財務とは? 経理や会計との違い、
主な業務内容や必要性を分かりやすく解説します

 2022.07.20  2022.11.21

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個人事業主や経営者の中にも「財務」「会計」「経理」の違いを十分に把握していない方もおられます。特に、「顧問会計士にすべて任せている」といった企業においては、それぞれの違いを理解できていないかもしれません。
しかし、経営状況の正確な把握のためにも、その意味や役割を理解しておくことは重要です。本記事では、財務、会計、経理の違いについて分かりやすく解説します。ぜひご一読ください。

財務とは?

財務とは、企業が成長を続けるためにはどうすればいいか、具体的な資金計画を立てる業務を指します。
過去の取引に関するデータを扱う会計や経理と違い、財務状況を俯瞰的に見て、企業の金銭面での将来設計まで行うという点が大きな特徴です。これらの仕事を担当する部署または業務自体を財務、担当する人材を財務担当者などと呼びます。
財務は経理部が作成した財務諸表などを参考に、資金計画を立てて以下のような仕事を行います。

  • 財務戦略の立案
  • 予算編成・管理
  • 資金調達
  • 資産運用
  • IRや監査対応
  • 内部統制(ガバナンス)

財務に欠かせないのが計画力と、計画を遂行するための実行力です。大企業では、最高財務責任者(CFO)を設置し、財務を内製化しているケースが多いですが、中小企業では財務を設置せずに、経営者や経理担当者が財務をこなすケースも多々あります。

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財務の主な役割、業務内容

財務の主な役割は、企業の将来や成長のために資金を管理することです。具体的には先述したように、「財務戦略の立案」「予算編成・管理」「資金調達」「資金運用」「IRや監査対応」「内部統制(ガバナンス)」などを行います。ここからは、それぞれの業務について、詳しくご紹介します。また、以下のサイトでも財務の業務内容についてご紹介していますので、合わせてご覧ください。
https://www.clouderp.jp/blog/finance-department-jobs.html

財務戦略の立案

財務戦略とは、資金をどこからどのように集め、どのように使うのかという計画を立てることです。そのために大切なことは、資金のニーズがどこにあるかを探ることです。財務諸表や事業計画などを参考に、担当者はどこに資金を充てるべきかを考えます。
財務戦略を誤ってしまうと、資金不足によって企業の成長が阻害されたり、株価などが下落して資金調達が難しくなったりと、財務状況上にデメリットが発生します。そういった事態を回避するためにも、経営者は経理と連携を取りながら、ニーズに即した現実的で効果的な財務戦略を立てる必要があります。

予算編成・管理

予算編成・管理においては、資金ニーズを見ながら立てた財務戦略に従い、各部署に予算を配分します。配分後も、資金が適切に使われているか、不足している部署がないかなどを確認し、継続して管理します。
万が一、取引先への支払いが滞れば、部署だけの問題ではなく、企業全体の信用に関わります。財務担当者は、経理と連携してお金の流れを正確に把握し、不足しそうになった場合は資金の調達も行わなければなりません。

資金調達

事業拡大や、新商品の開発、設備の導入などには、まとまった資金が必要になります。企業の運転資金が不足した場合は、外部からの資金の調達が必要になります。その際に、銀行などの金融機関に融資の交渉を行うのが財務の仕事です。
株式や社債を発行して投資家から資金を集める方法もあります。その場合、無軌道に発行してもリスクが大きくなるため、適切な金額を調達できるよう調整する必要があります。
また、企業としての信用が落ちるとそうした資金調達ができなくなります。常に自社の財務状況に目を配ることも重要です。

資産運用

企業の運転資金に使われない余剰資金の運用も財務の仕事のひとつです。投資商品を購入したり、M&Aで企業の買収・合併したりすることで、企業価値を高めます。
資産運用においては、目先の利益にとらわれることなく、長期的な視点で計画を立てることが重要です。また、運用の際に金融機関の協力を得る場合には、その担当者・部署と良好な関係を築いておく必要があります。

IRや監査対応

IR(Investor Relations)とは、投資家向けに経営や財務情報を分かりやすく説明する「株主対象の窓口業務」です。財務担当者は会社の経営や財務情報に精通していることから、IR担当も兼ねることがよくあります。
また、決算書類などに間違いや虚偽がないかを外部機関がチェックする監査の対応も、財務スタッフが担当する場合があります。監査では財務に関する質問や確認が多いことから、財務担当が監査対応を行うことでスムーズに進められます。

