ERPパッケージとは?選定ポイントやおすすめの製品を紹介

 2020.05.11 

  クラウドで予算業務・管理会計改革!

ERPパッケージを導入することによって、業務プロセスの統合やデータ分析の負担軽減、経営判断の迅速化などさまざまなメリットを得られます。IT化や生産性の向上が叫ばれる現代ビジネスシーンにおいては、企業活動全体の業務効率化を実現するツールとして注目されています。本記事では、ERPの概要や導入メリット、導入する際の比較ポイント、おすすめのERP製品・サービスなどをご紹介します。導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

ERPパッケージとは?選定ポイントやおすすめの製品を紹介

ERPパッケージとは

そもそも「ERP」とは「Enterprise Resource Planning(企業資源計画)」のことです。部門を横断した情報共有と業務連携によって、経営資源を効率的に利用し、業務効率の向上や経営判断の迅速化につなげる考え方を指します。つまりERPパッケージとは、ERPの考え方の実現に役立つ機能が多く搭載されたシステムのことです。

「業務統合パッケージ」とも呼ばれており、企業にある人・モノ・カネなど経営資源の効率的かつ適切な分配をサポートする業務システムが集約されています。販売・生産・会計・人事など各管理システムを統合し、各業務分野で分断された情報までERPシステムで一元化できます。これによって、ムダな業務プロセスや情報分析にかかる手間が大幅に削減されます。情報が一箇所にまとまるため、経営状況もリアルタイムに把握しやすくなります。

ERPパッケージとは?選定ポイントやおすすめの製品を紹介

ERPの由来

ERPが誕生する前からベースになるものが実はすでにあり、1970年代に登場した「MRP」と呼ばれる管理手法が由来です。

MRPは「Material Resource Planning(資材所要量計画)」の略称で、必要なときに必要数だけ生産するために全体的な生産計画から必要な資材所要量を試算し、生産活動全体を部品表と生産計画でコントロールする手法のことです。

1980年には、生産活動以外にも適用される「MRP2」が登場し、適用範囲が人員や設備にも広がります。その後、1990年代に情報を一元管理する範囲が経営全体に拡大し、統合的な経営計画による事業活動や経営分析を可能にするために生まれたのがERPです。また、ERPの概念がシステムに落とし込まれ、ERPパッケージが販売されるようになったのも1990年代であり、1990年代後半から2000年代前半にかけては日本でもERPパッケージ導入が一大旋風となりました。

当時、日本企業で最もよく導入されたのが、独SAPのERPパッケージと「Oracle E-Business Suite」です。SAPにおいては、2027年にメインストリームサポートが終了されることから、「SAP 2027年問題」として多くの技術系メディアで取り上げられました。OracleやSAP社が提供するERPパッケージは、部門ごとで分断されていた情報蓄積や処理を統合管理するために開発され、現在でもERPは業務基幹システムとして多くの企業活動を支援しています。

ERPの機能

ERPに搭載されている主な機能としては、以下が挙げられます。

  • 生産管理
    製造の生産計画を効率的に進めるための機能です。適切な計画の立案や在庫管理をサポートし、品質向上やコストの削減に貢献します。作業効率を考えると、販売管理などほかの機能と連携できるほうが使いやすいでしょう。サービス業などで製造過程がない場合は不要な機能のため、業種によっては非搭載のERPを選ぶのもアリです。逆に製造業の場合は、生産管理に力を入れたERPを選ぶことをおすすめします。

  • 会計管理
    企業の売上などの財務情報を自動計算する機能です。財務情報は税務申告で使うほか、株主などのステークホルダーに経営状況を報告するためにも重要です。

    財務会計には法律で決まっているルールがあり、法規制に適合するように機能が作られています。管理会計では経営のための財務データを扱います。システム化によって計算ミスをなくしたり、お金のムダ遣いを見直したりする効果が期待できます。また、会計から経営判断をするための材料が得られます。

