ニーズが高まるリモート決算とは? 事例から読み解く実現への対応策

 2022.04.01  クラウドERP編集部

新入社員、新規配属の方必見!ERP入門特集

社会全体でデジタルトランスフォーメーションが進み、多くの企業がテレワークを積極導入する中、決算業務のデジタル化についても需要が高まっています。本記事ではリモート決算導入についてニーズの高まり、導入する際の課題点、いち早く取り入れた日本オラクルの導入事例、スムーズな導入の進め方について解説します。

ニーズが高まるリモート決算とは? 事例から読み解く実現への対応策

リモート決算導入へのニーズの高まり

なぜ今、リモート決算が必要とされているのでしょうか。本記事では、ニーズが高まる「リモート決算」の定義や導入が広がる背景について紐解いていきます。

リモート決算とは? 定義をおさらい

リモート決算とは文字どおり、「社内外の場所にとらわれずに、期末の決算処理を完了させること」です。経理・財務担当者がそれぞれの場所から協力し合い、決算業務全体の見える化を重視し、決算処理を進めていきます。これまで紙の請求書の確認や押印が必要だったアナログ作業を、オンラインシステムを使ったり、リモート作業にシフトしたりすることで実現できます。ただし、請求書や支払伝票、決算報告書、財務諸表など決算に関わる書類を、PDFや画像などの電子データに置き換えるだけでは不十分です。

これまでオフィスで行っていた決算業務の進捗や内容の確認、データ変換やメール送信をテレワーク時にそのまま手作業で進めるだけであれば、かえって非効率となる可能性があります。テレワークに不慣れのため、余計に時間がかかったり、データ変換のために出社したりと、アナログな作業が増えてしまえば、完全なリモート決算とは言えないでしょう。

リモート決算の導入が進む背景

世界的に流行している新型コロナウイルス感染症の影響で、企業規模に関係なくテレワークへの移行を余儀なくされています。一方、国内では緊急事態宣言が発令され、外出自粛が叫ばれていたにもかかわらず、出社しなければならない経理や総務の担当社員が続出しました。特に経理部門は月次決算処理など、企業の財務状況を報告するための毎月の定例業務があり、それらをテレワークでこなすにはいくつもの課題をクリアしなければなりません。

具体的には、紙の書類や押印が必要な業務のペーパーレス化とともに、経理業務の環境の見直しと効率化が必要です。日々の請求データを登録するシステムや決算仕訳の自動化、リモート監査など、テレワークで決算業務を円滑に行うための環境の整備も要ります。新型コロナウイルス感染症に見舞われた2020年3月期決算は、経理担当者の出社、オンラインの監査対応の難しさなどで決算データの収集が遅れ、前年同期に比べ、決算所要日数が平均で1週間増えました。この結果からも、決算業務のデジタル化が遅れていることがわかります。
(参照元:東京証券取引所「2020年3月期決算発表状況の集計結果について」

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リモート決算を導入する際の課題

リモート決算の導入が始まっていますが、日本企業特有の課題もあり、一気に広まるのは難しいようです。それらにはテレワークの推進と密接に関係する課題も存在します。それぞれの課題について解説します。

根強い紙文化

国が推し進める働き方改革のひとつに、業務効率化や環境課題に寄与できるペーパーレス化があります。海外の企業では電子契約が一般化し、契約書類を取り扱う機会が減り、ペーパーレス化が加速しています。書類を電子データにすれば、共有しやすく、アクセス制限等でセキュリティも担保できます。テレワークに最適で、保存スペースも削減できます。このようにペーパーレス化のメリットは大きいですが、日本企業の場合、紙の書類や押印が必要な業務が未だ数多く残っています。

その最たる理由は、日本独自ともいえる「ハンコ(押印)文化」です。日本では法律や古い商習慣により、公的な書類や契約書類、企業の重要な手続きに法人印や個人印が必要な場面が数多く残っています。また、これまでの社内慣習として紙の資料を使用しているケースもあります。ペーパーレス化のメリットは理解していても、自力で紙文化を変えることは難しいのが現状です。

