SAPのサポート期限「2027年問題」とは何か

 2021.10.06  クラウドERP編集部

いま自社の統合基幹業務システムにSAP社の「SAP ERP」を採用している企業の多くが、経営基盤を揺るがしかねない深刻な問題に直面しています。それがSAP ERPのメインストリームサポート終了による「SAP2027年問題」です。本記事では「SAP2027年問題」について考察するとともに、具体的な対処法や問題解決の切り札となるソリューションを紹介します。

SAPのサポート期限「2027年問題」とは何か

SAP2025改め、SAP2027年問題とは?

「SAP2027年問題」とは、SAP社が提供するERPシステム「SAP ERP」のメインストリームサポートが2027年に終了する問題です。SAP社はERP分野において世界トップシェアを誇るリーディングカンパニーであり、世界中のさまざまな企業が自社の統合基幹業務システムにSAP ERPを採用しています。日本国内だけでも2000社以上が導入しているとされ、メインストリームサポートの終了は同製品を採用している企業に甚大な影響を及ぼすと予測されます。

当初、SAP ERPは2025年にメインストリームサポートの終了が予定されていましたが、その後、SAP社は2027年まで延長する旨を発表し、企業には2年間の猶予が与えられました。
またメインストリームサポートが終了しても、セキュリティプログラムは更新されるため利用自体は可能です。しかし、新機能の追加が一切なくなり、さらにバグや法規制の変更などに対応するプログラムも更新されません。

2%の延長保守費用を支払うことで2030年までサポート延長も可能ですが、問題の先送りにしかならず、根本的な解決に至るとは考えにくいと言えます。SAP ERPのサポート終了は非常に深刻な問題であり、経済産業省も2018年に公表した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(※1)のなかでレガシーシステムに関して警鐘を鳴らしています。

(※1)参照元:DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~|経済産業省

なぜSAPサポート期限が決まっているのか

SAP社がSAP ERPのメインストリームサポート終了を決断した背景にあるのは、SAP ERPの「シスムテの肥大化」と「リアルタイム性の欠如」です。SAP社は1973年に世界初のERPシステム「R/1」をリリースし、その後も「R/2」「R/3」「SAP ERP」と段階的に進化を遂げてきました。SAP ERPが発表されたのは2005年であり、長年に渡ってバージョンアップと機能拡充を繰り返してきたことにより、データ量が肥大化し、システムのリアルタイム性が失われつつあったのです。

近年は情報通信技術が加速度的に進歩・発展しており、それに比例して市場の変化も加速しています。このような時代のなかで市場や顧客のニーズに対応していくためには、迅速な経営判断と的確な意思決定が不可欠です。しかし、SAP ERPでは加速する市場の変化に対応しきれなくなっており、SAP社は新しい時代に即したERPシステムの開発が求められるようになります。

このような背景のなかで2015年にリリースされたのが、現行製品の「SAP S/4HANA」です。SAP S/4HANAは、データをRAM領域に格納するインメモリデータベースの「SAP HANA」を基盤としており、従来よりも圧倒的に高速なデータ処理が可能になりました。しかし、顧客企業の業績向上に貢献するためにはSAP S/4HANAへの移行を促す必要があるため、SAP ERPのメインストリームサポート終了を決断したと考えられます。

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SAP2027年問題への対処法

ここからは、「SAP2027年問題」への具体的な対処法について見ていきましょう。現在、SAP ERPを統合基幹業務システムに採用している企業に求められる対処法は以下3つのいずれかです。

  1. SAP S/4HANAへの移行
  2. SAP ERPの継続利用
  3. そのほかのERP製品を導入

SAP S/4HANAへの移行

「SAP2027年問題」への対処法として、もっとも一般的かつSAP社が推奨しているのがSAP S/4HANAへの移行です。代表的な移行方法としては「コンバージョン方式」と「リビルド方式」の2つが挙げられます。コンバージョン方式はSAP ERPのアドオンプログラムやカスタマイズ設定を活用し、現在のデータをそのままSAP S/4HANAへ移行する手法です。リビルド方式はゼロからシステム要件を定義し、SAP S/4HANAの環境を新たに構築する手法です。

また、別のアプローチとしてSNP社が提供する「CrystalBridge」を利用する方法もあります。CrystalBridgeはデータ変換基盤ソフトウェアと呼ばれるソリューションで、「BLUEFIELD」と呼ばれる移行方式によってデータの破損リスクやダウンタイムを最小限に抑えます。これらの手法はそれぞれにメリットとデメリットがあるため、自社のシステム環境や事業形態に適した移行方法の選択が重要です。