  • 販売管理
    商品の受注~販売までの一連情報を管理する機能です。販売管理に必要な機能は、企業の販売形態によって異なります。たとえば、Web通販・訪問販売・店頭販売などのスタイルがありますが、どれも販売プロセスが異なります。製品を選ぶ際は、自社の販売方法や販売スタイルの強みとマッチしているかどうかを確認したほうがよいでしょう。

ERPと基幹システムとの違い

基幹システムとは、企業の主要業務を支えるためのシステムです。業務ごとに独立して最適化されているため、システム間で連携する機能はありません。特定の業務の効率化に焦点を当てている点がERPと異なります。また、基幹システム同士を連携してデータのやり取りをするには、連携させるための別の仕組みが必要です。

一方でERPは基幹システムを一元管理し、経営判断を支援するための統合システムです。基幹システム同士をデータ連携する仕組みを提供しており、情報共有やデータ分析が自動化されて簡単になります。経営基盤の強化を重視し、経営判断の迅速化や組織の対応力を上げることを目的にしている点が、業務特化の基幹システムとの違いです。

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ERPパッケージの導入メリット

ここでは、ERPの導入によって得られるメリットについて掘り下げていきます。大まかには、情報共有やデータ活用がしやすい環境が整うため、それに伴ってさまざまな効率化が実現します。

スムーズなデータ連携

ERPパッケージの導入が進んでいない企業の多くは、部門ごとに個別最適化された基幹系システムを導入しています。つまり、経理には経理のための会計ソフト、人事には人事のための人事管理ソフト、給与計算には給与管理のための給与管理ソフトなど、それぞれの業務を効率化する専門システムが各部門で導入されている状況です。

このような個別最適化ソフトウェアの導入は、業務効率を高める手法として一時は注目されましたが、今では問題点も指摘されています。その問題点とは、部署ごとに独自に作り込まれた基幹系システムはデータ連携が難しく、分断的にしかデータを扱えないことです。ビッグデータやデータの利活用・分析が重視されつつある現代ビジネスにおいて、データ連携に支障があるのは大きな痛手となります。

その点、ERPパッケージは各部門の基幹系システムが統合(パッケージング)されているため、最初からデータ連携の環境が整っています。ERPパッケージによってデータベースやマスターデータがひとつに統合されることで、変化の激しい現代ビジネスに欠かせないリアルタイムなデータ分析が可能となります。

業務プロセスの統合

ERPによって、企業の業務プロセスを支える基幹系システムの業務プロセス統合が実現し、業務効率が向上します。部門ごとに独立した業務システムを使っている企業では、基幹システム同士の連携が取れず、部門間での情報共有やデータの円滑な移動もしにくいでしょう。これによって生産性の低下や人的ミスが誘発されます。たとえば、情報伝達ミスやデータの二重打ち込み、必要なデータの抽出を手作業で行うといった余計な手間が発生し、非効率な作業に時間を取られかねません。

ERPパッケージを導入することにより、独立し分断していた基幹系システム同士がシームレスに連携できるようになります。各業務プロセスもERPシステムで一元管理でき、部門を横断して必要な情報を簡単に把握できます。たとえば、営業担当者が受発注管理システムと連携された在庫管理情報を確認し、正確な在庫情報を把握できれば、納期回答も格段に速くなるはずです。また生産部門は、需要を予測しながら生産体制を構築しやすくなります。

さらに、データの一元管理によって業務標準化が実現するため、属人化の防止にもつながります。権限移譲や代理処理などの機能に対応する製品もあります。

システム構築・運用の負担軽減とコスト削減

ERPによってシステム構築や運用負担の軽減、コスト削減が可能です。部署ごとに基幹系システムが独立・分散していると、運用管理業務の数がその分増加し、情報システム担当者に大きな負担がかかります。そんな状況でERPのスクラッチ開発などを進めれば、情報システム担当者の負担は計り知れないものとなります。

