統合計画書は何の為にあるの?目的やおすすめの作成方法を解説

 2022.05.27  2022.11.29

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統合計画書は、作成することで企業によい影響をもたらすものです。ただし、きちんと内容を理解し適切に作成を進めなければ、他の業務を圧迫し自社の社員に負担をかけてしまうこともあります。そこで本記事では、統合計画書の内容や目的について説明するとともに、作成時の課題点を紹介します。

統合計画書は何の為にあるの?目的やおすすめの作成方法を解説

統合計画書とは

統合計画書とは、企業の売上をはじめとする財務情報のほかに、企業統治やCSR(企業の社会的責任)情報、知的資産などの非財務情報をまとめているものです。近年、海外の機関投資家が投資の際に企業の財務情報だけにとどまらず、CSRなどの情報も重視するようになりました。それを受けて、諸外国の企業では財務情報のほかにも、財務以外の情報もまとめて見られる書類を発行することになったのです。

日本の企業も、昨今では財務情報に限らず非財務情報の開示にも取り組むことが推奨されています。そのため、統合計画書の発行を始める企業は年々増えてきています。

また、統合計画書を発行できる組織は企業に限りません。大学基金などの組織でも統合計画書を公表し、組織の経済価値と社会価値の両方を報告しています。

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統合計画書の目的

統合計画書を作成する目的として、まず投資家に投資を行ってもらうことが挙げられます。企業は決算書を作成することになりますが、決算書だけでは企業の取り組みについて投資家に知ってもらうことはできません。財務情報に限らず、企業独自の強みや経営のビジョン、今後展開していく予定の事業、CSR情報などについても知ってもらうことで、自社を理解し投資してもらえます。

また、統合計画書の作成には、自社の状況を客観的に把握するという目的もあります。統合計画書は、財務情報と非財務情報の両方を記載して公表するのが特徴です。そのため、自社にどんな価値があるか、今後どのような価値を提供していくかをさまざまな情報から客観的に判断できます。自社の経営層が状況を把握できることに加え、顧客企業にも自社について理解してもらえるというメリットがあります。

統合計画書は、企業が今後創造する価値に関する発表をするツールです。長期間に及ぶ価値創造のために、資源や関係性などを包括的に考えることを統合思考といいますが、統合計画書はこの統合思考に基づいて作成されます。つまり、統合計画書の作成は、現状から将来について考えることにつながるのです。

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統合計画書の背景とトレンド

統合計画書は、2013年に非営利団体IIRC(国際統合報告評議会)が公開し、利用を促進しています。企業の財務情報に限らず、環境保全や地域貢献などで社会的責任をどれだけ果たしているかという非財務情報を公表すべきという時代背景により、統合計画書が使われるようになりました。

ただし、海外ではより良い経営をしている企業かどうかを示す指標であるESGが多くの企業の事業戦略に含まれているので、統合計画書が広く普及しなかったといえます。一方、日本では2020年時点で統合計画書を導入している企業が500社を超えています。

日本での統合計画書の普及拡大は、経営にESGを取り込む統合思考へ転換しようという企業の考えの表れといえるでしょう。

アニュアルレポートやCSR報告書との違い

同じ報告書の類としては、アニュアルレポートやCSR報告書などがあります。これらと統合計画書の違いについて、詳しく見ていきましょう。

アニュアルレポートとの違い

アニュアルレポートは、企業が任意で発行する年次報告書です。発行した場合は、年度末に株主や金融機関など自社の関係先に配布します。財務情報など経営内容に関わる情報を記載しますが、法律で作成が義務付けられた書類ではないため、企業理念や今後の事業戦略、CSRへの取り組みなど、さまざまな情報を企業独自の判断で自由に記載可能です。

統合計画書とアニュアルレポートの違いは、統合思考が盛り込まれているかどうかです。統合計画書には、企業が今後の価値創造のために必要となる情報が記載されています。

CSR報告書との違い

CSR報告書とは、CSRの考え方に基づいて企業が行う社会的な取り組みがまとめられているのが特徴の報告書です。環境や社会貢献などのために企業が何をしているのか、社会問題に対する企業の倫理的な業務実績はどうかといった内容を、CSR報告書で報告します。

CSR報告書は財務情報を記載しなければならない書類というわけではなく、内容はあくまで非財務情報に限定されます。アニュアルレポートにCSRへの取り組みが記載されていない場合は、CSR報告書とアニュアルレポートを合体させたものを統合計画書として公表している組織もあります。

統合計画書の課題点

統合計画書を作成すると企業はさまざまなメリットを得られますが、その一方で注意しなければならない課題点もあります。ここでは、統合計画書の課題点を確認しましょう。

関係者が多いとき、統合や修正に手間がかかる

統合計画書の作成を進めるためには、記載する情報を集めなければなりません。アニュアルレポートやCSR報告書、ESGデータ集などが必要となり、これらの内容を集計したり統合したりするのには手間がかかってしまいます。それぞれの関係者に確認を取り、作業を依頼しながら複数の担当者で統合や修正を行うと、業務時間が圧迫されてしまうという問題もあります。

また、統合計画書は既存の書類を組み合わせればいいというものではありません。企業がこれからどのような価値を創造していくかという点に関わる情報を記載するのが統合計画書なので、そのルールに乗っ取って作成していく必要があります。そのため、複数の書類をただ組み合わせるだけの場合よりも時間や手間がかかります。

作ることが目的となり、現場まで方針が届いていない

統合計画書を無事作成できても、作ることが目的となってしまい、内容が現場まで届いていないことがあります。統合計画書は今後企業が価値を創造していくために、自社の現状についての理解を促す書類です。ただし、現場まで方針が届いていないことも多く、統合計画書に記載した内容を自社の社員が理解していないというケースも発生します。また、そもそも統合思考自体が現場に浸透しておらず、社員の理解が進まないという課題もあります。

統合計画書を効率的に作成し、意義のあるものにするには

統合計画書は効率的に作成することに加え、作った意義のあるものにしなければなりません。そこで、複数名でのレポート作成を支援するツールを導入するのがおすすめです。

統合計画書を作成するためには、複数の計画書から情報を集めて多数の担当者が作業をしなければなりません。修正が発生したら都度反映させなければならず、手間がかかってしまいます。レポート作成支援ツールを導入すると、複数名が同時にレポートを作成できるので、統合や修正もスムーズに進められるのです。

また、ツールを導入することでレポートの作成だけでなく、レビューや公開までも難なく行えます。その結果、作ることが目的となって現場まで方針が届かないという統合計画書によくある課題点を解決できます。統合計画書をはじめとするレポートの作成を効率的に行いたい場合は、作成基盤を整えられるツールの導入を検討してみましょう。

まとめ

統合計画書は、企業の価値創造に関わる情報が記載されているものです。統合計画書を適切に作成することで、企業は投資をしてもらえたり、自社の状況を正しく理解したりできます。

しかし、統合計画書はさまざまな情報を集めて複数名で作成を進めなければならず、手間がかかってしまいます。統合計画書をはじめとするいろいろなレポートをスムーズに作成するために、Oracle Cloud EPM Narrative Reportingのようなレポート作成支援ツールを活用してみてはいかがでしょうか?レポート作成基盤を整えたい企業の方は、導入を検討してみてください。

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