業務分析の手法について

 2019.04.04  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

既存の業務プロセスに問題は感じているけれど、具体的な原因は不明だし、どこから手を付ければよいのか分からないという経営者はたくさんいらっしゃいます。問題を先送りにするのは良くない、ということは重々承知していても、コンサルティングを依頼するのも何だから、と手付かずになっているケースが多いでしょう。

業務プロセスの改善は、コンサルティングを依頼しなくても会社独自に行うことは当然できます。問題なのは、社内にその手法が確立されていないことです。しかしこればかりは試行錯誤を繰り返しながら、業務プロセス改善においた最良の手法を考えるしかないでしょう。

本稿はそのちょっとした手助けになるように、「業務分析」の手法について解説します。業務分析は業務プロセス改善のスタートラインでもあるので、改善活動を本格的に進めたいという方はぜひ参考にしてください。またERPなどの導入時にも業務分析は必要ですのでご参考ください。

業務分析はどこから始める?

分析とは「物事を細かい要素に分けて、その要素・成分・構成などを細かい点まではっきりさせること」です。従って、業務分析な業務プロセスを可視化するところから始めます。「業務内容はいちいち整理しなくても把握しているよ」と自負している方でも、細かい要素までは理解できていない可能性があります。さらに、業務プロセスというものはいくつも複雑に繋がっているため、その繋がりまでハッキリと可視化させることがとても大切です。そうでなければ業務分析はできません。

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業務プロセスを可視化するためには?

業務プロセスを可視化する上で一番わかりやすい方法が、フロー図を作成することです。フロー図とは業務の流れや各工程での作業内容を、図形や線で表したものです。フロー図の見方さえ分かっていれば、誰もが同じように業務プロセスの内容や流れを知ることができます。

業務フロー図を作成する上でオススメの手法が「BPMN(Business Process Model Notation)」です。これは日本BPM(Business Process Management)協会も推奨する手法であり、業務フロー図を作成するための世界標準になっています。BPMNを利用するメリットは、組織全体が共通認識のもとで業務フロー図を作成・理解できるので、担当者ごとに解釈が変わってしまったり、異なるフォーマットで作られた業務フロー図を同じフォーマットに作り直す必要がないことです。業務分析において、誰もが同じように理解できるように物事を標準化するということはとても大切なので、BPMNでなくとも組織全体で一貫した手法を取り入れることが大切です。

業務量を調査してみよう

BMPN等を使って業務プロセスの流れや内容を整理したら、次の業務量の調査を実施します。業務量とは業務プロセスにおいて、どんな作業が、どの頻度で、どれくらいの量の業務が発生しているのかを表します。業務量を把握することで、業務プロセスごとの「ムリ」「ムダ」「ムラ」を発見することができるため、業務分析の一環として取り入れることをオススメします。

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業務量調査では「業務体系表」を活用してみましょう。これは株式会社日本能率コンサルティングが公表しているツールであり、業務プロセスにおける細かい作業を洗い出したり、作業手順を把握することもできます。

業務体系

業務タイプ

備考

大分類

中分類

1

清掃

1.1

売り場清掃

固定

1日3回実施

1.2

バックヤード

清掃

固定

1日2回実施

2

レジ

2.1

レジ清算

変動

 

2.2

レジ備品補充

固定

 

3

商品補充

3.1

商品荷受

固定

特定の時間

3.2

商品陳列

変動

 

参考:株式会社日本能率コンサルティング「計画的な業務割当による人時生産性向上」

「大分類」には業務のカテゴリを記入し、「中分類」には具体的な業務内容と手順を、必要ならば「小分類」を作成し、さらに具体的な業務内容を記載します。「業務タイプ」欄に記載されている「固定」と「変動」とは固定業務と変動業務のことです。売上に関係なく発生する業務は「固定」、売上に応じて業務量が変動するのは「変動」になります。

「As-is業務」と「To-be業務」の整理

業務プロセスの可視化と、業務量の調査が完了したら改めて「As-is業務」と「To-be業務」を整理していきます。

「As-is業務」とは現状として業務がどのような姿にあるか、という意味です。現状をありのままで整理することで、業務プロセスや作業単位で隠れている問題を発見していきます。一方「To-be業務」とは、今ある業務を将来的にどのような姿にしたいか、という意味であり、「To-be業務」の明確化が無ければ業務プロセス改善の成功はあり得ません。

業務プロセス改善の失敗としてよくあるパターンが、「As-is業務」はしっかりと整理していても「To-be業務」が明確になっていないことです。そのため、「今ある業務プロセスをもっと良くしていこう」と、漠然とした目標しか立てられず、場当たり的な施策が多くなり結果として業務プロセス改善に失敗します。

それに対して「To-be業務」が明確になっている環境では、業務プロセスを改善するために何をすべきかがハッキリとしています。もちろん、「To-be業務」は現実的に可能なものでなくてはいけないですし、高すぎる目標を立てるのも失敗の原因です。

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現場へのヒアリングを行う

業務分析の目的は、今ある業務プロセスのありのままの姿を整理し、その業務プロセスをどのように改善したいかを明確にすることです。そこには、業務プロセスに介在する問題を把握するというアクションも含まれています。そこで積極的に実践していただきたいのが「現場へのヒアリング」です。

業務プロセスが持つ課題の多くは、現場の担当者がよく理解しています。難しく考える必要はなく、業務担当者に「この仕事は簡単ですか?何か困っていることはありませんか?」などの質問を投げかければよいのです。その際は、改めて別室に呼び出すのではなく、現場に足を運んでヒアリングすることが大切です。実際に業務を行っている環境の中でヒアリングを行った方が、リラックスして質問に答えることができますし、ありのままの情報を知ることができます。ただし、業務責任者から何らかの圧力がかかっていそうだと判断した場合は、別室でヒアリングする方が本音を聞ける可能性があります。

業務担当者にヒアリングする際は、下記6つのポイントに注意すればより良い情報を収集できます。

  1. ビジネスルールが不明確で、停滞や遅延は起こっていないか?
  2. 本来業務ではなく、代行業務を担っている認識からくる問題はないか?
  3. 特定の担当者のスキルに依存している問題はないか?
  4. 慣習や伝統によって生じている問題はないか?
  5. 人材リソースに限界がきている業務はないか?
  6. 部門間の連携不足によって起きている問題はないか?

業務プロセス改善に有効な業務分析を

いかがでしょうか?業務分析のアプローチはたくさんありますが、大切なのはいずれも業務プロセス改善に繋がるようなアクションを取ることです。意味のない分析は時間とコストを浪費するだけなので、「この業務分析は業務プロセス改善に繋がるだろうか?」と常に考えながら分析を行っていきましょう。

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