それだけではありません。経済産業省が発表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(サマリー)』によれば、統合されていない古い基幹系システムを運用し続けることで、数年後にはIT予算に占める運用管理コストの割合が9割以上に達し、有効的なIT投資がより難しくなると指摘されています。

しかしERPパッケージなら、運用負担や古いシステムの問題も解決可能です。既存の製品を導入することで、新規のERP構築予算を削減できます。また、ERPパッケージによって基幹系システムが統合されることで、情報システム担当者が運用管理すべきポイントも集約され、負担の軽減につながります。社内にクラウドERP運用のナレッジがない場合も、ERP提供企業のベストプラクティスを取り入れることで、早期に効率的な業務管理の実現が可能です。

リアルタイムでの経営状況の把握

ERPパッケージを導入すると、経営状況の可視化がリアルタイムにできるようになります。常に最新のデータがERPシステムに蓄積されていくため、タイムラグがありません。

従来のような各部門で個別に処理するシステム環境の場合、システムごとにデータ抽出をしてExcelで加工するなどの手間が発生し、非効率でした。何より、データ分析の結果がまとまるまで時間がかかるため、完成した頃にはデータの鮮度が失われています。デジタル化の浸透により対応の素早さが求められる現代において、少し前の状況を示すデータを見ていては、正確な経営判断は下せないでしょう。

ERPパッケージを導入すれば、データ収集や加工は自動化されて、分析にかかる手間がなくなります。BI(ビジネスインテリジェンス)機能でデータ分析を行えば、リアルタイムな経営状況や収集された各部署の情報を眺めながら戦略を立てられます。

内部統制の強化

EPRの導入で、監視体制の強化と内部脅威のリスクを減らすことが可能です。2007年に上場企業の内部統制を義務付ける法律が施行されているため、上場企業は「業務の有効性と効率性」「財務報告の信頼性」「法令の遵守」「資産の保全」といった要件を満たさなければいけません。現在では上場企業のみならず、中小企業でも内部統制は重要視されています。

ERPには、業務有効性と効率性を確保しながら各基幹系システムのイベントログ情報を収集する機能があります。システムの利用状況やイベントのログが残るため、不正が発生してもその証拠が残ります。

また、ERPの正確な財務会計機能によって、会計不信を払しょくする環境も整えられます。最近では、コーポレートガバナンス体制を強化する目的でERPパッケージを導入する企業も少なくありません。

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ERPパッケージの種類

ここからは、ERP製品の主な種類を機能別・導入形態に分けてご紹介します。種類や形態ごとの特徴をよく比較し、自社に適したものを検討しましょう。

【機能別】ERPパッケージの種類

ERPパッケージの種類は大きく3つに分類できます。企業の規模やERPの導入範囲によって、適するタイプは異なります。

ひとつ目の「統合型」は、経営に求められる会計・販売・人事・生産管理などの業務システムと、情報を統合するデータベースが総合的に搭載されているERPパッケージです。DXの推進やデータ活用に力を入れたい場合は、統合型の採用で効率的にシステムの刷新を図れます。国内・海外製品が豊富にあるため、導入製品の選択肢が多いのも特徴です。

2つ目の「コンポーネント型」は、必要な部門に絞って導入するタイプです。販売管理と会計だけなど、必要な分だけ導入できるためコストも安く済みます。柔軟性・拡張性に優れ、組織の状態に応じてあとから必要な機能の追加や拡張ができるなど、カスタマイズ性の高さが統合型と異なる点です。

3つ目の「業務ソフト型」は、個別の業務に導入するタイプです。人事・会計・生産管理など単独の業務に特化しているシステムで、今でも多くの企業が活用しています。ほかのERPパッケージよりも導入範囲が狭いため、低いコストでスタートできます。部門数が少なく、部分的な導入でも十分足りる小規模な事業者の方におすすめです。

