電子インボイスとは?制度の概要やPeppolについて分かりやすく解説

 2022.05.16  クラウドERP編集部

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2023年から始まるインボイス制度に向けて、電子インボイスが注目されています。電子インボイスとは、電子データとして保存された適格請求書のことです。紙での保存に比べて管理が容易になるといったメリットがあります。この記事では、電子インボイスの特長やインボイス制度の内容、オンライン取引の国際的な規格であるPeppolなどを解説します。

電子インボイスとは?制度の概要やPeppolについて分かりやすく解説

電子インボイスとは?

インボイス制度の始まりが近づくにつれて、電子インボイスが注目を集めています。適格請求書をデータとして交付・保存することができるため、管理が簡単になり、結果として業務の効率化が期待できます。まずは、電子インボイスとは何かという基本的な情報ならびに、インボイス制度の概要について解説します。

電子インボイスはインボイス制度に則った電磁的記録

電子インボイスとは、インボイス制度に則って作成された請求書の電磁的記録、つまり電子データのことです。正しい形式で作成された請求書は適格請求書、またはインボイスと呼ばれます。

インボイス制度は、決められた内容を記録した請求書の取引だけが仕入額控除を受けることができるという制度です。適格請求書保存方式とも呼ばれ、所定の形式で請求書を作成、保存しなければ、仕入にかかった費用を控除することができなくなってしまいます。

電子インボイスでは、適格請求書に必要な項目を電子データとして記載します。このデータは印刷する必要はなく、そのまま保存することが可能です。また、請求書のやり取りも電子データのまま行うことが認められており、メールやネットサービスを通じて取引先へ交付することができます。

電子インボイスのポイント

インボイス制度の重要ポイントとして、以下のようなことが挙げられます。

  • 適格請求書発行事業者に登録する必要がある
  • 対象は売上1,000万円超の課税事業者
  • 発行事業者はインボイスの交付や保存を行う義務がある

まず、インボイスを発行するには、国税庁に申請して発行事業者に登録する必要があります。また、1年の売上が1,000万円以下の事業者に関しては、発行する義務はありません。ただし、発行事業者に登録することは可能です。

発行事業者は取引先の求めに対してインボイスを交付し、保存する義務があります。対価の返還や誤りがあった場合は返還インボイス、修正インボイスの交付も行います。電子インボイスはこれらのポイントを押さえた上で、さらに電子帳簿保存法を守って保存することが必要です。記載事項が守られているか、改ざんされていないかなどを確認することがポイントといえます。

電子帳簿保存法とそのための会計システムについて
避けては通れない「収益認識基準」、どう対応すべきか?

電子インボイスによるメリットとは?

電子インボイスを導入することで、以下のようなメリットを得られます。

  • インボイスの保管や検索が簡単になる
  • 仕入額控除の計算が簡単になる
  • 請求書に関する業務のテレワーク化が実現できる

電子データにすることでインボイスの管理が簡単になります。規格も統一されているため、取引先から受け取ったデータを処理する必要もありません。また、データとして保存することで、仕入額控除の計算も楽になるでしょう。会計業務の効率化にも繋がります。

加えて、インボイスの受け取りも保管も電子データのやり取りで済むようになれば、業務のテレワーク化が可能になります。オンラインシステムを導入すれば、請求書に関するあらゆる業務が自宅で行えるようになるでしょう。

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Peppolとは?電子インボイスとどのような関係がある?

電子インボイスと関係の深いものとして、Peppolが挙げられます。Peppolは海外で普及しているオンライン取引の規格のことです。ここではPeppolについての基本的な情報をお伝えします。

Peppolは電子インボイスの標準規格

Peppolとは、日本で標準となっている電子インボイスの規格のことです。Peppol自体はヨーロッパの非営利組織が策定したオンライン取引の規格ですが、国際的に普及していることから、電子インボイスの規格として採用されています。

Peppolで定められていることは、運用ルールや文書の仕様など多岐にわたります。これによりスムーズなオンライン取引が実現できているといえます。また、法令遵守に配慮しており、国際的な規格として信頼性が高い点も特長のひとつです。さらに、Peppolはヨーロッパだけでなく米国やオーストラリアなど、30ヵ国以上で採用されているため、導入することで海外企業との取引の活性化も期待できるでしょう。

Peppolが必要である理由

なぜ電子インボイスの規格として、このPeppolが採用されたのでしょうか。その理由として、主に以下の点が挙げられます。

  • 海外企業との取引を活性化させるため
  • 異業種間でのスムーズなやり取りを可能にするため

Peppolの強みは、多くの国と企業で採用されているグローバルスタンダードな規格という点です。Peppolに準拠してオンライン取引を行うことで、海外企業とのやり取りがスムーズになることが期待できます。

また、Peppolは元々政府が公共調達を行う際の規格として考案されたものです。その後、BtoBの取引でも採用されるようになったという歴史があります。政府との取引や異業種間での取引にも対応しているため、事業の幅を広げる際にも役立つでしょう。

電子インボイスを導入するためのポイント

電子インボイスを導入するには、登録申請やシステム構築などの手続きが必要です。事前にポイントを押さえておくことで、スムーズに導入を進められるでしょう。ここでは、導入時のポイントを紹介します。

インボイス登録申請を行う

電子インボイスを発行するには、インボイス登録申請を国税庁に提出する必要があります。申請には、以下の2通りの方法があります。

  • 登録申請書を所轄税務署に提出する
  • e-Taxで申請する

e-Taxから申請する場合、電子証明書や利用者識別番号が必要です。e-Taxソフトより申請しましょう。申請後は審査が行われます。審査を経て登録が完了したら、税務署より登録通知書が送られてくるので、必ず確認するようにしましょう。登録後は、国税庁のサイトで発行事業者として公表されます。登録通知書が交付された後に確認しておくのがよいでしょう。

インボイス制度に対応したシステムを導入する

電子インボイスを導入するには、それに対応できるようシステムの更新や新システムの導入を行う必要があります。システム更新のポイントは、インボイス事業者の4つの義務を履行できるようなものにするということです。四つの義務とは以下のことを指します。

  • インボイスを交付する義務
  • 対価を返還した際に、返還インボイスを交付する義務
  • 誤りがあった際、修正インボイスを交付する義務
  • 交付したインボイスを保存する義務

導入によって影響を受ける業務は多岐にわたります。会計システムだけでなく、企業の基幹システムの更新が必要な場合もあるため、スケジュール管理を行いながら計画的に導入を進めていきましょう。

取引先へ通知を行う

取引先への通知も事前に行っておくのがよいでしょう。取引先における請求書業務の混乱を防ぎ、スムーズに導入することができます。通知すべき項目は以下の通りです。

  • 登録番号
  • 今後の請求書の交付方法と受領方法

あらかじめ連絡しておくことで、導入後の請求書業務が滞りなく行えるでしょう。なお、国税庁から交付された登録通知を電子データで受け取っていると、必要情報が過不足なく相手方に伝えられるため便利です。

まとめ

インボイス制度の施行に伴い、電子インボイスは多数の企業で導入されていくことが予想されます。海外取引をスムーズに行えるといったメリットもあるため、事業を広げたいと考えている企業は導入を進めた方がよいでしょう。

会計処理の管理で悩んでいる企業の担当者は、クラウドERPの導入を検討してみてください。NetSuiteを導入することで、会計業務の効率化を進められます。また、190種類を超える通貨や為替レート、会計基準などに対応しているため、グローバルに事業展開している企業にもおすすめです。

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