サプライチェーンプランニング(SCP)とは? システムの重要性を解説

 2022.06.09  2022.06.10

グローバル標準のクラウドERP

コロナ禍や国際情勢の緊張を受けて、サプライチェーンの見直しを図っている企業も多いことでしょう。安定的かつ効率的な供給網を確立するには、精密に計算・分析された計画が欠かせません。そこで本記事では、サプライチェーンの効率的な計画を策定する取り組み、およびそのためのツールとして「サプライチェーンプランニング(SCP)」について解説します。

サプライチェーンプランニング(SCP)とは

サプライチェーンプランニング(SCP:Supply Chain Planning)とは、どのような概念なのでしょうか。まずはSCPの定義や、関係の深いSCM・ERPとの違いから解説していきます。

SCPとは

そもそもサプライチェーンとは、原材料や部品の調達から始まり、製品の製造・販売に至る一連の流れのことです。サプライチェーンは製品を製造する「メーカー」と、原料や部品をメーカーに供給する複数の業者「サプライヤー」によって、モノ・金・情報が飛び交う複雑なネットワークを形成しています。

良質なサプライチェーンを構築できれば、無駄の少ないコストで安定的な供給網を確保し、ビジネスにおける競争力を維持しやすくなるでしょう。反面、サプライチェーンの整備が不十分だと、原料や部品の供給が不安定になり、最悪の場合、メーカーの生産活動がストップしてしまうことも起こりえます。したがって、多くの企業がサプライチェーンの最適化に力を入れており、そのために在庫管理・物流管理・生産管理などに関するサプライチェーン計画を策定することをSCP、すなわちサプライチェーンプランニングと呼びます。

またSCPは、上記の一連の計画策定を支援するITシステムを意味する場合もあります。SCPシステムには高度なAIが搭載されている製品もあり、それらAIの需要予測などに基づいてサプライチェーン計画の策定および運用を行うことで、生産時間の短縮や在庫管理の最適化、コスト削減などにつなげることが可能です。

SCM・ERPとの違い

SCPと関連性の高い概念として、SCMとERPが挙げられます。SCPへの理解を深めるため、そして、SCPとこの両概念の混同を避けるために、それぞれの違いを確認してみましょう。

まず、SCMとは「サプライチェーンマネジメント(Supply Chain Management)」の略称です。SCMは「ジャスト・イン・タイム」の理念、つまり過去のデータから需要を予測し、必要なときに必要な量のみを生産して販売することを理想としたサプライチェーン管理方法のことです。また、SCMを支援するシステムを「サプライチェーンマネジメントシステム(SCMシステム)」といいます。

SCMを導入することで、グローバル化・労働環境の変化・ビジネスモデルの変化への対応が適切に可能になり、在庫管理や従業員のスケジュール管理も効率化できます。要するにSCMとは、サプライチェーンの管理運用を最適化する取り組みを指しているのです。そしてSCMの実施に際し、その骨子となる計画を立てることがサプライチェーンプランニング(SCP)の役割です。

他方、ERPとは「Enterprise Resource Planning」の略称です。本来的には人・モノ・金など、企業のあらゆる資源を効率的に活用するための計画(企業資源計画)を意味しますが、昨今ではその計画実現のために活用されるシステム(統合基幹業務システム)を指してERPと呼ぶことも増えています。システムとしてのERPは、企業におけるあらゆる業務の情報を一元管理し、経営を可視化するツールです。

ERP・SCM・SCPそれぞれの関係をまとめるならば、まずERPが企業全体の経営資源を一元管理するのに対して、SCMは調達から販売に至るプロセスを管理する取り組みを指します。ERPが管理する情報の中にはSCMも含まれるため、SCMはERPの一部と解釈できます。つまり、「企業活動全般の資源計画を統括するのがERPであり、ERPの営みのひとつにSCMがあり、SCMを実施するための計画がSCPである」という部分全体関係によって三者を捉えることが可能です。

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SCPが注目されている背景

SCPが現在注目されている背景としては、主に次のことが挙げられます。

ビジネスモデルの多様化

SCPが注目されている第一の理由は、ビジネスモデルの多様化・複雑化が進んでいることです。「作れば売れる」というシェア型重視のビジネスモデルの限界が見え始めた昨今、「どうすれば無駄なく利益を最大化できるか」という収益性重視の観点が重要性を高めています。また、オンラインビジネスの拡大に伴い、販売チャネルの多様化や拡大がどんどん進んでいることも見逃せません。

