月次決算とは? 業務の目的/手順・オラクルでの決算日程の短縮事例も紹介

 2021.06.22  クラウドERP実践ポータル

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企業の中には、月次決算を行っていない企業もあるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、月次決算とは何か、なんのためにやるのか、どのようにすべきかについて解説します。またオラクルはコロナ禍でも月次決算の時間短縮に成功しているので、その事例やノウハウについても詳しく解説します。

月次決算とは? 業務の目的/手順・オラクルでの決算日程の短縮事例も紹介

月次決算とは?年次決算との違い

月次決算とは、1ヶ月単位に行う決算業務です。対して年次決算は1年単位に行う決算業務です。月次決算と年次決算の違いは決算期間なのですが、単に期間が異なるだけではありません。

年次決算は実施が義務付けられているのに対し、月次決算は企業が任意で行うものです。そのため年次決算はどの企業でも行われていますが、月次決算は実施している企業とそうでない企業があります。

年次決算は1年間の売上実績を損益計算書と貸借対照表に記載し、これを株主など関係者に情報として提供する義務があります。しかし月次決算は仮に実施しても、社外に報告する義務はありません。

ではここで、なぜ実施義務も報告義務もないにも関わらず月次決算を行う企業があるのかという疑問が出てくるでしょう。

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月次決算の目的/メリット

月次決算は実施義務も報告義務もありませんが、企業の内部に向けて財務状況を明確にし、リアルな経営判断を行うために行う業務です。月次決算を実施するメリットは、タイムリーな業績管理、企業全体の業務改善、年次決算の負担軽減、金融機関からの融資など社外への報告とは別のところにあります。

月次決算を行うことで毎月の収支状況を正確に把握でき、そこから経営判断が可能です。特に現在は新型コロナウイルスの影響によって市場の変化が激しくなっています。政府の対応によって生産状況など企業の根幹部分も変えていく必要あるでしょう。

新型コロナウイルスの影響がなくても今は変化の激しい時代で、市場の変化には敏感でいる必要あります。そこで経営者は月次決算を行い経営判断に役立てるのです。月次決算を正確に行うことで、無駄なコストを削減しつつ売上アップを狙えます。

月次決算|経理業務フロー

通常業務に支障を出さないために月次決算の流れを把握しておくことが大切です。
流れについて以下にて解説します。

1:残高(現金/預金)確認

帳簿上の(現金/預金勘定)残高と実際の残高と合わせ差異を確認します。もしも帳簿が合っていなければ、原因を探り、修正作業を行います。帳簿のズレが生じている原因を探ることは年次報告できちんと正確な数字を報告するためにも役立ちますが、自社の状況を正確に把握し、経営改善に役立てるという意味でも役立ちます。

正確な数字を把握することで、問題点、改善点が見えてきます。また帳簿のズレが生じている原因を突き止めたら、再発防止に力を入れる必要があるでしょう。

2:月次棚卸

月次棚卸は月末の在庫を確認する作業です。月末の在庫を正確に把握していない場合は月次棚卸作業を行った方が良いですが、日々棚卸作業を行っている場合、省略しても問題ありません。

またよほど大きなズレがない限り、棚卸作業の結果を受けて経営改善に結びつけられることは特にないでしょう。ズレがない限りは帳簿を見て判断できることなので、無理に毎月末に棚卸作業を行う必要はないということです。

3:仮勘定(仮払/仮受金)の整理

仮勘定(仮払/仮受金)の整理では、仮払/仮受金の適正科目への振り替え作業を行います。会計処理では、取引の発生と実際に現金が出入りするタイミングに差があるため、仮勘定科目というものを頻繁に利用します。

仮勘定科目を放置していると実際に現金の出入りがあったにも関わらず仮のままということになるので、整理する必要があるのです。ただし入出金が発生したタイミングでマメに処理していれば、月末に処理する必要はありません。確認程度で済むでしょう。

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4:経過勘定を計上

経過勘定とは、未払/前払費用を計上することです。入金も出金も取引が発生したタイミングですぐに行われるわけではなく、月をまたぐ場合も多々あります。そのため、経過勘定を計上します。

月次での計上処理は科目や基準を設定しておく必要があります。科目や基準が曖昧なまま計上すると、各担当者がバラバラに計上することになるでしょう。計上の仕方がバラバラだと後から見直した際に混乱を招き、正確な経営判断ができなくなります。

