【簡単】電帳法 (電子帳簿保存法)とは?
対象書類や必要な対応のポイント

 2024.02.19  クラウドERP編集部

[E-Book]データ主導の意思決定に勇気を持ち続ける

改正電帳法にて設けられた猶予が明け、2024年1月からは電子取引データ保存が完全に義務化されます。

そのために新たに対応を迫られている企業も多いことでしょう。電帳法への対応は業務改善にも通じるため、当座だけでなく先まで見据えた対策を考えることが大切です。

本記事では電帳法の概要をはじめ、直近の2022年に行われた法改正のポイントや、2024年以降に対応すべき対象書類の分類・取り扱いなどを解説します。「電帳法がよくわからない」「これから取り組む」といった方は、本記事を参考にして、慌てず落ち着いて対応していきましょう。

【簡単】電帳法 (電子帳簿保存法)とは? 対象書類や必要な対応のポイント

電帳法(電子帳簿保存法)とは

電帳法(電子帳簿保存法)とは、帳簿や決算書、取引先と交わした請求書、領収書といった法人税や所得税などの国税に関わる書類について、各事業者に対し電子データでの保存を認める法律です。これらの書類を保存する際は、それぞれの書類が法律で定められた一定の要件を満たしている必要があります。

電帳法は最初に制定された1998年以来、何度か改正されており、直近では2022年に改正されました。この改正では、次の3つに区分された対象書類の全てにおいて、保存要件等の大幅な緩和などの措置が行われています。

  1. 電子取引データ保存
  2. 電子帳簿等保存
  3. スキャナ保存

なお、電帳法は本来、電子データによる帳簿等の保存を認める法律ですが、2024年1月1日以降に行われる電子取引に関しては、電子データでの保存が義務化されています。そのため原則として、従来のように紙に印刷し書面として保存する方法が認められなくなった点には注意しましょう。

2022年に改正された背景

これまで電帳法は改正の都度、保存の際の要件を緩和する流れに進んできました。当初の内容では、電子書類として認められるために多くの厳格な要件を満たす必要がありましたが、それが事業者にとって、会計に関わる帳簿や書類等の電子化の妨げになっていました。

2022年の改正でも同様の方針がとられていますが、これまでよりもさらに踏み込んだ内容となっています。その背景には、コロナ禍の影響や働き方改革などによる在宅勤務の普及、省エネや環境対策が求められる企業のペーパーレス化など、日本企業を取り巻く環境の変化が影響しています。

そこで、これを機に遅れていた国内の経理のデジタル化を推進させることで、経理コストの削減による業務効率化や帳簿の適正化といった取り組みを、官民一体で進めていく目的があると考えられます。

電帳法を理解するうえで重要な3つの区分

先述した通り、電帳法上の保存される帳簿や書類の取り扱いについては、次の3つに大きく区分されます。

  1. 電子取引データ保存
  2. 電子帳簿等保存
  3. スキャナ保存

まずはこの3つの区分について、それぞれの書類の概要と保存要件を理解する必要があります。

【義務化】電子取引データ保存

電子取引データ保存とは、ネット注文や電子メール上でのやり取り(メールに書類が添付されていた場合も含む)などで交わされた取引について、発注や契約などの取引情報を直接書面で交わさずに、一定要件のもと電子データで保存することを義務付けたものです。

法改正により、2024年1月1日以降の取引については、全て電子データでの保存が義務付けられています。そのため、それまで自社で行われた電子取引の情報を紙の書類にて保管しており、法改正後も従来のやり方を継続している場合、一度紙に保存したものを再度スキャンし電子データ化する必要があるという、二度手間が発生してしまう点に注意が必要です。

【任意】電子帳簿等保存

電子帳簿等保存とは、会計ソフトやクラウドなど、コンピューター上で作成された会計に関わる書類について、保存等の要件を定めたものです。

会計に関わる書類とは、具体的に次のものが挙げられます。

  1. 会計ソフトなどで作成した帳簿等
  2. 会計ソフトなどで作成した帳簿以外の決算関係書類等
  3. 電子的に作成した見積書、請求書、納品書、領収書などで、取引先に紙で渡したときの控え

これらの書類については、2024年1月以降の義務化の対象外であり、電子データでの保存は任意になります。なお、電子データで保存する際は、後述する一定の要件を満たす必要があります。

【任意】スキャナ保存

スキャナ保存とは、手書きで作成して取引先に渡す書類の控えや、取引先から受領した紙の書類を自社で保存する際、スキャンで電子的に保存する方法を選んだ場合の保存要件について定めたものです。

スキャンの方法については、コピー機などのスキャナ機能で書類を読み込むほか、スマートフォンやデジカメなどで画像を直接撮影することも認められています。

なお、これらの書類についても義務化の対象外であり、これまで通り紙で保存しておくことも可能です。

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電帳法の改正で押さえておきたいポイント

2022年の法改正における主な変更点は、以下の通りです。

2024年1月1日から電子取引データの電子保存が義務化された

取引先との電子メール上での契約・取引や、ECサイト上での売買などにより、ネット上で発行された契約書・領収書等については、紙での保存が認められず、電子データのまま保存することが義務化されました。

