海外現法経営の見える化とは? 日本企業の課題と現地マネジメントについて

 2021.06.17  クラウドERP実践ポータル

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海外進出を行った企業の中には、様々な課題や悩みがあるのではないでしょうか。
課題を解決するには、利便性の高いシステムで解決できる部分はシステムで解決し、人間の労力と時間は人間にしかできない部分に割く、という考え方が重要になります。
そこで、この記事では現状の現法経営を行っている企業の課題や具体的なマネジメント方法について解説します。

海外現法経営の見える化とは? 日本企業の課題と現地マネジメントについて

海外現法においての経営の見える化|日本企業の課題

多くの日本企業がグローバル経営で挙げている課題は、経営情報の可視化に時間がかかることです。統一化されていない会計処理や不透明な財務情報が原因です。具体的には、海外現法では以下のような悩みを抱えています。
  • 経営判断の軸と組織形態が一致していない
  • 現法のデータシステムがバラバラで分析が不可能
  • 会計データの把握にかかる時間が長い
  • 海外現法の管理者が業務、資金財務、法律会計税務に詳しくない
  • セキュリティ管理でのリソース不足

各現法、本社にてデータを管理しているため、どこにどのデータがあるのかがわかりにくく、またデータの形式もバラバラです。そのため、分析が難しく、分析が可能であっても時間がかかります。

たとえば本社でデータを収集しようと思っても海外現法の管理者が詳しくないとデータの連携にも時間がかかり、必要なタイミングで必要なデータがそろわないことになるでしょう。

経営の意思決定はデータを元に行うため、これは迅速かつ正確な意思決定ができないことを意味します。分析が完了した頃には意思決定の遅れを自覚する、また情報が正確でなかったために誤った意思決定を下してしまう、といったことも考えられます。

グループ全体で足並みをそろえて正しい方向に進むためには、スピーディーな情報の連携、かつその情報が正しいことが必須です。また日本本社と海外現法ではマネジメントに違いがあり、これも適切な情報把握を難しくしている原因と言えるでしょう。

海外現法をマネジメントしていくためには

海外現法を有する日本企業と欧米企業のマネジメント形態での違いには、以下の3つがあります。
  • 多文化、多民族、多言語の環境を前提としている
  • 計数管理・情報やITの高度な活用
  • しっかりとしたルール作り

文化や言語が異なるので、マネジメントにも差異が生まれます。これらをすべて統一することは不可能なので、違いがある前提でマネジメントを行う必要があります。では具体的にどのような施策があるのかご紹介していきます。

しっかりとした経営管理ルールでガバナンスを強化

しっかりとした経営管理ルールとは、会計処理の方針や決算時の作業内容と手順が明確になっていることです。各担当者が主観的に処理してしまうと、あとからデータとして役立てる際に収集が困難になります。

具体的には会計処理の方針や決算時の作業内容と手順の取り決め、決算のテンプレート化、チェックリストの整備などが挙げられます。たとえば各法人間で勘定科目を統一するといった細かい取り決めも重要です。

なぜなら勘定科目によってあとから一覧で自動集計を出すようなことも可能だからです。統一されていないと、集計を取る際に自動化できず、人が目視で確認する、場合によっては現法の担当者に直接確認する、といった手間が生じます。

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このような作業は大きな手間と言えるので、あらかじめズレが生じないようにルールを統一しておく必要があるでしょう。

次にガバナンス強化では、子会社報告数値の内訳となる仕訳データを本社側でタイムリーにチェックすることで実現できます。データ入力、収集のルールを統一することはもちろん、データを自動で集計し、それを共有することも重要です。

本社側でタイムリーにチェックすることですぐさま問題点を把握し、規制や経営判断に役立てられます。年々企業の経営判断のスピード感は向上していて、意思決定が遅いことは市場からの撤退につながると言っても過言ではありません。

情報を効率的に役立てている企業とそうでない企業では圧倒的な差が出るので、企業の業務の中でもっとも効率化、自動化すべき部分と言えるでしょう。

海外現法とのコミュニケーションと人材育成

海外現法とのコミュニケーションを充実させることで、文化や言語の違いの問題をある程度解消し、海外現法(現地)の管理業務の知識不足を補うことが可能になります。担当者間で直接コミュニケーションを取るというアナログな手法も当然重要ですが、ここで説明しているコミュニケーションとは主に情報伝達を指します。

つまり、なるべくリアルタイムで双方が情報共有することが重要になります。WEB通話などでコミュニケーションを取ることは、お互いのモチベーション管理に好影響を与えますが、情報共有に関してはツールでなるべく効率化した方が良いでしょう。

ツールで自動的に共有される仕組みにしておけば、報告を行う時間と労力を省くことができます。コミュニケーションを効率化するためには、現地スタッフの人材育成と外部からの専門家の活用も重要です。

ただしいくら教育された人材や外部の専門家であっても、自己判断で自由に動いて良いわけではありません。本社で決めたルールに基づいて処理されないと、あとからデータを収集、分析して意思決定に役立てる工程で不都合が発生する可能性があります。

不都合を防ぐためには、ルールを徹底する必要性をきちんと伝えたうえで教育することが必須になります。特に文化が異なるため、国によってはルールを守るという感覚が日本人に比べて少ないケースもあるでしょう。

当然ルールは守るものという認識で教育していると思わぬところでトラブルが発生するので、ルールを守って処理する重要性や理由までしっかり共有しておくことがベストです。

海外現法のデータ管理でのシステム構築

海外子会社の業務をリモートで管理する必要性から、グローバル経営管理での見える化を進めるためには、システムが重要です。システムを導入することで人為的なミスを防ぎ、業務を圧倒的に効率化します。

これにより、従来までの言語の問題、システムの違いもクリアになります。同じソフトで同じように情報を入力すれば良いので、属人性が排除されます。人材の教育と属人性の排除は一見すると矛盾しそうですが、教育された人材が正確にルール通りに情報を入力することが重要です。

人が意思決定を行うべき部分と、ツールで自動化すべき部分は現状使えるツールによって変わってきます。今の時代、客観性が重要なデータ処理はツールで最大限自動化するのが効率的と言えるでしょう。

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クラウドERPの活用でグローバル経営管理を見える化!

オンプレミス型とは個々の端末にソフトをインストールする方法で、クラウドERPはクラウド上のソフトに個々の端末からアクセスする仕組みです。オンプレミス型では導入に時間がかかりますが、クラウドERPなら迅速に導入が可能です。

クラウドERPでは個々の端末に大きなソフトをインストールする必要がないので、導入の手間が少なく済みます。また、クラウドERPならどこからでもアクセス可能なので、現法、本社間で同じ場所にアクセスして情報を共有することもできます。

コストを抑えて最低限の機能から導入し、各担当者がツールの扱いに慣れたタイミングでより機能を増やしていくことも可能です。クラウドERPなら簡単に機能を拡張していくことができるので、導入から運用の流れが現実的です。

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まとめ

海外現法経営を見える化しグループ全体の経営を効率化するためには、クラウドERPの導入が現実的です。多くの企業が導入して業務を効率化しているので、今後導入しないとより一層遅れを取ることになるでしょう。

特におすすめのクラウドERPはOracleが提供する「Oracle Fusion Cloud ERP」です。導入実績が豊富であり、導入コストは低く設定されていて導入期間も短く済むので、初めて導入する方にとってもおすすめと言えます。なるべく早めに導入して業務効率化を推し進めることを推奨します。

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