【導入形態別】ERPパッケージの種類

ERPパッケージを導入形態で分けると、主に2種類あります。

そのうちのひとつが「クラウド型」です。インターネットを通じて、ベンダーが提供するオンライン上のアプリケーションにアクセスして機能を利用します。自社に新しくサーバーなどの設備を用意する必要がなく、ハードウェアの導入費用がかからないため、導入のハードルが低いという理由でクラウド型を選ぶ企業も少なくありません。一方で注意点として、インターネットの接続障害でオフラインになるトラブルに弱い点が挙げられます。また、セキュリティ面が弱いという意見もありますが、近年はセキュリティ対策に力を入れているベンダーも多いため、あまり心配する必要はありません。

もうひとつの「オンプレミス型」は、ERPパッケージの導入に必要なサーバー・ネットワーク設備を購入して、社内に設置するタイプです。自社でインフラを構築するためカスタマイズ性が高く、独自機能を搭載することも可能です。既存システムとの連携が取りやすいうえ、セキュリティ性にも優れており、情報漏洩のリスクも低く抑えられます。ただ、ハードウェアの設置費用がかかるため、導入コストはクラウド型よりも高額です。

ERPパッケージの比較ポイント

製品を選定・比較する際は、以下のポイントに着目することが大切です。

機能面

製品を選ぶときは、自社にとって必要な機能が備わっているかどうかが重要です。多機能な製品は一見すると便利そうですが、使う機会のない機能があっても逆に邪魔になります。機能が多いほど価格も高くなるため、使わない機能が多いと支払った費用がもったいないでしょう。そのため、予算を決めたうえで、自社にとって必要な機能が絞り込まれている製品を選ぶようにしましょう。

選定しやすくするには、自社の解決すべき課題を明確にする必要があります。課題が分かったら、それらの解決に必要な機能を洗い出しましょう。たとえば、データの収集や分析に時間がかかるなら、データ周りの作業を自動化できる機能が必要と判断できます。

また、導入自体を目的にするとそれだけで終わってしまいかねないため、「経営の効率化」などの目的を持ちながら取り組みましょう。カスタマイズ性が高く、あとから拡張できるタイプのERPもあるため、全体の改革が難しいと感じる場合は、部分的な導入から始めてみるのがおすすめです。

操作性

製品を導入する準備段階では、操作性の確認も重要です。使いにくい・操作しづらい製品を選んでしまうと、全体の生産性を損ねるうえ、せっかく導入してもあまり活用されない結果に終わる可能性があります。

また、ITリテラシーは人によって差があります。一部の人しか扱えないようでは属人化の原因となり、望ましくありません。使いにくい製品を導入した結果、教育コストなどが別途発生する場合もあります。

製品によって使用感が異なるため、事前に無料トライアルを活用し、操作性などをチェックしてから導入の是非を判断しましょう。実際にERPを使う現場の担当者の意見を聞くこともおすすめです。

導入・運用コスト

費用がどれくらいになるかも重要なポイントです。初期費用はもちろん、ランニングコストも製品を比較する要素に加えておきましょう。

費用を比較する際のポイントになるのが利用形態です。クラウド型とオンプレミス型では、かかる費用が大きく異なります。導入コストの低さで見ればクラウド型が安価ですが、ランニングコストまで含めるとまた話が変わり、ユーザー数に応じて利用料金が上がるケースも少なくありません。

オンプレミス型は、複雑な要件や独自の機能に対応しやすい強みがあります。ITに強い担当者がいれば、あとから必要に応じて柔軟なカスタマイズも可能です。ただし、環境構築などの初期費用が高額なうえ、メンテナンスなどの運用負担が大きくなりがちです。

安くても必要な機能が使えなければ意味はありません。逆に、高価で機能が優れていても、使いづらければ生産性を下げてしまいます。大切なのは、コストだけで判断せずに、必要な機能・操作性・コストを総合的に見て決めることです。

主要なERPパッケージ一覧

ここでは、ERPパッケージの中でも有名な製品をいくつかピックアップしてご紹介します。

NetSuite(Oracle社)

