ERPの移行で失敗しないためのポイント

 2019.09.13  クラウドERP編集部

[E-Book]データ主導の意思決定に勇気を持ち続ける

近年、既存の基幹系システムをERP(Enterprise Resource Planning:統合基幹系システム)へ移行するケースが増えています。ERPは財務会計システム顧客管理システムといった、ビジネス上欠かせない基幹系システムを統合し、その他サプライチェーン管理EPM(Enterprise Performance Management:統合業績管理)などの情報系システムも統合し、大規模なシステム環境を構築します。

ERP移行が増えている背景としては、日本経済の好景気によるIT戦略へかける投資額が増加しているという理由と、レガシーシステムから脱却して劇的に変化するビジネス環境への対応ニーズが増しているという理由が考えられます。

ただし、ERP移行を実行しているすべての企業が成功しているわけではありません。ERPへ移行しても、その効果を存分に発揮できないまま終わることもあります。

本稿では、ERP移行に際し失敗しないためのポイントについて解説します。ERP移行を検討されている方はぜひご参考ください。

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ERP移行で失敗しないためのポイント

本稿で紹介するERP移行で失敗しないためのポイントは全部で5つ。①クラウドファーストで考える、②DXの一環として移行する、③グループ全体での共有を目指す、④ガバナンス強化を視野に入れる、⑤業務改革を伴わせる、です。それぞれの詳細を解説します。

Point①クラウドファーストで考える

“クラウドファースト”とは「システム移行や導入に際しクラウドサービスを優先的に検討する」という意味です。昨今のクラウドサービス市場拡大から見るに、システム移行・導入時にクラウドサービスを採用する方が、メリットが高いと判断する企業が多いことが読み取れます。実際に、クラウドサービスにはインフラ調達費用やシステム構築費用、ベンダーサポート費用等を抑えられる効果があり、初期投資額を削減できます。さらに、クラウドサービスでERPへ移行することで外出先からでもシステムへアクセスできる環境が整えられ、セキュリティも強化されます。

Point②DXの一環として移行する

“DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)”とは4つのプラットフォームを中心に据えて、企業のシステム環境やビジネスモデルをデジタル思考型に切り替える戦略です。

4つのプラットフォーム

A)クラウド

インターネット上で提供されるサービスの総称。2006年から急速に存在感を増し、今では企業インフラを指させる上で欠かせない技術

ERP(統合基幹業務システム)の導入を成功に導く10のステップ
NetSuite 収益管理
B)モビリティ

スマートフォン及びタブレットなど、世界中で爆発的に普及した小型携帯用端末

C)ビッグデータ・アナリティクス

これまで不要なものとして蓄積してきたあらゆる経営データを統合・解析することにより、ビジネスに有用な新しい知見を見出す

D)ソーシャル

既に世界中で数十億人ものユーザーが使用しているSNSをビジネスプラットフォームとして活用する

DXを中心に据えたERP移行を目指すことで、総務省が警鐘を鳴らしている“2025年の崖”に対する施策を取ることができ、単にレガシーシステムから脱却するのではなく、数年後に待ち受けている経営課題や諸問題に対応するための基盤が整います。

※DXの詳細について→『D X(デジタルトランスフォーメーション) レポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~

Point③グループ全体での共有を目指す

国内グループ企業や海外拠点を有する企業の場合は、ERP移行をきっかけにグループ全体で一貫したシステム基盤の構築をおすすめします。情報活用が強力な武器になるとされている現代ビジネスにおいて、グループ全体の情報共有を促進することは強力な経営基盤を構築することに繋がり、グループ一体となって大規模な経営目標達成に向かうことができます。

そこで検討すべきなのが“2層ERP”です。本社で運用するERPをコアERPとして、グループ企業にはそれぞれに環境に沿ったクラウドERPを導入します。さらに、同じクラウドERPを本社のコアERP上に構築することで、企業ごとの環境に合わせたERP環境を整えつつ、統合的なシステム基盤を構築できます。

2層ERPを採用することでグローバル経営によくある課題を解決し、急激に変化するビジネス環境へグループ全体で対応するための基盤が完成します。

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Point④ガバナンス強化を視野に入れる

多くの企業はERPで月次決算の情報を集計して、連結決算を行っています。しかし、近年では大企業においてグループ企業・海外子会社の粉飾決算などの不正行為が相次いでおり、大きなリスクとして管理されています。

そうした問題を発生させない仕組みとしてERPを検討してみましょう。グループ企業や海外拠点の業務内容を本社でも詳細に把握できるような環境ならば、粉飾決算等の不正を見抜く手段になります。ERPでガバナンスを強化するという視点からERP移行を考えていくことも大切なのです。

もっと読む:ビジネスで燃え尽きないためにあなたがすべきこと

Point⑤業務改革を伴わせる

多くの企業はERP移行によって“モダナイゼーション(近代化)”を目指しています。長らく運用してきたレガシーシステムを負の遺産として、個別最適化が進んだシステム環境を排除し、統合的なシステム環境を構築した上でシステム維持にかかる費用の削減を期待するのです。

しかし誤解してはならないのが、ERP移行がモダナイゼーションを実現する手段にはなるものの、それだけでは次世代ビジネスへの対応は不可能ということです。大切なのは「業務改革を伴わせること」です。

システム環境だけが刷新されても、業務プロセスが従来のままでは何も変わりません。ERP移行によるモダナイゼーションおよびDXを実現するためには、必ず業務改革も必要になります。それに応じてビジネスモデルの変革や、新しいサービスの創出等について検討するのも大切なポイントの1つです。

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“未来志向型”のERP移行を目指そう!

最後に、ERP移行では“未来志向型”を常に目指すことが大切、ということをお伝えします。従来のERP移行といえば旧型システムで搭載していた機能をすべて踏襲した上で、新しいシステム環境を構築するのが一般的でした。

しかし、多くの企業では旧来の業務プロセスを踏襲するのではなく、近代ビジネスに対応するための新しいシステム環境と業務プロセスを必要としています。いわば“未来志向型”のERPです。今後ERP移行を検討される際は、必ず“未来志向型”を中心に据えながら、本稿で解説したポイントを押さえつつERP移行を目指していただきたいと思います。

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