そして、この保存方法については「真実性の確保」「可視性の確保」という、2つの要件を満たす必要があることが定められています。

真実性の確保とは、データが改ざんされないように、保存するファイルにタイムスタンプ処理など一定の措置を行うことです。可視性の確保とは、保存されたデータを、あとから速やかかつ整然に検索・表示できるようにすることです。

これらの措置は、法改正の行われる2022年直後に中小企業などが速やかに実施するのは難しいと考えられたため、施行までに2年間(2023年12月31日が期限)の猶予が設けられました。その間は、やむを得ないと認められた場合は、これまでと同様に紙面での出力および保存が認められてきました。

とはいえ、あくまで時限的な措置であるため、2024年1月1日以降のインターネット上の取引については、電子的な記録が義務化の対象となります。

事前承認制度が廃止となった

従来法では、帳簿等を電子データで保存する場合、適用する3か月前までに所轄の税務署長に事前申請して、税務署長の許可を得る必要がありました。

この申請をする際は、電子保存する書類の種類を報告したり、利用するシステムの内容について詳細に記したりしなければならないなど、煩雑な申請書類の作成が義務付けられていました。しかし、この義務が電子データによる管理を普及する妨げにもなっていました。

2022年の法改正により、この税務署長への事前承認制度が廃止され、書類申請などの煩雑な手続きなしで帳簿等の電子保存を行えるようになっています。

タイムスタンプの要件が緩和された

タイムスタンプの要件に緩和が設けられたことも、大きな改正ポイントです。

電帳法では、紙の請求書などをスキャンして電子化する際、原本に担当者が自筆署名したうえで、タイムスタンプの付与を電子データに行うことが義務付けられています。従来の規定では、この付与を3営業日以内という非常に短い期間内に行わなければならず、それが電子データ移行の妨げになっていたという事情がありました。

しかし、今回の法改正によって、タイムスタンプを押す期限が2か月と7営業日以内に大幅に延長されました。また、削除・訂正したことが適正に記録され確認できるシステムを導入するなど、一定の要件を満たした会計システムやクラウドを利用することで、タイムスタンプの付与自体が不要になるといった処置も設けられています。

この緩和措置の導入により、従来であれば契約の都度タイムスタンプを付与しなければならずに、対応コストの増加などがシステム導入の壁となっていた中小企業においても、電子化の普及が推進されようとしています。

検索要件が緩和された

従来法では電子帳簿等を保存する場合、次のような要件が設けられていました。

  1. 記入事項の訂正や削除を行った場合に、これらの事実と内容を確認できる会計システムやクラウドを利用すること
  2. 通常の業務処理期間後に追加で内容を入力した場合、その事実を確認できる会計システムやクラウドを利用すること
  3. 電子化した帳簿と、それに関わるほかの帳簿の記録事項との間に、相互に関連性を確認できること
  4. 会計システムやクラウドのシステム関係書類等(マニュアルなど)を備え付けること
  5. 電子データの保存場所に、パソコンやプリンタなどを用意しておき、データを整然かつ速やかに出力できるようにしておくこと

そして、電子データの検索についても、次の要件が定められていました。

  1. 取引年月日、勘定科目、取引金額その他、その帳簿の種類に応じた主要な記録項目で検索できること
  2. 日付または金額の範囲指定によって検索できること
  3. 2つ以上の任意の記録項目の組み合わせによって検索できること

2022年の法改正により、これらの要件は廃止され、正規の簿記の原則に従って作成された適正な会計書類であれば、最低限の要件を満たしていれば電磁的記録による保存等が認められるようになりました。検索要件も、「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3点に緩和されています。

なお、これまでと同等の保存要件(優良な電子帳簿の要件)を満たし、「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の適用を受ける旨の届出書をあらかじめ所轄税務署長に提出した場合は、過少申告加算税(故意でない過少の申告漏れがあった場合に課される税金)が5%軽減される措置が設けられています。また、65万円の青色申告特別控除といったメリットも得られるようになりました。

参照元:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました 

罰則が強化された

電帳法に違反した場合、青色申告の承認が取り消されてしまうおそれがあります。承認が取り消されると、これまで受けていた最大65万円の特別控除を受けられなくなったり、欠損金の繰越しもできなくなったりするなど、税務面でも不利になってしまいます。

また、電子保存された書類について、故意にデータの隠蔽や仮装があったと認められた場合、通常の追徴課税35%に加え、さらに10%が加わった重加算税が課されます。このように、電子化推進のため保存要件等が大幅緩和された代わりに、不正に関して厳しい処置がなされるようになりました。

