ERPをリプレースして企業成長につなげる方法

 2019.07.01  クラウドERP編集部

[E-Book]データ主導の意思決定に勇気を持ち続ける

ERP(Enterprise Resource Planning)が日本で普及を始めたのは1990年台後半から2000年初頭の頃です。当時、ERPと言えば大手ERPベンダーが主流であり、導入形態もオンプレミスしか選択肢が無かったためERPへの初期投資は数千万円から数億円もかかっていました。そのため、中小企業がERPを導入するケースは稀有であり、大企業が導入するものというイメージが先行していました。

近年ではこの認識が一変しています。クラウドサービスの台頭によって導入価格も安価になり大手企業だけでなく中堅・中小企業においてもERPは手の届くものとなりました。各ERP製品は幾度かのアップデートを繰り返し様々なビジネスシーンにフィットするような製品が多いため、昔のようにアドオン開発を必要とするケースが少なくなり、最小限のカスタマイズや設定のよりビジネスプロセスを構築できるようになり低価格化につながっています。

今回は、そんなERPをリプレースしかつ企業成長につなげる方法についてご紹介します。最近のERP動向は普及期と違って、ERPを業務効率化や運用負担軽減といった「守りのIT」ではなく、企業にとって新しいビジネスを生み出す「攻めのIT」が注目されています。ERPリプレースをご検討しているのならば、ぜひ読み進めてみてください。

レガシーERPが与える負の影響

2000年前後にERPを導入した企業の多くがオンプレミスとして導入し、かつ海外製品を導入しているところが多いでしょう。2006年にはクラウドサービス黎明期が始まりましたが、当時はまだ信頼性が低く、ERP構築基盤としてクラウドを選択する企業は非常に少ない状態でした。

この時期にERPを導入し、今もなお現役で稼働しているという企業は多いでしょう。いわゆるレガシーERPには、業務効率や運用負担を軽減するというメリットではなく、実はデメリットの方が多くなっていることが少なくありません。

当時ERPは非常に革新的なITソリューションでした。それまで企業は部門ごとにシステム最適化を図っており、その問題に悩まされているところに統合システム環境を提供するERPが現れたので、まるで救世主のようにERPを導入した企業も多いでしょう。実際にERPは多くの経営課題を解決しました。

しかしその代償として大規模なアドオン開発が必要になります。当時の海外製ERPは日本の商習慣を考慮していないため、日本企業がERPを導入するとなると大量のアドオン開発が必要になり初期投資が嵩んでいました。そしてもう1つの問題が「ERPの塩漬け状態」です。アドオン開発によって追加したアプリケーションは、基本的にERPベンダーの保証対象外です。そのためアプリケーションの動作保証が取れておらず、アップデート後にもそのアプリケーションが正常に動作するかは分かりません。

万が一アプリケーションが正常に動作しなかった場合はさらなるアドオン開発が必要になるので、現状維持を選択してアップデートを行っていないERPが多いのです。これがいわゆるERPの塩漬け状態です。

たとえ塩漬け状態を免れていても、レガシーERPでは近年のビジネス環境変化に対応できない可能性があります。その結果業務プロセスに変革を起こすことはできず、ビジネススピードもどんどん鈍化していき労働生産性も低下します。

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このように、古いERPを運用していることは業務効率化や運用負担軽減の効果を低くしたり、組織のとって負の影響を与えることが多いのです。

最近のERP動向!AIとIoTとの連携

では、旧来のERPに比べて最近のERPはどのように変化しているのでしょうか?どのキーワードとなるのが「AI(Artificial Intelligence:人工知能)」と「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」です。

AIは近年多方メディアで見聞きするキーワードなので、もはや説明は要らないほどでしょう。いわゆる人工知能は、人間では不可能な複雑かつ膨大なデータ処理をコンピューターで実行したり、あるいは人間的思考をコンピューターが模倣し、これをビジネスシーン等に取り入れるという研究分野です。

一方IoTは、あらゆるモノがインターネットに接続されている状態を指し、そうしたモノ自体を指す言葉でもあります。この2つのキーワードこそ現代のERPにとって最も重要な要素と言えるでしょう。

具体的にどのように関係するかというと、ERPとAI、それとIoTを連携してデータ活用精度を高めることで新しいビジネスを創出することができます。

代表的な変革といえば「サービタイゼーション」です。これは、従来モノとして販売していた製品が生み出す顧客体験に着目し、モノを販売するのではなくサービスとして提供するというビジネスモデルの変革です。

たとえば生産ラインで使用するロボットを製造販売している企業では、ロボットに何らかの問題が発生すると顧客の要望に応じてすぐに対応しなければいけません。さらに、定期点検を行ったり、部品を交換したり、これらのアフターサービスで作業費用を徴収することはあっても、そこから利益を創出するようなことはありませんでした。

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この環境にサービタイゼーションがあるとどうなるのか?ロボットを製造販売している企業は、ロボットにネットワークに接続されたIoTセンサーをいくつか取り付けます。そこから、作業ごとのアームの角度や1工程が完了するまでのサイクルタイム、あるいはロボットに生じている微振動をIoTセンサーで感知して、それらのデータをネットワーク経由でERPに送信します。

ERP側にはAIが搭載されており、IoTセンサーから受信したデータをリアルタイムに処理・分析を行い、ロボットの稼働状況や現在の安定状況等をモニターに表示します。その中でロボットが故障を起こしたり、不調に陥るような予兆があればすぐに検知して、必要に応じてメンテナンスを行ったり部品を交換したり、事前に対策を取ることができます。

これはいわゆる「予知保全」という保全方法で、ロボットが故障したり不調を起こす前に対処ができるため、顧客側ではロボット稼働を一切止めずに生産ラインを動かすことができるため生産性向上につながります。

こうした予知保全は従来のようなアフターサービスではなく、れっきとした保全サービスとして提供できますし、素晴らしいサービスを提供し生産性が向上するようなサービスならば顧客は喜んでその対価を支払います。

このようにAIとIoTと連携したERPを導入することで、これまで企業に存在しなかったビジネスモデルを創出でき、そこから新しい利益を得ることができます。

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ERPリプレース成功のポイント

既存ERPをリプレースし、新しいERPを構築してビジネスを成功へと導くためには、まず自社がサービタイゼーションによってどういった価値を提供できるかを把握しましょう。サービタイゼーションが可能なのは製造業だけではないので、広い視野を持ってビジネスの可能性を見出すことが大切です。

もう1つのポイントはクラウドERPを積極的に検討することでしょう。従来のERPに比べて初期投資が圧倒的に低く、かつインターネット経由で提供される製品なので、IoTとの親和性も高く、かつ柔軟なデータ共有が可能です。

Oracle ERP Cloudでは、AIおよびIoTと連携することで様々なデータを収取・処理・分析し、さらに各システムから生成されたデータを合わせることで多様なサービタイゼーションを実現できます。ERPリプレースの際は、ぜひご検討ください。

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