社のポリシー、用意しているインフラに 依存します。

 

アプリケーションのアップグレード/パッチ適用

アプリケーションのアップグレードやパッチ適用に関して、クラウドでは常に最 新に保たれています。

クラウド アップグレードなどは、サービス提供者側で常に自動的に行なわれます。ま たアップグレードやパッチ共に別料金は必要なく利用料金に含 まれます。これ によりユーザーは常に最新のアプリケーションを利用することが可能です。
ホスティング 契約に応じてユーザーかホスティング提供会社がアップグレードやパッチ適 用を行ないます。その際にはシステムを停止したり、別料金が 発生したりしま す。また、ハードウェアやデータベースなどのサポート期間によりインフラの入 れ替えが必要になります。
オンプレミス ユーザー企業が、基本的には自社リソースでアップグレードやパッチの適用 を行なう必要があります。また、ハードウェアやデータベース などのサポート 期間によりインフラの入れ替えが必要になります。

 

インプリ手法

顧客要望ごとにカスタマイズが発生する場合もありますが、クラウドで提供され るアプリケーションの殆どはユーザー側で作業を行うことが可能で す。

クラウド シェアード・インプリメンテーションというやり方でカスタマイズなどの構 築を行なうのが一般的です。お客様側にシステム管理者を選任 いただき一緒に 構築を行ないます。これにより帳票や画面設計、フィールド追加など一つとって もお客様側で行うことが可能になります。また、これら が可能なのはアプリ ケーション自体がお客様側でカスタマイズ可能なように設計されているからで す。
ホスティング ブラックボックス化されている部分が多く、インプリやカスタマイズごとに 費用がかかります。また、ちょっとした作業をお客様側で行う 場合にもリスク を伴います。
オンプレミス ブラックボックス化されている部分が多く、インプリやカスタマイズごとに 費用がかかります。すべてのリスクはお客様側で担保する必要 があります。

 

アプリケーションのカスタマイズ

企業ごとにカスタマイズを行う場合にクラウドでは簡素化されているのが一般的 です。

クラウド 独自レコードの追加や管理項目の追加、ビジネスプロセスの変更やUIの調 整など簡単にカスタマイズが可能です。ほとんどの場合、コー ディング自体も 不要であるため、ユーザーがレポーティングなどをセルフサービスで作成するこ とが可能です。
ホスティング カスタマイズを行うことは可能ですが、ホスティング提供会社の状況により カスタマイズが制限されることもあります。また、カスタマイ ズが複雑なため に専任のITチームや外部リソースを利用する必要があります。
オンプレミス フルカスタマイズが可能です。カスタマイズが複雑なために専任のITチーム や外部リソースを利用する必要がありま す。

 

カスタマイズされたアプリケーションのアップグレード

カスタマイズしたアプリケーションであっても即座に最新版へ移行できる必要が あります。

クラウド 顧客企業ごとのカスタマイズは、アプリケーションやデータベースとは別の レイヤーで管理/設計されているので、アプリケーションの アップグレードにと もない原則そのまま利用することが可能です。
ホスティング カスタマイズは、アプリケーションやデータベースへの変更により行うため 慎重なアップグレードとテストが必要になりま す。
オンプレミス カスタマイズは、アプリケーションやデータベースへの変更により行うため 慎重なアップグレードとテストが必要になりま す。

 

スケーラビリティ

ユーザーごとに課金されるクラウドの場合、必要なシステムリソースが増加して も追加で課金されることはありませ ん。

クラウド ユーザーごとに課金されるアプリケーションの場合、必要なシステムリソー スが増大しても、サービス提供会社のオペレーションで管理さ れるため追加料 金は必要ありません。またIaaSやPaaSの場合に多く見られる追加リソース分のみ の課金などが可能で す。
ホスティング 契約に依存する場合が多いですが、必要なリソースに応じて別料金が必要に なることがあります。また最初から利用制限がかけられている 場合もありま す。
オンプレミス 必要なシステムリソースの増大に応じて、コンピューティングリソースを自 社で購入していく必要があります。

真のクラウドかを見分けるための10の質問

企業は真のクラウドアプリケーションを利用することにより多くのメリットを享 受することが可能です。しかし、その一方で真のクラウドかを見分ける ことが 難しいのも事実です。

このような場合のチェックシートを用意しました。是非、参考にしていただけれ ば幸いです。

質問1:バージョンアップは自動的に行なわれますか?

質問2:バージョンアップの際に別費用はかかりませんか?

質問3:稼働率などのサービスレベルは明確化されていますか?

質問4:ユーザー数の上限はありますか?

質問5:ディスクの上限はありますか?

質問6:カスタマイズは容易に行なえますか?

質問7:契約後すぐにシステムを利用できますか?

質問8:リモート接続の際にブラウザ以外で必要なソフトやハードはありますか?

質問9:月額の見積もりが直ぐに出せますか?

質問10:カスタマイズしてもバージョンアップは容易ですか?

今回、真のクラウドの部分の回答は、SaaSで提供されるNetSuiteを前提に行なっております。IaaSやPaaS、その他のSaaSアプ リケーションではサービス内容が 異なる場合もございますので、あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。

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