こうしたビジネス環境の変化とともにサプライチェーンの複雑化が進んだことで、サプライチェーンの構築や効率化に取り組む企業が増えており、サプライチェーン管理・運用におけるキーファクターであるSCPの需要が自然と高まっているのです。

SCPシステムの高度化

SCPシステムの機能が高度化していることも、注目の理由です。日進月歩でICTが進化し続ける中、SCPシステムの有用性もまた高まっています。昨今のSCPシステムは、基本的な処理能力が向上しているのはもちろん、従来では個別に機能していたアプリケーションが一つのプラットフォームに集約されることで、複雑だった各機能・各情報の関係性をシンプルに捉えられるようになり、飛躍的に管理しやすくなっています。

また、最近では「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉に象徴されるように、ICTの整備への取り組みが盛んで、SCPを活用しやすいデジタル環境を備えた企業が増えてきたことも注目の一因でしょう。

SCPシステムがもたらすビジネス改革

SCPシステムはサプライチェーンをはじめ、ビジネスをどのように変革できるのでしょうか。続いては、SCPシステムの分類とS&OPの流れを解説するとともに、SCPの導入効果をご紹介します。

SCPシステムの分類

すでにご説明したように、SCPシステムはサプライチェーン計画の策定を支援するツールです。SCPシステムには製品ごとにさまざまな特性がありますが、大きく分けると「ヒューリスティクス型」と「最適化型」の2つのタイプがあります。

まずヒューリスティクス型とは、人がさまざまな計画を立てて比較するアプローチを支援するモデルです。このタイプは、システムよりも人の判断を重視する企業に適しています。

他方、最適化型とは、人があらかじめ策定しておいた条件に従い、システムが最適なサプライチェーン計画を算出するモデルです。AI技術などの進歩により、最適化型の実用性は以前よりも飛躍的に向上しています。しかしその分、システムをフル活用するには、ヒューリスティクス型以上にIT人材の役割が大きくなるでしょう。

SCPシステム製品を選ぶ際は、自社の状況やニーズに合わせて、まずこの2タイプのどちらが適しているか検討することをおすすめします。

SCPシステムを使用したS&OPの流れ

最後に、ヒューリスティクス型と最適化型それぞれのSCPシステムを使用した、S&OPの流れを解説します。なお、S&OPとは簡単にいうと、サプライチェーン計画の策定から実際の運用に至るまでの一連の仕組みを指します。S&OPの詳細については、下記の関連記事をご参照ください。

関連記事「S&OPとは?基礎知識やプロセス構築のポイントを解説!

【ヒューリスティクス型のS&OPの流れ】

  1. SCPにおいて優先すべきポイントを検討します。
  2. SCPの制約条件を検討し、初期値をシステムに設定します。
  3. 需要や在庫などに関する情報をシステムへ入力し、2の制約条件に基づいて計画を作ります。
  4. 制約条件を変えながら、複数の計画(シナリオ)をさらに作っていきます。
  5. 作成した複数シナリオの効果(KPIなど)を人が比較検討し、採用する計画を決定します。

【最適化型のS&OPの流れ】

  1. 最適な計画を作成するためにシステムが必要とする変数・目標値を人が設定します。
  2. 人とシステム両方の側から制約条件を設定します。
  3. 1と2の結果に基づいて、システムが最適な一つの計画を算出します。
  4. システムが作成した計画を人が確認し、場合によっては修正して仕上げます。

まとめ

社会情勢の変化と共にビジネス環境も大きな変化に晒されている今、安定的かつ効率的なサプライチェーン体制の構築は、多くの企業にとって喫緊の課題です。そして、サプライチェーン最適化の鍵となるのがSCPおよびSCPシステムです。

サプライチェーンの複雑化が進んでいる昨今、人の手だけで最適なサプライチェーン計画を策定したり、その管理運用を行ったりするのは得策ではありません。本記事でご紹介したSCPシステムをはじめ、ICTの力をどれだけ有効活用できるかが、今後のサプライチェーン運用の成否を左右するでしょう。

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