最新のダイエットから学ぶ経営改善:最初の壁の突破と見える化、そしてリーンであること

 2016.02.18  Kii株式会社 齋藤 和紀 氏

グローバル標準のクラウドERP

最近「ものすごく痩せたね」と会う人会う人皆から言われます。

それもそのはず、昨年末から約4ヶ月間で約20kg!も痩せ、以前はかなり太めだった私の体型は年末年始を挟んだ4ヶ月程度でかなりすっきりになりました。

今話題になっているFiNC社のダイエット家庭教師というプログラムを使ってダイエットをしたのですが、プログラムが提供されていた2ヶ月で15kg減り、その後もゆっくりですが体重は減り続けています。

プログラムの内容は、簡単に言うとスマートフォンのアプリでコーチングを提供するというものです。と言うと非常に簡単な仕組みに見えますが、そこには結果に導くための驚きのカラクリがいっぱいあり、得られたものは一見関係のないように見えるベンチャー企業の経営にも十分色々といかせる物でしたので紹介します。(Finc社の回し者ではないので念のため。プログラムの詳しい内容は是非ともFiNC社へ)

最初の壁の突破

ダイエット・プログラムの中心は徹底した食事改善です。いやいや、そんなのは100も承知、普通はこの食事改善が辛いからこそダイエットがなかなか続かないんですよね。ご飯を茶碗に山盛り食べ、スイーツを好きなだけ食べていた怠惰な生活習慣を変えるのは非常に大変なのです。そこでこのプログラムで取り入れられているのがプログラム初期と中間ポイント(停滞ポイント)でのブーストアップ、つまり、ファスティングです。

ちゃんと指導してくれるとはいえ、正直一日食事なしは辛い。特に最初のファスティングは相当の苦しみでした。しかしながら、このブーストアップがあったからこそ、その後の食事改善は比較的楽だったと思います。内臓に休息をとらせ、“これから起こるべき大変化の準備をさせる”という意味も合ったのでしょう。

ベンチャー企業に同じことはいえます。経営者には変化を継続的に起こすことが必要です。どんな企業にも、どんな経営者にもScared Cow(神聖な牛、聖域の意味)と化している部分があります。その多くは今までの成功体験に基づいたものであり、今の会社の姿を形作っている基礎となる物です。

それは会社の組織であったり、プロダクト自体であったり、出荷サイクルであったり、契約フローであったり、会計システムであったりします。しかし、会社は常に新たな状況に対応していかなければいけません。経営者は常に会社内の聖域を壊し、変革していかなければいけないのです。

変革は車の発進と同じです。0を1にするのはものすごい労力が要ります。しかし、一度発進してしまえば、1を2にするのも10にするのも発進時に必要なパワーに比べれば楽なものです。そこにダイエットの教訓が行きます。経営者が変革を成し遂げたい時、まずは最初のブーストアップに一番の力を注ぐべきなのです。それは従業員に心の準備をさせるということにも繋がります。Scared Cow(神聖な牛)は重要ですが、その牛のステーキは最高の味かもしれません。

適切なレベルの見える化

ダイエット・プログラムでは、スマートフォンアプリの中で徹底的に見える化を行います。プログラム受講者はスマートフォンアプリに全部の食事、朝晩の体重、日々のセルフィー等を一元的にダッシュボード化して管理していきます。投稿すればポイントが付きますが、投稿しないとポイントが減るのでインセンティブになります。

【事例】あきんどスシロー
【事例】株式会社MonotaRo

また、プログラム開始前には、遺伝子検査や血液検査、質問回答による綿密なデータシートを作成します。今現在の自らが置かれている立ち位置をはっきりさせるのです。定量的なデータ以外にも、スマートフォンアプリがSNS的に機能することにより、コーチは定性的な嗜好や属性を知ることができます。

KPIを設定して継続的にデータを見ることはベンチャー企業経営においての初歩の初歩ですね。しかし、気を付けなければいけないことは、KPIが不適当であったりはたまたそもそも場違いなものであったりする場合が往々にしてあることです。

例えばものすごく簡単な例で銀行からの借り入れを考えましょう。経営者はまず、銀行からの借り入れは本当に返せるのかを検討しなければいけませんが、それを推し量るには過去の損益計算書や貸借対照表は何の意味も成しません。なぜなら、返せるか返せないかは、過去の損益ではなく将来のキャッシュフローに関わるからです。

そして、ファイナンスでは、銀行借り入れは将来の購買力の先食いを意味します。まず明確にしなければいけないのは、時系列でのキャッシュの動きの把握であり、先食いをすることにより将来の購買力を加速化できるかの意思決定です。これがちゃんとわかっていれば適切なアセット・ライアビリティマネジメントができます。家計簿をつけていないがために、不安になってしまって必要以上に早く返済してしまうのは家のローンの話ですね・・・