内部統制(ガバナンス)

内部統制(ガバナンス)とは、「事業活動に関わる従業員全員(非正規雇用も含む)が遵守すべき社内ルールや仕組み」のことで、コンプライアンスを厳守するための管理体制を築くことを指します。
財務に関連するコンプライアンス違反には、情報セキュリティの不備による情報の漏えいや、不正会計、業務文書の偽造・改ざんなどが挙げられます。このような外部取引の不正や、虚偽の精算書類作成・受理など、不備や不正を発生させないためのルールや仕組みの構築・運用を財務が担う必要があるのです。

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会計とは?

会計とは、金銭と品物のやり取りを記録する業務のことです。資金や物品の流れが正確に記録されていないと、利益や経費が分からず、企業の財務状況を正確に把握できません。
会計業務には、株主など外部の利害関係者に提示することを目的とした「財務会計」と、企業内部の管理を行う「管理会計」の2種類があります。

財務会計は、株主や債権者などの企業外部に報告するための会計方法で、「外部会計」とも呼ばれます。財務状況や経営状況を明らかにすることを目的としており、損益計算書(PL)や賃借対照表(BS)といった財務諸表を作成し、企業の会計情報を提供します。

管理会計は、企業内部を管理するための会計方法で、「内部会計」とも呼ばれます。経営者や役員などが自社の経営状況を把握することを目的としており、その都度必要な書類を作成し、報告することが必要です。財務会計とは異なり、決まった形式はないため、期間や頻度・内容は企業が独自に決めることができます。管理会計で作成された資料は経営方針を決める上で重要になるため、普段から有益な情報を整理・管理しておかなければなりません。

財務と会計の違い

では、財務と会計にはどのような違いがあるのでしょうか。先述したように、財務の仕事は資金計画の立案や予算編成など、未来の資金管理が中心となります。
一方、会計は日々の資産管理を行う仕事であるため、時間軸が異なります。また、会計は金銭だけでなく、物品のやり取りなどの管理も業務に含まれることが大きな違いです。
このように明確な違いがある財務と会計ですが、独立した部署がある企業はそう多くはありません。経理の業務にすべて含まれることも多いのが実情です。

経理とは?

会計がお金の管理全般を指す言葉なら、経理はその中に含まれる特定の業務を指す言葉です。具体的には「伝票の作成」「帳簿への記帳」「買い手に対する請求」「売り手に対する支払い」「税金関係の各種申告」などの業務です。
企業は「賃借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」を作成します。これらの書類は「財務諸表」と呼ばれ財務会計に欠かせないものです。経理は企業によって簿記などの専門知識が求められるケースもあります。

財務と経理の違い

財務が企業の未来を見据え、資金を管理する仕事であるのに対し、経理は伝票の作成や請求書の処理など、過去の金銭のやり取りに対する仕事が中心で、業務の範疇が明確に異なります。
また、経理は会計と違い物品の管理は業務に含まれません。企業で過去に発生した金銭のやり取りのみが、業務の対象になります。

財務・会計・経理、それぞれの必要性

企業にとって財務も会計も経理も欠かすことのできない存在ですが、その理由について紹介します。

財務が必要な理由

会計と経理に対して財務は必ずしも必要な仕事というわけではありません。ただし継続して成長を目指す企業にとって財務は欠かせない仕事です。財務は企業の状況や方針によって行うべき仕事内容が変わります。たとえば資金不足に陥っている企業は、金融機関や投資家から融資を受けるための計画を立てます。それに対して資金が豊富な企業は有効な投資先を決定したり、M&Aによって他社の買収や合併を積極的に検討したりします。肝心なのは現時点と将来的な財務状況をチェックし、その都度最適な資金計画を立てることです。企業の命運がかかっている立場ですので、財務には将来を予測する力と、強いリーダーシップが必要になります。

