クラウドERPとは

 2015.05.19  クラウドERP編集部

クラウドERPは、従来オンプレミスソフトウェアとして提供されていたERP(統合期間業務システム)パッケージの機能をクラウド環境で使えるようにしたアプリケーションの総称です。

ERPをオンプレミス環境で導入する場合に比べ、コストや導入期間など多くの点で評価されており、競争が激化する現代社会において柔軟な展開が可能であるため多くの企業で採用が進んでいる。

クラウドERP躍進の背景

調査会社のデータによると日本国内でのクラウドERPの導入企業は、現状それほどではないと報告されている。しかし、約4割の企業がクラウドERPに高い関心を寄せているという。また、北米においてはもはやクラウドERPは市民権を得たといっても過言ではないほど、あたりまえのように導入されていることを鑑みると、明らかに日本でも採用が加速すると捉えるのが普通であろう。

その背景として、多くのユーザー企業が従来型のオンプレミスERPに対する課題や不満があると言われている。1990年代に全盛であったオンプレミスERPの登場は、コスト削減や現場の生産性向上、あるいは全体最適化、データ標準化といった期待を一心に背負っていた。その一方で、必ずしもそれらの期待に応えることができていない現状があるのも事実だ。また、維持・メンテナンスコストの増大や柔軟性の欠如などに加えて、ビジネスのグローバル化や持たざる経営を実践するクラウド容認企業の台頭がオンプレミスERP離れを物語っているといえよう。

それではクラウドERPのメリットは何なのだろうか。たとえばクラウドERPの場合、海外拠点向けに財務会計や販売管理といった機関システムが必要な場合、クラウドERP提供ベンダーとの契約とコンフィグレーションのみで利用を開始できるようになるため、従来型に比べて圧倒的に短期間かつ低コストで導入が可能になるのだ。もちろんこれらの特性を利用してスタートアップや成長企業などIT資産を持たざる経営を実践している企業などにも、事業に集中できるため魅力的に映るのではないだろうか。

クラウドERPの3つのタイプ

一般的にメディアや市場ではクラウドで動作するERPをひとくくりに「クラウドERP」としている。しかし、それを紐解くと大きくは3つ「プライベートクラウドERP」「パブリッククラウドERP」「ハイブリッドクラウドERP」に大別される。それぞれを説明しよう。

プライベートクラウドERP

プライベートクラウドERPは、既存のオンプレミス型のERPをAmazon Web ServicesなどのIaaS基盤上やシステムインテグレーターが運営するデータセンターで実装され展開されるサービスだ。SLAやアップグレード時のコストなどは契約企業ごとに不透明なケースがある。

パブリッククラウドERP

パブリッククラウドERPは、NetSuiteやWorkdayに代表されるベンダーのデータセンター上で構築されており、シングルインスタンスでありながらマルチテナントで提供されるのが一般的だ。ユーザーは、アップグレードやバックアップ、システムのメンテナンスの一切を提供ベンダーに一任することが可能になる。

ハイブリッドクラウドERP

ハイブリッドクラウドERPは、プライベートとパブリック、オンプレミスとパブリックといった感じで両方を採用するケースだ。最近では硬直化したオンプレミスERPとパブリッククラウドERPを連携させる「2層ERP」を実装するケースも増えている。

ERPに関するお役立ち資料

クラウドERPのメリット

それでは実際にクラウドERPのメリットをご紹介しよう。

ITコストの大幅な削減

クラウドERPの場合、そのままクラウドの恩恵を享受可能です。ハードウェアやソフトウェアの投資、キャパシティプランニング、設計、初期導入費用などは一般的に存在せず、クラウドERP提供ベンダーのデータセンターで構築され、通常は契約ベースで企業にインターネット上で提供されます。企業は、利用するという形態になるため固定資産や導入に関わる初期コストを大幅に削減できるというメリットがある。

迅速な導入

クラウドEPRの導入は、オンプレミスERPに比べて短期間での導入が可能だ。今までのようにERPの導入に1年以上かけるといった概念は存在しなく、前述したとおり契約後にすぐに使える特徴がある。そのためERPの導入に関わる煩雑な作業は一切必要ないのだ。

グローバル対応機能

ビジネスがグローバル化するなかで、日本語のみのソフトウェアでは円滑な意思疎通を阻むことは間違ないでしょう。インターネットを通じてサービスが提供されるクラウドERPは、グローバルでの利用を前提に提供されるのが一般的だ。データは一箇所に存在するのだが、言語や通貨などは自国もしくは都合の良いものにリアルタイムで変更できるだけでなく、NetSuiteなどは現地の税務報告書などに対応しているケースもある。

また、グローバルにビジネスを展開する企業にとって現地のIT要員の採用やIT機器の調達が必要ないため速やかに展開できることも魅力の一つだろう。これは海外展開に限ったことではなく、新規店舗や支店、事業所などを展開する企業にとっても魅力ではないだろうか。

