OPEX(オペックス)とは?
意味やCAPEX(キャペックス)との違いを解説

 2022.05.20  クラウドERP編集部

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企業における財務会計で重要なのがCAPEXとOPEXです。近年はデジタル改革でクラウド化が進み、CAPEXのOPEX化が進んでいます。本記事では二つの定義とそれぞれの管理の方法、CAPEXをOPEXに移行する必要性などについて、くわしくご説明します。

CAPEX・OPEXとは?

CAPEXとは「Capital Expenditure」の略称であり、日本語では「資本的支出」といいます。企業において資本とみなされる物品・財に対し、それらの資産価値を維持するため支出の総称のことです。別の言い方で「設備投資」といいます。製造業で考えると非常に分かりやすいかと思います。
たとえば、生産性を高めるために新たに投入した機械設備の購入費や、それらの機械設備を維持するためのメンテナンス費用は、資産価値を維持するのに欠かせない投資です。一方、不動産業においては長期修繕計画にかかる費用などをCAPEXと考えることがあります。これは長期修繕計画が不動産の資産価値を維持するための費用となるからです。
このことから、CAPEXは資本的支出という言葉よりも、設備投資という言葉の方がしっくりとくるかもしれません。
次に、OPEXとは「Operating Expense」の略称であり、業務費や運営費など事業運営をしていくために、継続して必要となる費用を指します。日本語では「事業運営費」と呼ぶことが多いでしょう。製造業における主なOPEXは作業スタッフの人件費や、工場の水道光熱費など事業運営に欠かせない費用です。一方、不動産業では固定資産税、都市計画税、損害保険料、清掃費など不動産を維持するための費用を指すことが多いでしょう。

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CAPEX・OPEXの管理方法

現在、企業ではCAPEXとOPEXを見直し、適正に管理することでコストを削減しようとするところが増えています。では、どのようにすればCAPEXとOPEXを上手く管理できるのでしょうか。以下にくわしくご説明します。

CAPEXを管理するための方法

CAPEXを管理するには、財務諸表を活用すると効果的です。財務諸表とは、会社の経営や財務状況をあらわす書類のことで、一般的に決算書と呼ばれているものの正式名称になります。
中でも「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」は「財務三表」と呼ばれ、企業の経営状況を判断するのに重要な書類です。
特にキャッシュフロー計算書は、具体的な現金の流れが分かるため、CAPEXを管理するために欠かせません。なぜなら企業が大規模な設備投資をした場合、現金がいくら減ったか把握できるものが、キャッシュフロー計算書だけだからです。
貸借対照表では設備投資は「資産」と表現され、損益計算書では「減価償却費」として計上されます。そのため、実情は利益が設備投資を下回り赤字であっても、書類上は黒字ということがあり得るのです。
キャッシュフローの管理が甘い企業は、このように書類上は黒字でも資金が足りなくなり、倒産してしまうケースがあります。黒字倒産を防ぐためにも、キャッシュフロー計算書でしっかりと現金の流れを管理することが大切です。

OPEXを管理するための方法

人件費や光熱費、消耗品費や物流費、外注費といった企業活動を支えるOPEXは、企業が成長するにしたがい拡大する傾向があります。事業の規模が大きくなるほど従業員は増え、消耗品費や光熱費も増えるので、むやみに減らすとサービスの質や生産効率の低下を招いてしまいますが、定期的に見直しを図ることは大切です。
まず人件費ですが、ただ人員を削減しただけでは現場の人間の負担が増加するので、業務改革と並行しながら人員配置を適正化することをおすすめします。業務の無駄を省き、適材適所に人員を置くことで残業代の削減や業務量適性化にもつながります。
外注費は特に業務の細分化が進むIT業界などでは、アウトソーシングの比重が高くなっています。技術的にすぐに内製化できないものも多いため、コスト削減の際はサプライヤーとも相談しながら、業務要件を見直し、価格交渉を進めていくとよいでしょう。

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CAPEX・OPEXの使いどころ

CAPEXとOPEXは、どちらも企業の経営状態をはかるための財務指標として使われることが多いでしょう。企業の財務諸表を確認した際にCAPEXが増えているということは、積極的な設備投資がなされている事実を意味します。それだけ見ればこれからの事業拡大を予想させますが、CAPEXが増えているのは同時に当該企業の設備が肥大化することを意味し、設備投資が過剰になれば保有している資産の価値は減少します。また、CAPEXはあくまで支出なので必要以上に増えることは好ましくありません。
一方、財務諸表からOPEXが増えていることを示している場合は、事業運営に積極的な投資を行っている可能性が高いでしょう。それは人件費向上だったり、あるいは投資対象をCAPEXからOPEXへ移行するための施策を展開していたりします。ちなみに、事業投資の中心がOPEXである主な産業は通信業におけるMVNO(Mobile Virtual Network Operator)事業者です。MVNO事業者は通信インフラを自社で持たずに、他社(大手通信社)の通信インフラを借りてサービスを提供することから、OPEXモデルの典型的な例です。
そして、IT業界におけるCAPEXとOPEXは、前者は「インフラ投資をして新しいコンピューターシステムを導入する」、後者は「必要に応じ、必要なコンピューターサービスを購入する」という意味合いがあります。