会計が必要な理由

企業経営というものはつまるところ金銭のやり取りによって成り立っています。そのため会計の仕事は企業にとって必要不可欠であり、会計担当者がいなければ適切なプロセスで顧客と金銭のやり取りを実行できません。企業に「会計部」という部署が存在しない理由は、会計がお金の管理全般を指す幅広い概念なので、それを少人数でこなすことが難しいからです。そのため経理部や経営企画部といった部署に仕事を分割して、会計業務を行っています。

経理が必要な理由

財務諸表をスムーズに作成するためには日々伝票を発行したり帳簿を記帳したりする人材が必要です。そのため経理部や経理担当者がいなければこれらの業務が滞り、請求も支払いもスムーズに実行できません。さらに、財務諸表は経営者が経営状況を分析するために欠かせない書類です。資産や負債、資本のどこに問題があるのかを把握できるため、正確な財務諸表を作成できる人材は非常に貴重です。小規模事業者では経営者や役員が経理を担当しているケースがあります。しかしながら扱うデータが多くなるにつれて専門知識が必要なので、中小企業以上の会社では経理部や経理担当者を設置しているのが通常です。

財務担当者に求められる資質

財務担当者にはさまざまな役割がありますが、会社の資金繰りに直接関わり、お金の流れを管理するため責任が大きい職種です。ここでは財務担当者に求められる資質について紹介します。

財務担当者の主な役割として、「財務戦略の立案」、「予算編成・管理」、「資金調達」、「資金運用」、「IRや監査対応」、「内部統制(ガバナンス)」を挙げました。全ての業務においてお金に関わるため、数字に強いことや経済動向を見極めて分析する力があることはもちろん、金融機関など多くの人と関わることも多いためコミュニケーション能力も必要です。

具体的には、財務戦略の立案・実行の経験や事業部ごとの収支把握・資金を補填する手段の確保など、お金を集めて管理する経験・スキルが求められます。ただお金を集めて管理するだけでなく、金融機関とのスムーズな連携や資金ショートを防ぐための資金管理など、いかに効率よく管理をするかが重要です。そのためには、事業部ごとの状況把握や経営層の理解を求めるためのコミュニケーション能力も求められます。資金調達においては、銀行などからの借り入れが必要であるため、あらかじめ関係を構築しておく必要もあるでしょう。

財務からガバナンスを効かせる重要性

財務担当の役割のひとつとして「内部統制(ガバナンス)」を挙げましたが、財務からガバナンスを効かせるメリットは主に2点あります。

まず、粉飾決算や横領といった社内の不祥事を防げることです。近年では、企業の不祥事が多く発生しています。企業経営の重要な課題のひとつとして、利益の最大化や企業の存続がありますが、万が一社内の不祥事が発生してしまった場合、社会的信用を失い、企業価値の失墜につながります。そうなると、利益や企業の存続にも大きな影響を与えてしまいます。こうした不祥事を未然に防ぎ、企業価値を維持・向上させるためにも、内部統制(ガバナンス)が必要不可欠です。

次に、無理な投資や不正な外部取引を防げることです。財務管理を内部統制することで、財務状況を正確に管理することができ、長期的な視点で無理のない投資ができます。また、社外取締役や社外監査役の設置や取締役と執行役の分離などの仕組みづくりをすることで、不正な外部取引といった組織ぐるみの不祥事を防止することも可能です。

このように、社会的信用を得て企業価値を高め、利益の最大化を通じて事業を存続させるために、財務からガバナンスを効かせることが非常に重要なのです。

財務を効率化して業務負担を減らすには

前述したように、財務と会計・経理の仕事にははっきりとした違いがありますが、中小企業などでは人材不足などの理由から財務として独立した部署がないところも多く、社長や経理部が財務を兼任しています。
しかし、そうすると兼任する者の負担が重くなるだけでなく、財務の知識が不十分で、判断を間違ってしまう可能性もあります。やはり、財務は専門的な知識を持った者が、専任で行うのが理想でしょう。では、担当者の負担を減らしながら財務を効率化するには、どうすべきでしょうか。以下に有効な2つの方法をご紹介します。

会計士や税理士に相談する

大企業では財務を内製化しているところもありますが、中小企業では財務の業務の一部または全部を、専門知識を持った会計士や税理士にアウトソーシングしているケースも多く見られます。
企業の業務の一部をプロフェッショナルに任せることは、特に海外では一般的であり、それによるメリットも多くあります。
知識を持った専門家によって適切な財務管理が行えるだけでなく、常時雇用するのに比べてコストも削減できます。財務の業務量がさほど多くない中小企業なら、専門家にアウトソーシングすることも有効な選択肢のひとつです。