「NetSuite」は、Oracle社が提供するERPシステムです。3万1,000社を超える世界中の顧客が利用している実績があります。財務や顧客管理、コマースなどの主要な業務プロセスの機能が、単一のビジネス管理ソフトウェアで提供されます。

2022年現在は、顧客エンゲージメントモデルとビジネス最適化手法が集約されたシステムとして、「NetSuite SuiteSuccess」という名称に変わって提供されています。以前と比べて導入に必要な工程のムダが省かれた設計になっており、90日を目安としたスピーディな導入が可能です。また、導入価値をすぐにでも実感してもらえるように、業務用ダッシュボードを最初から作成した状態でスタートできます。運用開始後も日本語サポートがあるため、いつでも相談可能です。

低価格でERPの導入ができ、中小企業やスタートアップなどこれからビジネス成長を目指していく企業にもおすすめです。拡張性のあるソフトウェアゆえ、事業規模の拡大に応じて柔軟に必要な機能を追加できます。業務分析機能も標準装備されており、最新情報に基づいた経営判断がしやすくなります。
参照元:https://www.netsuite.co.jp/company/why-netsuite.shtml

料金は、10ユーザー想定で月額20万円~から利用できます。契約は1年単位です。具体的な導入価格については、問い合わせで見積もりを取る必要があります。14日間の無料トライアルの提供があるため、使用感を確かめてから検討してみるとよいでしょう。

Oracle Fusion Cloud ERP(Oracle社)

「Oracle Fusion Cloud ERP」は、Oracle社が提供する有名なクラウドサービスです。グローバル展開する企業から利用され続けてきた実績と知見・経験があり、本サービスでもそれは活かされています。

導入により、財務をはじめ調達・プロジェクト管理、リスク管理、EPM、サプライチェーンなどの管理業務を一元化できます。製造や物流などの業務もカバーしており、企業活動に必要な情報を集約できます。分析機能も充実しており、AIによるリアルタイムな分析結果を提供して、経営判断を支援します。

データモデルが統一されたモジュール型仕様のため、必要なときに必要な機能の導入が可能で、企業の方針やペースに沿って機能を拡張できます。また、オンプレミスからの移行に成功させてきた実績が厚いため、古いシステムのアップグレードを検討しているケースの移行先として適しています。

具体的な利用料金やプランは公開されていないため、導入費用については問い合わせと見積もりで確認を取る必要があります。デモ版があるため使用感を事前にチェックできるのも魅力です。

SAP S/4 HANA Cloud(SAP社)

「SAP S/4 HANA Cloud」は、あらゆるビジネスニーズに対応するクラウド型ERPソフトウェアです。SAP社のERPは、50年にわたってあらゆる業界・地域で活用されており、定番のような存在です。機械学習機能にも対応しており、膨大なデータを効率的に扱い分析できます。

財務・製造・人事・サプライチェーン・調達と購買など、企業活動に必要な機能を包括的に搭載しています。モジュールタイプのため、導入する機能を企業規模や事業に合わせて選択可能でき、あとから必要になったアプリケーションを拡張することも可能です。

利用料金はサブスクリプションベースになっており、正確な料金を知るには見積もりや問い合わせが必要です。14日間の無料評価版が利用できるため、導入するかどうかはデモを使ってみて決めるとよいでしょう。

Microsoft Dynamics 365(Microsoft社)

「Microsoft Dynamics 365」は、営業・マーケティング(顧客管理)・サービス・財務・コマース・サプライチェーンなど、経営や業務プロセスに必要なソリューションを総合的に提供します。一気に全体に導入できますが、必要な機能だけ部分的に利用する使い方も可能です。Microsoft社が提供しているため、OfficeやPower Platformなど、ほかのMicrosoft製ツールと標準で連携できます。以前からExcelやWordを活用していたなら、データの一元化は容易でしょう。

