在庫管理システムとは(第3回)~ 在庫の目的②

 2013.06.20  クラウドERP編集部

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もう一つの在庫の目的

今回は、もう一つの在庫の目的についてお話します。

在庫をしておくためには、注文が来る前に商品を仕入ておかなくてはありません。この場合、ある一定の期間にどの程度の数量が受注できるかを見込んで、まとめて商品を仕入れることになります。どうせ、まとめて仕入れるのであれば、できるだけ安く仕入れた方が利益が大きくなりますので、できるだけ有利な条件になるように数量を考えて仕入れることになります。つまり、在庫のもうひとつの目的は、売上原価の低減にあるといえます。

このような考え方は、商品の在庫だけではなく、製造業における原材料の在庫にもあてはまります。原材料の種類によっては、大量仕入による価格の引き下げ効果が大きい場合もありますし、価格変動の大きい原材料については、先行き値上がりしそうな場合、それを見込んではやめに仕入れておく必要があります。

このように、在庫管理システムでは、実際の受注とは非同期に行われる仕入(発注)による在庫数量の変動を管理する必要があります。受注システムから、引き当て処理が在庫管理データベースに対して行われるように、発注システムから、発注処理にともなう有効在庫数の更新処理が行われます。このような場合の、在庫数量の変動を図3に示します。引き当て処理と違うのは、発注したからといって、すぐにその時点での有効在庫数が増えるわけではなく、将来の有効在庫数が増えるという点です。この例では、5月1日に100個発注していますが、有効在庫数は現時点では20個、入荷予定日の5月10日の時点で120個という二つのレコードに分かれることになります。

このような発注形態をとっている場合、受注段階での納期回答には、新たなパターンが出てきます。例えば、図1のような在庫の状態で、5月2日に納期問合せがきた場合を考えてみましょう。

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数量が20個であれば、すぐに納品できます。数量が121個以上であれば、やはりメーカーに問い合わせる必要があります。しかし、21個から120個の間(例えば75個)であれば、5月10日時点での有効在庫数にあてはまりますので、すぐに納期回答を行い(例えば5月11日)、受注した場合は、この将来の在庫に対して引き当てを行うことになります。この場合の、在庫数量の変動は、図2のようになります。

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発注に対応する有効在庫数の更新は、将来の分に対して、発注管理システムから行われます。現在の有効在庫数の更新は、商品が入荷された時点で、在庫管理システムによって行われます。これらの関係を図3にまとめてありますので、確認してください。

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