SAP ERPの継続利用

もっともコストを抑えた対処法として挙げられるのが、SAP ERPを継続して利用する方法です。冒頭で述べたように、メインストリームサポートが終了してもセキュリティプログラム自体は更新されるため、SAP ERPの継続利用は十分に可能です。ERPシステムのマイグレーションはデータの破損や消失、不具合の発生による事業停止などのリスクが存在するため、SAP S/4HANAへの移行に踏み切れない企業も少なくないでしょう。

また、大企業のように多様な資金調達手段をもたない中小企業にとって、システム環境の移行や刷新における費用の捻出は簡単ではありません。しかし、レガシーシステムを抱えたままでは企業の発展と事業の成長は困難であり、新たな市場価値を創出するためには一歩先を見据えた戦略的な投資が不可欠です。セキュリティプログラムが更新されるとはいえ、盤石なセキュリティ体制を構築できるわけではないため、可能な限り新システムへの移行・刷新が求められます。

そのほかのERP製品を導入

SAP社のソリューションにこだわるのではなく、ほかのERPシステムへ切り替えるのも有効な手段の1つです。SAP社のERP製品は統合基幹業務システムの分野で世界トップシェアを誇る優れたソリューションです。
しかし、大切なのは自社の経営体制や事業形態に適したシステムを導入することであり、SAP S/4HANAへの移行はベターではあってもベストとは限りません。特にマイグレーションの資金調達が困難な企業は、クラウド型のERPシステムを活用することで、導入費用や管理コストを抑えつつ基幹業務を統合管理できる環境を整備していけるのです。

時代の潮流がクラウドファーストへと加速していることもあり、さまざまな企業が優れたクラウドERPをリリースしています。例えば、SAP社以外のクラウドERPを挙げるなら、Oracle社の「Oracle NetSuite」、Microsoftの「Microsoft Dynamics 365」、国内企業であればGRANDIT社の「GRANDIT」などが代表的なソリューションです。自社のシステム環境や経営課題などを考慮し、SAP社以外のERP製品を導入するのも戦略的なIT投資と言えるでしょう。

「Oracle NetSuite」が2027年問題の切り札に

「SAP2027年問題」の本質は、SAP ERPのストリームサポートが終了することそれ自体ではありません。問題の本質はレガシーシステムを抱えることによる市場競争力の低下です。ERPシステムがレガシー化することでシステムの肥大化や複雑化、障害の発生や情報セキュリティインシデントなどを招き、事業戦略上の足かせになる点が「SAP2027年問題」の本質と言えるでしょう。

このような事態を回避し、変化の加速する市場や高度化する顧客ニーズに対応していくためには、レガシー化したSAP ERPを脱却しなくてはなりません。そこでおすすめしたいのが、Oracle社が提供するクラウドERP「Oracle NetSuite」の導入です。Oracle社はデータベース管理システム分野で世界トップシェアを誇る企業であり、エンタープライズ向けのソリューション開発を長年に渡り手掛けてきました。

Oracle NetSuiteは、Oracle社のデータベース管理システムの開発によって培われた高度なセキュリティ環境のもとで、財務・会計・調達・生産・流通・販売といった基幹業務を一元的に管理します。そして、基幹業務のデータをクラウド上に集約し、リアルタイムな経営データの可視化、精度の高い市場予測や顧客の需要分析、サプライチェーンの最適化など、さまざまなメリットを企業にもたらします。

また、SAP社のクラウドERP「SAP S/4HANA Cloud」は大企業向けのソリューションであるのに対し、Oracle NetSuiteは柔軟性と拡張性に優れるため、スタートアップ企業から大企業まで幅広い事業領域に対応できる点も大きなメリットです。高度なセキュリティや柔軟なクラウド環境を構築できる点などが評価され、およそ200を超える国々での導入実績があり、26,000社を超える顧客に利用されています。Oracle NetSuiteは「SAP2027年問題」に直面している企業にとって、市場における競争優位性を確立する切り札となるかもしれません。

まとめ

基幹業務を統合的に管理するERPシステムは、定量的なデータ分析に基づく経営戦略を策定する上で不可欠なソリューションです。変化の加速する現代市場において、企業が新たな市場価値を創出するためには、レガシーシステムと化したSAP ERPから脱却しなくてはなりません。2027年問題を乗り越えるだけでなく、企業の成長と発展を通して新たな市場価値を創出するためにも、Oracle NetSuiteの導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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