リアルタイムな情報把握による迅速な意思決定

マルチテナント型で提供されるクラウドERPでは、データは常に一箇所で管理されている。財務会計や受発注、在庫管理、購買管理、プロジェクト管理などあらゆるビジネスプロセスが一箇所のデータでリアルタイムに更新されるため、ビジネス全体の情報の可視化が可能になるのだ。今まで分断されていたシステムから情報を抜き出しExcelなどで加工するといった作業が必要なくなり、クラウドERPで提供されるビジネスインテリジェンスやダッシュボード、レポートの機能を利用しリアルタイムかつ正確なデータをいつでも参照可能なため、スピード経営を実践することが可能なのだ。

単一システムによる生産性の向上

クラウド上で企業プロセスを統合できるクラウドERPは、CRMから販売管理、顧客管理、受発注や購買、在庫管理など企業全体のプロセスを有機的に結合された状態で利用できる。それゆえプロセスの自動化を利用することにより部署間やシステム、業務ごとに電話や手作業で実現していたプロセスをクラウド上で行うことで、企業の生産性を大幅に向上させることが可能になるのだ。

また、社内や顧客間のやり取りの際の人為的ミスを排除することも可能になるだろう。

いつでも、どこからでも

インターネット経由でサービスを提供するクラウドERPは、Webブラウザからいつでも、どこでもアクセス可能だ。出張中や移動中など承認が必要なプロセスの実行、カフェでの経費生産など企業の生産性向上とユーザーの優れたワークライフバランスを実現する。また、ベンダーによってはモバイル対応のネイティブアプリケーションを提供しており、日々変化するビジネス状況を逃さずに対応可能だ。

バージョンアップ

ソフトウェアにはバージョンアップはつきものだ。今までオンプレミス型ERPの時には、ベンダーから提供される最新のソフトウェアにバージョンアップする際に多大なコストと労力を必要としていた。何年もERPを塩漬けする状態の企業も少なくない。クラウドERPは、バージョンアップの作業はすべてベンダーが行う。一般的には年に数回バージョンアップが行われ、常に最新の環境をユーザーは利用することが可能だ。

カスタマイズと適用

オンプレミスERPの場合、自社の要件にカスタマイズする企業が大半であった。そしてクラウドERPでもカスタマイズすることは可能だ。開発というよりはコンフィギュレーションに近い形で設定をして、自社のニーズに改変するだけでなく、スクリプトを利用したビジネスプロセスの構築なども可能だ。もちろんバージョンアップの際には、それらの動作は保証されるのだ。

強力なセキュリティと、可用性そしてデータ管理

一般的に自社のデータセンターのセキュリティを確保、維持するには多大なコストと労力が必要なのは言うまでもない。クラウドERPの提供ベンダーは、巨大なデータセンターを自社で運用しており、数多くのセキュリティ認証を取得している。

たとえばNetSuiteでは、SAS 70タイプII、PCI DSSおよびEU-US免責条項などの強固な認証を取得しており、このレベルのセキュリティを企業が行うのは現実的ではないだろう。優れたデータセンター管理や自動データバックアップ、そして厳格なサービスレベルの保証などを提供してくれるのだ。

クラウドERPのデメリット

ここではクラウドERPのデメリットをご紹介する。

サービスレベルがベンダー次第である

システムの稼働などは、すべてベンダー任せになるため大規模な停電などが発生した場合には使えなくなるケースもある。一般的にクラウドERP提供ベンダーは厳格なサービスレベル契約(SLA)を締結することが多いようだ。たとえばNetSuiteの場合には、99.5%の稼働を保証しており筆者が確認したところ2014年5月から2015年4月までの平均稼働時間は99.98%であった。 

2層ERP(2 Tier ERP)という考え方

2層ERPとは

多くの企業はSAPやOracleなどのERPを導入している。それらのシステムは、日々のビジネスを支えるうえでなくてはならない存在かもしれない。しかし、もっとフットワークの軽いクラウドERPの魅力も捨て難い。そのような企業には2層ERPのソリューションが最適かもしれない。

2層ERPとは、本社で稼働しているSAPやOracleなどのERPのほかに、支社や視点、海外にカスタマイズ可能なもう一つのクラウドERPソリューションを導入するだ。それらを結合させることで単一の巨大なERPのような振る舞いが可能になるのだ。

クラウドERPの多くがSAPやOracleとの連携機能を有している。それらを使うことで新規ビジネスの立ち上げなどのみをクラウドERPで行うことも可能になる。たとえばSAPを導入していた株式会社石垣では北米へのビジネス展開にクラウドERPによる2層erpを採用しています。実質3ヶ月でのerpのグローバル展開を成功させています。

米国の調査機関であるコンステレーション・リサーチ社によると、この2層ERPアプローチが企業の間で急速に浸透していることをデータで示している。彼らの調査によると、わずか18ヶ月の間で2層ERPに興味を示している企業が20%から50%近くにまで跳ね上がっていると報告しているのだ。

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