中小企業庁が策定した事業承継5ヶ年計画を簡単解説

 2019.07.09  クラウドERP編集部

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日本の経済を支えている中小企業の維持・発展をさまざまな面から支援している中小企業では、事業継承ガイドラインに基づいて「事業継承の5ヶ年計画」を策定しています。今後5年間において、中小企業の後継者問題解決に向け、集中的に支援する施策を展開していく予定です。本稿では、この5ヶ年計画について分かりやすく解説しています。

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「事業継承の5ヶ年計画」とは?

「事業継承の5ヶ年計画」とは、今後5年間でさまざまな課題に直面する中小企業の事業継承問題について、これまでよりもさらに集中的な支援を行う施策をさします。

この5ヶ年計画では、地域に根付いている事業を次の世代にしっかりと引継ぎ、事業継承をきかっけに後継者が積極的に新事業へチャレンジできる環境を整えるための施策となります。中小企業庁では、今後5年間を事業継承支援の集中実施期間と定め、そのための支援策として次の5つを掲げています。

  1. 経営者の“気づき”の提供
  2. 経営者が継ぎたくなるような環境を整備
  3. 後継者マッチング支援の強化
  4. 事業からの退出や事業統合などをしやすい環境の整備
  5. 経営人材の活用

「事業継承の5ヶ年計画」が策定された背景

「事業継承の5ヶ年計画」は経営者の高齢化や事業継承の準備が遅れていることなど、後継者への事業継承がスムーズに進んでいないなどの現状を解決するために策定されています。その背景とは何でしょうか?

1.経営者の高齢化

中小企業の経営者は平均年齢が年々高くなっており、中小企業庁の調査によると20年前は50代前半だった平均年齢が、2015年には60代後半まで上がっています。中小企業経営者の平均引退年齢が70歳前後なので、多くの中小企業が今後5年以内に事業継承を行う必要があると言えます。

参考資料:平成27年度中小企業の成長と投資行動に関する調査 報告書 - 経済産業省

2.事業継承が遅れている

中小企業経営者へのアンケート調査によると、どの世代でも半数以上がまだ事業継承計画を立てていない状態です。後継者の育成など事業継承にかかる準備期間を考慮すると、中小企業経営者が60代に入ったころから事業継承の準備を始める必要があるでしょう。

ERPに関するお役立ち資料

参考資料:中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)

3.後継者への引継ぎがされていない

子供に会社を継ぐ意思が無い、子供がいない、適当な後継者が見つからないといった理由から、半数の中小企業経営者が廃業を予定しています。後継者不在によって廃業を考えざるを得ない中小企業が多く、また廃業予定の中小企業の中では4割以上の企業が事業継続は可能であると考えています。

参考資料:中小企業の事業承継に関するインターネット調査 - 日本政策金融公庫

「事業継承の5ヶ年計画」の詳細

それでは、「事業継承の5ヶ年計画」で掲げている5つの項目について、それぞれの解説していきます。

1.経営者の“気づき”の提供

中小企業の中には、事業の継続性はあるにもかかわらず日々の経営に追われたり、事業継承に必要な機関や準備の大変さを認識していなかったりすることが原因により、事業継承への取り組みを先送りにしている経営者が少なくありません。

そうした中小企業経営者に対して、事業継承に早めに取り組むことの必要性を理解してもらい、具体的な行動を促します。従来のように支援機関が受け身になるのではなく、事業継承診断などを積極的に行い、事業継承ニーズを引き出していくのが目的です。

2.経営者が継ぎたくなるような環境を整備

国税庁の調査では、2016年度に赤字だった企業は63.5%です。企業数でいうと約169万社となり、赤字企業の割合は年々減少傾向にあるとはいえ、多くの企業が赤字経営をしています。ただし、経理上は赤字でも必ずしも経営不振というわけではありません。

「事業継承の5ヶ年計画」では後継者が安心して事業を継げるように、経営改善の支援を行います。さらに、後継者が事業を引き継いだ後の新事業への挑戦も支援しています。

3.後継者マッチング支援の強化

中小企業の事業継承はそのほとんどが親族への継承であり、M&Aは大半の中小企業に無関係なものと考えられていました。さらに、M&Aによる敵対的買収がニュースで話題になったことから、M&Aに良い印象を持っていない中小企業経営者が少なくありません。

しかし近年では、M&Aのメリットを活かそうという中小企業経営者が増えています。件数は年々増加傾向にありますが、中小企業の数に対してM&A数はわずかです。そのため、「事業継承の5ヶ年計画」では後継者マッチング支援の強化を行っています。

各都道府県に設置されている事業引継ぎ支援センターの支援体制を強化して、民間企業と提携することで小規模なM&Aマーケットを構築する予定です。

4.事業からの退出や事業統合などをしやすい環境の整備

1つの中小企業が廃業すると、取引企業や地域経済にもさまざまな影響を及ぼします。たとえば自動車部品工場が廃業になった場合は、自動車の製造工程に大きな影響が発生します。伝統工芸品を作る企業が廃業すれば、地域独自の技術や文化が失われることになるでしょう。

こうした事態を防ぐためにも、取引会社が事業統合したり、地域の企業が協力し合ったりする必要があり、「事業継承の5ヶ年計画」ではこうしたサプライチェーンや地域における事業統合・共同化の支援を行っていきます。

5.経営人材の活用

事業継承によって後継者が引き継いだ後でも、さまざまな課題に直面します。後継者の経営能力不足から組織マネジメントに支障が発生したり、取引先や顧客が離れるなどの課題をサポートしたり、後継者を育成する人材が必要です。

「事業継承の5ヶ年計画」では、経験豊富な人材を中小企業の次期経営者候補や後継者をサポートする経営幹部として送り込んだり、社外アドバイザーとして活用できたりするような環境を整備していきます。

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中小企業の事業継承は十分な余裕を持った対応を!

いかがでしょうか?中小企業庁がここまで本腰を入れて中小企業の事業継承を支援するということは、多くの中小企業にとって事業継承は深刻な問題であり、廃業によって起こる経済的損失の大きさを表しています。この機会に、一経営者として、社会の一員として事業継承について改めて検討することをおすすめします。

また、中小企業の事業継承には長期間を有するケースが非常に多いため、事業継承計画を立てる際は十分に余裕を持って行いましょう。すでに廃業を決めている中小企業経営者も、改めて事業の継続性や事業継承について検討し、中小企業庁が展開する制度を利用しつつ事業継承を実現してみてはいかがでしょうか?

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