部門間でのコミュニケーション不足

テレワークの導入、フレックスタイムや時短勤務といった多様な働き方が広がっていくことで、社員同士、上司と部下、経営層と社員など社内コミュニケーションの機会が減少する傾向にあります。HR総研の「社内コミュニケーションに関する調査」によると、コミュニケーションの課題に「部門・事業所間のコミュニケーション不足」と回答した人が半数以上にのぼりました。

経理部は決算など重要で複雑な業務があるため、従来のマニュアル作業に頼り、IT化が進んでいない企業も少なくありません。そこにリモート決算だけを取り入れても、経理部が各部門とコミュニケーションや連携が取りづらいままでは、リモート決算のメリットが活かせない可能性があるのです。
参照元URL:HR総研「社内コミュニケーションに関する調査」

リモート決算の導入事例

国内でリモート決算をいち早く導入した例に、日本オラクル社の取り組みがあります。アメリカに本社を置くOracleの子会社ですが、東証一部上場企業で、国内の会計基準で決算業務を行う必要がありました。国内外に展開するグローバル企業の場合、テレワークでデータが集約しづらく、期限内に決算発表できない企業もありましたが、同社はリモート決算で予定通り業務を完了しました。

リモート決算が成功した理由は、2003年頃から在宅勤務制度を取り入れ、同時にペーパーレス化を進めていたことが挙げられます。すでに社員全員のテレワーク体制が整っていたのです。自社サービスの「Oracle Fusion Cloud ERP(旧:Oracle ERP Cloud)」により、伝票などの保管、管理、確認をすべてクラウド上で完結させ、契約書や請求書もペーパーレス化しました。
業務効率化と決算業務のスピード化を実現し、今後は自動化で決算業務を1日で完了する「ワン・デー・クローズ」を目標に掲げ、クラウドEPMによる経理業務の標準化や集中化、自動化を進めています。

リモートでの決算業務自動化に「Oracle ERP Cloud」

日本オラクルのリモート決算実現を可能にしたのが、自社のクラウドサービス「Oracle Fusion Cloud ERP(旧:Oracle ERP Cloud)」です。在宅勤務で月次決算を20%短縮しました。サービスの基本構成は、「ERP Cloud」と「EPM Cloud」です。ERP Cloudで売掛金や買掛金、購買などさまざまなサブシステムから、シームレスに会計データに移行します。そして、EPM Cloudで集まった会計データをもとに、リコンサイル(相互取引の消し込み)をはじめ、予算管理や連結管理、税報告を行います。

リモート決算をスムーズに進めるには?

他社に先駆けて実現した日本オラクルの実例を参考に、リモート決算をスムーズに進めるためのポイントを解説します。

企業内のデータを統合する

前提条件としてさまざまな種類の会計データを一元化し、データベースを統合する必要があります。統合により各データのスムーズな連携が可能です。シェアードサービスを使えば、子会社がそれぞれ個別に行っている経費精算を集約し、業務効率を高められます。

クラウド基盤を構築する

オンプレミスからクラウド基盤へ移行することで、リモートアクセスが可能になります。スピーディな立ち上げやランニングコストの軽減などのメリットも得られます。加えて、企業方針としてリモートアクセスの方法を定めることが必要です。

自動化を推進する

機械学習やAI機能により自動化を推進すると、さらに決算業務の効率化が見込めます。特に勘定科目の照合などは会計業務のルーティンワークでありながら、いまだ完全な自動化が難しい業務です。継続的に機能拡張が見込める、自動化ソリューションを導入することで、今後のリモート決算の実用化が期待できます。

まとめ

テレワークの普及と同時に、多くの企業でリモート決算の必要性が高まっています。リモート決算の実現にはOracle Fusion Cloud ERP(旧:Oracle ERP Cloud)が有効です。自社で基本サービスであるERP Cloud/EPM Cloudを使用し、実際にリモート決算を実現し、在宅勤務で月次決算を20%短縮した実績があるだけではなく、リモート決算早期化のノウハウと進め方についても知識を持っています。この機会にぜひ、導入をご検討ください。

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