人時生産性を上げるには? 向上させるポイントを徹底解説!

 2023.05.23  クラウドERP実践ポータル

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企業の経営者であれば、人時生産性という言葉を一度くらいは耳にしたことがあるかもしれません。人時生産性は、企業経営において決して軽視できない指標です。本記事では、人時生産性の概要や労働生産性との違い、向上させるポイントなどについて解説します。

人時生産性を上げるには? 向上させるポイントを徹底解説!

人時生産性とは

投入したリソースに対し、どの程度の成果を得られたのかを示す指標を生産性といいます。生産性が高ければ、少ないリソースの投入で最大の成果を得られます。
人時生産性とは、1人の従業員が1時間働いたとき、どれくらいの粗利を得られたのかを示す指標です。
人時生産性の数値が高ければ高いほど、1時間のなかでより多くの生産を可能とし、利益の拡大につながります。

労働生産性との違い

人時生産性と似た言葉として、労働生産性があります。労働生産性とは、会社が投入した全リソースに対し、どれくらいの利益を獲得できたかを測る指標であり、人時生産性は労働生産性の一部です。

「公益財団法人 日本生産性本部」では、労働生産性について「労働生産性は『労働投入量1単位当たりの産出量・産出額』として表され、労働者1人当たり、あるいは労働1時間当たりでどれだけ成果を生み出したかを示すものです。」と記載されています。

労働生産性には、物的労働生産性と付加価値労働生産性の2種類があります。
物的労働生産性は、生産量÷労働量で算出でき、目に見える成果物で評価する点が特徴です。 物価の変動といった外部要因で変動する額ではなく、物の量を基準に評価するため、製造業などで用いられます。

付加価値労働生産性は、付加価値額÷労働量で算出します。新しく生み出したサービスや物の金銭的価値に対して従業員がどの程度の付加価値を創出しているかを測ります。

人時売上高との違い

人時売上高は、1人の従業員が1時間あたりに達成した売上高を示す指標です。どれくらいの成果を得たのかではなく、シンプルに1時間あたりの売上高のみに注目した指標である点が特徴です。

人時売上高は、売上高÷総労働時間で算出できます。人時売上高に着目すると、何人の従業員がいればどれくらいの売上を獲得できるのか、設定した売上を達成するために何時間の労働が必要なのか、といったことが分かります。人時売上高を適切に管理すれば、シフトを組む際の参考にできるほか、収益性を高めるためのヒントも得られます。

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人時生産性の向上が求められる理由

内閣府が公表した「令和4年版高齢社会白書」によると、日本の高齢化がいかに深刻な問題なのかが理解できます。
同資料によると、令和11年には人口が1億2,000万人を下回り、令和35年には1億人を切ると記載されており、今後日本の総人口は減少の一途をたどると予想されています。このまま少子高齢化と人口の減少が進めば、自然と労働人口も少なくなり国際競争力も低下しかねません。

また、日本の労働生産性は世界的に見ても低く、「公益財団法人 日本生産性本部 労働生産性の国際比較2022」によると、日本の時間あたりにおける労働生産性はOECDに加盟している38ヵ国のなかで27位です。また、1人あたりにおける労働生産性も、38ヵ国中29位と下位に属しています。
このような状況を打破するために、人時生産性の向上が必要です。個々の従業員が、限られた時間のなかで常にベストなパフォーマンスを発揮し、1人あたりの生産性を高めることに成功すれば、労働人口の減少にも抵抗できると考えられています。

人時生産性の算出方法

人時生産性は、粗利益高÷総労働時間で算出できます。人時生産性の数値が高ければ、従業員1人の1時間あたりにおける粗利率が高いと判断できます。
たとえば、粗利益が200万円、総労働時間が150時間だったとします。このケースでは、200万円÷150時間で計算し、人時生産性は13,333円です。
人時生産性の目安は5,000円と言われていますが業種によっても大きく異なるため、自身が関わる業種の特性を知っておくことが大切です。

人時生産性を向上させるポイント

人時生産性を高めるためには、少ない人員でも大きな成果を得られる労働環境を構築することが大切です。正しいポイントを踏まえて取り組みを進めましょう。

人材配置に気を配る

適材適所な人材配置をすることで、人事生産性の向上が見込めます。会社が大きくなればなるほど、優秀な従業員が沢山いる一方で効率の悪い働きをする従業員もいます。無駄な動きをする従業員がいる場合、なかなか収益が向上していきません。優秀な人でも、不向きな業務の場合、本来のパフォーマンスが発揮できていない可能性があります。そのため、従業員個々のスキルや経験、特性などを正確に把握したうえで配置をしなくてはなりません。

たとえば、タレントマネジメントシステムのようなツールを導入すれば、全従業員を対象にスキルや経験などを一元管理でき、適材適所な人材配置が実現します。
従業員のスキルや適性にマッチした人材配置により、モチベーションアップやパフォーマンスの向上が期待できます。従業員がより快適に業務を遂行できるようになり、生産性の向上が可能です。

業務効率化で労働環境を整える

労働環境の整備も必須です。従業員が働きにくい労働環境では、業務効率やモチベーションが低下し、生産性が下がってしまいます。
まずは現状の労働環境の把握から始めます。業務を洗い出してみると、慣習として行っているが、効率化には不向きな業務が見えてくるかもしれません。そのような場合は、いっそ業務自体をやめることも視野に入れて検討します。

現状を把握したら、残業時間が多い、余計な手間がかかっている、人員が少なすぎるなど、それぞれ課題を抽出します。あまりにも課題が多い場合、すべてに着手するのは現実的ではありません。課題のなかから、優先順位を決めて改善に取り組んでいきます。
業務の仕組みを変更することや職場の動線を改善することも業務効率化と生産性の向上に有効です。

ツールを導入する

ツールやシステムの導入によって、生産性の向上が見込めます。たとえば、RPAやERPといったツールの導入です。
RPAはRobotic Process Automationの略で、コンピューター上で行う作業を自動化できるツールです。メールの返信や情報収集、勤怠管理、顧客情報の登録といった業務を自動化できます。

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略で、直訳すると「企業資源計画」です。企業が有するリソースを一元管理できるシステムです。ERPには、販売管理や生産管理、購買管理、会計管理などの機能が実装されており、あらゆる情報を一元管理できます。求める情報をスピーディーに取得できるため、経営における意思決定のスピードもアップします。

ほかにも、工数管理ツールやマニュアル作成、共有ツール、プロジェクト管理ツール、コミュニケーションツールなどが生産性向上に有効です。

まとめ

労働人口が減少の一途をたどる日本において、今後も企業として発展を目指すのであれば、人時生産性向上への取り組みは必須です。そのためには、従業員が働きやすいよう職場環境を改善し、業務効率化も進めなくてはなりません。

ERPを導入すれば、組織が有するあらゆるリソースを一元管理でき、経営者はスピーディーな意思決定が可能です。内部統制の強化にも有効であるため、この機会にERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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