2層ERPとは?

 2014.05.17  クラウドERP編集部

グローバル標準のクラウドERP

今、ERPが新たな段階へと進化しつつあります。1990年台より流行った魔法の言葉「シングルインスタンス」。この概念は理にかなったものであり、多くの企業やマスコミが賛同しERPのビッグバンとして流行の波にのりました。やがて、隠れていたコストやスピードが企業を取り巻く環境変化に追従できなくなり、ERP導入が多くの弊害を生み出したのも事実です。

そして今、ERPの導入方法論で2層ERPが注目されています。2層ERPとは何か、そしていつ導入すべきなのか?そして、それは同じ失敗を繰り返さないのか?2層ERPに関してご紹介したいと思います。

魔法の言葉「イングルインスタンス」

1990年代から2000年台初頭にかけて「シングルインスタンス」や「グローバルスタンダード」という言葉により、多くの企業がビッグバン的にERPの導入をこぞって行ったのは記憶に新しいことでしょう。

これは企業全体にわたり、リソースを効率的に計画、管理、運用できるものとしてグローバル企業などのシステムスタンダードになりました。ソフトウェアベンダーはその戦略を顧客に勧め、数多くの大企業がERPのための“シングルベンダー”や“ワングローバルスタンダード”戦略を採用して、ビジョンを実現するためにプロジェクトを開始したのです。

当時、それは正しいアイデアに見えたのは言うまでもありません。理論的には、それは合理的でした。全ての子会社や支社、部門が地理的に異なる場所で同じERPシステム上で稼働すると効率的な財務処理を可能とするだけでなく、現状の分析や見通しの予測まで、良いことが起こります。

もちろんシングルインスタンスを否定するものではありません。多くの企業はこの「シングルインスタンス」を実現しビジョンを達成しています。これは素晴らしいことだと思います。しかし、数年間かけてグローバル標準化を未だに達成できていない企業が数多く存在することも事実です。

それではなぜ失敗に終わるのでしょうか?
失敗企業の大半は、ERPのメンテナンスとアップグレードに束縛され、時間とコストが大量に消費されることに嫌気がさしているのです。つまり恒久的なプロジェクトの実現を目の当たりにするのです。

それはまるで東京タワーのペンキ塗りを一人でやるようなもので、塗ったそばから小さな錆が生じるなどということが起きるのです。通常は、本社から導入を開始し、各支社や海外支店への展開を段階的に行なうことになります。しかし、本社導入が完了すると、その後は常に保守やアップグレードに掛り切りになり、小さなサビが生じて注意を払う必要がでてきます。メンテナンスやアップグレードが原因で海外子会社や支社に一度も導入出来ないままの企業もあるのです。

また、ある企業では「売上高5,000万円のベトナム支社に対して数億円かけて海外展開する意味があるのか?」などと言う意見なども出てくるのです。確かにその通りだと思います。昨今の円高や長引く不況により、それらの判断は正当化されるのです。

また、あまりにも長いプロジェクト期間に支店のIT部門では「うちは2019年だから、その頃担当なのかどうなのかもわからない」などの本音もでてくるほどなのです。

膨大な投資を行ってグローバルなシングルインスタンスを達成した企業でも、決してその道は平たんではありません。企業の発展に伴うシステムへの要求がスピード感を増す中で、複雑なシステムをビジネスに融合させるためには多くの時間とコストが必要なのです。

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つまり、多くの企業にとって、現在のERPの状況は思い描いていたものとは程遠い状況と言っても過言ではないでしょう。

シングルインスタンスERPの凋落

何故、多くのERP導入が、シングルインスタンスに至らなかったのでしょうか?その理由は様々ですが、大きくは3つ、「コストの問題」、「スピードの問題」、「リスクの問題」に集約されると考えています。

コスト

大企業において企業内全体にOracleやSAPを配備するコストは数億円から数十億円と言われています。2009年の米国CIOマガジンによると平均的なSAP導入コスト(推定)は1千7百万ドル(約13億6,000万円)で、Oracleアプリケーションのそれは1千3百万ドル(約10億4,000万円)です。
グローバルに展開する大企業が全社的にプロセスを一元化し可視性を高める上では理にかなった費用かもしれません。

しかし、IT投資が潤沢ではない企業にとっては、本社への導入が終わり、最初の幾つかの子会社がオンラインで繋がれる時問題が起こります。本社から遠くにいくにつれ経済的に正当性を欠くことになります。それぞれの場所でハードウェアとソフトウェア購入し設定します。
それらは本社からITチームが派遣されます。そして、東京タワーの新たな架橋部に専属のペンキ塗りスタッフが必要となるのです。日本からほど遠い国とオンラインで繋ぐためだけに数億円を使うことを許す企業は多くはありません。
全社導入プロジェクト前に比べて、そのROIは説得力があるように見えなくなってきます。もしかしたら可視化をするために人海戦術で情報を収集したほうが安いのではないか?などと考え出すこともあるのです。

