連結決算で子会社はどのように扱うのか

 2018.10.17  クラウドERP編集部

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連結決算を行うにあたってまず考慮すべき点は「子会社とする範囲」についてです。

連結決算の対象となる子会社及び関連会社は原則として“すべて”ですが、連結グループ全体への影響度が低い(年間売上が連結グループ全体の0.1%未満等)子会社及び関連会社に関しては連結対象から外すことができます。

この影響度については経営戦略上の子会社及び関連会社の位置づけや資産、売上、利益、利益乗余金といった観点から判定します。具体的に「売上高がいくらを上回ったら連結対象とする」という明確な数値が定められているわけではないので、企業ごとの実績に応じて判断するのが一般的です。

今回はそんな連結決算において、子会社はどのように扱えばよいのかをご紹介します。

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子会社の定義

まずは企業会計基準第2号「連結財務諸表に関する会計基準」における、親会社と子会社の定義について確認してみましょう。

会計基準第6項 親会社と子会社の定義

 

定義

親会社

· 他の企業の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関。以下「意思決定機関」という。)を支配している企業

子会社

· 親会社の定義に記載されている、当該他の企業

· 親会社及び子会社又は子会社が、他の企業の意思決定機関を支配している場合における当該他の企業

子会社の定義について少し掘り下げると、いわゆる孫会社と呼ばれる子会社の子会社も親会社の子会社となります。ただしこれらの定義だけでは、子会社を連結決算に対象にすべきかどうかはまだ判定できません。

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子会社と判定するポイントとは?

親会社がある企業を子会社と判定するポイントとしては、子会社の意思決定機関を支配しているかどうかです。会計基準では支配力基準に関する一般的規定が設けられており、明確な要件があります。以下に紹介する会計基準第7項では、財務上、営業上、事業上の関係から見て他の企業の意思決定機関を支配していると判定され、つまりは子会社に該当します。

会計基準第7項 子会社の判定

他の企業の議決権の所有割合

他の企業を支配していると判定される場合

50%超(過半数)

l 他の企業の議決権の過半数を自己の計算において所有

40%~50%

l 他の企業の議決権の40%~50%を自己の計算において所有

緊密者の議決権や役員関係などの一定の条件(下記①~⑤のいずれかに該当する場合)

0%~40%未満

l 他の企業の議決権の0%~40%未満を自己の計算において所有

緊密者と合わせると他の企業の議決権の過半数を所有

役員関係などの一定の条件(下記②~⑤のいずれかに該当する場合)

「役員関係などの一定の条件」とは次の①~⑤のことをいいます。

他の企業との関係

一定の条件

①緊密者、同意者の議決権

自己の計算において所有している議決権と、自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者(緊密者)及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者(同意者)が所有している議決権とを合わせて、他の企業の議決権の過半数を占めている

②役員、使用人関係

役員若しくは使用人である者、又はこれらであった者で自己が他の企業の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の企業の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めている

③契約関係

他の企業の重要な財務及び営業又は事業の方針の決定を支配する契約等が存在する

④資金関係

他の企業の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているもの)の総額の過半について融資(債務の保証及び担保の提供を含む。)を行っている

(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む。)

⑤その他事実関係

その他、他の企業の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在する

ある企業に対し当該企業を支配する親会社が2社になることはありません。たとえばA社の株式をB社が50%を保有し、残りの50%をC社が保有している場合、上記①~⑤の条件等を考慮してどちらが親会社に該当するかを判定します。A社に対するB社とC社の条件が同じ場合、A社に親会社はなく両者の関連会社となります。

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重要性の判断基準とは?

連結決算の対象とする子会社の範囲は原則としてすべてですが、連結グループ全体へ重要性によって連結決算の対象とするかどうかを判断できます。重要性の判断に関しては“質的重要性”と“量的重要性”の両方の観点から検討します。

質的重要性のある子会社

連結財務諸表提出会社の中・長期の経営戦略上の重要な位置づけを持つ子会社

連結財務諸表提出会社の一業務部門、例えば製造、販売、流通、財務等の業務の全部又は重要な一部を実質的に担っていると考えられる子会社

セグメント情報の開示に重要な影響を与える子会社

多額な含み損失や発生の可能性の高い重要な偶発事象を有している子会社

量的重要性のある子会社

資産基準…原則として連結グループ間債権債務及び資産に含まれる未実現損益の消去後の金額

売上高基準…原則として連結グループ間の取引の消去後の金額

利益基準…原則として連結グループ間取引による資産に含まれる未実現損益消去後の金額

利益剰余金基準…原則として資産基準及び利益基準の適用に当たって消去された未実現損益修正後の金額

量的重要性の基準に関しては子会社の割合がいくつであれば重要性が低いと判断できるか、という明確な数値基準がありません。従って実質的な判断が必要になり、実務上は社内規定等において一定の割合を決定し、量的重要性の算定式において子会社の割合が社内規定で定めた割合を越えないかどうかを確認し、連結範囲の妥当性を検討している企業が多いでしょう。

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NetSuiteやOracle ERP Cloudで連結決算を効率良く実現

連結対象とする子会社のルールには様々なものがありますが、最終的には企業ごとに実質的な判断が求められることが分かりました。会計監査を受けている場合は監査法人と協議し、連結対象となる子会社を決定していくことになります。

では、実際の連結決算を効率良く進めていくにはどうすればよいのか?ここではクラウドERPの“NetSuite(ネットスイート)”およびOracle ERP Cloudについてご紹介します。

そもそもクラウドERPとは、経営上欠かせない複数の業務アプリケーションを統合したITシステムであるERPをクラウドサービスとして提供するものです。クラウドERPには初期投資の低減や運用負担の軽減、インターネット環境を利用した利便性の高さといったメリットを持ちます。

その中でもオラクル社が提供する2つのクラウドERPであるOracle NetSuiteおよびOracle ERP Cloudはグローバルで多くの企業が採用するクラウドERP製品です。

NetSuiteは中小企業やベンチャー企業、Oracle ERP Cloudは中堅・大企業に採用されています。

両製品ともは国内の子会社やもちろんのこと、海外の子会社も含めて統合的なITシステム環境を構築でき、かつ財務会計に強いクラウドERPなので連結決算も容易に行えます。毎年負担の多い決算処理を効率化したい、と考えている企業はこの機会にNetSuiteもしくはOracle ERP Cloudのご利用をぜひご検討ください。

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