ERPを導入する

ERPを導入して業務を効率化する方法もあります。ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略で、業務に関するシステムを指す場合、日本語では「統合基幹業務システム」と表現します。
従来の基幹システムは、「会計」、「生産」、「物流」、「人事」、「販売」など、部門ごとに個別管理されているのが一般的でした。そのため他部門のデータが必要な時や、部門間をまたいでデータを導き出したい時などは、その都度データのやり取りの手間が生じていました。
しかしERPなら統合データベースで一元管理できるため、部門間でデータをやり取りする手間が省け、連携も取りやすくなります。また、資産管理やキャッシュフロー管理、財務データの蓄積などの多くが自動化されるため、財務の業務が効率化できます。もし経営者や経理部が財務を兼任しているケースでも、ERPを使えばその負担を軽減できるでしょう。

財務でERPを活用するメリット

前段では、財務を効率化して業務負担を減らす方法としてERPの導入を挙げました。統合データベースでの一元管理や管理の自動化による業務の効率化以外にも、ERPを活用するさまざまなメリットがあります。ここでは、財務でERPを導入・活用するメリットを4点紹介します。

セキュリティの向上

「会計」「生産」「物流」「人事」「販売」などの各部門におけるデータを一元管理することにより、管理やセキュリティ対策の一元化が可能です。部門ごとでのセキュリティ対策は不要になるため、セキュリティ対応の時間や労力・負担が軽減します。
一方で、ERPを狙った攻撃も増えているのも事実です。その対策として、機密性の高い情報を暗号化する機能を備えたERPも登場しています。強力なセキュリティ対策を取ったERPを導入することで、クレジットカード番号などの個人情報や取引履歴などの重要な情報に対して高度なセキュリティ対策が施せるメリットがあります。

ガバナンスの強化

ガバナンスが強化できることも、ERPを導入・活用するメリットのひとつとして挙げられます。ERPによる統合システム環境によってデータを一元管理することで、プロセスが平準化し、不正やリスクを回避できます。
ERP導入後に注意するべきなのが、システム全体へのセキュリティポリシー設定とアクセス制限の設定です。また、アクセス権限があるとデータが一元管理されたシステムにアクセスできてしまうため、セキュリティポリシーに準じた従業員教育も必要です。これらの施策を行うことにより、企業システム全体を保護することが可能です。このように、アクセス権限や利用ルールを全社的に統一して管理することで、ガバナンスの向上につながります。

会計基準の遵守

民間企業と公営企業のルールは、国内および国際的な会計基準によって決まりますが、この会計基準は、頻繁に変更されます。そのため、変化情報を常に把握し、変化していく会計基準に対応する必要が出てきます。このような対応には多大な時間と労力を要するため、財務担当の負担が大きくなってしまいます。クラウドに対応したERPの場合、基準の変更に対応してアップデートされます。会計基準の変化に対して柔軟に対応できるため、会計基準を遵守しやすくなるメリットがあるのです。

他業務との連携

従来の基幹システムでは部門ごとにデータを管理していたため、部門や業務をまたいでのやり取りには大きな手間が発生していました。また、大企業の場合は企業間や工場間といった境界を越えてのやり取りも少なくありません。その点、ERPは統合データベースでデータを一元管理するため、部門や企業間でデータをやり取りする手間が省け、連携も取りやすくなります。

まとめ

財務は、予算管理や資金調達・運用など、企業が成長を続けるために欠かせない重要な業務です。財務の主な役割は、「財務戦略の立案」「予算編成・管理」「資金調達」「資金運用」「IRや監査対応」「内部統制(ガバナンス)」など、多岐にわたります。どれかひとつに問題があったり、うまく連携が取れていなかったりする場合、各部門が機能しなくなる危険性もあるため注意が必要です。

財務を効率化して業務負担を減らしたい場合には、EPRの導入が効果的です。データの一元管理よる財務担当の負担軽減のほか、セキュリティ向上にもつながるため、企業にも大きなメリットをもたらすでしょう。

最重要ミッションは「経営への貢献」経理・財務部門が10年後も生き残る方法

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