原価差異とは? 求め方や分析のポイントを解説

 2022.06.07  クラウドERP編集部

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原価差異は、製品製造時にかかる原価を分析し、必要な支出を管理するために役立つ方法です。原価の無駄をなくすためには原価差異を取り入れて適切に管理する必要があります。原価差異や原価分析について、特徴や目的、気をつけたいポイントなどを解説します。

原価差異とは

原価差異とは、標準原価や予定原価と、実際原価との差額のことです。製品製造にかかった原価などを基に標準原価を予測してから、その標準原価を目安に製造を行い、発生した実際原価との差を算出します。最終的にはその差額を分析して原価管理に活用します。
原価差異には複数の種類があり、原材料費差異、直接労務費差異、製造間接費差異に分けられ、本記事で取り扱う製造間接費差異はさらに操業度差異、予算差異(変動費差異・固定費差異)などに分類されます。
操業度差異とは、製造間接費配賦額と実際発生額の差額のうち、予定操業度と実際操業度の違いにおける差異のことです。
また、変動費差異と固定費差異は、製造間接費と基準操業度で算出される予算と、実際の支出額を変動費と固定費に分けて算出した差異です。それぞれ予算と実際の金額を計算後、比較して出した差額を分析に活用します。

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原価差異分析について

原価差異分析は、原価差異を分析してどんな差異が生じているかを明確にする分析手法です。原価上の無駄を明確にして利益の改善につなげられます。

原価差異分析とは

原価差異分析とは、標準原価と実際原価両方を計算し、差を求めて分析に活用する手法です。これまでの実績に基づいて算出した標準原価と、実際にかかった原価を使って計算し、どれだけの差異が発生したか、その発生原因がどこにあるのかなどをあぶり出します。
原価は企業の利益に直結するため、標準原価よりも実際原価の方が高額だった場合、利益は少なくなり、その反対では得られる利益が多くなります。原価の差異は、事業、部門、製品別など必要な区分ごとに算出することが大切です。各区分での分析により、差異が発生した原因を調べられます。

原価差異分析の目的

原価差異分析は、発生した原価に無駄や問題がないかチェックして利益の向上につなげる目的で行います。最初に基準にした標準原価と比較して実際の原価が多過ぎないかなど、分析により比較・確認できます。利益向上のためには、売り上げの増加だけでなく、費用や原価などの無駄を効率よく削る必要もあるため、原価差異分析は経営計画の策定に重要な役割を担います。実際の原価が予定よりも多いケースでは、業務内容を見直し、効率化することによって利益の向上につなげられます。

製造間接費の予定配賦・差異分析は、「シュラッター図」を用いて分析する方法もあります。「操業度差異」のケースでは、「(実際操業度-基準操業度)×固定費率」の計算式で差異の算出が可能です。操業度の違いと固定費率から差異がわかり、固定費が有効に利用されているかを示します。

また、「変動費差異」と「固定費差異」は、「実際操業度に対する予算許容額-実際発生額」で計算でき、変動費では「変動費率×実際操業度+固定費率×基準操業度」で予算許容額が算出できます。固定費では、予算許容額を「年間固定予算÷12ヶ月」で簡単に計算できます。「変動費差異」「固定費差異」からは、生産効率の高さを把握可能です。

原価差異分析のポイント

原価差異分析は、リアルタイムに精度の高いデータを収集するなど、ポイントを押さえて行うとより分析結果を自社の利益改善に活かせます。

リアルタイムでデータを収集

データの収集をリアルタイムで行うと、必要なときにすぐ活用でき、原価差異分析を実施できます。これまでは、毎月集計するタイミングで月次の原価差異分析を行うケースが一般的でした。このケースでは毎月決まったときにしかデータを活用できないため、月の途中でこまめに分析結果を確認したいといったニーズに対応できません。
近年では、IoT技術の発達によりシステム上のデータをリアルタイムで収集できるようになりました。そのため、原価差異分析を行う際にわざわざデータを収集・集計をとる必要がありません。そのため、月の途中に分析を行いたい場合、いつでもすぐに集計を行って原価差異・分析を実施できます。このように直近で発生している問題を明確にして、問題解決のための施策を早めに立てたい場合に役立つ手法となりました。

精度の高いデータを収集

精度の高いデータを収集できるほど原価差異が発生した理由を明確にできるため、効率よく解決策を検討できます。データの精度を高めるには、入力の段階からチェック、収集まで、正確なデータを用いることが大切です。詳細なデータを集めたら、さまざまな項目などから分析して問題点を把握、適切な解決策を検討しましょう。
詳細なデータの取得はIoT機器の利用がおすすめです。入力に問題がないか、必要な項目から多角的に分析が可能かなど、活用しやすいデータから精度の高い分析を行うことで、発生している課題を絞り込み、解決に活かせるでしょう。

原価差異分析を原価低減につなげるには

原価差異分析を活用して原価を抑えるためには、目標に適した標準を設定する、原価差異の項目ごとに責任の所在を明確にする、データを参照する情報基盤の構築することが大切です。原価差異から分析まで適切に行い、原価を抑えるためには、設定やシステムの導入などがおすすめです。

目標に値する標準を設定する

原価差異分析を効果的に行うためには、標準原価を目標値として定めることが大切です。製品製作の際、実際原価の数値を標準原価に近づけることを意識すれば無駄部分を最小化できます。そのため、標準原価における適切な目標値の設定は、必須です。標準原価が比較的多額だったり少額だったりすると、目指すべき状態と乖離するため、効率化を図れません。実際にどの程度の数値にするべきか、これまでの実績などから目的に適した数値を設定しましょう。

原価差異項目ごとに責任の所在を明確にする

原価差異については、責任の所在を明確に定めておかなければなりません。会社の規模が大きくなると、原価の管理や目標達成まで率先して進める担当者が必要になります。原価差異は、通常、事業、部門、製品などに分けて行います。そこで部門ごとに担当者を定めておくと、効率的な原価管理が可能です。これによって、活動に対する決済などにかかる時間の削減もでき、迅速な対応が取れる体制が構築できます。

詳細データを参照できる情報基盤を構築する

原価差異分析には、詳細データを参照できる情報基盤の導入がおすすめです。手動でデータを集めたり、必要なデータをその都度収集したりする手間が不要になり、リアルタイムで詳細なデータを参照できるので、分析も手軽に行えます。「原価差異を確認→分析→改善への対応→検証」のPDCAサイクルを回すためにも、データを直接参照、活用できる情報基盤が役に立ちます。

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まとめ

原価差異とは、標準原価と実際原価との差額のことです。製品製造時にかかる目標値を標準原価として実際にかかった原価との差額を分析・管理すると、原価に発生している無駄や問題を確認できます。原価差異分析は、IoTの導入によって、リアルタイムでより詳細なデータの収集が可能で、基幹業務システム(ERP)の導入で収集したデータを効率よく閲覧、処理できます。財務会計管理システム、生産管理システム倉庫管理システムなど、原価差異に関係するシステムをはじめ、幅広いシステムを効果的に利用して、基幹業務の効率化に繋げましょう。

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