CAPEXからOPEXへの移行が推奨される理由

近年のIT業界において注目されているのが、「CAPEXからOPEXへの移行」です。これまではITシステムを構築するのにあたり、サーバーやソフトウェアライセンス購入、ネットワーク整備、パラメータ設定など投資の大半をCAPEXが占めていました。しかし、CAPEXによって得たITシステムが、長期的に予定通り価値を発揮してくれるとは限りません。
最も大きな問題は「ITシステムの陳腐化」です。IT業界では技術発展が目まぐるしく繰り返されており、技術革新によって今のITシステムが明日には陳腐化するというリスクがあります。しかし、一度CAPEXによって得た資産を簡単に手放すことはできません。かといった陳腐化されたITシステムを使い続けることでビジネス要件を満たせず、競合他社から遅れを取る可能性があります。
そこで注目されるようになったのが「CAPEXからOPEXへの移行」です。OPEXは「必要に応じ、必要なコンピューターサービスを購入する」ことを意味し、要するに既存のITシステム環境をクラウドへシフトすることで、技術革新によるITシステムの陳腐化リスクを回避し、時代に即したITシステムを構築することをいいます。
そしてこの課題は、皆さんが思っている以上に喫緊のものだと言えます。

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企業のITシステムを取り巻く現状

2018年9月に経済産業省が発表した『DX(デジタル トランスフォーメーション)レポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(本文)』に目を通したことのある方は多いでしょう。同報告書では、日本企業が抱えているITシステム問題を放置することで、2025年には問題の最大化が集中し、日本経済は年間最大12兆円の損失を被ることを発表しています。
実際に、オンプレミスのITシステムを10年以上継続して運用し、かつカスタマイズやアドオン開発が膨れ上がったことでアップデート対応費用が高額化し、ITシステムのブラックボックス化によってIT保守運用費用が膨らみ続けている企業は多いです。ちなみに、2018年に全体の2割程度に留まっていた「基幹系システムを21年以上継続して運用している企業」が、2025年には6割に達するといいます。それに伴い、企業がIT戦略にかける費用の9割以上は保守運用費用に消費されてしまうことも指摘しています。
こうした「2025年の崖」を乗り越えるために経済産業省が推奨しているのが「DX推進」ですが、すべての企業はDXへ積極的に取り組めるわけではありません。そこで必要とされるのが「CAPEXからOPEXへの移行」です。
前述したように、ITシステムにかける設備投資をCAPEXからOPEXへとシフトすることで、技術革新による陳腐化を防ぎ、必要に応じて必要な分のコンピューターリソースを確保するといった、非常に柔軟性の高いITシステムを構築できます。また、ITシステムをCAPEXからOPEXへ移行することは、クラウドサービスの普及によって容易化されていることから、「2025年の崖」を飛び越えるための有効な選択肢になることは間違いありません。

ITにおけるOPEX化の方法

今まで企業が新たなITシステムを導入する際は、CAPEXとして一括購入するのが一般的でした。しかしIT業界では次々と新しい技術が登場するため、設備投資を回収しきらないうちに、新たな設備の導入が必要になるケースもあります。
そこで近年はコスト削減のため、従量課金制のクラウド系ITシステムに移行する企業も増えています。これなら使った分だけ料金を支払えばよく、メンテナンスやシステムの更新などもベンダーが行うため、無駄な支出を減らせます。
また、従量課金制にするとランニングコストとしてOPEXに該当するため、税控除も受けられるようになります。一方、CAPEXは固定資産税の課税対象になるため、税制面でもOPEX化するメリットは高いと言えるでしょう。

IT業界におけるOPEX管理の注意点

OPEXは業種によっても特徴や比率が変わってきます。例えば通信や製造業、高級路線のサービス業などはランニングコストが多くかかるため、OPEXの比率が高くなります。こうした業界の場合、OPEXを極端に下げるとサービスの質が低下する恐れがあるため、コスト見直しの際もバランスを考える必要があるでしょう。
また近年、IT業界ではクラウド化によりOPEXが増加する傾向があります。これは長期的に見れば無駄な投資を省けるためコスト削減につながるのですが、経営層がクラウドのメリットを理解していないと、支出額だけを見て多すぎると判断し、利用を制限されるおそれもあります。
現場の人間はクラウド化の利点を経営側にもしっかりと説明し、理解を得た上でデジタル改革を進めることが重要です。

CAPEXからOPEXへの移行を検討しよう

現状として古いITシステム(レガシーシステム)を運用している企業の多くは、業務との依存性が高いことからなかなか刷新に踏み出せないケースが多いかと思います。しかし、ビジネス要件が劇的に変化している中、レガシーシステムの抜本的改革に取り組み、クラウドの導入など新しいITシステムを構築することが強く求められています。この機会に、CAPEXからOPEXへの移行、つまりはITシステムの改革について検討してみてください。

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