料金は、導入したい事業分野のアプリケーションごとで異なります。種類自体は10種類の中から選べます。分野ごとにさらにプランが分かれており、料金にも違いがあるため、吟味して自社に適したものを選ぶ必要があります。月額料金は1ユーザーまたは1テナントあたりで増額します。以下、代表的なプランを抜粋してご紹介します。

  • Customer Data Platform(Customer Insights:月額16万3,070円/1テナント)
  • Sales(Sales Enterprise:月額1万330円/1ユーザー)
  • Service(Customer Enterprise:月額1万330円/1ユーザー)
  • Marketing(最低料金月額16万3,070円/1テナント)
  • Commerce(月額1万9,570円/1ユーザー)
  • Supply Chain(Supply Chain Management:月額1万9,570円/1ユーザー)
  • HR(Human Resources:1万3,050円/1ユーザー)
  • Finance(月額1万9,570円/1ユーザー)
  • Project Management(Project Operations:月額1万3,050円/1ユーザー)
  • Small and medium business(Business Central Essentials:月額7,610円/1ユーザー)

分野ごとのその他プランと料金については、公式の料金ページをご参照ください。

OBIC7(オービック社)

「OBIC7」は、オービック社が提供する統合業務ソフトウェアです。国内で高い導入実績があり、中堅~大手の企業で多くのシェアを獲得しています。会計を中心とした基幹システムと、幅広い業種・業務に対応したワンストップソリューションサービスが魅力で、企業にマッチした業務統合・効率化を実現するERPシステムの提供を目指しています。クラウドタイプにも対応しており、サポート体制も充実しています。

利用料金やプランは公開されていないため、導入を検討している場合は問い合わせで見積もりの取得が必要です。

ERPパッケージ導入時の注意点

最後に、製品の導入にあたって注意しておきたいことをご紹介します。

導入前に目的・ゴールを明確にする

製品の導入によって、企業や部署で何の目的を達成したいのかを明確にしておきましょう。無計画なままで進めると要件定義がしっかりできないうえ、自社に適したものを選定するのが難しくなります。本来、必要である機能がない製品や、業務に合わなかったり使いにくかったりする製品を選んでしまうなどの失敗をする可能性も高くなるでしょう。

そうした失敗を防ぐためにも、事前に企業や部門が抱えている課題を洗い出す工程が大切です。課題が明確になれば、ERPに必要な機能や条件が合う製品がどれか分かりやすくなります。また、現場での運用を円滑に進めるためにも、ERPを利用するメリットを社員に説明しておくことも大切です。

運用環境を整える

導入後のことを考えて、事前に運用環境を整備しておくことも重要です。運用の成功は、社員が製品を上手に活用できるかどうかにかかっています。そのため、導入時の周知はもちろん、操作方法の教育や導入プロジェクト関係者との打ち合わせ、ERPを活用した新しい業務プロセスの構築など、すべきことは多くあります。

ほかには、セキュリティ対策のチェックもしておいたほうがよいでしょう。企業の重要な情報を蓄積したERPシステムがサイバー攻撃に弱い状態にあると、情報漏洩などの問題が発生し、企業の信用問題に発展するおそれがあります。そのため、セキュリティ対策の強化や社員のセキュリティ意識向上、情報の扱い方の教育などに努めることが大切です。

まとめ

ERPパッケージとは、部門を横断した情報共有と業務連携を可能にするツールのことです。あらゆる業務システムがツール内に統合され、業務効率の向上や迅速な経営判断のサポートを行います。

導入のメリットは、部門間のデータ連携の円滑化や業務プロセス統合による生産性向上、リアルタイムな経営状況の把握、内部統制の強化などです。ERPパッケージの採用によって、情報システム担当者の負担も軽減できます。

ERP製品にはさまざまなものがリリースされていますが、主要なものとしてはOracle社のNetSuiteやOracle Fusion Cloud ERPなどがあります。費用や機能性、操作性など多角的な観点から比較し、自社に適した製品を選定することが大切です。

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