収益認識基準とは?概要や導入する際のポイントを分かりやすく解説

 2022.05.13  クラウドERP編集部

  投資対効果(ROI)特集

収益認識基準について言葉は聞いたことあるが、よく知らないという方も多いでしょう。収益認識基準とは、大企業はもちろん、上場を目指す成長企業にとっても導入が必要な会計基準です。この記事では、収益認識基準の概要や導入の際のポイントなどを解説します。ぜひ導入の参考にしてください。

収益認識基準とは?概要や導入する際のポイントを分かりやすく解説

収益認識基準とは?

収益認識基準を理解するためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。ポイントを押さえることで、業務にどのような影響が出るかが把握できるでしょう。まずは収益認識基準について、基本的な部分を分かりやすく解説します。

収益認識基準は売上の認識に関わる新しいルール

収益認識基準とは2021年4月から開始された、売上を認識する方法に関する新しいルールのことです。企業が商品やサービスを販売すると、収益が発生します。この収益がどのタイミングで発生し、どのように財務諸表に反映するのかを明確に定めたものが、収益認識基準です。

収益認識基準によると、収益は履行義務を果たしたときに発生するとされます。例えば、商品やサービスを販売する契約をした場合、顧客にそれを引き渡して販売の義務を果たしたときに、初めて売上計上されるというルールです。

収益を認識する基準が履行義務となるため、一定の期間にわたって履行義務を果たす必要のあるサービスを提供している企業は大きく影響を受けるでしょう。例えば、保守・点検サービスなどは、一括して売上に計上するのではなく、段階的に計上する必要が出てきます。なお、収益認識基準が適用されるのは、大企業や上場企業です。中小企業は任意適用ですが、上場を狙っている場合は適用する必要があるといえます。

それまでの収益認識基準と何が変わったのか

従来の収益認識基準では3つの考え方がありました。その種類は以下の通りです。

  • 現金主義:現金を受け取ったときに計上
  • 発生主義:商品を提供した時点で計上
  • 実現主義:商品の提供、ならびに現金や売掛金の受け取りが行われた時点で計上

従来の収益認識基準では、実現主義で売上を計上していましたが、収益が実現したという認識の基準は、会社によってバラバラに設定されていました。例えば、会社Aでは顧客に商品を渡したときに計上している一方、会社Bでは商品を出荷したときに計上するなどです。このように、企業によって認識の違いがありました。

収益認識基準はなぜ導入されるか

収益認識基準は、会社ごとでバラバラに設定されていた売上計上のタイミングを統一するために導入されました。基準となったのは、IFRS-15と呼ばれる国際的な会計基準です。収益認識に関するルールが統一されると、以下のようなメリットがあります。

  • 企業の業績を比較できるようになる
  • 海外からの投資を呼び込める

まず、ルールが統一化されるため、財務諸表を比較することが可能になります。納品時に売上を計上するのと、出荷時に計上するのとでは、売上高は大きく変わってしまいます。そういったズレを解消することが可能です。加えて、国際的な会計基準を取り入れることで、海外からの投資を呼び込むことも期待できるでしょう。

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収益認識基準で売上が計上されるまでの5ステップ

ここからは、収益認識基準に基づいた売上計上の方法について、5つのステップに分けて見ていきます。具体的なステップは以下の通りです。

  • ステップ1 :契約を識別する
  • ステップ2 :履行義務を特定する
  • ステップ3 :取引価格を算定する
  • ステップ4 :取引価格を履行義務へ配分する
  • ステップ5 :履行義務の充足後、収益を認識する

はじめに、契約を識別します。契約ごとの商品・サービスを把握し、収益認識基準の適用が必要かどうかを確認する作業です。

次に行うのが、履行義務の特定です。例えば、一つの契約に、プリンターの販売と2年間の保守サービスという二つの商品・サービスが含まれているとします。この場合、製品の引き渡しと点検サービスの提供という、二つの履行義務があると考えます。

ステップ3では、取引価格を算定します。はじめに識別した契約で提示されている取引価格を調べます。契約書を確認するなどして把握する必要があるでしょう。

ステップ4では、それぞれの履行義務に対して、取引価格を適切な割合で配分します。例えば、取引価格が10万円だと仮定した場合、プリンターの価格を8万円、2年間の保守サービスの価格を2万円といった具合に配分することを指します。

最後に、履行義務が充足されたときに収益を認識します。プリンターを引き渡したときに8万円の売上を計上するのに対して、2年間の保守サービスについては、決算期ごとにその期間分の代金を売上として計上するなどです。

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収益認識基準を導入する際のポイントとは?

収益認識基準を導入する際には、会計部門だけではなくさまざまな部門に影響を及ぼします。場当たり的に導入してしまうと、各部門で混乱が起こる可能性があるでしょう。ここからは、収益認識基準を導入する際のポイントについて解説します。

現状の業務フローを確認する

まずは現状の業務フローを確認しましょう。業務フローを確認する際のポイントは、以下の通りです。

  • 現状の契約を確認する
  • 現状のシステムを確認する
  • 業務の全体を把握し、起こり得る問題を認識する

現状の契約を確認するのは、ステップ1の契約の識別に当たります。また、会計システムが収益認識基準に対応できるかどうかを確認することも重要です。対処が必要であれば、ベンダーと協力する必要があるでしょう。

最後に、システムの変更なども含め、起こり得る問題について把握しておきましょう。業務フローの全体を見渡すことで、問題の出る箇所を見つけ出すことが重要です。

導入する対象を重要な取引に絞り込む

収益認識基準は、あらゆる契約に適用する必要はありません。膨大な作業を避けるためにも、重要度の高い契約に対象を絞ることが大切です。取引高や取引回数などの指標を基に、契約ごとの重要性を評価し、優先すべき契約を絞り込みましょう。その際、契約の識別によって契約内容を明確にすることが重要です。契約の識別を行ったうえで、重要度の高いものを絞り込んでいきましょう。

スケジュールを立てて導入管理を行う

スケジュールを立てずに場当たり的に導入してしまうと、業務フローが滞ってしまう可能性があります。スケジュール管理を行い、スムーズに進めていきましょう。スケジュールを立てる際のポイントは、以下の通りです。

  • 各業務へ与える影響を考慮する
  • 人員を確保しておく
  • システムの仕様変更はベンダーとも協力してプロジェクトを立てる

収益認識基準の導入は各業務に影響を与えます。業務への影響が最小になるよう意識してスケジュールを立てましょう。また、導入に必要な人員はあらかじめ確保しておくことが大切です。そうすることで、効率よく導入作業を進められます。システムの仕様変更が必要な場合は、ベンダーと協力してプロジェクトを立てるとよいでしょう。

まとめ

収益認識基準を導入する際には、企業の業務全体に影響が出ることが考えられます。導入をスムーズに進めるためには、収益認識基準に対応したシステムを活用するのがおすすめです。

収益管理を効率よく行いたいと考えている企業は、ERPの導入を検討してみてはいかがでしょうか。ERPを導入して活用することで、業務効率化に繋げられるでしょう。ERPに興味がある場合には、ぜひお気軽にご相談ください。

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