時間

シングルインスタンスのERP導入には膨大な時間がかかります。
グローバル展開には何年もかかり、IT部門や財務部門のスタッフが相当な時間を費やすことになります。本社のITスタッフは、各支社や海外での導入のために時間を使うことになりますが、そのころには本社のERPのバージョンアップやカスタマイズに時間を割く必要があり恒久的な人材不足になりかねないのです。

また、ビジネスの観点から見てみると数年にわたるプロジェクト期間中、世界とビジネスはじっとしていてくれないのです。新しい製品と新しいプロセス、新しい社内規則や各国ごとの新しい法令などへの適用をする必要があります。

これらのシステムの導入にはコストと時間が掛かり過ぎるため、会社は変化しつつある環境に完全に付いて行けなくなるのです。強引に適用すると導入戦略を逸脱し、システムの切り貼り、様々な部分的ソリューションのあるプロセス、孤立したERPシステム、マニュアルプロセスなどが発生します。そして誰もが避けようとしているカオスに陥っていくのです。

リスク

コストと時間はリスクを増やします。これらの大規模導入は時間とコストがかさみ過ぎ、IT部門は正当性を上層部に訴えることすらも難しい状況になります。大量に投資が可能な一部の会社は問題ないかもしれませんが、配備は失速して展開しなくなります。当初考えていたよりはるかに大変なので、会社はさらなる展開をためらうのです。

この環境の中で変更を実行することは途方もない挑戦になります。例えば、新しい部署を追加したり、総勘定元帳(GL)に何かを世界的に付ける場合、何十(または何百)もの異なる場所で別々の変更を行う必要があるでしょう。一般会計原則(GAAP)に変更があったため新しいプロセスを作り上げるなどの、さらに複雑な変更は、多くの時間とリソースを消費し、現実の変更の重要性と比べてはるかに割りに合わないものとなります。 これが今日直面している現実です。そこで2層ERPの登場です。

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2層ERPの出現

2層ERPとは、本社で稼働しているSAPやOracleなどのほかに、支社や海外にカスタマイズ可能なもう一つのERPソリューションを導入することです。

2層ERPは、一般的に導入が容易なクラウド型システムを導入することにより、 コストとリスクを最小限に抑えたまま、シングルインスタンスERPの恩恵を受けることが可能になります。つまり、グローバル全体で標準的なプロセスを確立し、財務データを統合、さらに事業の見える化などを達成することが可能になります。

たとえば経理責任者などにとって、それは劇的に簡単な財務統合プロセスを実現することが可能になるのです。

米国の調査機関であるコンステレーション・リサーチ社によると、この2層ERPアプローチが企業の間で急速に浸透していることをデータで示しています。彼らの調査によると、わずか18ヶ月の間で2層ERPに興味を示している企業が20%から50%近くにまで跳ね上がっていると報告しています。

このようにシングルインスタンスを諦めかけた企業とって、2層ERPという新たな現実的なアプローチによりシングルインスタンスの恩恵を無理なく受けることが可能になるため採用する企業が多くなってきているのです。

競争激化、グロ―バル化、規制の対応、市場の多様化など、企業は数年前に比べて益々の迅速性を求められています。そのためにはプロセスの統合だけでなくプロセス確立時のIT化への対応、さらには企業の透明性や見える化のレベルを上げる必要があります。そのような状況の中で「2層ERP」は正に求められているソリューションなのです。

2層ERPの条件

2層戦略を実現しようと思った際に製品選定において気を付けなければいけないことがあります。そのERPがクラウドかオンプレミスかが重要なのです。

もしオンプレミス型のERPを採用した場合には、コスト、時間、リスク、俊敏性の問題はほとんど残ってしまうということです。更に悪いことに、そのシステムはインストールした瞬間から老朽化し、変化について行けなくなります。つまり、支社や海外においてイングルインスタンスという魔法の言葉による過ちを再度繰り返すことを意味するのです。

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クラウドERPのその他の利点

クラウドERPでは、大規模ERPの問題を解決するのに加えて、多くの利点があります。

・ 欲しいデータを瞬時に取得することが可能です。ブラウザにログインするだけで、いつでもどこでも全世界の現在のパフォーマンスをリアルタイムで閲覧できます。

クラウドERPの管理は提供ベンダーが行うため自社のIT要員がインストールや設定、アップグレード、バックアップ、セキュリティなどに費やす必要がなくなります。そのため本来の業務に集中可能になるのです。

・ クラウドERPは、オンプレミス型のERPではインストールした瞬間から古いシステムになるのに対して、自動で最新バージョンに保たれます。

まとめ

クラウドERPを導入することにより企業はざまざまなメリットを享受することが可能です。データ管理の容易さやシステムの柔軟性、コスト、スピード、敏捷性とリスクの問題などをクリアすることが出来ます。

たとえばクラウドERPでは複数の国や子会社に対して数週間から数カ月で導入を行なうことが可能であり、グルーポンなどでは2011年春にクラウドERPの導入を決定して、1年以内に46の国々への展開を完了する計画です。

初期コストという意味では、クラウドの利点である各場所でハードウェアや関連ソフトウェア(オペレーティングシステム、データベースなど)の購入や設置を行なうだけでなく運用自体も必要ありません。オンプレミスに比べて圧倒的な低コストを実現できるのが大きな特徴なのです。

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