【一覧】電帳法の対象データと書類

電帳法の対象データと書類は、その内容により「電子取引」「国税関係帳簿」「国税関係書類」の3種類に区分されます。また、電帳法上で扱われるデータや書類について、その保存区分により「電子取引データ保存」「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」の3つに分類されることは先述した通りです。

ここでは、対象データや書類の種類に応じて、どの保存区分に分類されるのか、その関係性についてわかりやすく図表化します。

【一覧】電帳法の対象データと書類

電子取引

電子取引は、ECサイト上での売買や電子メール・クラウドサービス上での取引・契約など、ネットワーク上でやり取りした全ての取引情報に関する内容が該当します。具体的には次のようなものがあります。

  • 請求書
  • 見積書
  • 納品書
  • 発注書
  • 領収証

保存区分は電子取引データ保存に該当します。そのためデータを保存する対応は、事業者にとって義務である点に注意が必要です。

国税関係帳簿

国税関係帳簿とは、法人税や所得税などの国税に係る税法にて保存が義務付けられている書類の中でも、特に帳簿関係のものを指します。具体的には次のようなものが該当します。

  • 仕訳帳
  • 総勘定元帳
  • 売掛帳
  • 買掛帳
  • 現金出納帳
  • 固定資産台帳

国税関係帳簿の保存区分は、電子帳簿等保存に該当します。そのため電子データで保存するかは、義務ではなく任意になります。

電子データで保存する場合、正規の簿記の原則により適正に会計情報が記録されており、一定の検索要件も満たしている必要があります。そして、追加で一定の保存要件を満たしている場合に、青色申告特別控除や過少申告加算税の減免といったメリットを受けられます。

国税関係書類

国税関係書類とは、法人税や所得税などの国税に係る税法にて保存が義務付けられている書類の中でも、特に決算や取引に関する書類を指します。大きく「決算関係書類」「取引関係書類」の2種類に分けられ、その区分によって保存方法が異なります。

決算関係書類

企業の決算に係る内容を記した決算関係書類には、次のようなものがあります。

  • 貸借対照表
  • 損益計算書
  • 試算表
  • 棚卸表

決算関係書類の保存区分は、電子帳簿等保存に該当します。そのため国税関係帳簿と同様、電子データで保存するかは任意となります。

また、電子データで保存する場合、正規の簿記の原則により適正に会計情報が記録されており、一定の検索要件も満たしている必要があります。

取引関係書類

取引関係書類は、取引に関して相手先から受領した書類や、自己が発行した書類の控えを指します。具体的には次のようなものが該当します。

<相手先から受領したもの>

  • 請求書
  • 領収書
  • 納品書
  • 注文書
  • 見積書
<自己が発行したもの>
  • 請求書の控え
  • 領収書の控え
  • 納品書の控え
  • 注文書の控え
  • 見積書の控え

取引関係書類の保存区分は、相手先から受領したものについては、スキャナ保存による対応が求められます。一方、自己が発行した取引関係書類についてはスキャナ保存のほか、取引などで書類等を発行した事実が会計システムやクラウド上に適正に記録されている場合、電子帳簿等保存による取り扱いも可能です。

電帳法への対応策はクラウドERPの導入

書類や帳簿の電子データを保存する際、保存要件をその都度考慮しながら作業するのは、企業にとって大きな負担となります。一連の作業を自動化してくれる会計システムやクラウドの導入も有効な手段ですが、これらのシステムについても最新の法改正に対応している必要があります。そして企業側も、会計処理のデジタル化を進める体制の整備が必要です。

そこで、この機会に企業全体のデジタル化を進めてみてはいかがでしょうか。企業のデジタル化対策を効率的に進められるシステムとして、「クラウドERP」が挙げられます。クラウドERPとは、会計システムのみならず、企業の基幹業務プロセスの合理化を実現するために開発されたクラウドサービスです。

中でも「Oracle NetSuite」は、世界中で37,000社以上もの企業に採用されている実績のあるクラウドシステムです。財務会計管理や受注管理、生産管理などさまざまな業務の電子化をサポートし、企業の情報資源を一元管理します。中小企業やスタートアップ企業への対応も充実しているため、改正電帳法への対応がお済みでない場合は、ぜひ導入をご検討ください。

ERPの詳しい説明については、こちらのページを参照してください。

関連記事:ERPの意味とは? シェアや機能などをわかりやすく解説 

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まとめ

2022年の電帳法の法改正による大きな変更点は、電子データ保存の際に必須であった煩雑な作業の大幅緩和と、電子取引データ保存の義務化です。また、要件に該当する優良な電子帳簿等の保存を行うことで、青色申告の承認や税務面でのメリットが得られ、企業の信頼性も向上します。

電帳法への対応については、複雑でわかりにくい面も多いと思われますが、業務改善にもつながる大事な取り組みであるため、落ち着いて対策を考えましょう。デジタル化への対策としては、クラウドERPの導入もおすすめです。

電子帳簿保存法とそのための会計システムについて

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