また、大企業に割とよくある問題が完璧すぎるKPIをつくる例です。私の経験から言えば、KPIの指標は戦略に合わせて常に変わるもの。そしてKPIの精度は8割で良い。それにも関わらず数字がないと判断できない未熟なマネジメントの為の資料に、膨大な時間を要する。挙句の果てにマネジメントが希望する結果が出るKPI数値を恣意的に導く。なんてことが往々にしてある気がします。必要最低限なKPIが組み替えて自由に作れるフレキシブルなクラウドERPなどを導入しておくべきでしょう。

継続的フィードバックの仕組み

誰でもそうでしょうけど、高いモチベーションを続ける為には、フィードバックがちゃんと返ってくるということが重要です。

ダイエット・プログラムではそこに相応の労力が割かれています。スマホにアップロードした食事やセルフィーに対して、日夜問わずスタンプ付きでちゃんとしたコメントが栄養士さんから届きます。(いくつかの紹介サイトでは美人家庭教師と紹介されています。実際どうかわかりませんが・・・・・、少なくともそう錯覚させることには十分意味があると思われます。)コメントを返してくる栄養士さんも、時間などを鑑みるに、おそらくスマホなどのモバイルデバイスでアクセスしているのでしょう。

なるほど、対面でいる必要もオフィスにいる必要もないわけですから、これならば子育て中や介護中だったりしても、定期的に一定の時間を融通することができればできるお仕事なわけです。一種のシェアリング・エコノミーですね。

モチベーションを続けるためにはフィードバックが必要なのはどの世界でも同じです。メッセージアプリの既読スルーが子供のコミュニティーで問題になるように、会社でも上司が指示だけしてフィードバックを返さないと部下はやる気を失ってしまいますよね。忙しさにかまけて、メールへの返信遅れていないでしょうか。承認、保留にしたままにしていないでしょうか。

ここでも役立つのはモバイル・コンピューティングです。メールでもクラウドERP上での承認でも、今は電車の中のちょっとの時間、タクシーの中のちょっとの時間で対応することが可能です。うまくモチベーションを高めるためにフィードバックを返していくこと、またそれができるツールを入れていくことは経営者の責任だといえるでしょう。

同じく、ベンチャー企業がサービスを構築していく際にも、このフィードバックの概念が必要だと考えています。例えば、e-mailで問い合わせをした際、コールセンターに電話をかけた際、たいていの顧客は問題解決したらそのことを思い返しすらしないでしょう。お気に入りの店でコーヒーを飲むとき、お気に入りの店でショッピングをするとき、顧客はコーヒーを飲む以上の何かを求めているはずです。温かみのあるフィードバックを返し続ける仕組み、顧客が“ケアされている“と感じる仕組みをつくることはベンチャー企業にとっては大きな差別化要因になりえます。

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リーンであること

以前、リーン・スタートアップという本がはやりました。リーンとは筋肉質であるということです。

ベンチャー企業は多くの荒波を超えて大きくなります。その間、厳しい時代を経て縮小したり勢いにのって急拡大をしたりということが繰り返し起きます。だからこそ如何にサービスと組織をリーンに保つかということが必要になります。

ファイナンスの観点から言えば、リーンに保つというのはなるべく固定費化せず変動費化しておくことになります。例えば、サービス開始時から事業計画に応じて大量のサーバーを買うといったことや、身の丈に合わない人数を採用するといったことです。

ベンチャー企業は、なるべく外部のサービスを使い、支援者を頼ってスケールを変えられるように、リーンになっていなければいけません。そして、贅肉がつきすぎたなと感じたらダイエット・プログラムを進めるべきなのでしょうね。

ところで、ダイエット・プログラムは決して安くありません。もちろん価格に見合うサービスが受けられるからこそその価格が設定されているのでしょうが、金額面のハードルが高いほどコミットメントレベルは高くなるのは間違いないでしょうね。

著者紹介

kii_saito_sama齋藤 和紀氏
(Kii株式会社 ファイナンス・ディレクター兼コントローラー)

2013年9月Kii参画。以来、成長期にある同社の管理部門全般を統括。シリコンバレーを主とした海外投資家、シリコンバレー大手IT企業からの資金調達をリードし成功させている。それ以前には、米大手石油化学メーカーの国内10社以上の経理業務を統括する国内グループの経理部長や、米系コンピューター会社日本法人のファイナンスマネージャーの要職を歴任し、成長期や過渡期にある企業を財務経理のスペシャリストとして支えてきた。2008年には金融庁国際会計調整室において政府のIFRS採用計画策定に参加。早稲田大学卒、同大学院ファイナンス研究科修了。

Kii株式会社について

Kii株式会社は日本発のグローバルなIoTプラットフォーマーとして注目のベンチャー企業です。同社の中核サービスである「Kii Cloud」IoTプラットフォームや同社が北米を中心に展開する「Space」IoTエコシステムは、世界中の大企業からスタートアップに至るまで、様々なIoT製品やモバイルアプリを支えるツールとして利用されています。シリコンバレー、東京、上海、香港、台湾、スペイン、ロンドンにメインのオフィスを置き、グローバルに事業を展開しています。Kiiは業務革新にも最先端技術を積極採用、シリコンバレースタンダードのクラウドERPであるネットスイートが急成長するKiiの事業基盤を支えています。

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