そのため、計上の仕方がばらつきやすい経過勘定では特に社内でルールを明確にしておくことが重要です。

5:各種(減価償却/退職給付費)費用の計上

各種(減価償却/退職給付費)費用は月次では、年間の発生見込費用を見積もり年間計上額の12分の1を計上します。年間の発生見込費用を見積もり年間計上額の12分の1を計上する勘定科目の例は以下です。
  • 減価償却費
  • 賞与
  • 固定資産税
  • 生命保険料
  • 損害保険料
  • 労働保険料
  • 固定資産税

上記の勘定科目は毎月かかる、もしくは毎月分をまとめて支払うものです。仮に支払い自体は年単位で行っていても、日々発生している費用をまとめて支払っていると言えるでしょう。

そのため、月単位で12分の1を計上します。

6:月次試算表の作成から業績報告


日々の帳簿を作成し、棚卸作業や月末の処理が完了したら、最後に月次試算表を作成します。月次試算表は、勘定科目の貸借それぞれの合計を記入した「合計試算表」と、勘定科目の残高のみ記載した「残高試算表」、どちらも記載した「合計残高試算表」があります。

どれを作成するかは自由ですが、企業で統一しているのが通常です。月次試算表は作成義務も報告義務もないので、統一しておかないと前月との比較などがしにくく、また統一しないことにメリットはないため、毎月同じ方法で作成した方が良いでしょう。

月次決算業務を効率化するためのポイント


月次決算業務を効率化するためのポイントとして、以下が挙げられます。
  • 勘定整理の精度を上げる
  • スケジュールの共有
  • KPIの設定

第一に勘定整理の精度を上げることが必要不可欠です。数字が合わないと全体を見直す必要があり、時間がかかります。一か所でも違っていたら見直し時間が発生するということを肝に銘じるべきでしょう。

また見直した結果数字間違いの原因がわからなければ、他部署を巻き込んでの確認作業が発生する可能性もあります。担当者以外の社員の手間もかかるので、日々の帳簿作成、集計の精度は重要です。

次に他部署にスケジュールを共有することで、報告の期限をきっちり守ってもらうことも必要でしょう。期限が守られないと、担当者が連絡して確認する手間が発生します。確認しても連絡が付かない、その結果月次決算が遅れるといったことも考えられます。

また報告が遅れることで、ミスにつながる可能性も高まります。そのため、月末の時点ですべての報告がそろっていて、1回の作業で月次決算できるのが理想的です。

KPIはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標です。KPIは目標を達成するうえで、その達成具合を測るための定量的指標を指します。目標そのものではない点と、定量的であるということがポイントです。

KPIの概念は会計業務限定のものではなく、業務全般に使えるものです。定量的と言っても必ずしも数値化する必要はありませんが、作業をある程度細分化し、月末までに完遂する必要があります。

ただし日常業務もあるので、月次決算業務ばかりに時間をかけるわけにもいかないでしょう。そこで作業を効率化するために有効なのがクラウドERPです。クラウドERPとはクラウド上で会計業務等の事務処理を行うツールで、自動でデータが集計、共有されるといったメリットがあります。

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事例|Oracle Cloudで月次決算日程を短縮

日本企業は2020年3月期の決算発表を遅らせるということが相次ぎましたが、米国オラクルがコロナ禍でも決算日程を短縮しました。システム外だった従来の業務や手作業をCloud Oracleに取り込んで経理業務の自動化を実現し、決算業務にかかる時間を短縮したのです。

Cloud Oracleで実現可能なことは以下です。

  • 勘定科目体系を統一
  • 経費配賦や補正仕訳など子会社に共通する業務をシェアードサービスに集約
  • 勘定照合や文書作成・経費精算などは、ソリューション導入

米国オラクルは以上のことを実現し、結果的にリモート勤務下でも20%月次決算の期間短縮を実現しました。1日で決算業務を完了させています。特に法人間、部門間で勘定科目やその他の会計手法を統一し、システムで自動化した点が大きいと言えるでしょう。

同じ基準でデータを入力すれば自動的に共有され、さらに統合されて必要なデータを抽出できます。業務効率化されることはもちろん人為的なミスを防ぐことにもつながります。特に会計業務においてミスが生じると出戻り作業が膨大になる可能性もあるため、システムで自動化するメリットは単に作業効率を高めるのみにとどまりません。

まとめ

月次決算は実施義務も報告義務もありません。年次決算とは異なり、あくまでも社内向けに、企業のために行うものです。月次決算を行うことで、現状を正確に把握し、経営改善に役立てられるメリットがあります。

月次などの決算業務を担当する方や経理業務の短縮を考えている企業は、クラウドを活用して特定機能を追加・改善が可能な「Oracle EPM Cloud」を導入してみてはいかがでしょうか。

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