個別原価計算とは?特徴やメリット、総合原価計算との違いを解説

 2022.04.28  クラウドERP編集部

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個別原価計算は業務上における原価を導き出す方法のひとつです。多品種少量生産方式や個別受注生産方式を採用している企業に向いています。正しく理解するためには、混同されやすい総合原価計算との違いを把握しておくことが大切です。本記事では、多品種少量生産方式を採用している企業に向いている個別原価計算の概要やメリット、混同されやすい総合原価計算の概要などを解説します。

個別原価計算とは?特徴やメリット、総合原価計算との違いを解説

個別原価計算とは?

個別原価計算は業務上における原価を導き出す方法の一つです。個別受注生産方式や多品種少量生産方式を採用している企業に向いている導出方法といえます。実際の原価に近い数字を導き出せることがメリットである一方、導出の過程が複雑で手間がかかることはデメリットといえるでしょう。ここでは、個別原価計算の概要について解説します。

個別原価計算の概要

個別原価計算は、製造品やプロジェクトなどを一つひとつに分けて原価を導き出す方法です。同じものを大量生産するのではなく、多品種少量生産方式や個別受注生産方式を採用している企業に向いている方法といえます。

例えば、コンサルティング業やシステム開発業などは、クライアントから依頼を受けた案件ごとに原価が異なるため、案件ごとに個別原価計算によって原価を導き出す必要があります。個別原価計算は、案件ごとに分けて算定しなければならないため、計算作業に手間と時間がかかってしまいます。一方で、実際の原価に近い数字を導き出せるため、損益分岐点を明確に把握することが可能です。

個別原価計算のメリット

個別原価計算を用いるメリットの一つとして、実際の原価に近い数字を導き出せる点が挙げられます。正確な原価が分かると損益分岐点が明確になり、どの程度の利益や赤字が出るのかを瞬時に把握することが可能です。赤字が出そうな場合に適切な対策を講じることで、利益を出せる可能性もあるでしょう。

また、製品ごとに原価を把握できるため、利益を上げるにはどの製品を改善すべきか、個々で判断することもできます。さらに、類似製品を新しく製造するときにも過去のデータを参考にして、適切な価格設定ができる点もメリットといえるでしょう。

個別原価計算のデメリット

個別原価計算のデメリットの一つとして、製品一つひとつを集計して算定する必要があるため、原価を導き出すのに手間と時間がかかることが挙げられます。集計・算定に手間と時間がかかるということは、人件費が大きくなることにも繋がります。

また、一つひとつの原価を把握するためには、製造指図書が必要です。製造指図書がない状態で生産を行う「見込み生産型」の企業では、個別原価計算では原価を導き出せないこともデメリットといえます。個別原価計算をするには、細かい算定のルールを設定したうえで、導出の仕組みを構築しなければなりません。原価計算システムの導入が必要になるでしょう。

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総合原価計算とは?

総合原価計算も原価を導き出す方法です。個別原価計算は同一仕様の製品を連続大量生産する企業には向いていません。一方で、少品種大量生産方式で生産活動を行っている企業には向いている方法といえます。ここでは、総合原価計算の概要とメリットならびにデメリットを解説し、どういった点が異なるのかについて解説します。

総合原価計算の概要

総合原価計算は、同製品などをひとまとめにして原価を導き出す方法です。同一仕様の製品を連続大量生産方式で生産する企業や、少品種大量生産方式を採用している企業に向いている方法といえます。特に、製鉄業や製紙業など、同一のものを大量生産している業種に向いている方法といえるでしょう。ただし、企業やプロジェクトの製造品によって、どちらの方法が向いているかは異なります。自社に合った方法を用いることが大切です。

総合原価計算のメリット

総合原価計算のメリットは、計算作業の時間や手間を削減できることです。生産した製品の総製造原価を総生産量で割るだけで単位ごとにひとまとめにした製品の原価をざっくりと計算できるので、比較的簡単に原価を導き出せます。

このように、計算作業の手間や時間を削減できることで人件費の削減に繋がることもメリットであり、業務効率化が図れます。

なお、仕様が全く同じ製品でなくても、等級別総合原価計算や組別総合原価計算を使用することで、原価を導き出せます。同じ製品でサイズ違いの製品を製造する場合は等級別総合原価計算、同じ工程で別製品を製造する場合は組別総合原価計算を使用します。

総合原価計算のデメリット

総合原価計算のデメリットとして、期末になるまで原価を把握できないことが挙げられます。期末になるまで原価を把握できないと、リアルタイムでどの程度の利益や赤字が出ているのかが把握できず、すぐに有効な対策を打つことができません。

また、原価が変動すると修正が比較的難しいことや、仕掛品に対する計算方法が少し複雑になることなどがデメリットといえるでしょう。計算方法を確立すれば問題ありませんが、確立するまでは手間がかかることが予想されます。

なお、総合原価計算では単位ごとにひとまとめにした製品の原価をざっくりと計算できるだけであり、製品別の正確な原価を知ることはできません。

個別原価計算と総合原価計算の違い

個別原価計算と総合原価計算は「生産形態」「適する業種」「計算方法」などが異なります。正確な原価管理を実践するためには、違いを把握しておくことが大切です。ここでは、個別原価計算・総合原価計算の違いについて解説します。

生産形態の違い

企業の生産形態によって適している方法は変わってきます。生産形態の違いは先で軽く触れましたが、大切なことなので再度解説します。

個別原価計算は、多品種少量生産方式や個別受注生産方式を採用している企業に向いている原価を導き出す方法です。それに対して総合原価計算は、少品種大量生産方式を採用している企業に向いている原価を導き出す方法といえます。企業の生産形態によってどちらを選ぶのかを決めるようにしましょう。

適している業種の違い

個別原価計算はシステム受注業務や広告、コンサルティングなどのような業種に向いている方法です。これらの業種は案件ごとに原価が異なるため、個別原価計算を用いることで実際の原価に近い数字を導き出せます。

一方、総合原価計算は製鉄業や製紙業など、同製品を大量生産する業種に向いている方法です。これらの業種は総合原価計算を用いることで、単位ごとにひとまとめにした製品の原価をざっくりと計算でき、計算の手間や時間を省けます。

計算方法

個別原価計算では、生産完了時に原価計算表から原価を直接費・間接費に分けて求めます。原価は材料費・労務費・経費に分けられるため、原価をそれぞれの項目に分類してから直接費と間接費を導き出します。

ここからさらに、部門別・プロジェクト別に振り分けて導き出すことが必要です。個別原価計算は手間がかかってしまうため、正確かつ迅速に行うためには、原価管理システムの導入がおすすめです。

総合原価計算は、一定期間(基本は1ヵ月)に生産した製品ごとに、総製造原価を総生産量で割ると、その製品の1単位当たりの平均製造原価を導き出せます。

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まとめ

個別原価計算は、製造業やコンサルティング業などを行っている企業に向いている方法です。実際の原価に近い数値を算定できるため、損益分岐点を明確に把握できるといったメリットがあります。一方で、計算作業に手間と時間がかかってしまうことはデメリットといえるでしょう。

個別原価計算をするには、原価管理や工程管理といった、さまざまな生産管理システムを備えているクラウドERPの導入がおすすめです。クラウドERPを活用して、ぜひ業務効率化を計ってみてください。

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